保育の基礎知識

保育士さんの文章力向上!仕事で「良い文章」を書くコツ

保育士さんの文章力向上!仕事で「良い文章」を書くコツ

書類仕事などで書く力が求められることが多いのが保育士さんですよね。文章力をアップするには、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか。今回は、仕事で「良い文章」を書くためのコツをお伝えします。

保育士さんが書く「良い文章」とは?

ズバリ、「読みやすい」のが良い文章です。保育士さんとしては、まずは「読みやすい」を目指すことから始めましょう。

文章は読みやすければ、読み手に最後まで読んでもらえる確率、納得してもらえる確率が上がります。文章は基本的には「読み手に読んでもらい、納得してもらう」ためにあるので、ここは最も大事なポイントです。

そして、「読みやすい」というのは実は単純に、「読みにくい要素ができるだけ除かれている」ということです。

これから紹介するコツを掴んでおけば、苦手意識のある人でも文章を読みやすいものにブラッシュアップでき、大幅に文章力を上げることができます。ぜひ試してみてください!

文章力アップのコツ基本編:読みやすさアップの仕掛けを仕込む

文章力アップのコツ基本編

文法的な仕掛け

まずは文法的な仕掛けです。文法というと難しそうなイメージがありますが、思ったよりも簡単に実践することができます。

一文を短くする

一文を短くするのは最も簡単にできる仕掛けのひとつです。例を挙げて見てみましょう。

一文が長い例

4月になって暖かくなってきましたが、ひまわり保育園では春から初夏のうちにピクニックを予定しており、詳しい日程や持ち物などについては追っておたよりでご案内する予定ですので、しばらくお待ちください。

同じ文を短い文の連なりに直したもの

4月になって暖かくなってきましたね。ひまわり保育園では春から初夏のうちにピクニックを予定しています。詳しい日程や持ち物などについては追っておたよりでご案内する予定です。しばらくお待ちください。

一文が長いとズルズルした印象になって意味が掴みにくい感じがありますね。一方、短い文に区切ったものは、まったく同じことを言っているのにすっきりしてとてもわかりやすい印象があります。まずはここから実践してみましょう。

主述をまっすぐにつなぐ

文章の主語と述語をねじれさせず、まっすぐにつなぐことも大事です。主語で出てきた品詞を確実に同じ品詞で受けることがポイントなのですが、この説明ではいまいちピンときませんよね。実際の例を見てみましょう。

主述がねじれた文

ひまわり保育園の日課は、お散歩します。

→「日課」が主語で、品詞は名詞です。この場合、述語も名詞にならなければなりませんが、この文では述語が「お散歩します」と動詞になっています。こういった状態を「主述がねじれている」と言います。

主述がまっすぐにつながった文

ひまわり保育園の日課は、お散歩することです。

→「日課」という名詞を、「お散歩すること」と名詞で受けています。これが「主述がまっすぐにつながった文」です。

品詞について細かく考えていると、頭がこんがらかってしまいがちですよね。こんなときは、一度文章を音読してみるのもひとつの手です。書いただけでは気づかなかったねじれに、感覚的に「あれ?ちょっとおかしいな」と気づける確率が上がります。

肯定表現で書く

日本語文をわかりにくくする要素のひとつに、「二重否定」があります。二重否定とは、否定表現を二つ重ねることによって肯定をするものです。

二重否定はとても日本語らしい奥ゆかしい表現で、会話に少量使うとニュアンスに奥行きや華を持たせることができます。しかし文章に書く場合にはパッと見たときに意味がとりづらく、示す内容もあいまいになりがちです。特に報告書のような書類では、二重否定はできるだけ避けてスパッと肯定表現で表すようにしましょう。

二重否定表現

Aちゃんは、嬉しくないこともないという様子でした。
B先生がいなければお遊戯会は成功しませんでした。
Cちゃんは次にはさらなる問題行動に出ないとも限りません。

肯定表現

Aちゃんは、少し嬉しそうな様子でした。
お遊戯会はB先生のおかげで成功しました。
Cちゃんは次にはもしかするとさらなる問題行動に出るかもしれません。

肯定表現のほうがシンプルで、意味がスッと入ってきますね。こうしたちょっとした読みやすさの積み重ねが、読みやすい文章を形作っていきます。

接続詞を的確に使う

接続詞は文章の流れをわかりやすく整理してくれる交通標識のようなものです。文章を見ていてなんとなくわかりづらいと感じたら、接続詞を補うことができないか考えてみましょう。

接続詞のない文章

AちゃんはBちゃんに叩かれたと言っています。BちゃんはAちゃんに叩かれたと言っています。

接続詞を補った文章

AちゃんはBちゃんに叩かれたと言っています。しかし、BちゃんはAちゃんに叩かれたと言っています。

「しかし」が入ることで、1文めの意味と2文めの意味が反対の内容を示していることがわかりやすくなりました。接続詞が入ったほうが読みやすいですね。

列挙する場合は箇条書きに

何かを列挙する場合には箇条書きにしたほうが断然読みやすくなります。

箇条書きにしない場合

5月20日のピクニックの持ち物は、帽子、スモック、水筒、お弁当、タオルです。

箇条書きにした場合

5月20日のピクニックの持ち物は以下のとおりです。
・帽子
・スモック
・水筒
・お弁当
・タオル

箇条書きのほうが断然見やすいですね。見落としも防げそうです。

親切な仕掛け

文法的な仕掛けのほかには、「親切な仕掛け」と言えるような仕掛けがあります。読み手に対してより親切で「かゆいところに手が届く」ような内容を目指しましょう。読んでいる間の小さな疑問点やわかりづらさを解消することができ、読みやすい文章に仕上がります。

順序よく情報を詰め込む(5W1H/6W3H)

順序よく情報を詰め込む

文章が苦手な人の中には、「何をどう書いたらいいのかわからない」となって筆が止まってしまう人がいます。そんなときに覚えておくといいのが「5W1H」「6W3H」です。

「5W1H」「6W3H」とは、情報を十分に伝達できる文章構成の頭文字をまとめた、代表的な2つです。以下、これらがどういったものなのか、例文を使って説明します。

・5W1H

5W1Hは最も基本的でポピュラーな文章構成法です。

  • いつ(When):5月20日
  • どこで(Where):なかよし運動公園に
  • 誰が(Who):ひまわり保育園のみなさんが
  • 何をした(What):行きました
  • なぜ(Why):ピクニックのために
  • どのように(How):歩いて
  • 上のように情報を列挙してみたうえで、自然な文章にまとめると以下のような感じになります。

    5月20日、ひまわり保育園のみなさんはなかよし運動公園でピクニックをしました。公園まではみなさんで歩いて行きました。

    いくつかの要素を省いても文章は伝わるので、必ず5W1Hの情報を入れなければいけないわけではありません。ただ5W1Hは、情報量の多い文章を書くとき、また、書くべきことがうまく思いつかないときにとっかかりとして使うのには非常に便利な考え方です。ぜひ覚えておきましょう。

    ・6W3H

    6W3Hはビジネスで最近ポピュラーになってきている文章構成法です。具体的な数値などが加わるため、契約上のやりとりなど固めの報告書などに適した方法と言えます。

  • 誰が(Who):ひまわり保育園の園長は
  • 誰に(Whom):市に対し
  • いつ(When):今年の1月
  • どこで(Where):市役所窓口にて
  • 何をした(What):助成金の申請書を提出した
  • なぜ(Why):園の経営規模が拡大したため
  • どのように(How):新年度に向けて
  • どのくらいの数で(How many):○人の保育士を追加採用するため
  • いくらの金額で(How much):○円の
  • 上のように要素を書き出したうえで自然な文章にまとめると以下のような感じになります。

    ひまわり保育園の園長は今年の1月、市役所窓口にて新年度に向けた助成金の申請書を提出した。園の経営規模が拡大しており、○人の保育士の追加採用が必要なため、○円の支援を求めるものである。

    保育園ではここまで細かい情報を網羅した文章を書かなければいけない機会はそう多くないかもしれませんが、もしものために知っておくと安心です。

    具体的なイメージを示す

    パッと見たときにイメージしづらい数量などに関して、視覚的に思い浮かべやすい例で説明するのも親切なやりかたです。

    600ml→ コップ3杯ぐらい
    約直径10cm→ 手のひらに乗る程度

    文字のまま理解しようとするよりも、頭の中で映像をイメージできるほうがずっとわかりやすいですよね。

    誤解されやすい表現は避ける

    逆の意味・複数の意味にとれる書き方や、持ってまわった書き方はなるべく避けて、ストレートな表現にするようにしましょう。

  • 結構です・いいです→ 満足しているのか必要ないのかはっきりしないので、ほかのはっきりした表現に変える
  • いかがなものか→ 疑問を感じる
  • 〜と考えるのは私だけではないだろう→ 皆〜と考えるだろう
  • 会話表現では日本語特有の行間を読ませるような表現は良いアクセントになりますが、文章では声のトーンや表情などでニュアンスを補うことができないので、できるだけ避けることをおすすめします。

    句読点の位置に気を遣う

    句読点は読み手が違和感や苦痛を感じず、自然に読めるような位置に打っていきます。それから、ひらがなや漢字が続いたりして「句読点がないと誤読しやすかったり読みにくかったりする位置」にも句読点を入れるとベストです。

    文法的な規則性を突き詰めると頭がこんがらかってしまいます。ですから、「目で黙読する」「(頭の中で)音読する」確認方法をとりましょう。目が引っかかるところがないか、息継ぎのリズムを崩さずに読めるかを確かめる感じでチェックしていきます。

    読点なし

    5月20日はとても良い天気で子どもたちも生き生きと輝く笑顔で走り回っていた。

    不自然な位置に読点を打ったもの

    5月20日、はとても良い天気で子どもたちも生き生きと輝く、笑顔で走り回っていた。

    自然な位置に読点を打ったもの

    5月20日はとても良い天気で、子どもたちも生き生きと輝く笑顔で走り回っていた。

    ひらがなが続くところに読点がなく、やや読みづらいもの

    それからひらがなや漢字が続いたりして

    読点を打って読みやすくしたもの

    それから、ひらがなや漢字が続いたりして

    自然だと感じる句読点の位置は人により微妙に異なりますが、音読チェックはそれなりの正解を導き出してくれます。自信の持てない人は何度か繰り返しチェックしてみましょう。

    ひらがなにできる表現はひらがなに

    少し難しい漢字はつい使ってしまいたくなることがありますが、パッと見たときにわずかながら目が引っかかって読みにくさを感じたり、実際に読めない人も出てきたりします。ひらがなにして差し支えない(=読みにくくならない)ようなところはできるだけひらがなにしましょう。

  • 所謂→ いわゆる
  • 所詮→ しょせん
  • 〜等→ 〜など
  • 〜する事もある→ 〜することもある
  • 様々な→ さまざまな
  • 出来る→ できる
  • あまり細かいところを気にしはじめるときりがなく、何をどこまでひらがなにするかはプロでも迷うところです。保育士さんのお仕事の範囲では、「ふと気になった部分をひらがなにする」という程度でかまいません。

    文章力アップのコツ応用編:魅力の高い文章にする

    文章力アップのコツ応用編

    ここからは応用編です。文章の最終目的は言ってみれば「人を惹き付け説得すること」ですが、こうした部分は半分プロの領域でもあります。基本編を実践してみたうえで、余裕がある人だけチャレンジしてみましょう。

    語尾に変化を与えてリズム感に動きをつける

    文章にはある程度一定のリズム感が必要ですが、あまりにリズムが一定でも単調になってしまい、ズルズルとして子どもっぽい印象を与えてしまいます。

    こちらの文例では「(い)ます」が4つ連続していて、単調でイマイチこなれない印象を与えます。

    ひまわり保育園では、とことん子どもたちに寄り添っています。担当の保育士たちはベテランから若い世代までが揃っています。保育士たちには定期的なブラッシュアップ研修を徹底しています。ひまわり保育園のサービスは、きっと保護者さまがたにご安心・ご満足いただけます。

    語尾に変化をつけたものです。「ます」を「です」に変えたり、言い切り表現にしたりして単調さを回避し、文章の魅力をアップしています。

    ひまわり保育園は、とことん子どもたちに寄り添う保育園です。担当の保育士たちはベテランから若い世代までが揃っています。保育士たちには定期的なブラッシュアップ研修を徹底。ひまわり保育園のサービスは、きっと保護者さまがたにご安心・ご満足いただけることでしょう。

    文章のプロであれば上のようにすべての語尾をバラバラにすることが求められたりしますが、保育士さんが仕事で使う範囲であれば、「同じ語尾が3つ以上続くようならひとつ変える」ぐらいの手入れで良いでしょう。

    ターゲット(読み手)をはっきりさせる

    人をより惹き付ける文章にするには、ターゲット(読み手)をはっきりさせる必要があります。

    というのは、文章というのは読んでくれる相手によって、わかりやすい語彙や心地よい文章のトーン、親近感のある例などがまったく異なってくるからです。

    保護者さんに向けたおたよりなのか?園内の報告書の類なのか?子どもたちへ向けた文章なのか?園のサイトやチラシに載せる文章なのか?こうした読み手の違いをはっきり認識し、それぞれの読み手に伝わりやすそうな語彙やトーンなどを工夫してみましょう。

    伝えたいこと・文章の目的を明確にする

    文章のゴール、その文章を読んだ結果読み手にどんな行動をしてほしいかなどを想定してみましょう。ゴールが明確だとその道筋も迷わず最短距離で描き出すことができます。

    例えば

  • 月案・個別指導計画など:まずわかりやすいことが大事
  • おたより:保護者さんに安心したり前向きな気持ちになってもらったりすることが大事
  • 園のサイトやチラシ:「この園は信頼できそうだ/行きたい」と思ってもらい実際に来てもらうことが大事
  • こういったゴールが設定できるかもしれません。
    ※人やケースによって目的は違ってくるので、上記は仮の一例に過ぎません。あなたなりの、その文章なりのゴールを自由に設定してみてください。

    編集者より

    文章は書きなれないとなかなか自信を持って書くことができないものです。しかし、実践・練習を繰り返すことで上達していくというのは、どんな分野のスキルの習熟でも同じですよね。上記のコツを押さえたら、ゆっくり・気軽にでかまわないので、ひとつずつ実践を積み重ねていってみましょう。きっと、昨日や一ヶ月前のあなたより、グンと文章力の上がったあなたに出会えるはずですよ!

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