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子どもたちの想像力をふくらませ、豊かな心を育んでくれる絵本。絵本を通して体験したことは、子どもたちの人生にとって、すばらしい宝物となってくれることでしょう。

だからこそ、保育士や保護者は、子どもたちの「今」に適した一冊を選んであげたいもの。今回は、子どもたちの発達に沿って、最適な絵本を選ぶポイントをご紹介します!

【関連記事】絵本の選び方のほか、読み聞かせ実践のポイントを読み聞かせのプロである、聞かせ屋。けいたろうさんに聞きました!

絵本選びは「一緒に楽しむ」を前提に

絵本選びをいっしょに楽しむ
子どもは敏感に大人の心を感じ取ります。どんなにすばらしい絵本でも、大人が心を込めて読んでいなければ、子どもの心には届きません。

まず大切なのは、子どもはもちろん、ママやパパ、保育士さんも一緒に楽しめるような作品を選ぶことです。

読み聞かせは、大人と子どもが「絵本を読む楽しさを共有する」時間でもあるんだホィ!

読んだときに「どんな顔をするかな? 喜んでくれるかな?」と、子どもたちのことを思い浮かべながら、楽しく絵本選びができるとよいね!

 

読み聞かせに「よい絵本」の特徴とは?

絵本を読む保育士さん
子どもたちのことを思い浮かべると、親や保育士は「よい絵本を読んであげたい」と思うことでしょう。しかしながら、そもそも「よい絵本」とはどのようなものなのでしょうか。

ここでは、子どもたちに読み聞かせるのに適した、絵本の特徴をご紹介します。

【文章】声に出したときに美しい

読み聞かせは、内容だけでなく「耳で声に出した言葉を楽しむ」ものです。そのため文章を声に出したときの、言葉の響きが重要なポイントとなります。

洗練された言葉の響きや豊かな表現、躍動感のあるリズムは、子どもたちの心をひきつけます。そのような文章表現がされた絵本を読んであげることは、子どもたちの言葉をより豊かにしてくれるでしょう。

◆よい絵本の文章とは
・声に出したときに言葉の響きが美しい
洗練された日本語が使われている
・繰り返しなど、リズム感がある
・普通の会話にはでてこないような豊かな表現がされている

 

【絵】豊かな表現力で描かれている

絵本の絵は、それだけでお話が理解できるほど、表現豊かに描かれていることが大切です。わからない言葉がでてきたときでも、高い表現力をともなった絵があれば、子どもたちは絵本の世界を楽しむことができるでしょう。

また、幼児期は感性を養う時期でもあります。想像力をかきたてるような繊細なディテール、生き生きとした色彩、お話の世界観を表現する筆遣いなど、質の高い芸術性が感じられる絵本を、たくさん読んであげましょう。

◆よい絵本の絵とは
・単にきれい、かわいいだけでなく、高い芸術性が感じられる
・それだけで絵本の世界を物語るような、豊かな表現力がある
子どもたちが理解しやすい表現をしている

 

【調和】文章と絵がうまく調和している

数多くの絵本を編集され、児童文学研究者でもある松居直氏は、「絵と文が本当にうまく溶け合っていませんと、子どもは安心して絵本の中へ入っていけません。」と述べています。(松居直『絵本の与え方』福音館書店

絵本は文章と絵が組み合わさって、ひとつの作品を作りあげたものですから、それらが調和していることが必要です。

絵が文章を、文章が絵を、それぞれ豊かに表現している絵本は、読んでいて思わず夢中になってしまうホィね!

 

【内容】主題がしっかりしている

子どもたちに投げかけている主題は、わかりやすくしっかりとしていることが重要です。成長段階に沿って、関心の高いテーマであれば、子どもたちは登場人物に自分をかさね、絵本の世界を楽しむことができるでしょう。

名作絵本=よい絵本なの?

おとぎ話や昔話を短くまとめた名作絵本は、名作である物語を短くまとめた、いわばダイジェスト版です。また、さまざまな出版社から出されており、中には元の作品と話の中身が一部変わってしまっているものもあります。

「名作」と書かれているからといって「よい絵本」であるとはかぎらないことに、注意しましょう。

年齢・発達に合わせた絵本の選び方

絵本のイラスト
書店や図書館に足を運ぶと、個性豊かな絵本たちが、ずらりと並んでいます。子どもたちにぴったりの絵本を選んであげたいけれど、「いったいどんな絵本が適しているんだろう……」と迷ってしまうこともあるでしょう。

ここからは年齢別に、その発達段階に沿った、適切な絵本を選ぶポイントをご紹介していきます。

0歳から1歳~大人とのかかわりを楽しもう~

ママやパパ、保育士さんなど、身近な大人と楽しさを共有することは、この時期の子どもたちにとってとても大切です。その体験は、子どもと大人の愛着を形成し、成長の土台となっていくでしょう。

0歳~1歳の子どもと一緒に楽しめる絵本には、次のようなものがあります。

◆呼びかけるような文章が使われているもの
呼びかけるような文章は、子どもと絵本の世界とをつないでくれるでしょう。子ども・絵本・大人という三者のかかわりを楽しむことができます。
(作品例…『くだもの』『もう おきるかな?』など)
◆本物のような写実的な表現がされているもの
大人がいつも使っているもの、食べているものなどが、本物そっくりに描かれた絵本は、子どもたちの物の認識に役立ちます。「これ、絵本で見たのといっしょだ!」と子どもが教えてくれることもあり、日常のコミュニケーションにも活用できるでしょう。
(作品例…『いちご』『どうぶつのおやこ』『ぶーぶー じどうしゃ』など)
◆親子で遊びを楽しめるもの
いないいないばあ遊びなど、絵本を通じて遊びを楽しめるものもよいでしょう。手遊びとはまた違った切り口で、遊びを楽しむことができます。
(作品例『いない いない ばあ』『でてこい でてこい』『きんぎょが にげた』など)
◆言葉のリズムが楽しめるもの
擬音語など、かんたんな音の繰り返しは、耳に心地よく、安心感のある読み聞かせ体験につながります。
(作品例『ころ ころ ころ』『てん てん てん』『かさ さしてあげるね』など)
◆1歳からは起承転結のあるものがたりも
1歳を過ぎるころからは、起承転結のあるストーリー絵本にもふれさせてみましょう。こういった絵本に慣れ親しむことで、想像力が身につき、言葉をイメージで思い描くことができるようになっていきます。
(作品例『がたん ごとん がたん ごとん』『おつきさまこんばんは』など)

【絵本紹介】『くだもの』平山 和子著(福音館書店)


おいしそうな果物の絵と、それを切り分けたり、お皿に盛ったりして「さあ どうぞ」と差し出している絵が交互にあらわれます。

本当に食べられそうな写実的な絵と、まるで自分に差し出されているような表現に、子どもたちは、嬉しそうな表情をみせてくれます。1歳を過ぎれば、食べるまねをする姿も見られるでしょう。

2歳~想像力を刺激しよう~

日常の生活体験を積み重ね、できることも徐々に増えてくる2歳ごろ。この時期には、毎日の生活によりそった内容や、主人公に感情移入できるような内容の絵本がおすすめです。

2歳の子どもと一緒に楽しめる絵本には、次のようなものがあります。

◆日常生活によりそったテーマ
食事や睡眠、着替えなど、身近な生活に寄り添った内容は、子どもたちが興味を持ちやすく、登場人物に自分を重ねて、楽しむことができるでしょう。
(作品例『どうすればいいのかな?』『ねないこ だれだ』など)
◆失敗や成長を疑似体験できるもの
登場人物の姿に、自分自身を重ねることで、子どもたちは失敗に共感し、成長をまるで自分のことのように喜びます。そのような経験を積み重ねることが、子どもたちの成長を支えてくれるでしょう。
(作品例『しろくまちゃんのほっとけーき』『はけたよはけたよ』『はらぺこあおむし』など)
◆言葉のおもしろさを味わえるもの
言葉の響きやリズムを楽しめる絵本は、子どもたちが言葉を覚えていく2歳のころにもおすすめです。何度も読むうちに、絵本のなかのフレーズを覚えてしまう子もいるでしょう。
(作品例『かばくん』『もこ もこ もこ』など)

【絵本紹介】『はけたよはけたよ』作:神沢利子 絵:西巻茅子(偕成社)


なんでも自分でやってみたい2歳の子どもたちにぴったり!主人公のたつくんは、パンツをなかなかうまくはくことができません。何度もチャレンジするのですがしりもちをついてしまい……最後に自分の力であみだした方法とは?

自分自身で試行錯誤する体験を、絵本を通してできる、すてきな一冊です。

3歳~繰り返しを楽しもう~

さまざまなものに興味を示し、言葉もどんどんおぼえていく3歳ごろ。このころになると、しっかりとストーリーのあるお話を楽しめるようになってきます。好奇心も旺盛なので、想像力をふくらませてくれるような絵本との出会いを大切にしましょう。

3歳の子どもと一緒に楽しめる絵本には、次のようなものがあります

◆繰り返しのものがたり
このころの子どもたちは、自分でやってみたいという気持ちと、まだうまくできない現状とのギャップにもどかしさを感じています。絵本のストーリーに、安定した繰り返しがあることで、安心感を持って楽しむことができるでしょう。
(作品例『おおきなかぶ』『てぶくろ』など)
◆絵と文が調和しているもの
「絵が文章で表現しきれないような世界観や色彩を補い、文章が絵で表現できない音や言葉を補う」というように、絵と文とが、互いに相乗効果を生み出しているような作品は、読んでいて安心感があるものです。子どもたちは、自分が絵本に入り込んだような感覚で、絵本の世界に入り込むことができるでしょう。
(作品例『ぞうくんのさんぽ』『ぐりとぐら』など)
◆好奇心を満たすもの
「やってみたい!知りたい!」がさかんな3歳児。絵本のなかでもその好奇心が満たされるような内容のものならば、より夢中になって楽しむことができるでしょう。
(作品例『おでかけのまえに』『いたずらこねこ』など)

【絵本紹介】『てぶくろ』(ウクライナ民話)絵:エウゲーニー・M・ラチョフ(福音館書店)


おじいさんが落としてしまったてぶくろ。それを見つけた動物たちが次から次へと入っていって……。安定感のある繰り返しのストーリーながら、想像力をかきたてるファンタジーの世界が、子どもたちを夢中にさせてくれます。

4歳~子どもと主人公を重ねよう~

4歳になると、自己主張が強くなり、絵本の好みもはっきりしてきます。絵本選びが難しくなってくるころでしょう。日常生活で子どもたちの興味のあることや、友だちとのかかわりなど、身近なものをテーマにしたストーリーを楽しむとよいでしょう。

3歳の子どもと一緒に楽しめる絵本には、次のようなものがあります。

◆友だちとのかかわりを描いたもの
4歳ころには、友だちといっしょに遊ぶことが増えてきます。友だちとのやりとりを描いた作品には、自分だったらどうするかな、という視点で楽しめるという魅力があります。
(作品例『そらいろのたね』など)
◆子どもが自分と登場人物を重ねられるもの
やんちゃざかりの4歳児。同じくやんちゃな主人公が活躍する物語は、そんな4歳児の心をワクワクさせると同時に、子どもたちの好奇心を満たしてくれます。
(作品例『かいじゅうたちのいるところ』『どろんこハリー』など)
◆迷ったときは長年親しまれた絵本を
どんな絵本を読み聞かせるか迷ってしまったときは、何十年にもわたって愛されてきた作品を選んでみましょう。世代を超えて愛されるというのは、すばらしい絵本の証拠でもあります。
(作品例『ぐるんぱのようちえん』『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』など)

【絵本紹介】『ぐるんぱのようちえん』作:西内ミナミ 絵:堀内誠一(
福音館書店)


ずっとひとりぼっちで暮らしてきた、ぞうのぐるんぱ。ジャングルの会議で、ぐるんぱを働きに出すことに決まったのですが、さまざまな仕事にチャレンジするものの、全然うまくいきません。

落ち込むぐるんぱの前に、子どもが12人もいるお母さんがあらわれ、子守を頼まれて……。人の役にたちたい、自分でやってみたいと感じながらも、まだうまくいかないことも多い4歳児。その幼い心にそっと寄り添ってくれる作品です。

5歳~イメージする力を育もう~

5歳にもなると、複雑で長いストーリーの絵本でも楽しむことができます。「目には見えない文章をたよりに、イメージを膨らませる」そんな想像力を培ってあげるために、長い童話にもチャレンジしてみましょう。

5歳の子どもと一緒に楽しめる絵本には、次のようなものがあります。

◆心おどる冒険物語
「次はどんな展開になるのだろう」とワクワクするような冒険物語は、子どもたちの想像力をかきたててくれます。これから保育園や幼稚園を卒業して、小学校という新しい世界に飛び込んでいく子どもたちに、勇気を与えてくれるような内容の作品がおすすめです。
(作品例『おしいれのぼうけん』『11ぴきのねこふくろのなか』など)
◆子どもの挑戦を描いたもの
子どもたちが感情移入し、まるで主人公と一緒に、なにかにチャレンジできるような作品もよいでしょう。絵本を通して、さまざまな経験をすることで、子どもたちは問題に対して「どうしたらよいか」を考えられるようになっていきます。
(作品例『はじめてのおつかい』『おおきなおおきなおいも』など)
◆長めの童話
毎日少しずつ読んであげられるような、長めの童話もおすすめです。「今日はここまで!」と途中でお話を中断することが、子どもたち続きを想像する楽しみを与えてくれます。気に入ったお話は、何度でも読み聞かせてあげましょう。
(作品例『エルマーのぼうけん』『いやいやえん』など)

【絵本紹介】『はじめてのおつかい』作:筒井頼子 絵:林明子(福音館書店)


5歳のみいちゃんが、生まれてはじめて、ひとりでおつかいに行く物語です。家を出発したみいちゃんには、さまざまな困難が立ちはだかり、絵本を読む大人と子どもは、一緒になって「大丈夫だろうか」とハラハラするような臨場感がある作品です。

この絵本の魅力は、子どもたちが、みいちゃんになったような気持ちで、物語に入り込めることでしょう。読み終わったあとには、子どもたちの満足気な様子が見られるはずです。

絵本が子どもたちに与えてくれるもの

小鳥のイラスト
ここまで、子どもたちの発達にあった絵本を選ぶポイントをご紹介してきましたが、絵本は子どもたちに、どのような影響を与えてくれるのでしょうか。

◆自己肯定感を高める
自己肯定感とは、「自分は大切な存在なんだ」「認められた存在なんだ」と自分の価値や存在意義を前向きにとらえる感情のことです。
絵本の読み聞かせは、読み手となる大人がいなければなりたちません。どんなに忙しくても、自分のために時間を割いて、絵本を読んでくれる、そのひとときに子どもたちは満足感を得るのです。
絵本を読む体験を積み重ねることで「僕(私)は大切にされているんだ」ということを実感することができ、子どもたちの自己肯定感を高めることができるでしょう。
◆感情を豊かにする
絵本では、普段の生活ではできないような、さまざまな体験をすることができます。主人公と一緒に、喜んだり、悲しんだり、ときにハラハラしたり……。絵本を読む中で、大人と子どもがいろいろな気持ちを共有することは、子どもたちの感情をより豊かなものにしてくれるでしょう。
◆生きていく上で大切なことがわかる
世代を超えて読み継がれる絵本には、困難に立ち向かうための知恵や、子どもたちに向けた大切なメッセージが込められています。それらは「こんなときにはこうすればいいだよ」といった、はっきりとしたものではありませんが、繰り返し絵本を読むなかで、自然と心に入ってくるものです。
絵本を通じてさまざまな体験をすることは、子どもたちが生きていくうえで必要な、知恵や知識、感覚を養うことにつながるでしょう。

絵本は保育士の味方!

応援する女性
基本的な生活習慣を描いたもの、友だちとのかかわりと描いたもの、命の尊さを描いたもの……絵本には子どもたちの成長に欠かせない、重要なエッセンスが詰まっています。

子どもたちの成長、発達にあわせた絵本を、保育に取り入れることは、日々の保育のねらいや目標に近づくことにもつながるはずです。

単に子どもをあやす道具としてではなく、成長をサポートしてくれる味方だと思って、絵本を毎日の保育に活かしてみようね!

 

編集者より

絵本を読む子ども
子どもたちに読み聞かせをするとき、「この絵本、私もよく読んでもらっていたな……」と懐かしく思うことがあります。絵本の魅力は、なによりも「身近な大人に読んでもらった」あたたかく幸せな体験を、子どもたちの心に刻んでくれることなのかもしれません。

読み聞かせができるのは、子どもたちが成長するまでのわずかな期間です。読み聞かせを互いに楽しんで、幸せな思い出を、少しでも多く作ってあげたいものですね。

【関連記事】読み聞かせ実践のポイントについては、こちらの記事でご紹介しています!
 

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