秋のお楽しみイベント、ハロウィン!
この時期になると子ども達の間でも自然とハロウィンの話題が出たり、仮装ごっこが始まったりしませんか?
今回はハロウィンを保育的意義のあるイベントにするヒントや発達に合ったアイデアをお伝えします。
ハロウィンで気を付けたい保育のねらいは?
ハロウィンは毎年10月31日に開催されるヨーロッパ発祥のお祭りです。
日本でもここ十年近くで一気に定着し、街にはハロウィンの装飾が目立ち、老若男女が仮装を楽しむ日になりましたね。
季節のお祭り気分でなんとなく過ごしてしまいがちですが、園の行事として行う場合はの子どもの育ちを意識して、保育的・教育的意味のあるイベントとなるようにしましょう!
ハロウィンの歴史と由来
まずはハロウィンの基礎知識を紹介します。
保育指針の解説書にも保育者は季節の行事の由来を積極的に知ろうとするよう示されていますね。
歴史や由来を覚えて子ども達の言葉かけなどにもぜひ活かしてみてください!
●秋の実りを祝う収穫祭&悪霊などを追い出す宗教的行事だった
●11月1日はキリスト教の聖人を記念する「諸聖人の日(万聖節)」
●その前夜祭(Hallows eve)が訛ってハロウィン(Halloween)として定着
●古代ケルト、古代ローマ、キリスト教などの文化が融合して、欧米で発展した
ジャック・オ・ランタン
ハロウィンのシンボルとも言えるオレンジのカボチャの「ジャック・オ・ランタン」。
悪霊を追い払うのに火を使った(ランタンに灯りを灯した)のが由来です。
また、アイルランドの伝説がジャック・オ・ランタンの起源と言われています。
ジャック・オ・ランタン( Jack O’Lantern) というろくでなしの男がいた。男は悪魔をだましたが、その報復として火の灯ったランタン片手に永遠にこの世をさまよい続けることになってしまった……。
もともとはランタンのモチーフはカブだったそうですが、ハロウィンが根付いたアメリカでカブは希少だったことや、「豊かな実り」の象徴としてカボチャになったなどの説があります。
「Trick or Treat!」の意味
海外のハロウィンでは仮装したこども達が家々を訪ね、「Trick or Treat!(トリック・オア・トリート)」と言って、お菓子をもらう……というイメージがありますね。
最近では現地でも地域コミュニティを深めるイベントとして深く根付くようになりました。
元々は貧しい人達がキリスト教の祭日に家を訪ねてお祈りをし、そのお礼としてお金やお菓子をもらっていたことが始まりだそうです。
ハロウィンを機会に、近隣の方々と協力し、ハロウィンの文化を子どもと体験させてもらうのもよいですね。
そんなハロウィンイベントで子ども達と一緒に使いたいフレーズを紹介します。
その応答として……
保育のねらい
ハロウィンの由来をふまえた上で、保育の現場ではどのようにねらいをもって、行事をむかえるのがよいでしょうか?
「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園・保育要領」ではおなじみの五領域をもとに考えると以下のようになります。
①季節の行事を楽しむ(環境)
「実りの秋」を喜び、作物の大切さを学ぶ
②異文化や新しい言葉に出会う(環境・言語・表現)
海外がルーツの行事として世界とのつながりを感じる
ハロウィンを機会に世界の言語・色彩・音楽にふれる
③他者とのやり取りを通し、親しみを感じる(人間関係)
「言葉とお菓子の交換」という行事の特性を活かし、人とのふれ合いのきっかけにする
あえて大人が用意をしなくても、子ども達にとっても普段の生活の中で見聞きした「ハロウィンを楽しみたい」という気もちがあれば、自然と遊びが発生していくはずです。
その遊びがより深まるように、上のことを意識できるとよいでしょう。
それではねらいにそった言葉かけの例をみてみましょう。
言葉かけ例①
旬の作物の問いかけや紹介を通し、季節を意識した「食育」にもつながります。
言葉かけ例②
イベントや製作の導入として由来を紹介する例です。
子どもたちに海外でのハロウィンの写真を見せたり、ハロウィンの絵本を読めば、イメージを共有し深めることができます。
保育施設でもできるカンタン仮装
ハロウィンのお楽しみといったら、大人も子どももやっぱり「仮装」ではないでしょうか?
色は黒やオレンジをメインに使うとハロウィンらしさがでます。
ここでは仮装のアイデアを3つ紹介しますが、子ども達の自由な発想を活かしてアレンジして楽しんでみてくださいね。
【0・1歳児~】バッジ×マントのカンタン仮装
フェルトや色画用紙でハロウィンモチーフのバッジを作り、布をマントのようにします。
マントは乳児さんであればバンダナでもちょうど良いサイズでしょう。
色画用紙で作るのであれば顔の輪郭だけ保育者が用意して、子ども達が顔を書いたり、パーツを貼ったりしても良いですね。
気軽に「変身」気分を味わうことができるグッズです。
【2・3歳児~】まんまるジャック・オ・ランタン
独特の丸さがかわいらしいジャック・オ・ランタンのチューブトップです。
手足が自由に動かしやすいので、乳児さんから歩いたり走ったりできるようになって身体を動かしたい盛りの子ども達にぴったりです。
作り方は横長のオレンジのカラーポリ袋に目や口を付けて、上下にゴムを通すだけ。
不織布でも代用可能です。
子どもがシールなどを貼ってデコレーションしても楽しめます。
【4・5歳児~】チュチュと帽子で魔女
チュチュ(スカート)と帽子の2点セットがあれば、かわいい魔女の仮装ができます。
トップスが黒ならより雰囲気もたっぷりに。
手作りのチュチュは作業が細かく少し時間がかかるので、こども達何人かで協力しながら作るのも良いですね。
チュチュの作り方
①水切りネットを4~5㎝幅に切っていきます。
単色でもカラフルでもかわいい仕上がりになります
②子どものウエストサイズに切って結んだゴムに①を結び付けていきます。
水切りネットの縫い代部分をゴムの結び目にすると見栄えがよくなります。
(参考)●100均の材料で作れる簡単チュチュの作り方 – YouTube
画用紙の魔女帽子の作り方
①画用紙を扇形とドーナツ型にそれぞれ切ります
②扇形に切った画用紙は円錐にして、下に切り込みをいれます
③ドーナツ型に切った画用紙(ツバの部分)と②を貼り合わせたら完成
製作はハロウィンならではの素材を選んで
普段の保育では明るい色をとりいれがちですが、ハロウィンは暗い色や影などを活用するチャンス。
「黒い画用紙に白や蛍光色の絵の具」、「光と影を活かせるセロファン」など素材・画材選びもいつもより工夫してみましょう。
【0・1歳児~】1人でも大人数でも! おばけの手形アート
黒や濃い色の画用紙に手形をペタリ。目や口をつけて個性的なおばけが完成。
つなげてガーランドや壁面にしてもかわいい作品です。
これまでも手形アートを実践したことがあるクラスなら、子どもの成長が感じられますよ。
また大きな紙を用意してみんなで一緒に白い絵の具をペタペタすれば、まるで大きなおばけのように。
みんなで作る大型製作の完成です。
【2・3歳児~】粘土でなんちゃってクッキー作り
粘土遊びデビューに!
丸めたり、潰したりして形の変化を楽しみます。
成型が難しくても、型抜きをしてクッキー作りのように楽しんで。
まだまだ「口にいれてみたい」年齢なので、小麦や米粉を使った粘土に食紅で色を付けるなど、安心素材のものを選びましょう。
【4・5歳児~】紙皿で作るお菓子バッグ
紙皿2枚を貼り合わせて、装飾し、肩から掛けられるようにすれば完成。
装飾は子ども達で。ちぎり絵をしたり、顔のパーツを張り付けたりします。
画用紙やモール、フェルトなど様々な素材を用意しておけば、子ども達は喜びます。
低年齢児のクラスにバッグをかけて遊びに行き、おやつを「どうぞ」と渡しに行ってもよいですね。
「おにいさん・おねえさん」の自覚が芽生えるかもしれないですね。
【番外編】基本のジャックオランタンの作り方
「子ども達にも本場のハロウィンの様子を味わってもらいたい!」と思ったら、本物のカボチャを使ったランタンを作ってみましょう。
海外のハロウィンで見かけるオレンジ色のカボチャは「オータムゴールド」という品種で、実が柔らかく、カットがしやすくなっています。
近隣の店に無い場合は通販が便利です。
ここではベーシックな「ジャック・オ・ランタン」の作り方を紹介します。
①カボチャに顔の下絵を書く
カーブよりも直線メインだとカットが楽です
②カボチャの底をカットし、中身をくり抜く
くり抜く作業は子どもと一緒にスプーンでやってもOK
ワタや水分が多い部分が残っていると痛む原因になるので仕上げは保育者が行いましょう
③下絵にそってナイフでくり抜いて完成!
底にキャンドルやLEDライトを入れて、部屋を暗くしてランタンとして楽しみましょう
ハロウィンの日の特別な遊び
ハロウィンをきっかけに、いつもとは違う遊びにチャレンジできるアイデアを集めました。
当日はちょっとした「ハロウィンパーティー」として、特別感を演出し、ハロウィンの気分を味わっても!
【0・1歳児~】仮装でお散歩
「トリック・オア・トリート!」と家を訪ね歩くことはできなくても、いつものお散歩カーにちょっぴり装飾&子ども達は仮装をして、みんなでお散歩にでかけるのはいかがでしょう。
街の人は意外と子ども達のお散歩を気にかけているもの。
話しかけてくれる人がいたりと、地域の人と接点になるかもしれません。
保育者はぜひ積極的に交流したいですね。
【2・3歳児~】ドキドキ! ミステリーボックス
バラエティ番組などでよく見かける、箱の中に何が入っているかを手の感触を頼りに当てるゲームです。
手を入れられる穴をあけて、箱はハロウィン風に装飾。
ハロウィンのちょっぴりスリルある雰囲気とマッチします。
ヒンヤリ? つるつる? フワフワ?
感触を言葉にして伝えあうことを意識しましょう。
この時期の子どもならではの表現が飛び出るかもしれません。
【4・5歳児~】英語の歌を楽しもう
文化の多様性に気づいたり、興味や関心を深め、楽しみながら違いを尊重する心を養うのも保育園の大事な役割です。
その一つとして、英語のハロウィンソングに親しんでみてはいかがでしょうか?
外国語ならではのイントネーションや擬態語が子ども達にとっては新鮮でしょう。
ワンフレーズだけでも歌う、海外の音楽に合わせて体を動かすことをエンジョイしてみてください。
♪Knock Knock, Trick Or Treat?
家を訪ね「Trick Or Treat」と言ってお菓子をもらう過程が描かれた歌です
♪Spooky Pooky
魔女やミイラ男になりきって体を思いっきり動かしましょう
♪Guess Who?
クイズのように「私はだれでしょう?」という曲です。
きらきら星と同じメロディなので親しみもありますね。
♪Five Little Pumpkins
pumpkinなどなじみのある英語が多く、数の勉強にもなります。
♪Halloween Sharks
SNSで話題の「Baby Shark」のハロウィンアレンジです。
また、海外経験のある家族や英語が得意な近隣の方がいたらお話をしてもらったり、遊びにきてもらっても、保育者・子ども共に世界が広がるでしょう。
編集者より
今や日本でも一大イベントとなりつつあるハロウィン。
一見、保育と関係が縁が遠そうな行事でも工夫次第で、きちんと意義があり、楽しめる時間にできるのです。
実は奥深いハロウィンの世界を子ども達と楽しんでくださいね。
ハッピーハロウィン!
参考文献・サイト
- 厚生労働省「保育所保育指針解説」(2019/09/24)
- 明日のネタ帳「【2019年】ハロウィンはいつ?日本と本来のハロウィンの違いとは」(2019/09/24)
- 改訂新版・世界大百科事典|平凡社「万聖節」(2019/09/24)
- hana’s「トリック・オア・トリート」の意味と答え方!お菓子は何を?
(2019/09/24) - YouTube「100均の材料で作れる簡単チュチュの作り方」(2019/09/24)
- コタローの日常喫茶「ハロウィンのかぼちゃランタンの作り方※長持ちさせる保存方法は?」(2019/09/24)
- ピンキッツ英語童謡「ハロウィン シャーク+21曲 | ピンキッツ ハロウィンソング (2D) 30分スペシャル | サメの家族 」(2019/09/24)
- 高橋詠美子・中島祐子・金田英恵・菊地君江・小菅恭子・部井友紀子(2008)『年齢別 行事ことばかけハンドブック』世界文化社
- 北向邦子・宮地明子ほか(2017)『必ず役立つ! 保育の年中行事まるごとアイデア』ナツメ社
- 『PriPri 2018年10月号』世界文化社
- 『新 幼児と保育 2018年10/11月号』小学館
- 著:Korff Gottfried,翻訳:河野 眞(2007)「翻訳 ヨーロッパ諸国のハロウィン」『言語と文化 : 愛知大学語学教育研究室紀要 』43(16):163 – 197.