「ごめんなさいは?」…公園などに行くとよく聞こえてくる言葉ですが、皆さまは日頃、このように謝罪を強要してしまうことはありませんか?子どもたちが謝らないことにはきちんと理由があります。今回は、そのことを踏まえたうえで、適切な関わり方を考えてみましょう!
謝らない=悪い子ではない!謝れない理由を知ろう
「うちの子がお友だちに謝れなくて…」そんなお悩みを抱える保護者の方はたくさんいらっしゃいます。大人の世界では当たり前とも言える「悪いことをしたら謝る」という方程式。その方程式に当てはめて子どもを見てしまうと、「なぜ謝れないのだろう」「きちんと誤らせなくては…」という気持ちにもなりがちですが、子どもたちが謝れないことには、さまざまな理由が隠されています。
◆子どもが謝れない理由◆
- 事実と異なっている場合
- 例えば、A君がB君を叩いたシーンで、実はB君が先に手を上げていた、というケースです。A君に謝るよう伝えてもこれでは納得がいかないでしょう。
- 悪いことであると認識していない場合
- 自分の行為が悪いことと理解していなければ、当然謝ることの意味も理解できません。子どもが謝らない場合には、「悪いこと」であると認識しているか否かということもしっかり確認する必要があります。
- 気まずくて謝れない場合
- その行動が悪いことだと理解はしているけれども、その行動を取ってしまった失敗へのショック、謝ったら「負け」を認めるように感じてしまうなど、さまざまな気まずさから、謝ることができないこともあります。
- 納得できない気持ちがある場合
- 「叩いたのは悪かったけど、○○君が僕のおもちゃを取ったんだもん!」そんな釈然としない気持ちがあると、自分から先に謝るということは難しくなるでしょう。
このように、子どもたちが「ごめんなさい」を言えない背景には、様々な理由があるのです。だからこそ謝らない子=悪い子ではなく、一人ひとりの抱える気持ちに寄り添った、適切な関わり方が必要なのです。
「謝りなさい!」「ごめんなさいは?」がタブーな理由
謝ることと言うと、真っ先に「ごめんなさい」という言葉が思い浮かぶものですが、謝罪は単にこの言葉を言えば良い、というものではありません。自分の感情をコントロールして非を認め、それを相手に伝える…大人が思っているよりも、謝罪というものは難しいのです。
先にお伝えしたように、謝ることができないことには理由があります。「謝りなさい!」「ごめんなさいは?」と促して、ただ機械的に誤らせる対応では、自ら悪かったことに気付き、認めるといった心の発達のプロセスを妨げてしまいます。
また、本人の意思に反して無理やり謝罪させることは、子どもの自尊心を傷つけることにもつながりかねません。それが積み重なれば、自己肯定感が低くなり、将来の人間関係で困難を抱えてしまうことも考えられるでしょう。
謝れない時の5つの対処法
では、具体的には、謝ろうとしない子どもに対して、どのように関わっていけば良いのでしょうか。ここでは5つのポイントをご紹介します!
- ◆事実確認をしっかりと行おう!
- その場で目にしたことだけが真実とは限りません。謝らなくてはいけないような出来事が起こったら、まず子どもたちに、一体何が起こったのか、事実の確認を行いましょう。
- ◆受容と共感を大切にしよう!
- 納得できない気持ちや、なぜその行動に出てしまったのか、など、子どもの気持ちにしっかりと寄り添ってあげることは重要です。子どもの行動を一方的に「悪い!」とするのではなく、その裏に隠れた感情をしっかり受け止めることで、自分のしたことを客観的に受け止めて謝るための、心の土台ができるでしょう。
- ◆子どもの気持ちを代弁しよう!
- 例えば相手の子に手を上げてしまった場合などは、自分の気持ちの表現の仕方がわからなくてつい…ということもあるでしょう。そういった場合には、「おもちゃを取られて悔しかったんだよね」などと気持ちを代弁してあげて、「今度からは今遊んでるから返してって言おうね、叩かれたらイタイよね」などと取るべき行動を示して、心の整理をする機会を与えてあげましょう。
- ◆一緒に謝ってみよう!
- 子どもの気持ちに共感を示したら、相手の子どもに、大人である保育士さんから謝ってあげましょう。できれば一緒に謝れれば良いですが、「ごめんなさい」が出てこない場合には、大人が非を認めて謝る姿を見せて、一緒に謝る体験をするだけでも、意味があるでしょう。
- ◆「ごめんなさい」ができたらすぐに褒めよう!
- 自分から、もしくは保育者が付き添ったうえでも「ごめんなさい」がきちんとできたときには、すかさず褒めるようにしましょう。「キチンと謝ればまた仲良しになれるね」「謝ったらすっきりしたね!」など、謝ることのメリットを言語化しても良いでしょう。
心の発達にはやはり時間がかかります。その時はうまくいかなくても、ゆっくり見守り、根気よく取り組みを続けていくことがとても大切であると言えるでしょう。
編集者より
罪悪感が強すぎて、言葉では軽々しいと思われるとき、悪いのはわかっているけれどプライドが邪魔をするときなど、大人になっても、うまく謝れないことは多々あるでしょう。
人と人とが関わり合う上では、トラブルはつきものであり、当事者それぞれがさまざまな事情を抱えています。しかしどんな事情があっても、上手に付き合っていくには、「謝罪」が必要です。これから社会を強く生き抜いていく力を養うためにも、子どもたちには時間をかけて、”謝ることの大切さ”を伝えていけたら良いですね。
参考文献・サイト
- パピマミ『謝れない子供にしないために、親がすべき“たった1つ”の教育』(2015/7/29)