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児童発達支援管理責任者は、放課後等デイサービスの開設・運営において、ひとつの施設につき必ず1名配置することが定められている施設の責任者。子どもたちの指導計画を作成し療育を主導する、責任とやりがいのあるお仕事です。今回は、前職でも児童発達支援管理責任者として活躍し、今回転職して新たな放課後等デイサービスの立ち上げに尽力している、放課後等デイサービスSTEP小平の橋本郁子さんにお話を伺いました。

橋本さんが放課後デイサービスに辿り着くまで

 

大島

大島:本日はよろしくお願いいたします。

橋本さん

橋本さん:よろしくお願いします。

大島:ご経歴を拝見させていただいたのですが、橋本さんは、一般企業でのテレマーケティングやコンサルティングをご経験された後、生活指導員などを経て児童発達支援管理責任者になられたとのこと、そもそもなぜ障がいに携わる仕事に就こうと考えたのですか?
 
橋本さん:テレマーケティングなどは、「何が多くの人に受け入れられるんだろう」「何が共感してもらえるんだろう」とか「人ってなんだろう」っていう問いにつながるお仕事なんですよね。親が当時病気を患ったこともあって、そのために周囲の人に「今親が病気で…」と時に誘いを断ったり、業務を抜けたりしなければならなかった。そんな中で、「人ってなんだろう」ってことをあらためて考えてみたんです。
 
大島:そうだったんですね…。
 
橋本さん:人間は先天的にも後天的にも一定の割合で障がいを持つ可能性があります。そこから「うまく生きていくにはどうしていけばいいんだろう」と考えたんです。
 
施設内
▲放課後等デイサービスSTEP小平の施設内。落ち着いたイエローとブラウンのマットが敷き詰められた約46平米の室内は、オープン前ということで、まだがらんとしていましたが、7月には子どもたちの声で満たされることでしょう。
 

橋本さん

橋本さん:学生時代や社会人になってからも、自分自身が尊敬する人は何らかのライフワークを持っていらっしゃったんですよね。今までの仕事ではもともとはクライアントが出してきた要求に答えるのが私の仕事だったんですが、そうじゃなくて、自分の「専門性」が欲しかった。

 

大島

大島:それで、障がいへの支援を専門性にしようと?

 
橋本さん:最初は精神障がいのある方たちの生活支援や就業支援に取り組みました。
 
大島:最初は大人の方が対象だったのですね。なぜ放課後デイサービスという子どもを対象とした施設で児童発達支援管理責任者になろうと思ったのですか?
 
橋本さん:私たちも「他人が持ってるものが羨ましいな」とか「仕事に行きたくないな」と思うことはあるのだけれど、実際にその人のものを取ってしまったり、体調不良でもないのに休んでしまうことはないですよね。でも障がいがある場合は状況が変わってくるんです。障がいがある方の場合「盗む」とか「罪悪感」とかが希薄なんですよ。
 
大島:善悪の概念とか?
 
橋本さん:そうそう!その概念がそもそも緩いんですよ。
(軽く微笑み優しい表情を見せる橋本さん。愛情をもって真摯に障がいや、障がいのある人々に関わってきたことを感じた瞬間でした。)
 
…だから「これは小さいうちから、その部分をきちんと伝えていれば良くなっていくのでは?」と思ったんです。
 
大島:それが障がいのある子どもへの福祉サービスに関わろうと思われたきっかけだったんですね。

 

児童発達支援管理責任者の研修会には人数制限がある?!

 

橋本さん

橋本さん:今は放課後等デイサービスも含め、福祉の事業を提供するに似合う知識と経験を持つ方が少ないんです。でも例えば精神障がいのある方に関わった経験などが5年あれば、児童発達支援管理責任者の研修を受けられるんですね。…でその「5年」を待ちました。

 

大島

大島:もうご意思は決まっていた、と。

 
橋本さん:ただ、今はその資格を持っている方を増やしたいがために、優先順位として、若い方にチャンスが与えられるような状況なんですよ。殺到しちゃってるので(笑)。
 
大島:あぁ~、人数枠があるんですね!研修にも。
 
橋本さん:そう、枠があるんです。なので所属する事業所から推薦をもらわないといけないんですよ。しかも1事業所から研修に参加できる人数も決まっているんですね。
 
大島:それは知らなかったです!
 
橋本さん:だから社会福祉法人など、1つの事業所しか持っていないと、だいたい1人くらいしか参加できない。でも株式会社などでたくさん事業所を持っていると、その事業所の数参加できるんですね。だから転職してその資格を取りました。
 
大島:そのためのご転職だったのですね…。
 

「療育」をきちんとできる環境を求めて…

 

橋本さん

橋本さん:以前は行政がこの放課後デイサービスをやっていたんですよ。その時は一時預かりだけで療育の必要はなかったんです。ところが児童福祉法に基づいて、一時預かり+「療育」になったんですよ。
 
その「療育」ができるだけの体制や、理念が各事業所にあるかということが重要で、民間も参入する中で、各事業所ごとの”特色”が求められているんです。

 

大島

大島:今は運動や音楽など、特色を売りにしている事業所もありますね。

 
橋本さん:ただ学習指導がしっかりできる環境ってまだまだ少ないんですよね。少なくとも近所にはなかった。
 
でも、障がいがあるからといって、学習指導が必要ないのではなくむしろ逆なんですよね。今回面接で話す中で、自分の考えを伝えたところ、STEP小平は有資格者でスタッフを構成して、療育に力を入れるということで、自分のやりたいことが実現できると思ったんです。
 
大島:それで今回転職をされたんですね。転職活動で不安だった点はありますか?
 
橋本さん:新規立ち上げなので、不安は当たり前だと思っていました。もともと立ち上げ作業に携わっていたので。
 
橋本さん
むしろこれからの人材育成や体制づくりを見据えていらっしゃった橋本さん。託児機能や給与の充実など、これからやりたいことがたくさんあるご様子でした。
 

管理者・児童発達支援管理責任者のお仕事って?

 

大島

大島:管理者・児童発達支援管理責任者のお仕事の概要について教えていただけますか?

 

橋本さん

橋本さん:管理者や児童発達管理責任者がしなければいけないことと言えば、スタッフを適正な人数配置して、その中で送迎に行っていただく方を決めるなどの時間管理を行うことですね。
 
それと実績記録票(その日の利用時間を管理し、保護者から確認印をいただく書類)を作るのも管理者や児童発達管理責任者の仕事ですね。あとは教室日誌というものがあって ―こちらでは個別でなく教室全体としての状況を記録するんですが― それと実績票とを照らしあわせています。
 
連絡帳はサービス記録も兼ねています。こちらは指導員の方にも書いていただくのですが、保護者のサインと印鑑が必ず必要です。実績票とは別に。そのサインや印鑑をきちんともらって原本を管理するのも、私たちの仕事の一つです。

 
大島:それらは申請に必要ということですよね。
 
橋本さん:そうですね。国保連合会への請求業務や裏付け情報の管理は、私たち管理者や児童発達支援管理責任者等のお仕事です。
 
それと個別支援計画書の作成者名と印鑑は、研修を修了している児童発達支援管理責任者でないといけません。作成は指導員でも可能なのですが、そこに対する責任は児童発達支援管理責任者にあるんですね。
 
あとは…今は立ち上げ段階なので…営業…って言っちゃうとマズイかしら(笑)そういった告知などの業務は管理者や児童発達支援管理責任者ならではですよね。
 

このお仕事の大変さとは?

 

大島

大島:いろいろと多岐にわたる業務内容ですね…責任も大きいためやはり大変なのではないですか?

 

橋本さん

橋本さん:スタッフさん一人ひとりがモチベーション高く取り組まないと、カンタンに総崩れしてしまう仕事だと思いますね。だからこそモチベーション維持のための環境づくりも意識していかないといけません。

 
大島:他にも大変な部分ってありますか?
 
橋本さん:施設のオープンにあたっては、近隣からの反対っていうのも結構多いですね。
 
大島:そうなのですか?
 
橋本さん:反対の一つの理由としては、行動パターンが読めないから危害を加えられるんじゃないかということ、それと奇声をあげるなどの騒音問題などを心配する声もありますね。…地域によっても差がありそうですけれどね…。
 
ハートのイラスト
 
大島:多様な障がいに関わる中で、最も大変だと思うことって、どんなことですか?
 
橋本さん:これって本音言っちゃっていいのかしら(笑)。私はもともとは自閉症の子どもたちと関わっていたんですね。自閉症のある子どもたちって、しっかりしたルールがないとやりづらさを感じちゃうんですよ。
 
今度は逆にADHDの場合、逆にルールが守れない。しかもIQが高い、と。例えばピンセットで目をつつけば失明しちゃいますよね?それがわかっているのに、やってみたい衝動に駆られちゃうんですよ。
 
大島:うーん、この差は関わる上でとても難しいですよね…。どうやって対処されるんですか?
 
橋本さん:その子には「私の目の前では君に怪我はさせないよ、何度君が危険な行動を取ろうと、私が見ている前では止めるから、君は言われてびっくりしたから泣くんじゃなくて、言われたことを理解して泣いてね」って伝えましたね。
 
そういうことを「しない」というのは難しい。でも100回あるうち1回でも躊躇してくれたら、良しとしようと考えています。「特性を否定しよう、無くそう」ということをやめるんですね。あと、褒めることと注意することとの割合を大切にしながら関わっています。
 
大島:なるほど…。
 
橋本さん:例えば「○○さん、危ないからそれやっちゃダメ!」って注意したとして、その時はその子に言っているつもりなのだけど、人間の脳って否定形の言葉が全部自分に言われたというように記憶に残るそうなんですよ…。
 
大島:ええっ!そうなんですか!でも確かに…怒ってばかりいると、とても疲れますよね…。
 
橋本さん:ちゃんと睡眠も休みもとっているのに、ものすごく疲労感がある。だから100回あるうち1回でもその行動をしないで、躊躇できたら褒めるようにするんです。「我慢してる?我慢してる??偉いね~ッ!」って(笑)。そうでないと自分が壊れちゃいますから(笑)。
 
大島:(笑)子どもの自己肯定感の向上にもつながりますしね!
 

この仕事のやりがいとは…?

 

大島

大島:この仕事の「やりがい」って何でしょうか?

 

橋本さん

橋本さん:自閉症のお子さんって、本来一人遊びが好きなんですけれど、そんな中で仲間を見つけてくれた時などは嬉しいですね。
 
ある子がご家庭の事情で転校してしまった時のこと、一緒に教室に通っていた自閉症のある子が送迎車のなかで「ここって○○ちゃんのお家の近く?」って聞いてきたんです。で、引っ越してしまったことを伝えたら「大きくなったら、また会える?」って。
 
我々はお互いうまく行って無いんじゃないかと思っていたけれど、ちゃんと仲間意識を持っていたんですね。

 
大島:「また会える?」…かぁ。素敵なエピソードですね。
 

児童発達支援管理責任者の適性とは?

 

大島

大島:児童発達支援管理責任者に向いている方ってどんな方だと思いますか?

 

橋本さん

橋本さん:別に営業が得意でなくても良いんだけれど、まだ放課後等デイサービスをよくわかっていない部分に、うまく伝えていく、「どんなメリットを提供できるか」を上手に伝えるといった能力は大切ですね。
 
それと放課後等デイサービスって、理想を追い求めるとバーンアウトするし、赤字が出ていて成り立つものではないんですよ。管理責任者が必ずしもPL(損益の計算のこと)を考えられるわけではないですが、そこを意識できることも大切ではないかと思いますね。

 
大島:放課後等デイサービスは、学校と比較してどういったものが提供できると思いますか?
 
橋本さん:放課後等デイサービスでは「ご家庭でできないこと」と「ご家庭でできること」双方をご提案するスタイルなんです。学校などとの違いと言えば、放課後等デイサービスは”「ご提案」と「ご提供」”のスタイルであることですね。
 
「ご提案」して納得がいけば「ご提供」させていただくし、違っていれば、アプローチの仕方はいくらでもある。「ご相談しながら方向を変えますよ」ということができるのが、違いではないでしょうか。
 
それにおそらく、放課後デイサービスって、親御さんにとっても「ガス抜き」がしたい場所なんだと思うんですね。我々は事業所であることをデメリットとしてみるのではなくて、デメリットをメリットにしつつ、お互いに心地よく関係性を構築しながら、親御さんの良い意味での「ガス抜き」の場になれればいいな、と。
 
特に障がいのある子どもたちってとても感覚が鋭くて、お母さまが夜「カラオケ行こうかな…」なんて思うと、テレパシーが使えるのでは?と思うほど、そういう時に限って様子を見に来たりするそうなんです。だからお母さま方もなかなか息抜きがしづらいらしいんですよね…。
 
大島:なるほど、そういった意味で放課後デイサービスが、保護者の方のレスパイトケアにもなる、ということですね。
 

これから放課後等デイサービスを目指す方へ…

 

大島

大島:では最後に、これから放課後等デイサービスで働くことを目指される方に、メッセージをお願いします!

 

橋本さん

橋本さん:今の放課後デイサービスには、一時預かりの機能以外に「療育」が求められます。だからこそ指導員も児童発達支援管理責任者もただの「遊び相手」ではないんですね。そこを意識していただきたいですね。
 
障がいを持つ方は減ることはないし、むしろ増えています。仕事の機械化などで、障がいのある方にとって今は「生きづらい」環境でもあります。だからこそ一人ひとりの特性に寄り添って、その子が「生きやすい」術を教えてあげられるようにしたいですね。その意識が大切だと思います。

 
大島:お忙しい中本当にありがとうございました!
 

編集者より

 
お忙しい中ありがとうございました!
橋本さんは、これからの施設や、放課後デイサービスについて、熱い想いをお持ちであることが感じられる本当に素敵な方でした!
 
お忙しい中お時間を割いてくださったことに御礼申し上げるとともに、これからのご活躍をお祈りいたします。本当にありがとうございました!

◆保育のお仕事人材紹介◆

橋本さんが働く「放課後等デイサービスSTEP」は、これからさまざまな場所に施設をオープン予定です。児童発達支援管理責任者や、指導員なども随時募集しておりますので、ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね!

⇒放課後等デイサービスSTEP
放課後等デイサービスSTEP
 

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★今回取材させていただいた方★
橋本 郁子(はしもと いくこ)さま
 
株式会社ウェルクス 放課後等デイサービスSTEP小平の、管理者兼児童発達支援管理責任者。これまでは一般企業にてテレマーケティング、人材派遣、医療福祉専門のコンサルティング業務などを経験されたのち、社会福祉法人にて生活指導員を務める。その後児童発達支援管理責任者の研修を修了し、前職でも児童発達支援管理責任者として活躍されている。ホームヘルパー2級、行動援護従事者、サービス管理責任者・第三分野:地域生活(知的・精神)研修修了など、資格も多数保有し、現在は施設オープンに向けて尽力されている。

 

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