保育補助は、保育士をサポートする重要な役割を担う職種です。子どもたちの安全な遊び環境の確保や、日常的な生活援助、保育活動の準備など、多岐にわたる業務を行います。
保育に入る際、保育補助としてどのようにするべきか自分の立ち回り方が分からず、戸惑いを感じる場面もあるでしょう。疑問に思ったときは、その都度保育士に確認して対応をしていくことが重要です。
本記事では、保育補助として特に気を付けるべき点について詳しく解説します。これから保育補助として活躍を目指す方や保育に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
- 保育補助と保育士の違い
- 保育補助がやってはいけないこと
- 保育補助として働く上での注意点
もくじ
保育補助と保育士の違い

保育士とは、子どもの保育に関する専門的な知識と技術を持ち、保育所や乳児院などの施設で子どもの発達支援や生活指導を行う専門職で、国家資格である保育士資格を持つ人を指します。
一方で保育補助とは、保育施設において保育士の指導の元で、子どもたちの日常的なケアや見守り、保育環境の整備などをサポートする役割を担う人材のことです。
保育補助と保育士の具体的な違いについて、項目ごとに以下の表にまとめました。
保育士 | 保育補助 | |
資格 | 必要(保育士資格) | なくてもよい |
役割 | 子どもの成長と発達を支援する中心的存在 | 保育現場のサポートがメイン |
業務内容 |
・保育計画の立案 ・子どもの健康管理 ・保護者対応 ・季節の製作物準備 ・行事準備 ・連絡帳記入 ・保育環境設定 |
・食事や排せつの援助 ・保育環境設定 ・イベントや季節の製作 ・片付け ・掃除 ・保護者対応 |
大きな違いの一つは、資格の要不要です。保育士として働くには保育士資格が必要ですが、保育補助であれば資格がなくても働けます。保育士の仕事は保育計画の立案や子どもの健康管理など、保育所などにおいて重要なものであり、資格保有者しか担えません。
一方で保育補助は、保育士の専門的な仕事をサポートする役割です。室内外の清掃や消毒、おもちゃ・教材の準備、安全確認などを行います。これらは保育士の指示の下で行う業務であり、責任は保育士にあります。しかし保育補助の仕事は子どもたちの成長や健康維持のために大切なものであり、責任感とやりがいを持ち働けるでしょう。
保育補助がやってはいけないことは?

保育補助として働く際には、子どもたちの健やかな成長と安全を守るため、やってはいけないことがあります。保育補助として、やってはいけないことの具体例を挙げて説明します。
保育士に確認せずに自己判断する
保育補助は保育士のサポートが主な役割です。保育補助として業務を行う際は、必ず保育士の指示に従った行動が必要です。
自己判断で物事を進めてしまうと、子どもたちの安全管理や保育の質の面でトラブルが発生する可能性が高くなります。
例えば、保育士に確認せずに2歳児の園児を遊具で遊ばせたら、けがをさせてしまうかもしれません。年齢に見合った遊具で遊ばせることは、安全管理業務の一つです。勝手な判断でけがをさせてしまっては、子どもの安全を守れず、保育士にも迷惑をかけてしまいます。
少しでも保育のことで疑問に思ったり、不安になったりした場合は保育士に確認しましょう。
保育士の業務指示に従わない
保育士の指示に従わないことは園全体の業務の流れを乱し、深刻な混乱を招く可能性があります。子どもたちの安全な保育環境にも影響を及ぼすでしょう。
指示に疑問や不明点がある場合は、必ず担当の保育士に確認し、指示の意図や目的について説明を聞いてください。保育現場での指示には、子どもたちの安全や成長など明確な意図や理由があります。
保育士の業務領域に介入・干渉する
保育補助者は、保育士だけが対応できる業務に介入・干渉してはいけません。特に保育計画の作成や子どもたちの発達に関わる意思決定は、専門的な知識と経験に基づいて行われているため、保育補助の立場からの過度な介入や干渉は控えてください。
意見交換や協力を通じて、チーム全体の保育の質を高めることを意識しましょう。
保護者に過度に関与する
保護者とのコミュニケーションにおいても保育補助の立場として、過度な介入は避けてください。日常的な挨拶や簡単な情報共有は問題ありませんが、専門的な判断や責任が伴う会話には慎重な対応が求められます。
重要事項に関する質問や他のクラスや園児に関することなど、保育補助の業務範囲を超える場合は自己判断での回答を控えましょう。返答する場合は「担任の先生に確認いただけますか」や「園長先生の方がより詳しい情報をお伝えできるので、確認してまいりますね」など、担任の保育士や園長に確認するよう丁寧に一次対応をすることが大切です。
保護者の信頼を損なわないよう、誠実な対応を心掛けましょう。
報告・連絡・相談をしない
どのような職場でも重要とされる報・連・相ですが、特に子どもの成長と安全に関わる保育現場では、チームワークが重要です。
保育士同士が密に連携を取り、情報を共有し合うことで、子どもたちにより良い保育環境を提供できます。そのため報・連・相を怠ることは、子どもの安全管理や適切な保育の実施に支障をきたし、深刻なトラブルの原因となる可能性があります。
些細なことでも保育士に伝えて連携できるよう心掛けましょう。
保育補助として気を付けること

保育の現場で補助として働く際には、さまざまな点に気を配る必要があります。子どもたちの安全確保や発達段階に応じた適切な対応、保育士との連携、保護者とのコミュニケーションなど、多岐にわたる配慮が求められます。
保育補助として働く上での気を付けることを意識して、保育に取り組んでみましょう。
業務範囲を確認する
保育補助の業務範囲は保育施設ごとに大きく異なるため、事前に詳しい内容を確認しておくことが重要です。
各園では独自の方針やルール、日課があり、それに応じて対応も変わります。不明点や疑問点が生じた際は、担当保育士や主任、園長などに積極的に確認しましょう。 特に子どもの安全や健康に関わることは、必ず職員に相談することをおすすめします。
臨機応変に動く
子どもの急な体調不良や天候による活動変更など、保育現場では予期せぬ状況が日常的に発生します。状況に応じて柔軟かつ適切な対応が求められる場面が多いです。
指示を待つだけの受け身な姿勢だと、保育士に迷惑がかかります。日々の保育の流れを理解し、事前に担当保育士に確認をしましょう。相談をした上で必要なサポートを先回りして行動に移せると、より良い保育補助ができます。
子どもたちへの目配りを忘れない
保育士は保護者との面談や連絡帳の記入、書類作成、職員間の打ち合わせなど、さまざまな業務で忙しいです。そのため、保育補助者が子どもたちの動きや表情に常に注意を払い、きめ細かく見守りを行えば、園内での事故を未然に防げます。
特に、子どもたちの活動が活発な時間帯や環境の変化がある場面では、より一層の注意が必要です。子どもたちへの目配りを意識すれば、安全で健やかな保育環境を実現できるでしょう。
保護者対応を適切に行う
基本的には保育士が保護者への対応をしますが、保育補助者も日常的な声掛けや挨拶を丁寧に行いましょう。特に登園時や降園時の基本的なコミュニケーションは、保育補助者も欠かせません。
適切な言葉遣いやマナー、そして温かみのある態度で保護者に接することは、保育園全体の信頼性と評価を高めることにつながります。保育の質を示す重要な要素の一つといえるでしょう。
保育園への影響があることを意識して、保護者とコミュニケーションを取ってみてください。
些細なことも報告する
前述の通り保育現場では報・連・相が重要であり、コミュニケーションの基本です。ヒヤリハットのみならず、子どもたちの日々の行動変化や感情の起伏、体調の変化、発達の様子など、細かい変化を職員間で積極的に共有することが大切です。
情報共有を通じて、職員全員が子どもたちの状況を正確に把握すれば、一貫性のある適切な保育を提供できます。結果として、より安全な保育環境を作り出せ、チームとしての保育の質が向上します。
保育補助として働くやりがい・メリット
保育補助として子どもの成長を近くで見守れることは、大きなやりがいです。日々の活動を通じて、子どもたちの新しい発見や学び、心身の発達を実際に目にでき、その成長過程に寄り添える喜びがあります。
資格がなくても働けることも大きなメリットです。実務経験を積みながら保育士試験の受験資格を満たせ、将来のキャリアアップにもつながります。
柔軟な働き方を選択できる点も魅力的です。保育所にもよりますが、フルタイムやパートタイム、早番・遅番など、自身のライフスタイルに合わせた勤務形態を選べるケースがあります。
保育補助として働くデメリット
雇用形態にもよりますが、給与水準は一般的に比較的低めです。園によって給与差があり、公立保育園は比較的高いです。
他にもデメリットとして、職場環境や施設の方針によっては、子どもとの直接的な関わりが限られている場合があります。掃除・洗濯などの日常的な雑務や保育室の環境整備、おもちゃの消毒、給食の配膳補助などのサポート業務が中心となるケースも少なくありません。
そのため、応募前に求人情報を確認し、面接時には具体的な業務内容や一日の流れについて詳しく質問することがおすすめです。自分の期待と実際の仕事内容との間にミスマッチが生じることを防げます。
まとめ
保育補助の仕事は子どもたちの成長と発達に直接関わる重要な職務です。一人ひとりの子どもの個性を尊重しながら、その子どもに合った支援を提供することが求められます。
保育補助で気を付けることは、保育士との密接な連携を図りながら、子どもたちが安心して過ごせる環境作りに配慮することです。
注意点を意識しながら、子どもたちの健やかな成長を支える安全で充実した保育環境作りに努めましょう。日々の関わりを通じて、子どもたちの笑顔と成長を支えていけるように取り組んでみてください。
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監修者情報

礒部はるか
保育士資格・幼稚園教諭一種免許状を保有。大学卒業後、学童・児童館にて保育士として従事。その後、保育園にて乳幼児クラスを担当。現在は複数の保育メディアにてライター・編集者・監修者として活動。