2020年2月7日、保育業界にとって衝撃的なプレスリリースが発表されました。
PR TIMES「保育園チェーン蓮美幼児学園が短大新卒初任給を異例の月額30万円に設定」
大阪に本部を置く保育園グループ「蓮美幼児学園」が、昨今の保育士不足を解消するべく、処遇改善の先取り事業を実施した……という旨のニュース。
2020年度の短大新卒保育士の初任給を30万円にアップするという破格の内容に、業界内では多くの注目が集まっています。
蓮美幼児学園って?
蓮美幼児学園は、大阪府に本部を置く社会福祉法人「光聖会」および宗教法人「光聖寺」が母体となっている保育園グループです。
法人の大本は浄土宗遍照山光聖寺という、1719年(享保4年)に創立されたお寺で、第11世までは女性が住職を務める尼僧寺院でした。
「現代社会に貢献できる寺を」「幼子の魂の教育が仏性を創る」をコンセプトに、1993年4月、お寺に隣接する形で光聖寺エデュケーションビルを建設。
そこを蓮美幼児学園の本園(および宗教法人「光聖寺」の本部)として、さまざまな保育施設の運営を行っています。
初任給アップの詳細は?
プレスリリースの情報によると、初任給アップの対象となるのは2020年度(令和2年度)の新卒保育士さん。
専門学校や短期大学を卒業している場合は月給30万円、四年制大学を卒業している場合は月給30万4500円を初任給にする、としています。
さらに経験者としての経歴を持っている場合、月給30万円に加えて最大4万5000円の手当が加算されます。
どうしてこれほどの給与額アップが可能になったか。
それは法人の財源から拠出される、月額保育士限定特別手当①22,000円と保育士限定特別手当②50,000円が加算されているためです。
そのほか、賞与や福利厚生には以下のような待遇が挙げられています。
賞与 | 年2回(前年度実績3,0か月) |
休暇 | 週休2日制・バースデー休暇・産休育休・介護休暇・夏季休暇など 有給完備 |
福利厚生 | 上京時の交通費支給(規定有) 社員紹介制度(一時金支給) 社宅制度(家賃上限82,000円のワンルームマンションに、自己負担1万円で入居可能) |
対象になったのはどんな園?
今回初任給アップの対象となったのは、亀高保育園(東京都江東区)と蓮美幼児学園 西小山ナーサリー(東京都目黒区)の2園です。
亀高保育園
亀高保育園は、社会福祉法人「光聖会」が運営する公設民営保育園です。
施設自体は江東区が用意したものですが、業務・運営は光聖会が委託を請け負う形で行っています。
0~5歳児を預かる認可保育園で、定員は全年齢あわせて111名。園庭や固定プールなどを備えた大きな園であり、それだけ保育スタッフの拡充が切実なものとなっています。
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蓮美幼児学園西小山ナーサリー
蓮美幼児学園西小山ナーサリーは、宗教法人「光聖寺」が運営する認可保育所です。
0~5歳児を受け入れていて、定員は全年齢あわせて60名。各年齢ごと10人前後のクラスとなっています。
蓮美幼児学園西小山ナーサリーは保育園激戦区である目黒区に構えられた園で、スタッフの採用が他園に比べて困難です。その状況下でより多くの保育士さんを集められるよう、今回の処遇改善に踏み切ったといいます。
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保育士の平均初任給と比べると……?
厚生労働省が行った2018年の賃金構造基本統計調査によれば、新卒保育士(20~24歳)の初任給は男女ともにおよそ19万円前後。
一般的に高給与が期待できると目されている公立の保育園でも、そこに勤めている保育士の平均月給は約28万円です。
公務員の立場で働くことになる公立保育園の保育士より、蓮美幼児学園が打ち出した初任給の方が高額となっています。
処遇改善を目的としたこの改革がどれほど思い切ったものであったか、一目瞭然ですね。
編集者より
蓮美幼児学園はプレスリリースにて、「今後はグループ園とも連携を取りつつ、37カ所の園が安定的に素晴らしい保育・教育を実現できるよう邁進していきます」と語りました。
保育士の専門性を認めて待遇を改善する、従業員を大切に思う法人の姿が浮かびますね。
保育士不足が深刻な問題となっている昨今。
この思い切った施策を皮切りに好待遇の求人がどんどん増えて、保育のお仕事がどれほど価値あるものかが見直されるとよいですね!