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[記事公開日]

2018年7月11日(水)に、川崎市生涯学習プラザにて、日本保育士研修センターが主催する、イベントが主催されました。
イベントの前半は、保育士として活躍し30冊以上の保育に関する著書もある今井和子先生が、『子どものことばと心の育ち』をテーマに語るトークセミナー。
さらに、後半は日本保育士研修センターの河合清美先生とトレーナーの太田ちえ先生らによる「ことば遊び実践体験」が行われました。

現役の保育士さんが多くを占めた今回のイベント。20年以上、東京と川崎の公立保育園で子どもたちの「ことば」を聞き続けた今井和子先生のトークと、その後の実践体験では、参加者がいくつかの言葉あそびをトレーナーから学び、実践することで明日からすぐに使えるという保育士にとっては嬉しい内容。

  • 日本保育士研修センターとは?
    「NPO法人 こども発達実践協議会」が運営する保育士向け研修・セミナーの企画運営団体。「保育文化の伝承と創造」をコンセプトに、保育関係者のためのさまざまな講座を開設する。園長・リーダー向けの「グリッドマネジメント講座」や生まれてから、直立二足歩行確立までの運動発達を体感的に学ぶ「33ステップ運動」など、保育士のためのさまざまな研修を企画・運営している。

日本保育士研修センターの詳しい活動については、公式HPをご覧下さい。

前半は今井和子先生のトークセミナー

熱くも笑みがこぼれるエピソードを熱心に語る今井先生

今井先生がこれまで注目してきた子どもたちの「ことば」。その出会いから、記録し続けるなかで見つけた発見など、さまざまなことを語ってくれました。
保育関係者必見のその内容をここで一部をご紹介。

記録から子どもの目に見えない動きを見つめる

参加者の多くは現役の保育士さん

今井先生が子どもたちの言葉を記録し始めたのは、恩師から「なんでも記録を取るのが良い」と言われたのがきっかけ。そこから、自分が面白いと思ったことばを記録し始めたそう。
20数年間、ポケットに手帳を入れて記録をつけ続けた今井先生。そこには保育者としてどのような学びがあったのだろうか。

今井和子先生(以下、今井):ことばだけでなく、何かを書いて記録に残すというのは、「大事なこと」、つまり「感動」を忘れないためですが、それ以外にも保育をしていて「どうしてこの子は怒っているのか」「どうしてこの子はこんなことをするのか」という背景、子どもの「目に見えない心の動き」を見つけるきっかけになります。

子どもとの愛着が成立するもっとも大事なことは、たとえば子どもが泣いているときに『どうして泣いているのか』を考えて適切な世話をしてあげること」と語る今井先生のことばは、保育者にとっても保護者にとっても大切にしなければいけない、含蓄のあることばでした。

乳幼児期のマザリーズが重要

さらに、今井先生は、ことばを話せない乳幼児にもしっかりと「マザリーズ(motherese)=育児語」で語りかけることの重要性も語ってくれました。
とくに、1歳ぐらいまでの乳児では、声のトーンを高くしてゆっくり・はっきり・繰り返し話しかけるマザリーズが子どもとの愛着形成の多くを占めている、とのこと。乳児でもしっかりとことばで語りかけることでコミュニケーションがはじまり、子どものことばの獲得の芽生えにもなるそうです。

今井:喃語(なんご)で、「うー、あー」と呼びかけるようになったら、みなさんも「うー、あー」と子どもからの呼びかけに応えてあげてくださいね。

「育児法の伝承が少なくなっている今、乳児を担当している保育士さんにも意識してほしい」というのが今井先生の願い。

子どもの行動は「ことばに代わることば」

もうひとつ、今井先生が紹介したのは、首がすわり始めた乳幼児で大切なのは「共同注視(ジョイントアテンション)」という概念。
これは、ことばにならない乳幼児のねがいや要求をどれだけ受け止め、言語化していくか、ということのひとつです。

今井:子どもが犬を注視しているときには「犬を見ているのね~」と言ったり、蝶を見ていたら「ちょうちょだね~」とゆっくり語りかける。まだ、ことばにならない子どもにとっては、大好きな大人に自分の興味をくみ取ってくれたもらえたことは喜びにつながります。
それが感動や体験を言葉にして伝えたいという思いにつながり、思考と言葉が結び付いていくのです。

「乳幼児だからこどばを理解していないので、話しかけなくてもいい」。ついそう考えがちになってしまいますが、この乳幼児期の語りかけの重要性を何度も今井先生は語ってくれました。

後半戦は、ことば遊びの実践体験!

ここからは、日本保育士研修センターの河合先生とトレーナーたちによる、参加者との実践体験。
今回は、「ちょうちょ」「きゃあろのめだま」「よいさっさ」「ここんこやまの」という、4つのことば遊びをグループごとにわかれて、トレーナーと実践しながらそれぞれの歌と動きを覚えていく。

「よいさっさ」はコミカルな動きの人形で子どももとりこ!

よいさっさ」は、お盆に歌う盆唄(ぼんうた)のひとつ。
「よいさっさ よいさっさ これから八丁十八丁~」とテンポの良い歌とともに、人形をコミカルに動かす。子どもたちも「自分もやってみたい」と思わせるように、動きなどを工夫するポイントを日本保育士研修センターのトレーナーが実践指導。
「これは子どもも喜ぶ!」「面白い!」など参加者からも好評でした!

よいさっさ人形はとてもシンプル。子どもたちと制作からはじめるのもよさそう!
参加者のお子さんもよいさっさ人形の動きのとりこに

お手玉を使って「きゃあろのめだま」


わらべうたである「きゃあろのめだま」。「きゃあろのめだまに きゅうすえて それでもとべるか とんでみな~」と歌いながら、お手玉を隣の人に渡したり、自分の頭にのせたりして遊びます。
最後の「おっぺけぺっぽー ぺっぽっぽー」は、幼児でも発音しやすく子どもも思わずマネしたくなることばです。手の動きや隣の人とのコミュニケーション、さまざまな面で子どもの発育に貢献してくれそうです!

しっとりとした雰囲気の「ちょうちょ」


スカーフを使って歌う「ちょうちょ」は、ゆっくりとしたテンポのことばあそび。スカーフをちょうちょの羽ばたきに見立てて動かしながら、「おまえのとーさんがおんぶする おまえのかーさんがだっこする」と、おんぶとだっこの動きを交えながら歌う。
一語一語、しっかりと発音とシンプルな動きで子どもたちもすぐに一緒に遊べそう!

ストーリーのある「こんこんこやまの」

こんこんこやまのこうさぎは~」で始まる、わらべうた。
「なぜに おみみが なごござる?」などの問いかけに対して、「ながーいきのはを たべたゆえ」という答えが繰り返される少し長めの歌は、しっかりと意味を理解しながら動作に落としていくので、実践では歌って理解することを重視。
ストーリー性のある歌なので、年長さんなどにおすすめかもしれません。

また、トレーナーとの実践のあとには、各グループの発表も行われました。
さすが保育士さんたち。短い時間の中でも教わったことば遊びをほとんど自分のものにしていました!
日本保育士研修センターの河合先生が「ぜひ覚えて帰って明日から子どもたちと遊んでください!」と言っていた通り、みなさん明日からすぐにでも実践できそうな様子でした。

理論と実践ふたつとも学べる貴重なセミナー

参加者はみな熱心にメモやノートを取っていたのが印象的

今回のイベント、前半の今井先生の理論的で含蓄のあるトークは、保育士さんや保護者さんにとって、自身の保育を考え直すきっかけになったかもしれません。また、後半のことば遊びの体験は、明日の保育にも使える実践的なもの。
理論と実践、どちらも行った今回のイベントは、参加者に実りあるものだったのではないでしょうか。

また、今回参加された多くは現役の保育士さん。業務のあとの夜の開催にもかかわらず、今井先生のトークを熱心に聴き、実践体験も熱が入って一生懸命に覚えて帰ろうというみなさんの姿がとても印象的でした!

「保育のお仕事レポート」では、保育士さんのためのイベントやセミナーをこれからも積極的にレポートしていきますので、お楽しみに!
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