保育ノウハウ

雪遊びで子どもの心が育つ!?夢中で楽しめる10の遊び方アイデア

寒い冬にだけ楽しむことができる「雪遊び」。触り心地を楽しんだり、雪だるまを作ったり……一面真っ白になった世界に、子どもたちは大喜びすることでしょう。

じつは、この「雪遊び」には、子どもたちの心や体を大きく成長させてくれる要素が、たっぷり詰まっています。

今回は、雪遊びが子ども達に与える影響や、楽しい遊びのアイデア、保育士さんやパパ・ママのかかわり方のコツなど、雪遊びをより楽しむためのポイントをご紹介します!

子どもの心と体を育む!雪遊び体験の効果とは?

雪遊びの男の子
子どものころに、雪を見たときのことを覚えていますか?

冷たくて、手のひらに乗せればすぐに溶けてしまい、踏みしめれば心地よい音がする。握ればぎゅっと固まる。凍ったところではツルツルと滑ってしまう……。

そんな、新鮮で不思議な雪遊びの体験は、子どもの心と体によい影響を与えてくれます。

体の発達に役立つ雪遊び

雪が降り積もると、見慣れた保育園の庭でも、環境ががらりと変わります。そのような状況で遊ぶことは、子どもたちの体の発達に、次のような影響を与えます。

【雪遊びが体に与える影響】
・バランス感覚が身につく
・状況に応じた体の使い方が身につく
・通常使わない筋肉を使うことができる
・通常以上の運動量が必要になるため、心肺機能発達に役立つ

雪が積もった地面では、注意して歩かなければ、雪に足を取られてバランスを失ったり、滑って転んだりしてしまいます。

雪のなかで遊ぶことで、足や体の中心部(体幹)が鍛えられ、バランス感覚や、とっさに体制を立てなおす状況判断力・瞬発力などが身につくでしょう。

大きな雪玉を転がしたり、そりで雪の小山を滑り降りたり……普段できない遊びは、楽しいだけでなく体の発達によい影響を与えてくれるんだね!

 

雪遊びは心を育てることにもつながる

雪遊びは、子ども達の体だけでなく、心の成長にも大いに役立ちます。大人や友だちとかかわりながら遊べば、心に与えられる影響はより大きなものになるでしょう。

【雪遊びが心に与える影響】
・表現力が豊かになる
・遊びの計画やイメージを膨らませることができ、想像力がつく
・さまざまな刺激に触れ、感性が豊かになる
・多くの感情に触れられる
・言葉の習得や言語表現力の向上に役立つ

一面に広がる雪を見て「なにをして遊ぼうかな……」と考えたり、「〇〇を作ろう!」と決めて、イメージを膨らませたりすることで、子どもたちの想像力が豊かになります。

また、「どんぐりを目にしよう」「葉っぱで飾りつけてみよう」など、工夫を凝らすことで表現する力を養うことにもつながるでしょう。

友だちと協力し、ともにひとつのものを作りあげれば、協調性を身につけることもできます。

「雪が太陽にあたってキラキラしているね」「畑もおうちの屋根も真っ白で、いつもと違ってワクワクしちゃうね」など、情景や感情を言葉にして伝えてあげれば、子どもたちの言語表現の幅も広がるホィね!
雪は、日々成長していく子どもたちの遊びの材料にピッタリなんだね!

 
遊びのなかで得られる感動や喜び、達成感は、子どもたちの心を強く刺激し、より豊かなものにしてくれるでしょう。

「楽しい!」がいっぱい!雪遊びのアイデア10選

では、ここからは、雪を思いっきり楽しめる遊びのアイデアをご紹介していきましょう。保育園ではもちろん、親子や少人数の子ども同士でも楽しめます!

触って歩いて……まずは雪の感触を楽しもう

男の子と雪

まずは、雪を触ってみたり、まだ誰も踏み入っていない新雪のうえを歩いてみたり……自由に雪の感触を楽しんでみましょう。

水分の多い雪とそうでない雪、日向と日陰では、触り心地や足で踏んだ際の音に、きっと違いがあるはずです。発見できたことを友だち同士で共有しあって、実際に確かめてみるのもよいですね。

【やってみよう!】
・雪を素手で触ったり持ったりしてみよう
・雪をぎゅっとにぎってみよう
・雪の上を歩いてみよう
・日向と日陰の雪を比べてみよう
・ふかふかの雪の上に寝転がってみよう
・雪の降る音を聞いてみよう
◆保育のポイント◆
保育者は安全をしっかり確認したうえで、子どもたちが自由に探索行動ができるよう、見守ります。
「〇〇したらどうなるのかな~?」など、必要に応じてヒントとなるような声かけを行いながら、子どもたちの自主的な「気付き」につなげましょう。

動物の足跡を探してみよう

動物の足跡

まだあまり人が踏み入っていない場所があれば、雪の上をよく観察してみましょう。小鳥や猫などの足跡が見つかるかもしれません。じっくり観察していれば、足跡の主があらわれるかも……?

【やってみよう!】
・動物の足跡を探してみよう
・どんな動物の足跡か、想像してみよう
・自分の足跡とどこが違うか比べてみよう
◆保育のポイント◆
はじめから「鳥の足跡があるよ!」と伝えるのではなく、子どもたちの発見と、どんな動物がつけた足跡なのか想像する楽しみを大切にします。
「指が〇本あるね」「みんなより大きな動物かな?それとも小さな動物かな?」など、考えるきっかけを与えてあげるとよいでしょう。

つららを探してみよう

つらら
雪解け水が屋根などから滴り落ちるときに凍ってできる氷柱(つらら)。条件が整わなければ見ることができないので、子どもたちにとっては、新鮮な発見となるはずです。屋根だけでなく、園庭の遊具、木の枝先などにも見ることができますので、いろいろな場所を探してみましょう。

【やってみよう!】
・つららを探してみよう
・小さなつららを探して取ってこよう
・いろいろなつららの形を比べてみよう
・つららで雪の上にお絵かきしてみよう
◆保育のポイント◆
つららは先端が尖ったものもあるので、探索の際には落ちてきたつららでケガをしたり、折ったつららを振り回したりしないよう、十分に注意しましょう。

雪落としをやってみよう

枝に積もった雪
遊具や手すり、樹木などに降り積もった雪を「ドサッ」と落とすだけでも、雪の感触を目・耳・肌で楽しむことができます。比較的小さい子どもにもオススメです。保育者が抱っこしてあげて、高いところの雪を落としても楽しい遊びになるでしょう。

【やってみよう!】
・遊具などに積もった雪を直接触って地面に落としてみよう
・スコップなどの道具をつかって雪を落としてみよう
・木の枝を軽く引っ張って放すと……どうなるかな?
・落とした雪がどんな模様を作るか観察してみよう
◆保育のポイント◆
雪落としは、やっているとついつい夢中になってしまいがち。多くの子どもが体験できるように、うまく声掛けや誘導を行いましょう。
木の枝の雪を落とすときは、あまり枝を強く引っ張らないようあらかじめお約束をし、枝先でケガをしないよう、注意するようにしましょう。

手形や顔型で遊ぼう

手形
新雪のうえに手を押し付けて手形をつけます。雪の状態がよければ、顔を押し当てて顔型を作ってもおもしろいでしょう。手形を複数付けて動物などに見立てると、遊びの幅をより広げることができます。

【やってみよう!】
・雪に手形をつけてみよう
・お友だちやお兄さん・お姉さんの手形と比べてみよう
・顔型をつけてみよう
・手形で動物を作ってみよう
◆保育のポイント◆
「キャー!冷たい!」とはしゃぎながら手形や顔型をつける子どもたち。雪の感触をたっぷり楽しめるように見守りましょう。ときには保育者も手形をつけて、子どもたちに大きさを比べてもらってもよいですね。
植木などの上に積もった雪の場合には、強く手を押しつけると枝などでケガをしてしまう危険性があります。平らな地面に積もった雪で遊ぶよう、声かけをしましょう。

雪でいろいろ作ってみよう!

雪ウサギ
雪を使って「なにかを作る」遊びを楽しみましょう。定番の雪だるま雪うさぎなどでもよいですし、子どもたちの自由な発想で、それぞれに好きなものを作ってもらってもよいですね。

かまくらなど、大きなものを作るときには、子どもたちが互いに協力し合うなかで、一体感を味わったり、協調性を身につけたりすることもできるでしょう。

【やってみよう!】
・雪でなにかを作ってみよう
・お友だちとテーマを決めてひとつの作品を作り上げよう
・葉っぱや木の実で飾り付けをしてみよう
・どんな雪が作品を作りやすいか考えてみよう
◆保育のポイント◆
きれいな形に雪を丸められなかったり、水分を含んでぐちゃぐちゃした雪でうまく扱えなかったり……最初はうまくいかない子もいるかもしれません。そんな時も、保育者は「こうしたらいいよ」と答えを教えてしまうのではなく「この雪はべちゃべちゃしていてうまくまとまらないんだね~、どんな雪を使ったらもっと作りやすいと思う?」など、自分自身で考えるきっかけを与えてあげ、子どもたちが自ら創意工夫ができるようにしましょう。

雪の坂で滑り台・ソリ遊び

ソリ滑り
雪で坂道を作り、その上をじかに滑り降りたり、ソリに乗って滑り降りたり……。スピード感やスリルに、子どもたちは夢中になって遊ぶことでしょう。

【やってみよう!】
・雪で大きな坂を作ってみよう
・雪の滑り台を滑ってみよう
・ビニールシートをお尻の下に敷いたり、ソリに乗ったりして滑ってみよう
◆保育のポイント◆
坂を作る際に雪をしっかり固めておかないと、途中で崩れてしまいます。スコップなどでしっかりと固めておきましょう。また、枝や小石など、危険なものが混ざらないよう、保育者は注意深くチェックする必要があります。
大勢で滑り降りたり、前の子が滑り終わる前に滑りはじめたりしないよう、ルールをあらかじめ伝えておきましょう。

雪に色をつけてみよう

カラーボトル
食用色素を水に溶いて色水を作り、それをスポイトなどで雪に垂らして色をつけてみましょう。色をまぜながらグラデーションを作ったり、お絵かきをしてみたり、アイス屋さんごっこをしたり……さまざまな遊び方ができます。

【やってみよう!】
・色水を雪に垂らしてみよう
・他の色を上から垂らすと、色がどのように変化するかな?
・色水で雪にお絵かきしてみよう
・雪で作った作品に色をつけてみよう
・雪をアイスやかき氷に見立てて遊ぼう
◆保育のポイント◆
色水の場合には、遊びで衣服が汚れてしまうこともあるので、あらかじめ汚れてもよい衣服に着替えておくとよいでしょう。
絵の具などでも遊べますが、口に入れてしまう危険性があるため、食用色素を使うと安心です。

雪玉のキャッチボール・雪合戦

雪玉遊び
雪遊びの定番、雪合戦。大勢でワイワイ楽しく遊べる雪上スポーツです。チームに分かれて勝ち負けを争ってもよいですし、ただ雪を投げあったり、キャッチボールのように、投げた雪を取り合ったりしても楽しめます。

【やってみよう!】
・雪玉をたくさん作ってみよう
・どんな大きさの雪玉が投げやすいかな?
・雪玉をぶつけっこしよう
・雪玉でキャッチボールをしてみよう
・自分たちでルールを考えて雪合戦を楽しんでみよう
◆保育のポイント◆
年長クラスにもなれば、自分たちでルールを決めて遊ぶこともできるでしょう。異年齢保育の場合には、小さい子向けの特別ルールを設けても楽しく遊べます。
雪玉はあまり強く握ると固くなって危険です。そのほか、石を詰めたり、顔や頭をめがけて投げたりしないよう、事前にしっかり約束ごとを伝えておきましょう。

雪原の宝探しゲーム

宝探し
雪の中にカラーボールなど「宝」に見立てたものを埋めて隠し、みんなで探すゲームです。宝を埋める範囲はロープや色水などを使って囲い、わかるようにしておきましょう。いくつか「ハズレ」の宝を埋めておいても楽しいですね。

【やってみよう!】
・誰がいちばん早く宝をみつけられるか競争しよう
・チームに分かれて宝探しをしてみよう
・宝を見つけるまでの時間を計ってみよう
◆保育のポイント◆
早く宝を探し当てようと、雪に飛び込んだり、走ったりすることがあるため、事前に雪下に危険なものがある場所でないことを確認しておきましょう。また、埋める宝は尖った部分がなく、安全なものを選ぶようにします。
雪が降っているなかでは、視界が悪く、新たな雪が上に降り積もってしまうため、雪がやんでいる状態で遊ぶのがオススメです。

保育園での雪遊びで注意すべきこと


雪遊びは楽しく夢中になれるものである反面、思わぬ危険も潜んでいます。子どもたちが安全に雪遊びを楽しめるよう、保育士は必要な準備を行ったり、適切な声かけ・指導をする必要があるでしょう。

雪が降る前から準備と心構えを!

まず、雪が降った場合のことを想定し、おたよりなどで保護者にお願いしたいことなどを伝えておきましょう。

(例)
雪が降った場合には、園庭で雪遊びを行います。〇月〇日までに、以下のものを用意し、園に持ってきていただけますようお願いいたします。
・汚れてもよい衣服/上下各1着
・吸水性のよい下着/1着
・レインコートまたはポンチョ
・長靴

また、天気予報はまめにチェックし、雪が降りそうな場合には、必要な衣類がそろっているか、子どもの体調はどうかなど、事前に確認しておくとよいでしょう。

雪が降りそうな場合には、雪遊びをする園庭に、ガラス片や鋭利な石、動物の排泄物などがないかを確かめ、入っては困る場所はロープを張っておくなどの準備をしておきます。

落雪や凍結、つららには要注意!

凍結した場所での転倒や屋根からの落雪、風などによるつららの落下は、重大な事故につながりかねません。

雪が降った当日には、屋根の積雪量やつららの有無、凍結している箇所があるかどうかをチェックし、必要に応じて雪下ろしや、立ち入り禁止箇所へのロープ張りなどを行いましょう。

子どもの体調管理はしっかりと

熱や咳、鼻水など体調の悪いところはないか確認することはもちろん、雪遊びをする際には、しもやけや脱水症状、疲労や寒さによる体調悪化に十分注意しましょう。

雪を見ると、子どもたちは興奮し、長時間遊びに熱中してしまいがち。しかし、雪の中での遊びは、いつもの外遊びよりも体力を消耗します。

年齢や子どもの体調にあわせて、適度な休憩をはさむとともに、温水などを用意して、手や足を温められるようにしておく、定期的に水分補給を行うなど、子どもたちの体調管理に気を配りましょう。

ケガなく雪遊びを楽しむために……

遊びに夢中になると、ケガも発生しやすくなります。雪遊びの前に、遊ぶ人数をしっかりと確認し、ソリ遊びや雪合戦をする場所は、個別に確保しておきましょう。

職員の配置についても、保育士さん同士連携を取りながら、視野が届かない場所がないように注意しようね!

また、立ち入ってはいけない場所や、雪遊びのなかでやってはいけないことなど、守るべきルールはしっかり子ども達に伝えましょう。

(例)
・黄色のロープの外には行かないこと
・雪を口に入れないこと
・雪の中に潜ったり、お友だちに雪をかけて埋めたりしないこと
・雪玉を投げるときは固く握らないこと
・雪の中に石を入れて雪玉を作らないこと
・体調が悪いときには先生に言うこと
遊びに夢中になると、お約束を忘れてしまいがちだホイ!保育士さんから定期的に声をかけてあげるよいホィね!

 

雪遊びを冬のステキな思い出に……

かまくら
あまり雪が降らない地域においては、雪遊びは年に1回体験できるかできないかの貴重なものです。だからこそ、子どもたちにとってかけがえのない思い出になるよう、サポートしてあげたいもの。

子どもの頃に経験したことは、その後の性格形成やものの見方、しいてはその後の生き方にも、大きな影響を与えます。

雪遊びを通じて、さまざまな発見をし、心を動かし、自ら考え、創意工夫をし、達成感や喜びを味わう……そんな有意義な時間が作れるとよいですね。

編集者より

雪の結晶
子どもの頃、朝起きて窓の外が一面の銀世界だったときの感動は、今でもよく覚えています。

「友だちと大きなかまくらを作って、何時間もそこにいたなぁ」
「雪のなかではいつまでも遊びが尽きなかったな……」
「作った雪だるまが解けてしまうのが、すごく寂しかったっけ……」

すっかり大人になった今では、雪で遊ぶこともなくなりましたが、雪遊びのなかで感じたことや、体験したことは、今も素晴らしい思い出となって自分を支えてくれています。

子どもたちが大人になったとき、雪を見てどんなことを思い出すのでしょうか。
どうかその思い出が、キラキラと輝き、心をあたためてくれるようなものでありますように……。

参考文献・サイト

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