保育士の人材紹介サービス【保育のお仕事】を展開する株式会社ウェルクス(本社:東京都墨田区両国)は、保育のお仕事レポートの読者、保育系のSNS(Facebook、Twitter)の読者を対象に、「保育のAI化」について調査を実施しました。
- 【背景】
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待機児童の増加・保育士の人材不足が深刻化する昨今、保育士の業務負担の軽減を図るために、連絡帳アプリや見守りロボットといった「AI」を導入する動きが注目されています。
AIとは人間の脳が行っている知的な作業を、コンピュータによって真似させたソフトウェア・システム(人工知能)を指します。人間の言語を理解したり、経験データから学習したりするロボット(プログラム)と考えるとわかりやすいでしょう。
厚生労働省の調査によれば、平成29年度末に必要な保育士は46.3万人。平成25年度の保育所勤務保育士37.8万人と、平成29年度末までの自然増加分2万人を差し引いた「6.9万人」の確保が急がれています。
そんな保育現場に革命を起こすとして、注目されている「保育のAI化」。実際に現場で働く保育士は、AI化についてどう思っているのでしょうか。
保育士を対象に、「自分の職場にAIが導入されること」について伺いました。
保育AIについて、どのようなものか知っていますか?
「保育AIについて、どのようなものか知っていますか?」と質問したところ、「知っている」と回答した人は17.7%、「知らない」と回答した人は82.3%となりました。
あなたの職場には保育AIが導入されていますか?
「あなたの職場には保育AIが導入されていますか?」と質問したところ、「導入されている」と回答した人は5.3%、「導入されていない」と回答した人は94.7%となりました。
保育AIを使いこなせると思いますか?
「保育AIを使いこなせると思いますか?」と質問したところ、「使いこなせると思う」と回答した人は18.6%、「使いこなせると思わない」と回答した人は29.2%、「わからない」と回答した人は52.2%となりました。
自分の職場に保育AIが導入されるとしたら賛成ですか?反対ですか?
「自分の職場に保育AIが導入されるとしたら賛成ですか?反対ですか?」と質問したところ、「賛成」と回答した人は41.6%、「反対」と回答した人は58.4%となりました。
問5で「保育AIの導入に賛成」と回答した方は、その理由をお答えください。
問5で「保育AIの導入に賛成」と回答した人からは、以下のようなコメントが寄せられました。
- 「それで保育士の仕事の負担が減るなら賛成です。それでなくても、今年度から5分おきに呼吸の確認をしなければならず、休憩なんてもちろんないので負担が増えてます」(30代・女性)
- 「少しでも職員の負担が減るなら良いと思う」(20代・女性)
- 「雑用に追われる事が無くなる、子供に真摯に向き合うことが期待できる事を希望するから」(50代・女性)
- 「SIDS対策の昼寝番、体温管理などはどんどんやらせた方が良いと思う」(40代・男性)
- 「仕事の軽量化や統計が取れたりなどメリットが多そう。使いこなせない人はやる気ない人。ベテランの先生はAIのデータを参考にしつつ保育していけばいいと思う」(20代・男性)
問5で「保育AIの導入に反対」と回答した方は、その理由をお答えください。
問5で「保育AIの導入に反対」と回答した人からは、以下のようなコメントが寄せられました。
- 「子供が相手の現場で、どのようにAIが活躍出来るのかが分からない」(30代・女性)
- 「子どもの教育現場では使いたくない!心が育たないと思います!」(40代・女性)
- 「子どもはひとりひとり違うし日によっても違うので、毎日関わりちょっとした変化に気付けないと対応できないから。プログラミングされた機械では微妙な変化に対応できない」(30代・女性)
- 「単純にメリットの説明がなされておらず、恐らく導入されているAIの持つ機能を使いこなすことができていない。業務負担軽減がなされていないと思う」(20代・男性)
- 「必要ない。子供になにかあっても駆けつけて抱き上げることが出来ない。せいぜいがセンサーで体温図る体温計がわり。ロボットとのやり取りのようなゲーム的なものは家庭ですれば良い。連絡帳など任せようとするのは意味不明。人間の感情の中で育つことで子供の心は成長する」(40代・女性)
保育AIの導入で不安に思うことはありますか?
「保育AIの導入で不安に思うことはありますか?」と質問したところ、「不安がある」と回答した人は75.2%、「不安はない」と回答した人は24.8%となりました。
問8で「導入に不安がある」と回答した方は、具体的にどのような不安があるかお答えください。
問8で「導入に不安がある」と回答した人からは、以下のようなコメントが寄せられました。
- 「保育の質の低下。考えない保育。専門性を保つことの難しさ」(30代・男性)
- 「使いこなせるか、給料にひびくか」(40代・女性)
- 「情報漏えいや機能の不具合などのリスクや、機能を使いこなせないこと」(20代・男性)
- 「AIが行う業務内容(保育)が想像できない」(30代・女性)
- 「コスト面維持費や導入費用」(30代・女性)
どのような仕事を保育AIに任せて軽減したいと思いますか?
「どのような仕事を保育AIに任せて軽減したいと思いますか?」と質問したところ、「連絡帳や保育園だよりなどの書きもの業務」が31.0%、「保育日誌など内部の書類業務」が46.9%、「行事の写真撮影・選定作業」が55.8%、「昼寝時や遊び時の見守り」が13.3%、「子どものお守り」が3.5%、その他が5.4%となりました。なお、「AIには任せたくない」という回答は34.5%となりました。
「お守りや見守りなど、子どもに関わることはすべて保育士の手でやるべきだと思いますか?」
「お守りや見守りなど、子どもに関わることはすべて保育士の手でやるべきだと思いますか?」と質問したところ、「そう思う」と回答した人は77.9%、「別にそう思わない」と回答した人は22.1%となりました。
問11で「子どもに関わることはすべて保育士の手でやるべきだと思う」と回答した方は、その理由をお答えください。
問11で「子どもに関わることはすべて保育士の手でやるべきだと思う」と回答した人からは、以下のようなコメントが寄せられました。
- 「保育士の資格があってからこそ出来ることだから」(30代・女性)
- 「それがしたくて仕事をするわけなので」(40代・女性)
- 「吐いたときの処理。室内清掃なども保育の仕事。AIに何ができますか?せいぜいが検温くらいでは?身体計測するにも大人じゃないから人の手が必要。子供に何かあった時に抱き上げれますか?頭を撫でれますか?機械の対応は所詮データの一つであって心がない」(40代・女性)
- 「予想外の子どもの動きに対応できないから」(20代・女性)
- 「人との関わりが大切な乳児期に必要な愛着関係や絆が生まれなくなるのではと危惧してます」(30代・女性)
問11で「子どもに関わることでもすべて保育士の手でやるべきだとは思わない」と回答した方は、その理由をお答えください。
問11で「子どもに関わることでもすべて保育士の手でやるべきだとは思わない」と回答した人からは、以下のようなコメントが寄せられました。
- 「AIに任せられるところは任せた方が、その分別の業務に保育士が回れる。そのときに援助の必要な子にじっくりと関わりを持てる」(20代・男性)
- 「保育士の負担減らしながら人工知能と一緒に対応する事で学ぶこともあるから」(20代・女性)
- 「使えるものは使ってみれば良い」(50代・女性)
- 「書類の処理は軽減のためにもよいと思う」(40代・女性)
- 「事務書類や安全管理など、事務的にこなせる業務はどんどんAI化すべき」(40代・男性)
今後、保育AIに期待することはありますか?
「今後、保育AIに期待することはありますか?」と質問したところ、以下のようなコメントが寄せられました。
- 「パソコン関連を苦手とする諸先輩方でもやってみようと思えるくらいの扱いやすいソフトの導入」(40代・女性)
- 「寝てる時の呼吸、心拍とかわかるのはいい。保育士のかわりではなく補助としての役割になってくれたらいいと思う」(20代・女性)
- 「シフト作成、残業申請などの保育以外に関する事務処理。行事の衣装製作にどんな材料が必要か、また、その発注処理。こどものロッカー内の管理(着替えやオムツが足りているかどうかなど)」(40代・女性)
- 「子どもの管理ではなく、親の時間のルーズさや勤務に関しての業務関してAIを使うべきだと私は思います。雑務が多い仕事なので、テクノロジーを活かすならば…職員の管理や親の送迎時間など幅広い分野で導入すべき事例だと思いました」(30代・女性)
- 「少しでも保育士の負担軽減になるといいと思います。時代に合ったニーズに応えながらも、保育士自身も変わっていかないと、何も変わらないずっとアナログなままで、変わらないと思います」(30代・女性)
編集者より
保育AIが具体的にどのようなものなのか、まだ現場にはいまひとつ浸透していないようでした。
その結果、雑務を負担してくれるならぜひ導入してほしいという保育士さんがいる一方、「よくわからないから」「ロボットにできる仕事じゃないから」とネガティブなイメージが先行して、反対意見が多くなった印象があります。
これから先、保育AIはより具体的に導入イメージやメリットをアピールしていく必要がありますね。
保育は保育士がメインで行い、雑務やそのアシストなど「誰でもできるような仕事」をAIが行う……人間とAIが共存しながら、少しでもゆとりのある現場を目指していけるのが理想ですね。
アンケートにご協力いただきましたみなさま、誠にありがとうございました!
・実施期間:2017年11月14日~11月21日
・実施対象:保育のお仕事の読者のほか、保育系のSNS(facebookページ、twitter)の読者となっている全国の20代~60代の男女113名
・男女割合:女性/87.6%・男性/12.4%
※ご協力いただきました皆さま、貴重なご意見をありがとうございました!
※ご意見は個人情報のわからないよう、一部抜粋・編集しご紹介しております。数値については四捨五入している関係で必ずしも合計が100とならない場合があります。