保育士さんにも多いと言われる「うつ」。最近気分が落ち込みがち…夜眠れないなど、心身の不調が続いていませんか?今回は「もしかしたらうつかも…」と思った際に気になる、医療機関の選び方や受診のしかた、費用についてご紹介します!
うつで悩む保育士さんが多いってホント?
保護者対応に職場の人間関係、更にアレルギー対応や発達障害などへの個別の配慮等、気を配ることの多い保育士さんは、うつを発症することも多い職業と言われています。
実際、生涯にうつ病を発症する人の割合が13人に1人とされる中でも、「保育・介護関係の仕事」が最もリスクが大きい職種と言われています。
どんな医療機関を受診すればいいの?
とはいえ、いざ医療機関を受診しようと思っても、どのようなところに行けば良いのか、何科を受診すればいいのか…迷ってしまいますよね。ここでは医療機関の選び方のポイントをご紹介します。
◆うつ病を治療する診療科◆ | |
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精神科 | 精神疾患を専門に扱う診療科。強い不安や不眠、イライラなど精神的な不調が現れた場合に受診します。 |
心療内科 | 心と体の両面から治療を行う診療科。ストレスなどがもとになる身体的な不調が現れた場合に受診します。 |
神経科 | 精神科同様に心の病気の治療を行う診療科です。 |
精神神経科 | こちらも神経科同様、精神科と同じように心の病の扱う診療科です。 |
【迷ったら】 | 複数の診療科をかかげている場合や、どの科を受診すればいいかわからない時には、電話などで聞いてみるか、インターネットなどでどんな症状を扱っているか確認しましょう! 最近はこころのクリニック、メンタルヘルス科などと看板に書かれている医療機関もあります。 |
医療機関の選び方のポイント
- ◆通いやすいところを選ぼう!
- 2週間おきなど、はじめのうちは頻繁に通院が必要な場合もあります。自宅から通いやすい場所であることに加え、診療時間が仕事の都合などに合わせやすいところを選びましょう。
- ◆症状に合った専門医がいるところを探そう
- うつ病はパニック障害、PTSD(心的外傷後ストレス症候群)、強迫性障害、睡眠障害、摂食障害などを併発するケースも多くあります。
そのため現在のご自身の症状をいったんノートなどに書きだしてみて、対応してもらえるか問い合わせるのも一つの方法です。場合によっては、その症状に詳しい専門医のいる医療機関を受診した方が良い場合もあります。
- ◆口コミも参考にしよう
- 最近は病院の口コミを集めたサイトも複数あります。予約の取りやすさや待ち時間、診察時間、先生の様子など、いろいろと参考になる部分があるので、のぞいてみると良いでしょう。
しかし口コミサイトで人気だからといって、ご自身に合うかどうかはわかりません。あくまでも参考として、他者の意見だけに頼らないように気を付けましょう。
- ◆もしも合わないな…と感じたら?
- ドクターショッピングという言葉をご存じでしょうか。これは「主治医と合わない」と感じて、医療機関を転々としてしまうことです。
話を聞いてくれない、薬の副作用を説明してくれないなど、信頼ができない場合には転院という手段の検討も必要ですが、あまり転院が多いと、都度問診や初診料が必要となり、精神的にも金銭的にも辛くなってきますので注意しましょう。
一定期間は通って、主治医と信頼関係が作れれば良いですね。
(※なお保険は適用外ですが、セカンドオピニオンという手段もあります。)
まずは電話で問い合わせをしてみる、というのも、ご自分に合った医療機関選びの参考になるかもしれません。
どんなことを聞かれるの?
実際に医療機関を受診する際、気を付けたいのが「予約の要否」。うつなど心の病の治療の場合には、診療時間が長くなる場合があるので、予約制をとっているケースが多くあります。必ず確認しましょう。
また、初診時には問診票の記入やヒアリングが行われます。参考までに、聞かれやすいポイントをチェックしてみましょう。
- ◆初診時に聞かれやすいこと◆
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・現在の気分、体の状態
・悩んでいる症状といつから悩んでいるか
・仕事や学校について(内容や現在の状況、学歴や職歴)
・家族構成と家庭環境について
・傷病歴(自身や家族について)
・近親者に亡くなった人がいるか(時期や原因など)
・家族に精神疾患を抱える人がいるか
・現在治療中の病気や服薬について
・結婚や離婚について
・趣味や喫煙・飲酒習慣について
・自分の思う性格について
・基本的な生年月日、住所などの個人情報
分からないことは、そのように答えても大丈夫です。試験ではないので、リラックスしてありのままを伝えましょう。
気になる初診料の目安と、医療費を安く抑える裏ワザとは?
医療機関にもよりますが、健康保険(国民健康保険・社会保険など)に加入している場合には、保険診療の対象となりますので、初診時の費用は、だいたい3,000円~5,000円程度になることが多いでしょう。(薬の内容などにもよります。)
ただし大きな医療機関の場合には、紹介状がないと保険外併用療養費(選定療養費)がかかる場合などもありますので、あらかじめ問い合わせておくと安心です。また、職場に提示するために診断書などが必要な場合には、別途3,000円程度必要となる場合があります。
◆困ったときの支え「自立支援医療制度」◆
心の病は治せるものですが、その治療には時間がかかることも。その場合には医療費も高額になり、ストレスになったり通院が難しくなることもあります。そんな時に支えてくれるのが「自立支援医療制度」です。
- ◆自立支援医療制度とは◆
- 心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
うつ病などの精神疾患や白内障などの視覚障がい、心臓機能や肢体に不自由を抱えている場合などが対象となります。申請は市町村に行います。申請が通れば医療費の負担が基本1割負担となり、所得に応じて1カ月当たりの支払金額に上限が設けられます。
- ◆申請手順と注意点◆
- 【申請手順】
●市町村の担当窓口(市町村ごとに異なります)に以下の書類を持参し、申請します。□市町村や医療機関にある自立支援医療(精神通院)支給認定申請書
□医師の診断書(書式は市町村に確認しましょう)
□市町村民税課税証明書(非課税証明書)
□(非課税の場合は本人の収入が確認できる書面)
□健康保険証のコピー
□その他印鑑など(自治体に問い合わせましょう)●申請が認められると「受給者証(自立支援医療受給者証)」が交付されます。
●医療機関受診の際に、支給された受給者証と自己負担上限管理表を都度持参します。
- 【注意点】
●診断書の発行には別途3,000円前後の費用がかかります。
●受給者証の有効期限は原則1年で、更新が必要です(期限の3カ月前程度)
●医療費の軽減が受けられる医療機関は、「指定自立支援医療機関」に限られます。
●申請から受給者証の受け取りまでは1カ月程度かかる場合があります。
職場には伝えた方がいいの…?
うつ病の診断を受けて悩むのが「仕事をどうするか」。まずは医師と相談し方針を決めていきましょう。
必要であれば、休職して一旦仕事から離れた方が良い場合もあります。その際には、きちんと職場に相談し、診断書など休職に必要な手続きを進める必要があるでしょう。
働きながら通院する場合でも、例えば通院などについて周囲の理解が得られていた方が、精神的安定につながる場合もあるでしょう。職場に伝えるか否かは、もちろん個人の判断にはなりますが、信頼できる人にだけでも伝えておくと良いかもしれませんね。
編集者より
心の風邪とも言われる「うつ」は誰でもなり得る病気。ストレスの多い毎日、あなたや身近な人が発祥する可能性も十分にあります。無意識のうちに心が悲鳴をあげていることもあるので、まずは自分の心身に目を向ける時間をつくること、そして異変に気付いたら早めに専門家に相談するようにしましょうね!
いま、心に苦しさを抱えているすべての読者さまが、1日も早く、再び笑顔になれますように…心より願っております。
参考文献・サイト
- うつ予防ナビ
- うつ病治療のウソ・ホント┃現役カウンセラーが教えるQ&A専門サイト
- うつ病 こころとからだ
- うつ病 こころとからだ|社会的サポート
- うつ病の治療・初診の診察(初回の問診)