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保育の「量」と「質」をともに向上させるため、内閣府が平成27年4月よりスタートさせたのが「子ども・子育て支援新制度」です。
市町村を中心に、企業が状況に応じた多様な支援を用意したり、職員の処遇改善を行って質の高い人材の確保を目指したり……子育てを社会全体で支えることを目指しています。
平成28年からは仕事と子育ての両立を支援するとして、企業主導型保育事業も新設されました。

そして、この新制度によってできたのが、「家庭的保育」「小規模保育」「事業所内保育」「居宅訪問型保育」からなる地域型保育事業です。
今回はこのうちの「居宅訪問型保育」について詳しく解説します。

そもそも、地域型保育事業ってなに?


「地域型保育事業」は、待機児童の9割を占めるといわれている0~2歳の子どもを、保育所などの施設よりも少人数単位で預かる、市町村の認可事業です。
さまざまな施設やサービスの中から、利用者がニーズにあわせて選択できる仕組みとなっています。

  • 家庭的保育:利用定員6人以上19人以下
  • 小規模保育:利用定員5人以下
  • 事業所内保育:従業員の子どもや、その地域で保育を必要とする子ども
  • 居宅訪問型保育

こうした小規模の保育サービスを増やすことで、都市部では待機児童を解消し、人口減少地域では子育て支援機能を維持・確保することを目指しています。

居宅訪問型保育とは?


居宅訪問型保育とは、地域型保育事業のうちのひとつである小規模人数での保育サービスです。
ベビーシッターや保育士が子どもの自宅を訪問し、1対1のマンツーマンを基本として保育を行います。

対象となる子どもは?

居宅訪問型保育の場合、すべての家庭が無条件に利用できるわけではありません。
居宅訪問保育を利用するためには、保育を受ける子どもが以下の条件のいずれかを満たしていると市町村長が認める必要があります。

原則:3歳未満の保育を必要とする乳幼児で、
①集団保育が著しく困難だと認められる障害・疾病がある
②保育所の閉鎖などにより、保育所などの保育を利用できなくなった
③入所勧奨などを行っても保育の利用が困難で、市町村による入所措置の対象となる
④ひとり親家庭で、保護者が夜間勤務に従事しているなど、家庭環境を鑑みて必要な場合
⑤離島などの地域に住んでいて、居宅訪問保育以外の地域型保育事業の確保が難しい

認可基準は?


居宅訪問型保育の認可基準は、以下のようになっています。

居宅訪問保育の認可基準
職員配置 子どもひとりにつき保育者ひとり
職員の資格 保育士または保育士と同等以上の知識や経験があると市町村長が認める者
面積基準 特になし
連携施設 障害児を保育する場合、専門的な支援を受けられる施設の確保が必要

保育士さんが居宅訪問保育事業に従事する場合、保育士以外に何か特別な資格が必要……ということはありません。
必要な研修を修了している保育士さんなら、誰でも居宅訪問保育事業で働くことができます。

どのような保育をするの?


家庭に訪問して行うといっても、基本的なことは保育所などと変わりません。
1日8時間を原則として、保育所保育指針に準じた保育を提供します。

以下は、居宅訪問保育での1日の流れのモデルケースです。
子どもや家庭の環境次第で多少変わることもありますが、おおまかには保育所と同じような内容を行うことになるでしょう。

参考:豊島区「居宅訪問型保育事業(待機児童対策)の利用について」

受け渡し
挨拶や引き継ぎ・健康観察など。あとは子どもに自由遊びをしてもらいます。
午前中
おやつを食べさせたり、室内・屋外遊びを行います。
屋外遊びは公園や認可保育所、図書館や地域の広場などに出かけて行います。
お昼
0歳児であればミルクや離乳食などのお昼ご飯を食べさせます。
1、2歳児の場合は通常の昼食をとり、排泄や歯磨きのサポートをします。
午後
お昼寝の時間を設けたり、室内・屋外遊びを行ったりします。
利用者(保護者)が帰宅したら順次受け渡しです。

延長保育の場合は、夕食を食べさせたり、激しい遊びはせずにゆったりと過ごしたりするようです。
ここで示したモデルケースはあくまで一例です。保育対象となる子どもや家庭の環境によっては、多少変わってくるでしょう。

居宅訪問型保育事業で働くメリット

居宅訪問型保育で働くことによって、通常の保育所では培えないような知識・経験を身につけることができます。

居宅訪問型保育の対象となる子どもの中には、たんの吸引や経管栄養、胃ろうなどの医療的ケアが必要となる中重度の障害児もいます。
こうした子どもたちの保育を担当するためには、公益社団法人全国保育サービス協会が実施している居宅訪問型保育の研修を修了することが必要です。
そのため、居宅訪問型保育の基礎知識や職業倫理、保護者の対応法が学べるのはもちろん、乳幼児医療や児童養護の知識も身につけることができるでしょう。

よりスキルアップを目指したい、高度な対応力を持つ保育士になりたい……といった方に向いている分野だといえます。

利用までの流れ


まず、居宅訪問型保育を含む地域型保育を利用するためには、自身の住んでいる市町村長から認定を受けなければなりません。

地域型保育の場合は、以下の条件に当てはまる子どもが「3号認定」として認定され、さまざまな施設を利用できるようになります。

  • 子どもの年齢が0~2歳
  • 保育を必要とする事由に該当する
ほいくん

「保育を必要とする事由」は、主に保護者の就労や妊娠、疾病などが挙げられるホイ。求職活動をしていたり就学している場合も当てはまるホイね。

イクミ

他にも介護をしているとか、虐待・DVの恐れがあるとか……さまざまなケースが当てはまるよ。

その上で、居宅訪問型保育を利用するためには、以下のような手順を踏む必要があります。

参考:豊島区「居宅訪問型保育事業(待機児童対策)の利用について」

「居宅訪問型保育」利用の流れ
1 送付されてきた「居宅訪問型保育事業確認書」にチェックをして、期日までに提出する
2 定員より希望者が多い場合は、通常の入園と同様に選考が行われる
3 市町村から運営事業者に利用開始の連絡が行く
4 運営事業者から利用者へ、内定と面接日の相談の連絡が来る
5 指定日に面接を行う
(子どもの様子や保育場所・時間、保育内容や緊急時の対応などを話し合う)
6 利用前に健康診断を受ける
7 利用に関する契約を取り交わし、システム登録等の手続きをする
8 市町村から「事業所入所承諾書」が送付される

注意点

居宅訪問型保育を利用する上で、注意しなければならない点があります。

利用料金

基本保育料はおおむね通常の保育所と変わりませんが、この中から給食費は差し引かれていません。
また、保育者が訪問する形式の保育サービスであるため、市町村によっては往復の交通費(一律で金額設定されているケースが主)もプラスして支払う必要があります。

保育時間

保育者を派遣できる日時は、利用者や同居の方が在宅していない日時に限られています。
また、利用者が帰宅された時点で保育は終了です。

昼食・おやつ

昼食やおやつ(延長保育の場合は夕食も)は利用者が準備します。
派遣される保育者ができるのは、料理の盛り付けや温めることのみ。調理は不可となっています。

備品

保育時間中に使用するおもちゃやバギー、緊急時の救急箱は利用者が準備します。
また、これらの備品が経年劣化によって破損してしまった場合は保障されません。

兄弟・姉妹

保育時間中に兄弟・姉妹が帰宅した場合、上の子ども(小中学生)を一緒に保育することはできません。

利用終了時

その市町村から転居した場合や、保育施設への転園が決まった場合は居宅訪問型保育の利用が終了となります。

なお、0~2歳児を利用対象としている地域型保育では、卒園後に通える認定こども園や保育所などの連携施設が設定されています。
そのため、子供が3歳になって地域型保育の利用が終了しても、連携施設に優先的な利用枠を設けるなどして、卒園後も引き続き保育サービスを受け入れられるようになっています。
万が一通い先が見つからなかった場合には、特例で地域型保育を継続利用できるケースもあるようです。

編集者より


保育サービスに求められるニーズはどんどん多様化してきています。その分だけ新しい保育サービスが展開されて、保育士さんのキャリアの選択肢も広くなってきていますよね。
自分にとってどんな働き方が最適なのか……一度しっかり考えてみた上で、居宅訪問型保育の保育者として働くプランも考えてみてはいかがでしょうか?
認可保育園で集団保育を担当しているのとはまた違った、新しい発見や成長ができるかもしれませんよ!

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