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教えて! 石渡先生 「足のむくみ」のほぐし方

子どもを何回も抱っこしたり、小さな椅子にずっと座っていたり、外遊びで園児たちといっしょに走り回ることになったりと……日々の業務で身体を酷使している保育士さん。
気付いた時には「肩こりがひどい!」「腰が痛い!」「足のむくみが悪化している!」なんて身体が悲鳴を上げている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

シリーズ:保育士さんのための保健室~フィジカル編~では、リハビリ分野のプロフェッショナルにしてスポーツトレーナーとしても活躍されている理学療法士・石渡雄次(いしわた ゆうじ)先生に、保育士さんが簡単にできるセルフケアについて聞いていきます!

第4回は、多くの女性が悩んでいる『脚のむくみ』についてお聞きしました!

女性の敵!「むくみ」はどうして起きちゃうの?

むくみのせいで、何だか脚が太くなったように見えます……。先生、どうしてむくみは起きるのでしょうか。
むくみはリンパ液や血液といった人間の体内にある水分の流れが阻害され、一か所に溜まってしまうことで生じる現象ですね。特に脚は立ち仕事にしてもデスクワークにしても、ずっと位置が下の方にあるので、水分が溜まりやすいんです。
体液の巡りが悪くなっている……ということですか? どうしてそんなことが起きるのでしょうか。
日常的なむくみは主に血流の悪化によるものですが、その原因は以下のものが考えられますね。
  1. 筋肉の衰え
  2. 運動不足や加齢、病気などによる心機能の低下
  3. 塩分が多いなど、乱れた食生活
  4. 立ち仕事やデスクワークなどの日々の習慣

血を循環させる力が落ちていたり、血液そのものがドロドロになってしまったりすると、血流は滞りやすくなります。
また、特に保育士さんは日々のお仕事でずっとしゃがんでいたり正座していたりするため、それによって脚が圧迫されて血液の循環が悪くなります。

血流の悪さを放っておくと、むくみだけじゃなく……

巷ではよく、リンパマッサージの書籍などを見かけますが……。
一般向けに販売されているのは、リンパと言いつつ、血流も含めた全体的なアプローチの方法が書いてあるものだと思います。全体的に血液やリンパの循環を良くしてあげることが大事なんですね
なるほど……! ちなみに、血流の悪さはどのような点から判断できますか?
血流の悪い人の特徴というと……冷え性とか顔の血色が悪いとか、ぼんやりしているといった点が挙げられるでしょうか。
ふむふむ……。
血流の悪化がよりエスカレートすると「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」という血の詰まりが起きて(※)、足の部分だけ血管がボコボコ浮き上がってくることもあります。気をつけたいですね。
※下肢静脈瘤とは?

足から心臓へ血液を戻す静脈には、血が逆流しないように弁がついています。しかし、それが長時間の立ち仕事やデスクワークといった日々の血流の悪さにより疲弊し、うまく機能しなくなると、血液が逆流したり詰まったりしてしまいます。そのときにできるのが下肢静脈瘤です。

静脈が透けて見える・血管が浮き出るといった症状が特徴的で、むくみや脚のだるさを引き起こします。悪化すると皮膚潰瘍が生じることも……。

怖い! そうなる前に、血流とむくみ改善の方法を教えてください!

さまざまな角度から、むくみを改善する

むくみを和らげるためには、血の流れをよくすることが大切です。そのためには、先ほど挙げた4つの要因に対し、それぞれアプローチしていく必要があります。

①運動不足の解消

重要なのはふくらはぎの筋肉を動かして、溜まった血液を心臓に戻すこと。
足首を上下に動かして、つま先を上げ下げするだけでも効果があります。

一般的な人の足首の可動域は、上に反るのが20度、下が45~60度。むくんでいるとこの可動域が狭まるので、トレーニングしながらむくみのチェックもできます
かかとを上げてつま先立ちになるふくらはぎの筋力トレーニングもむくみ解消の効果がありますが、ふくらはぎの筋肉が鍛えられて脚が太くなってしまうので、むくみを解消して脚を細くしたいという女性にはやや不向きです。

②心機能の向上

血液の循環をよくするためには、血液を循環させるポンプの役割を果たしている心臓の機能を高めることも大切です。
エアロビクスやウォーキングなどの有酸素運動で鍛えましょう。運動不足の解消にもつながりますよ!

③マッサージ・ストレッチ

筋肉には血液を心臓に戻す「筋ポンプ作用」と呼ばれる作用があり、特に脚の筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれています。
しかし、むくみによって緊張してしまった筋肉は筋ポンプ作用も弱まっているため、ますますむくみを悪化させてしまうのです。
「むくむ→筋ポンプ作用が弱まる→もっとむくむ→……」の悪循環を断ち切るためにも、脚の筋肉のケアも欠かせません。

まずは、簡単なアキレス腱を伸ばすストレッチの方法を紹介しましょう。

足を開いて壁に手をつきふくらはぎの筋肉を伸ばして、20秒ほど静止します。このとき、手で壁を軽く押すようにします。

次に脚の筋肉を全体的に指で押して、緊張した筋肉をほぐすマッサージ法もおすすめです。
マッサージの際は強く押すと筋組織を傷つけてしまうので、そっと触ることを心がけましょう。特に内もも・すね・ふくらはぎといった大きな血管が通っている場所を押しほぐすと、血流改善に効果的です。

内もも


ひざから鼠(そ)径部に向かって、太ももが温かくなるまで数回優しく揉みほぐします。指が少し沈むくらいの強さを心がけましょう。

すね・ふくらはぎ


すね・ふくらはぎの両側から足首を掴むように持ち、親指に少し力を入れてひざまで揉みほぐします。こちらも指が沈むくらいの強さで、優しくマッサージしましょう。
両手で握りこぶしを作って、硬い関節部分で刺激してもいいですね。

④生活習慣の改善

血流の悪化やむくみは、脚が日常的に心臓より低い位置に下げられているために起こること。もっとも簡単な血流改善の方法としては、「寝転んで脚を心臓よりも高い位置に上げる」といったことが挙げられます。これだけでも、脚に溜まった水分を心臓の方へ流すことができます。

壁に脚を預けて、3~5分心臓より高く上げます。

また、寝ている時の姿勢も重要です。
横になっているときは心臓と脚が同じ高さにあるので、血液の流れも戻りやすいです。そこで、寝るときに圧迫系の靴下を履いて、血液を脚から心臓に向けて押し上げてあげるのもひとつの手ですね。

むくみ解消セルフケアを実際にやってみた!

子どもの目線に合わせてずっと正座していたり、長い時間立っていたり……保育士はどうしても脚がむくみがち。でも休憩中にマッサージやストレッチをしたり、寝るときに着圧すソックスを履いたりするうちに、少しずつ楽になってきました! これからはむくみ解消のため日頃のケアを徹底します!

※記事中で紹介しているセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果・効能を保証するものではありません。

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