保育士を目指す学生さんが必ず通る道、「保育実習」。
やらなければいけないことがたくさんある保育実習の中でも、特に「保育実習日誌」を書くのが苦手……という人は多いのではないでしょうか。
ただ書かされているだけだと思うと、なかなか気持ちが保育実習日誌に向きません。
書く意味をしっかり理解することで書き進めやすくなりますし、実習中に着目するポイントもわかってきます。
今回は「保育実習日誌の書き方」についてくわしくご紹介します。
教育実習や施設実習にも役立てられるので、ぜひ参考にしてくださいね!
保育実習日誌を書くのは自分のため
まずは、なぜ保育実習日誌を書くのか考えてみましょう。
保育実習日誌は、ズバリ「自分のための保育記録」。
今は実習生という立場でも、学校を卒業したら保育士になる人がほとんど。
就職したら、4月からさっそくクラス担任を任せられ、毎日の保育計画を考える必要が出てくる……という可能性もあります。
保育士は週案や月案、季節の行事案、個人日報、連絡帳など、保育業務のかたわらで書くものがたくさんあります。
保育実習日誌を書くことは、限られた時間の中で書類業務をこなすための練習でもあるのです。
あなたが子どもたちの前に出て保育をするとき、「何のためにその活動をして、どのように進めるのか」を考えて計画する必要があります。
そのとき、保育実習日記を具体的に記録しておけば、自分も同じような流れで保育を行えるでしょう。
保育士になる未来の自分にとっての教本となるよう、意識して書いておくことが大切です。
保育実習日誌の書き方~項目別に確認しよう~
では、実際の保育実習日誌を例に、どのようなことを書くのか項目別に確認していきましょう。
保育実習日誌のフォーマットは学校によって異なりますが、主に「環境構成」「子どもの活動」「保育者や実習生の動き」など、その日にあったことを時系列で書きます。
用紙の8割程度は埋めるように書けるとよいですね。
①日付・天候・名前・クラス名・担任名・子どもの人数
実習に入ったクラスの担任の先生の名前や子どもの人数は、事前に忘れずに確認しましょう。
②実習のねらい・目標
あなたのその日のねらいや目標です。学びたいことや頑張りたいことなど書きましょう。
保育実習の前半は「子どもたちの名前を覚える」や「保育園の1日の流れを把握する」など。後半では「保育者のかかわりの意図を知る」など、一歩踏み込んだ目標を立てるとよいでしょう。
③時間
活動が切り替わったときの時刻を記入します。意外と忘れてしまうので、可能であれば実習中にメモを取るとよいですね。
1日のルーティーンはだいたい決まっていますので、事前にだいたいのタイムスケジュールを聞いておくこともおすすめです。
④環境構成
保育士や子どもの位置、机やイス・教材の配置、準備物などを図や簡単な言葉で記入します。
図は定規を使い、丁寧に描きましょう。
⑤子どもの活動
朝の会、制作、遊び、昼食、午睡など……どのような活動をしたのか記入します。
何気ないかかわりの中にも保育者の意図や配慮が含まれているので、見逃さないよう、子どもたちとかかわりながら様子を見ましょう。
さらにこの項目では、活動中の子どもの動きも記入します。ポイントは「より具体的な子どもの姿を書く」ことです。
活動の中で気が付いたことがあれば、「なかなか準備が進まない子がいる」「苦手な野菜を残す子がいる」など、書き足しておきましょう。
- 食事の準備をする→コップと箸を出して食事の準備をする
- 挨拶をする→当番が前に出て挨拶をする
- 片付ける→食事が終わった子から片付ける
⑥保育者の動き
保育士がどのように動いているかを書きます。
保育士はすべての言葉かけ・行動について、意図を持って行っています。できるだけ細かく見て書きましょう。
- 使うものはどのように配っているか?
- 教材や道具をどのように配置しているか?
- どのようなことに注意しているか?
- どのように説明しているか?
- 制作を進める手順はどのようにしているか?
- どのような子に個別対応しているか?
そして、保育実習日誌には以下のように記入していきます。
- はさみは危険がないよう、使う直前に配る
- 子どもたちがわかるよう、見本を見せる
- 早口すぎず、ゆっくり大きな声で説明する
- (中には制作が苦手な子もいるので)途中でわからなくなったら得意な子に見せてもらうよううながす、またはあらかじめ得意な子と一緒のグループにしておく
- 副担任・補助の保育士がついて対応している
1つの活動をとっても、保育士はさまざまな声かけや動きをしているはずです。よく注目して見てくださいね♪
○→保育者の動き
●→実習生の動き
のように、記号で分けて書くとわかりやすいホィ。
⑦感想・反省・考察
1日の実習を通して、感じたことや反省点を具体的に書きます。
気づいたこと、疑問に思ったこと、嬉しかったこと、困ったこと、もっと○○できればよかった、明日は○○したい……など、整理しながら書いていきましょう。
子どもたちの行動や保育者の声かけや動きから、あなたが気づいたことや学んだことをまとめて書けるとよいですね。
保育実習日誌書き方のポイント3つ
保育実習日誌を書くときに、気をつけたいポイントが3つあります。
書き直しが生じないよう、しっかりおさえておきましょう。
1.字を読みやすく書く
まず大前提として、字は丁寧に書きましょう。
パッと見て字が汚い、大きすぎ・小さすぎ、ななめになっている、丸文字、雑……それだけで印象は悪くなります。下手でも丁寧に書くことを意識しましょう。
また、意外と多いのが漢字の間違い。ちょっとでも不安に感じたら、調べるようにしましょう。
2.日本語の間違いに注意する
書く内容にばかり集中していると、誤字脱字があったりおかしな文章になったりしてしまうことも。
書く前に間違った表現をしていないか、確認するクセをつけましょう。
間違いやすい点は以下です。
文体を統一する | 文末を「で、ある(常体)」か「です、ます(敬体)」のどちらかに統一しましょう。 (表は「で、ある」、感想は「です、ます」は問題ありません) |
「~たり」は2回続けて使う(並列) | ×クレヨンを使ったり、はさみを使って作る 〇クレヨンを使ったり、はさみを使ったりして作る |
ら抜き・い抜き言葉 | ×食べれました ×絵本を見てる |
3.注意したい表現
保育士ならではの注意するべき表現があります。今のうちに慣れておきましょう。
・「おしっこ」や「うんち」という言葉を使わない。
→「排泄」「便(普通便・軟便)」を使う。
・子どもに対して「~させる」という言葉を使わない
→「うながす」「声かけをする」「援助する」などを使う。
(保育士が子どもに何かをさせるのではなく、子どもの自発性を尊重していることを意識して書きます)
保育実習日誌を効率良く書くコツ3つ
実習でクタクタに疲れたあと待ち受けている日誌、本当につらいですよね。
しっかり休むためにも、ポイントを押さえて少しでも早く書き上げられるようにしましょう。
最後に、保育実習日誌を効率良く書くコツを3つ紹介します。
1.保育実習日誌に記録することを前提に取り組む
「日誌に書くこと=学んだこと、気づき」です。
ただ子どもたちと楽しく過ごすだけでなく、「どうして保育士の先生はそのような言葉かけをしたのだろう?」「どうしてこの活動を選んだのだろう?」と、常に疑問を投げかける姿勢を持ちましょう。
そうすることで保育者の意図を読み取り、そこから気づいたことを日誌に書けます。
2.メモをとる
1日分すべての活動や保育士の働きかけ、子どもの様子の細かい部分を記憶することは難しいです。
保育実習日誌に具体的な内容を記録できるよう、メモをとるようにしましょう。
ただし、メモをとるタイミングには要注意です。
保育実習は子どもとかかわることが重要視されるので、メモをとる時間が長いと「メモばかりとっていないで、子どもとかかわって!」と言われてしまうこともあります。
子どもとかかわることをメインにしつつ、活動の合間のちょっとした時間や休憩時間を利用して、さっとメモをとるようにしましょう。
また、乳児クラスの場合、抱っこをしたり室内遊びで膝に乗せてあげたりといった触れあいが起こります。
そのときにポケットにペンやメモが入っていると、気づいた子どもが取り出して遊びだすなどして、思わぬ事故につながる可能性があります。注意しましょう。
3.休憩中に午前中の日誌を書く
家で保育実習日誌を書く時間を短縮したい方は、休憩時間のうちに午前中の日誌を書いてしまうのがおすすめです。
記憶が新しいほうが書くことに迷わないので、さくさく進められます。帰宅後は午後の残りを書くだけなので気分も楽ですね。
ただし、休憩中に日誌を書くときは周りの先生の様子も見ながらにしましょう。「休憩時間はきちんと休憩してほしい」という考えの先生もいます。
「休憩中、実習日誌を書いてもいいですか?」と理由を添えて聞いてみるのがおすすめです。
まとめ
慣れないうちは保育実習日誌を書くのにとにかく時間がかかってしまったり、やっと提出してもダメだしされたりして、どんどんつらくなってしまうこともあるでしょう。
しかし、あらかじめ書くべきことを把握してポイントをおさえておけば、スムーズに書けるようになります。
保育実習は、今後のあなたの保育士生活に必ず役立つもの。
将来の自分が困ったときの助けになるように、気づきや学びをしっかり日誌に書き残しておきましょう。