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毎週木曜に放送中のドラマ「37.5℃の涙」の原作漫画のモデルにもなり、病児保育事業に取り組まれる認定NPO法人フローレンス。今回はフローレンスで病児保育事業のマネージャーを務められる、赤坂緑(あかさかみどり)さんと、「こどもレスキュー隊員」として病児保育の経験を積まれ、現在は本部スタッフとして、研修などを担当されている、小湊郁心(こみなといくみ)さんに、病児保育について、また現場で働く上でのやりがいや、大変さをお伺いしてきました。

ますますニーズが高まる病児保育事業

大島

大島:本日はよろしくお願いいたします。
 
今、ポスターもそちらに飾られていますが、フローレンスは毎週木曜に放送中のドラマ、「37.5℃の涙」の原作漫画のモデルになっているとお聞きしました。保育のお仕事レポートの読者さまの中でも、病児保育について関心を持たれる方がとても増えてきているんですよ。

 

赤坂さん

赤坂さん・小湊さん:そうなんですね。

大島

大島:今回は現場で活躍される、病児保育士さんにぜひお話をお聞きしたいと思い、お伺いしました。どうぞよろしくお願いいたします。

小湊さん

赤坂さん・小湊さん:よろしくお願いいたします。

 
フローレンス赤坂さまと小湊さま
 
大島:ドラマがスタートして、病児保育についての認知度も、グッと高まったのではないかと思いますが、どうでしょう、実際に問い合わせや取材は増えましたか?
 
赤坂さん:そうですね、取材に関しては、コンスタントにいただく機会があるのですが、採用に関するお問い合わせは若干増えていますね。
 
大島:そうなのですね。病児保育に関しては、これからどんどんニーズが高まるのでしょうね。
 
赤坂さん:そうですね。利用したいという方は増え続けていて…実は今新規の入会をお待ちいただいている状況なんですよ。
 
大島:そうだったのですか。
 
赤坂さん:保育スタッフの数に対して、利用ご希望の方が非常に多くいらっしゃいます。病児保育のニーズはあるのに、施設や保育スタッフの数がまだまだ足りないというのが現状ですね。フローレンスではコンスタントに採用ができないと、新規の入会を抑えることになってしまいます。「8時までのご予約には100%対応する」とお約束していますので。
 
フローレンスの行動指針
▲案内していただいた会議室の壁には、「現場」の2文字が。
これは「飛び込め!われらの現場に」現場に行き、現場を体験し、現場に学ぶべしという、フローレンスの行動指針のひとつなのだそう。
 

大島:現在の保育スタッフさんの人数はどれくらいなのでしょうか?
 
赤坂さん:今は、月給制・時給制のスタッフを合わせて約80名です。

 

「こどもレスキュー隊」の名称に秘められた思いとは

大島

大島:フローレンスでは、病児保育士のことを「こどもレスキュー隊員」と呼んでいるそうですね!「こどもレスキュー隊」は商標登録もされているとお伺いしました。

 

赤坂さん

赤坂さんはい、商標登録もしていますね。

大島:この呼び方にはどんな思いが込められているのでしょうか?
 
赤坂さん:働く親御さんの大きな悩みというのが、お子さんの急な発熱や、病気なので、まさに「そこに駆けつける」という意味合いで付けた、想いのこもった名称ですね。
 
私ももともとは利用会員だったんです。働く親にとっては、「どうしよう!」というときに駆けつけてくれるって、本当にありがたいんですよね。「こどもレスキュー隊」という名称は、そういった家庭を「救いに行く」という想いから付けられているんですよ。
 
大島:そうなんですね。とてもステキな名称ですね!
 
病児保育6
 

小湊さんに聞いた!病児保育の現場とは

大島

大島:フローレンスでは10年間無事故とのこと、「こどもレスキュー隊員」になるまで、なってからもさまざまな研修制度がありますよね。

小湊さん

小湊さん:はい。

大島:研修が多くて大変ではなかったですか?
 
小湊さん:うーん…(少し考えこみながらも、笑顔を見せる小湊さん)正直私は、大変さよりもいろいろ学べて吸収できることが嬉しかったので、研修がキツイとか、大変とかは特に思わなかったですね!
 
大島:そうなのですね!病児保育は注目も高まってきていて、実際に読者の方でも、「病児保育士になりたい!」という方もたくさんいるんですよ。フローレンスに応募したい!という方もいらっしゃって…。
 
小湊さん:座学だけですとどうしても消化しきれない部分もあるのですが、現場で実際に見ることで「こういうことだったんだ!」と一致して、成長につながるんですよ。座学だけでも、現場だけでも本当の意味での学びにはならないけれど、フローレンスではその両方の側面からスキルアップや不安解消につながるので、そういった意味でもオススメですよ!
 
大島:なるほど、そういった環境が整っているのですね!
 
病児保育2
 
大島:「こどもレスキュー隊員」の一日のお仕事の流れを、お教えいただいてもよろしいですか?
 
小湊さん:まずはお約束のお時間までに、利用会員さまのご自宅へお伺いします。ご自宅では、最初に引継ぎをします。親御さんにお子さんの病状を聞いたり、どこに何があるか、お家の環境を聞いたり…そういったことを10分~15分程度でお伺いしますね。
 
大島:そんな短い時間で引継ぎをされるのですか!
 
小湊さん:そうですね、15分でもちょっと長いと言われてしまうくらいです。やはり親御さん、お忙しいですからね。
 
大島:お仕事に行かれるからどうしてもそうですよね…。
 
小湊さん:親御さんが出勤されたら、未受診の場合にはかかりつけの病院に連れていきます。すでに受診が済んでいる場合はこの過程は省略するのですが、未受診の場合は「こどもレスキュー隊員」がお子さんをかかりつけの病院に連れて行って診察をしてもらいます。
 
大島:フローレンスでは女性医師による往診もやっていますが、病院に行くのですか?
 
小湊さん:基本はかかりつけの病院での受診です。それに加えておっしゃったように往診を実施する場合もあります。連日で病児保育をご依頼いただく場合など、かかりつけの病院での受診をしない日は往診を利用するなど、使い分けています。
 
病院から戻ってくるとだいたい午前中が終わって、昼食を食べさせます。
 
大島:親御さんが用意されるのでしたよね?
 
小湊さん:はい、そうです。お食事が済んだらお昼寝という流れですね。基本的にお子さんが寝ている時間に自分の食事をとったり、記録を書いたりなどします。何時に水分を取ったかなどは忘れてしまわないよう随時メモをとっています。
 
起きた後は清拭やおやつ、お子さんの様子に合わせて遊びます。親御さんが帰宅されたら、終了です。その後も本部に提出する報告書を入力したり、明日の準備をしたりするという流れですね。
 
大島:なかなか残業で帰れないことなどもあるのでしょうか?
 
小湊さん:基本的には朝の時点で親御さんの帰ってくる時間を把握していますが、親御さんが残業で多少遅くなる…ということはあります。多くはないですが、30分くらいの残業が発生することがあります。
 
病児保育4
 

最初は漠然とした不安があった

大島

大島:病児保育士として働きだして、不安などはありましたか?

小湊さん

小湊さん:最初は何が不安かもわからない漠然とした不安がありました。それこそ、ドラマにもありましたけれど、「けいれんが起きたらどうしよう…」とか。

大島:あぁ、怖いですよね、それは…。
 
小湊さん:でも、不安を先輩などに話す中で助言をもらったり、研修を通して自分自身の知識が増えたりすることで「そうか、落ち着いて適切な対応すれば良いんだ」と思えるようになりましたね。今でも現場に行く中で不安が全くないかと言えば、そうではないですけれど、研修などを受けることで、少しずつ知識と実践が擦り合わさって、解消していきましたね。
 
大島:訪問型の病児保育では、通常の施設型の保育とはまた少し感覚が異なるのではないでしょうか?例えば貴重品や家財の扱いなど…とても緊張されるのではないですか?
 
小湊さん:「緊張」という表現が適切かわからないですが、やはり間違いがあってはいけないので、例えばお金を預かったら金額を親御さんの目の前で数えて確認したり、貴重品があったら「しまってくださいね」とお声かけをしたりしていますね。ただ、親御さんが出勤された後に、お子さんが「なにかあったー!」とお金を見つけちゃったりとかすることもあるんですよ。
 
大島:あ~、引っ張り出してきてしまうとか…(笑)
 
小湊さん:そんな時には、誤解があってはいけないので、本部を経由して親御さんにお伝えしていますね。正確に、慎重に扱うように注意しています。
 
大島:家財などもお食事中汚さないようにとか、気を遣われるのですよね?
 
小湊さん:そうですね、食事中に限らず、お子さんがマジックを持って走り回る時もありますし…。あと椅子を引いたときにフローリングが傷ついてしまうこともありますから、そのような点に気を付けますね。
 
病児保育5
 
大島:一日中ひとりで対応することに不安を感じられる方も多いかと思いますが、本部との連携なども取りやすいとのこと、そういった部分で不安の軽減にはつながっていますか?
 
小湊さん:そうですね。「些細なことでも本部に言ってね!」という環境にあるので、困ったときには本部に電話をして助けてもらえる体制が整っていると思います。
 
「こどもレスキュー隊員」同士での交流の機会も多いというフローレンス。ミーティングや本部の研修だけでなく、プライベートでも仲が良いそう。「普段毎日顔を合わせるわけではないからこそ、会った時には互いに良い情報交換ができている」と小湊さんは笑顔で話していました。
 
フローレンス社内
▲取材に訪れた際に真っ先に目に入った、かわいらしい壁のイラスト。先日行われた社内のイベント時に職員の皆さまが描いたのだそう。広い壁一面の装飾をたったの20分程度で仕上げてしまったのだとか。団結力と風通しの良さを感じました。
 

気になる体調管理は…?

大島

大島:ちなみにインフルエンザなどの場合でも訪問されるのですよね。ご自身の体調管理で工夫されていることはありますか?

小湊さん

小湊さん:研修の中で感染予防について学ぶ機会もありますし、予防接種が会社負担で受けられます。会社から感染予防のためのマスクや手袋、消毒液も支給されますので、それらをうまく利用して予防していますね。胃腸炎などは感染力が強くてまれに貰ってしまうこともありますけれど…。

大島:保育中はマスクなども付けられるのですか?
 
小湊さん:原則保育中はマスクを着用していますが、朝の訪問時は外しています。あとは親御さんと「マスクを着けた大人だとお子さん怖がりますか?」などと確認して、問題ないようなら着用しますし、抵抗があるようなら外します。感染症の種類によりますので、そこは臨機応変に対応していますよ。
 

ズバリ、病児保育のやりがいとは?

大島:お仕事のなかでもっともやりがいを感じるのはどのようなことでしょうか?
 
小湊さん:そうですね、お子さんと打ち解けるために、自分の持っている保育の引き出しを全部使うのですが、いろいろ試してそのお子さんに合うものが見つかったときは「やった!」という感じがしますね(笑)、あとはお子さんが心を開いてくれたのが感じられた時ですかね。例えば朝は「いい子ちゃん」だったのが、だんだんいたずらするようになる…大変なんだけど、「いたずらをしてくるってことは、心を許してくれているんだな」と感じますね。
 
大島:なるほど。
 
小湊さん:あと、病状の変化に気付けたときですね。「ちょっと変な咳をしているな…」などちょっとした病状の変化に自分が気付いて、「病院に行きましょうか」と提案して、結果大事に至らなかった場合、病気の対応もしっかりできていることに、やりがいを感じますね!
 
大島:それは確かに病児保育ならではですね。
 
病児保育1
 

病児保育の大変さとは?

大島

大島:お仕事の中で大変な点や、「ここは覚悟すべき」という点があれば教えていただけませんか?

小湊さん

小湊さん:うーん、覚悟、なんですかね。やっぱり全力を尽くして、お子さんにとって良かれと思って取り組んでも、親御さんの意向と合わなくて、「どうしてこうしたんだ」と言われてしまう場合もあることですかね。「一生懸命やったのに…残念だな」と思うこともあります。
 
あと、私自身は救急搬送などはしたことがないのですけれど、やっぱり、けいれん等で救急車を呼ばなくてはならない場面に遭遇した同僚は「本当に焦った」と言っていましたね。ドラマにもありましたけれども、ホッとした瞬間に涙が出てきてしまたそうです。そういった急変のリスクがあるということは常に覚悟しておかなくてはいけませんね。
 
現実的なことを言えば、毎日違う場所に行くというのは、想像以上に体力的な疲れがあります。毎日が入社式のようなもので(笑)。新しい職場に行くのって、すごく緊張するじゃないですか。その緊張が毎日続くので…そういった意味ではハードな面もある仕事だとは思います。

 
小湊さま
▲うまくいかないこともある。けれど良くも悪くも「1日」。うまくいかなかった時は、上手にリセットして翌日からの保育に活かしているという小湊さん。
 

大島:これから病児保育士を目指したいと考える方に、何かアドバイスをいただけますか?
 
小湊さん:そうですね、病児保育については「怖いからやめておこうか…」と躊躇されてしまう方も多いと思うんですが、学ぶ気持ちがあれば、学びながら保育のステップアップをしていけると思います。だからぜひチャレンジしてほしいと思いますね。
 
私自身もフローレンスに入って、病気について、また病児保育について身に付いたなと思うので、興味のある方は挑戦してほしいと思います!
 
大島:ありがとうございました!
 

フローレンスでは病児保育を支える保育スタッフを募集しています!

フローレンスでは、子育て経験や保育資格を活かせる病児保育士(こどもレスキュー隊員)を大募集中!病児保育に興味があるという方は、お仕事説明会も開催されているとのこと。ぜひ下の画像リンクからチェックしてみてくださいね。
こどもレスキュー隊員募集
 

★今回取材させていただいた方★
赤坂緑(あかさかみどり)さま
病児保育事業部マネージャーとして、現在は病児保育全体を支える立場で活躍されている。もともとはフローレンスの病児保育を利用していた会員でもある。


小湊郁心(こみなといくみ)さま
大勢での保育よりも子どもたち一人ひとりとじっくり関わりたいという想いがきっかけで、認定NPO法人フローレンスで、「こどもレスキュー隊員」として病児保育に携わる。現在は本社スタッフとして社内研修等を担当されている。

 

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