厚生労働省は、朝と夕方の送迎の時間帯に限り、現状最低でも2人以上の配置が定められている保育士の数を1人に減らすことを検討しています。保育士不足に対する解決策として提案されているこの省令改正案、皆さまはどう思われますか?今回は保育士さんを中心とする100名の読者さまを対象に、意識調査を行いました!
朝夕の保育士1人体制ってどういうこと…?
現在、児童福祉法で定められている保育士の配置基準では、最低でも保育士の資格保有者を常に2人配置することが定められています。また、各自治体の認可外保育施設指導監督基準でも、常時複数の有資格者を置くことと明記されています。
厚生労働省が検討しているのは、これを送迎の朝と夕の時間帯のみ、有資格者1名+「保育ママ」などの保育業務経験者1名で運営できるようにするというものです。
これは2017年度末には約7万人の保育士不足が見込まれることから検討されている規制緩和で、すでに2015年4月からは、一部地域で試験的に取り入れられているようです。厚労省では、事業者や利用する保護者からの強い反対が無ければ、政令を改正する見込みです。
省令改正案の認知度はわずか30%?
今回のアンケートでは、まずこの省令改正案に対する認知度を伺いました。すると「良く知っている」と回答したのは全体の10%にとどまりました。「だいたい知っている」「聞いたことはある」という回答もそれぞれ9%、11%といずれも認知度が低く、一方で「知らなかった」という回答は70%にも上りました。
71%が反対!安全面での不安の声が多数
続いて、改定の意図や内容を伝えたうえで、省令改定の賛否について伺ったところ、71%の方は「反対」と回答。「賛成」というご意見はわずか16%にとどまりました。
◆賛成の理由
改定に賛成する方の意見としては、「無資格でも働けるチャンスが増えるから」というご意見が最も多く、その他「既にそのような体制を取っている」などのご意見もありました。
◆反対の理由
一方で反対理由の多数を占めたのが「朝夕は保護者対応などで忙しく、保育士2人体制は必須だと思うから」というもの。実に71人の反対回答者のうち63人がこの理由を挙げていました。その他「有資格者の負担が増えるから(39人)」「待機児童問題解消の根本的な施策になっていないと思うから(36人)」「保育の質が下がると思うから(35人)」というご意見の他、以下のような声も寄せられました。
もっと現場を知って!保育士さんの切実な想い
最後にこの改正案について、自由記述形式で得られたご意見を、抜粋していくつかご紹介しましょう。
編集者より
厚労省は、大きな反対がなければ省令を改正するとしていますが、まずこの改正案について、現場を含めもっと広く広報すべきように感じます。知らないことに対しては、異を唱えたり、問題点を指摘することもままなりません。
保育施設を増やして、待機児童の預け先を確保し、女性の社会的な活躍を後押しすることは、日本経済にとっても大変重要です。しかしながら、そのために人員確保の難しさを無資格者でカバーするというところに、まったく問題がないと言い切れるでしょうか。
本当に必要なのは、保護者が”安心して”子どもを預けられると同時に、保育士さんが”安心して”子どもを預かれる環境なのではないでしょうか。それが実現できなければ現状抱える保育士不足が、解消されることは無いように感じます。
有事の際の責任はどうするのか、そもそも現状で人が足りていると言えるのか、保護者の意見は?保育士の意見は…?行政にはさまざまなことを入念に検討し、当事者の声をしっかりと収集することを切に願いたいものですね。
・実施期間:2015年7月31日~8月20日
・実施対象:
保育士(79.0%)・幼稚園教諭(6.0%)
その他保育関連職(4.0%)・学生(4.0%)・その他(7.0%)
・回答者数:100人(平均年齢:32.4歳)
・男女割合:女性/99.0%・男性/1.0%
※ご協力いただきました皆さま、貴重なご意見をありがとうございました!