取材・インタビュー

行列のできる保育園「ロハスキッズ・センター クローバー」園長が語る、「先生と呼ばれる存在でいることの覚悟」

「ロハスキッズ・センター クローバー」。
東京都世田谷区・二子玉川の閑静な住宅街に構えられた認可外保育園です。
園の目の前にある多摩川の土手を園庭代わりに、子ども達が毎日外遊びを楽しみながら過ごしています。

そんな子どもたちと保育士さんを優しい眼差しで見守っているのが、「ロハスキッズ・センター クローバー」の園長である中田綾(なかた あや)先生です。
「ロハスキッズセンタークローバー」の運営母体である株式会社Kleurの代表取締役でもあります。

今回は、中田園長先生に、「ロハスキッズセンタークローバー」の魅力や保育への思いについてインタビューしてきました!

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    *シリーズ「保育ノゲンバ」は、保育施設や保育士・園長先生などにフォーカスし、保育の現場(ゲンバ)をお伝えするリポート取材連載です。

「嘘のない」保育を目指して

――中田園長が、「ロハスキッズ・センター クローバー」の園長先生になるまでの経緯を教えてください。

中田園長:20歳で保育士になってから、28歳まで現場で働いていました。前は名古屋の歴史ある保育園で働いていて、保育の基礎的なことを勉強したり色々な改革などにも挑戦させてもらったりしていました。そして29歳の時に上京して、園づくりに携わる仕事に就きました。

――20代の園長先生はあまり例を見ないですね……! 周囲の反応などはいかがでしたか?

中田園長:「そんなに若い園長先生で大丈夫かしら?」って不安に思われることはありましたね。若いことがマイナスになる部分もありました。ですが、この年代だからこそできる発想だったり、企画を実行していくエネルギーだったり、そんな若いからこそできる部分を武器にしていました。
あとは、できないことがあっても「これからできるようになります!」とガッツを表明していました。そういうものを積み重ねたことで、皆さんからの信頼を少しずつ得られたかなと思います。

私達は、「先生」を背負っている

――保育をする上で、大切にしていることを教えてください。

中田園長:「子ども達の人生に携わっている」という自負を持つことです。社会の中で「先生」と呼ばれる、誰かの人生に影響を与えられる人は多くありません。その中で、保育士は中学校や高校の先生に並ぶ存在だと思うんです。ですから、「子ども達の記憶に残り続ける人であるためにどうするか?」ということは常に考えています。
保育士資格を取って、最初の職場の内定が出たとき、母から「あなたは先生と呼ばれる覚悟があるの?」と言われたことが今でも印象に残っているんです。当時はもちろん頑張るよ、と返事をしましたが、今思う覚悟と当時の覚悟は全然違うものになっていると思います。
保育士はみな、「先生」という責任重大な肩書きを背負っている。自分が子どもの人生を変える人になるかもしれない、という緊張感は常に意識しています。

――「先生」を背負う。重い言葉ですね。

中田園長:私達が直接的に相手にしているのは子ども達です。最初からこちらを信頼して命を預けてくれている相手に対して、「子どもだから」と甘えるようなことはしたくないんです。
ですから、「子どもの心がきちんとこちらに向いているか?」「子どもの成長の時間軸を邪魔しないように向き合えているか?」「自己満足になっていないか?」という自問自答を常に繰り返しています。
もがきながら保育をまっとうすること。それがお金をいただいてサービスを提供する、プロとしての意識だと考えています。

子どもの頃の環境が、数十年先の未来に活きる

多摩美術大学とのコラボ。広場演劇に参加

――「ロハスキッズ・センター クローバー」のプログラムについてもお聞きします。日常的な習慣となっているオリジナルプログラムは、「時間の気付きを得る」ことを目的とされているそうですが、なぜそこに着目されたのでしょうか。

中田園長:1日の時間の移り変わりや、季節の変化に気付くこと。そこに「表現」が生まれるからです。
春の訪れを感じたり夕焼けの色を見たりしてどんな感情を抱くのか、そのときどのような言葉を発するのか。それがあるかないかで人間の深みは変わります。ですがそういう「表現」は、乳幼児期に体験していなければ大人になっても出てこないんです。6歳までの時期でどのような経験をしたかが、その子の人生の基盤になると考えています。

――「ロハスキッズ・センター クローバー」では身近にアートを感じられる機会に恵まれているなど、「表現」を大切にされているように感じます。なぜそのような保育方針を確立されたのでしょうか。

中田園長:私の保育の軸には、古布作家の母の影響が強く出ていると思います。
母は青という色を表現するのでも、「〇〇みたいな青だね」と子どもに想像させるような言い方をする人だったんです。〇〇に当てはまるものをたくさん知っているかどうか、言われたときにピンと来るかどうか。そういう表現の引き出しを増やすことが、深みのある人間性を育む上でとても大切だと思いました。ですから、「ロハスキッズ・センター クローバー」では時間の移り変わりに気付くことを大切にするようにしています。

アーティスト・井上純によるライブペイント

――そうした日々のプログラムから、何か子どもによい影響が出ていると感じられることはありますか。

中田園長:ありますね! 例えば髪型を変えた園児や新しい洋服を着てきた園児がいたら、すぐに周りの子ども達が「新しい髪型、可愛いね」とか「その色○○ちゃんに似合うね」とか、個人を尊重した気付きを得て優しい言葉をかけるんです。保育士の先生が率先してそういうやり取りをしているのもあって、子ども達がよく学んでいると思います。

――子どもの頃の経験がその後の人生の基盤になる、という考えは、中田園長ご自身の体験から来ているのですね。

中田園長:子どもの頃から母の仕事の関係で、ギャラリーやアトリエを見たり、作家さんと出会ったり、イベント時の搬入・搬出など大人の時間を過ごしたりすることが多かったんです。そういう小さい頃の経験や体験、環境、出会った人達が、今の自分の原風景になっていると思います。自分自身の実体験としてわかるからこそ、今、子ども達には豊かな乳幼児期を過ごしてほしいと思っていますね。

理想は「保育の話で熱くなれる職場」

花王「よごそうデー」イベントに、キッズアーティストとしてアーティスト・井上純と共に参加

――中田園長の思う、一緒に働きたい保育士さんとはどのような人ですか。

中田園長:「保育園だけをやっている」というよりも「ひとつのチームが保育もやっている」という在り方が理想なので、職員にもいろんな業界と関わりを持っていてほしいなと思いますね。視野の広い人がいいなと思います。
例え手段がバラバラであっても、同じ方向を向いている仲間であってほしいです。一緒に働くチームメイトとして尊重しながら、保育士同士が仕事の話で指摘しあったり、議論を白熱させるようなアクションが起こることを求めています。
あとは、現在「ロハスキッズ・センター クローバー」にいる保育士は10年以上のキャリアがある方が多いんです。立ち上げからいるメンバーもいます。ですから、次の世代を育てるためにも、20代の若い先生にぜひ来てほしいですね。

――ありがとうございました!

編集者より

提供されるサービスに対して、子ども達は直接的に要望を言えるわけではありません。そうした相手に対しておごることなく、常にもがきながら一番いい保育を模索していくべきだ、と仰られた中田園長のお言葉が印象的でした。
保育士としてのプロ意識とは何なのかを改めて考えさせられます。

次回は、「ロハスキッズ・センター クローバー」で働く保育士さんから、働く側の目線で見た園の魅力をお聞きします!
◆ロハスキッズ・センター クローバーについてはこちら

※この取材記事の内容は、2018年10月に行った取材に基づき作成しています。

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