保育ノウハウ

愛情ホルモンが成長を促す!スキンシップ上手な保育士さんになろう

子どもたちに安らぎと信頼感を与え絆を深めるスキンシップ。特に乳幼児期のスキンシップは健全な成長に欠かせないもの。日々の保育にも上手に取り入れていきたいですよね!本日はスキンシップが子どもたちに与える影響についておさらいするとともに、明日の保育から活かせる効果的なふれあい方をご紹介します!

こんなにすごい!スキンシップの効果とは?

保育士さんと仲良しの女児
「愛情ホルモン」という言葉をご存じでしょうか?愛情ホルモンとはスキンシップを取ると脳の下垂体という部分から分泌されるオキシトシンという物質のことです。オキシトシンは出産の際に分娩を促したり、母乳を出すホルモンですが、それだけではなく、近年の研究では人と人との触れ合いによって盛んに分泌され、信頼感や安心感を生むこともわかってきました。

スキンシップの子どもへの効果

親密な大人とのスキンシップを多く取ることで、
 ◆愛情が深まる
 ◆安心感や信頼感を生み出す
 ◆自立を促す
 ◆社会性が高まる
 ◆IQが高くなる
 ◆ストレス耐性が上がる
…などの効果があると言われています。低年齢なほどオキシトシンの効果は強く表れる傾向にあるため、月齢が低いほどスキンシップを多く取ってあげたいものですね。

スキンシップの保育士さんへの効果

子どもと触れ合った瞬間、心がほっとした経験はありませんか?それにはスキンシップによって分泌される2つの物質が役立っています。ひとつは上記のオキシトシン。もうひとつは「βエンドルフィン」という物質です。βエンドルフィンには人に安心感をもたらし、不安やストレスをおさえる働きがあるとされています。保育士さんにとってもスキンシップは実は重要な役割を担っているのです。

【参考】スキンシップを取らないと…?
第2次世界大戦後のスイスで、スキンシップの効果を検証するような実験が行われました。心理学者のルネ・スピッツは戦争で親を失った乳児55人を施設に入れ、一切のスキンシップを行わない状況で人工乳保育を行いました。すると27人が2年以内に亡くなってしまい、残った子どもも17人が成人前に死亡、生き延びた子も知的障がいや情調障がいが見られたということです。恐ろしい結果ですが、乳幼児にとっていかにふれあいが大切かを示す実験と言えるでしょう。

 

お悩み解決!スキンシップに関するQ&A!


ここではスキンシップに関するちょっと気になる疑問点について、Q&A方式でご紹介していきます!

◆ いつまでも甘えさせると自立が遅れるのでは…?

特に保護者の方などで「ベタベタしていると親離れできなくなるのではないか」という心配をされる方も多いかもしれませんが、未就学児であればスキンシップを多く取って子どもの心を満たしてあげることが、逆に自立を促すとも言われています。

◆ 男女で子どもたちへの接し方は違うの?

オキシトシンは男女で分泌のされ方が異なります。女の子の方がオキシトシンの分泌がされやすく、短時間のふれあいで満足感を得られますが、男の子の場合には男性ホルモンがオキシトシンの分泌を抑制するため、比較的スキンシップの時間が長くなったり、より多くのスキンシップが求められる傾向にあります。

◆ 効果的なスキンシップの時間って?

オキシトシンは5~10分程度の短時間のスキンシップでも分泌されます。また一度スキンシップを取ると、その後50分程度は触れていなくともオキシトシンの高濃度状態をキープできます。1時間に1回程度の短時間のふれあいを行うのが効果的と言えるでしょう。

◆ スキンシップが満たされていることを判断する目安は?

全体的に落ち着きがあり、過度な人見知りをしない状況であれば十分にスキンシップが取れているという目安になりますが、かんしゃくやイライラ、爪かみ、過度の甘えが見られるときはふれあい不足の可能性も考えましょう。またくすぐった際に笑うことも一つの指標。信頼した人でないとくすぐったがらないため、スキンシップが足りていることの判断の目安になります。

シーン別スキンシップを日常に取り入れる方法

頬杖をつく保育士と女の子
日常の保育でおなじみの場面でも、スキンシップを有効に活かすことが可能です。ここではシーン別にその活かし方をご紹介します。

【褒めるとき】
褒める際に肩や背中をさするなどのボディタッチをする、頭をなでるなどをすることで、子どもたちはより喜びを肌で感じやすくなります。
【叱るとき】
叱るときにおススメなのが手を握って対応すること。指先は人間の器官のなかでも最も敏感な感覚を持っており、ぬくもりを感じることで緊張感が和らぎ、対立しがちな心もおさえてくれます。そのため素直に話を聞きやすくなり、叱られている内容の理解もしやすくなります。
【あいさつのとき】
あいさつの際のふれあいは、心をオープンにする効果や子どもたちの元気を確認できるというメリットがあります。登園の際や帰宅の際、ハイタッチなどの軽いふれあいを取り入れてみるのも良いでしょう。
【遊ぶとき】
手遊びや歌の際にも、ちょっとしたふれあいが出来る工夫をしてみると、一人で多くの子どもたちの対応をしなくてはならない保育士さんでも、無理なくスキンシップを保育に取り入れることができます。

 

楽しくスキンシップがとれる!保育に取り入れたい遊び


母子のコミュニケーションと違い、保育園や幼稚園のスキンシップは1対複数の子どもたち。一人ひとりにじっくりふれあう時間は少なくとも、皆で楽しめるふれあい遊びなら効率よくスキンシップがはかれます!ここでは気軽に楽しめるふれあい遊びをご紹介します。
 

▲ 【こちょこちょ遊び】
くすぐりには「遊びごころ」が含まれています。何度もくすぐり遊びをした子どもならば、しぐさだけでもその感覚を予測して楽しい気持ちになります。また一緒に笑う事で親密度が増すため、月齢の高い子どもたちならば、教室内で皆で遊ぶのにもピッタリですね。

▲ 【たまごをパカッ】
楽しい歌に合わせて手を取りながら遊べる、1・2歳児向けの遊び歌。最後のくすぐり合いも楽しい!


▲ 握手とハイタッチで楽しむふれあい遊び。2列に並んで片方の列がずれていく形式を取れば、効率よくたくさんのお友だちとスキンシップを楽しめます。

編集者より


つらいとき、何の言葉も交わさずとも誰かに触れていることで心が救われることがあります。子どもだけでなく大人にとってもふれあいはとても大きな役割を持っています。

「何にもまして幸せなのは、かたわらにひとりのひとがいて、いつでも好きなときにその人の手に触れることができるということ」これは絵本作家としても有名な谷川俊太郎氏の言葉です。子どもたちにとって幸せが数多くあるよう、スキンシップをうまく取ってあげたいものですね。

参考文献・サイト

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