保育士の悩み

ラクに・楽しく・着実に目標達成!スモールステップ法とは?

スモールステップ

みなさんは「スモールステップ法」をご存じですか?スモールステップ法とは、大きな目標を達成するために広い分野で使われている心理学的メソッドのことです。日々目の前の子どもの世話に追われていろいろな仕事が滞ってしまっている、という保育士の方も多いでしょう。今回は、保育士さんにも実践しやすいスモールステップ法についてご紹介いたします。

スモールステップ法とは

スモールステップ法とは

辞書による定義は?

スモールステップとは、日本語では「小さな階段」という意味です。辞書では次のような定義がされています。

最初から高い目標を掲げるのではなく、目標を細分化し、小さな目標を達成する体験を積み重ねながら、最終目標に近づいていくこと。

―スモールステップほう【スモールステップ法】の意味 – goo国語辞書

「やる気」を出すために効果的な手法

スモールステップの原理を最初に提唱したのは、アメリカの心理学者バラス・スキナーです。もともとは教育現場や心理療法の場面で使われていた手法がスモールステップです。

人間の脳がやる気を出すためには、実は「報酬系」という脳の回路を満足させる必要があります。この報酬系を満足させるには、報酬という名のとおり「ご褒美」が必要です。このご褒美は、基本的には以下の2つです。

  1. 達成できそうな課題に取り組み始めること
  2. 課題を達成したという成功体験を得ること

スモールステップでは、この2つの「ご褒美」システムを、こまめに、かつ的確に刺激します。これにより、とても効果的にやる気を保たせてくれるのです。

スモールステップのメリット

メリット

スモールステップをうまく導入できると、最終目標までストレスなく頑張リ続けられるようになります。ゲーム感覚でこなせるので、やる気が出なくて困っていた人、自信を失っていた人にも効果があります。

塾講師の経験のある方によれば、面談でスモールステップを使って学習計画を立ててあげると生徒の顔がパァッと輝くとのこと。以下のようにもおっしゃっていました。

苦手意識や先延ばしグセのせいで勉強にとりかかれず、いつも叱責を受けるなかで自信を失っていた生徒も、スモールステップを導入すると「私にもできるんだ!」という感じの反応をします。安心とともにやる気が出てくるようで、多くの生徒が別人のように楽しそうに学習に取り組みはじめます。そして、先生、今日はこんなに進んだよ!と嬉しそうに報告に来てくれるのです。

課題にゲーム性を持たせて楽しく取り組ませる手法をゲーミフィケーションといいます。小さな課題をひとつずつテンポよくこなして乗り越えていくスモールステップには、ゲーミフィケーションの要素もあるのですね。

スモールステップの実践方法

実践方法

以下にスモールステップの基本的な実践方法を説明します。

1. ゴール(最終目標)を設定する

まず、最終的に達成したい目標を設定します。あとでゴールまでのステップを細かく区切っていくので、少し遠いように思えるゴールでも構いません。

2. ゴールまでにこなすべきことを細分化してスモールステップに

1で設定したゴールまでにやるべきことを、最小単位に区切っていきます。1ステップは「ラクに楽しくこなせるレベル・分量」にします。1ステップにつき5〜30分程度でこなせる程度まで細分化できるとより良いでしょう。具体的な方法は次の項で説明します。

3. 一つのステップずつ確実にこなしていく

2で設定したスモールステップを、1つずつ順番にこなしていきます。もともと1ステップをラクなレベル・分量に抑えてあるので、確実にこなすことができるでしょう。

4. 一つのステップをこなすごとに小さな「ご褒美」を

この段階もとても重要です。脳の報酬系は何か小さなことを達成しただけでもそれを「ご褒美」として感じ、やる気を出してくれますが、この「ご褒美」をより強調してみると、もっとやる気や楽しさがかきたてられるでしょう。下にいくつか例を挙げます。少し子どもっぽいと感じるかもしれませんが、こういった少し単純にも見える工夫が、脳にはとても良い刺激をくれるのです。

・1ステップ終わったら「終わった!」と声に出して言う
・ラジオ体操のスタンプカードのようなものを作り、1ステップ終わるごとにスタンプを押す
・数ステップの区切りごとに好きなものを食べたり好きなことをしたりする(お菓子を食べる、散歩をする、音楽を聴くなど)

保育の現場でスモールステップを生かす方法

おたよりを作る場合

おたより

以下では、園で月ごとのおたよりを作るときを例にとり、スモールステップの具体的な実践方法を解説します。

1. ゴールの設定

ゴールはこのケースでいえば、「おたよりを全員の保護者さんに届ける」に設定するとよいですね。おたよりを作るといっても、よく考えるとこなすべきことはおたよりを印刷するまででは終わらず、すべての保護者さんの手元に届けるまでが含まれますから。

2. スモールステップ化

ここが実は肝要です。早く仕上げなければという気持ちで焦りが出るかもしれませんが、ここにはあえて少しだけ時間と手間をかけてみましょう。こなすべきことを初めのうちに漏れなく整理して書き出しておくことで、あとで「あれもこれもしなければならなかった!」などと慌ててしまったり、想定よりも時間が大幅に足りない、などという事態に陥ってしまったりすることを防げます。

まずは少し大きめのステップ(大ステップ)に分けることから始めて、最終的にこれ以上小さくできない最小単位(スモールステップ)になるまでステップを分けていきましょう。まずは以下のように4つに分けてみます。

  1. 作成準備
  2. 作成
  3. 印刷・封入
  4. 発送

ここからさらに細かく分けていきましょう。

細分化

「作成準備」では何が必要でしょうか。まずはおたよりに載せる内容を集めたり、整理したりすること、著作権や肖像権が関わる内容に関しては関係者に掲載許可をとること、必要な備品をチェックし、足りないものがあれば申請することなどが挙げられると思います。

「作成」では、PCを使うか手書きかによって細かいところが変わってくるとは思いますが、レイアウトの決定、文章の記入(見出しを決める→内容を書く)、挿絵や写真の挿入、全体チェック、といったステップが必要になりそうです。

「印刷・封入」では、実際の封入作業だけでなく、宛名・住所の記入または印刷も必要になってきます。

「発送」では、誰かが郵便局や運送会社に発送に出向くか、あるいは園に集荷に来てもらうかなども考える必要があります。

以上のことを踏まえて、スモールステップまで噛み砕いていきましょう。以下のような感じはどうでしょうか。

作成準備
a. 載せる内容を決める
b. 使う挿絵・イラストを集める
c. 写真の掲載許可をとる
d. 必要な備品をチェックする
e. 足りない備品を申請する

作成
a. レイアウトを決める
b. 見出しを決めて書き入れる
c. 内容を書いていく(見出し1個につき1ステップぐらいでOK)
d. 挿絵・イラスト・写真を挿入する
e. 誤字や表現などの全体チェック(自分で)
f. 誤字や表現などの全体チェック(主任・園長など)

印刷・封入
a. 印刷
b.封入の予定を立てる
c. 宛名・住所の記入(印刷)
d. 切手の貼付(必要な場合)
e. おたよりを封筒に入れて封をする

発送
a. 発送の予定を立てる
b. 発送する

ここまで分けるの!?と驚かれた人もいると思います。スモールステップではこのように、1ステップを5〜30分程度で終わるようなサイズにまで小さくするのがコツなのです。

園やステップ内容によっては、もっと細分化できるもの、ひとつにまとめられるもの、複数人で手分けして同時並行で行うものなどがあるでしょう。また、うちの園ではこのステップが必要、と加えたいものもあるかもしれません。ご自分の園や、やりかたによって実践しやすいようにアレンジしてみてください。

3. ゴールから逆算して時間配分を決める

時間配分

スモールステップ化の次に大事なのが時間配分です。ここをきちんと実践しておくと、あとで大きく時間が押してしまうこともなく、作業が驚くほどスムーズに進むようになります。

まず、ひとつのスモールステップを1日に1,2個という前提で仮計算します。作業時間でいえば1日最短で5分から、長くても1時間ですね。ここで重要なのが、1大ステップ(上記の1〜4)ごとにギリギリに配分するのではなく、1日ぐらいずつの予備日をとって余裕をもった配分にしておくということです。

上の例では、スモールステップは合計で18個ありました。出勤日を単純に週20日と仮定した場合、予備日も含めて考えると、1つのおたよりにつき常に最大まるまる1ヶ月ほどを使って作業を進めていくことが必要らしいことがわかります。逆にいえば、毎月、前号のおたより作業が終わったらすぐに次号にとりかかり、毎日少しの作業を着実に続ければ、確実におたより作業を完遂できるということもわかりますね!

以上、おたより作成を例に具体的な解説をしてみました。資格取得、指導案の作成など、いろいろな目標達成のときの参考にしてくださいね。

スモールステップのエッセンスを取り入れた考え方を

保育の現場ではその場その場で即応していかなければならない仕事が多いので、スモールステップでコツコツと継続的にこなしていくようなタイプの課題が見つかりにくいこともあるかもしれません。その場合は、毎日のお仕事のなかにスモールステップの根底にある考え方を取り入れてみましょう。それは、「人がやる気を出すには常に『ご褒美』が必要」というものです。

きっちりメソッドどおりに実践するのでなくても、スモールステップには「タスクをすべて書き出して整理する」「なるべく小さなステップに区切ってこなす」「こなすごとに何か少し『ご褒美』を用意する」など、仕事に生かせるエッセンスがたくさんあります。

こちらの過去記事では、こうした仕事効率化のコツをたくさん紹介しています。タスクの書き出し方法も詳しく説明していますので、よろしければご覧ください。

毎日てんてこまいの保育士さんに!仕事効率化のコツ12選 | 保育のお仕事レポート

子どもへの指導で本領発揮

低いところから徐々に高い目標を目指していくスモールステップは、成長過程にある子どもの教育現場での指導に最もよく合った手法です。ですから、子どもに接するときにもぜひこの手法を意識してあたってみましょう。

スモールステップで指導にあたれば、無理のある課題にチャレンジしなくてよくなるので、子どもも先生もイライラしたりせずに楽しく成長していけるようになるはずです。

編集者より

今回は仕事の生産性をアップしてくれるスモールステップの考え方についてお届けいたしました。
あなたのお仕事がスムーズに完遂できますよう、お祈りしております!

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