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【2017年度版】どうして低いの?保育士の給料~年収アップを狙うには~

保育士不足が嘆かれる昨今。保育士の離職率を高めている最大の原因ともいえるのが「給料の低さ」です。
保育士は子どもの発育に欠かせない貴重な時間を預かり、さまざまな遊びやケアで面倒を見る専門職。保護者への支援や対応も行い、多岐にわたる提出書類の作成もこなすハードなお仕事です。
にもかかわらず、どうして保育士の給料はなかなか上がらないのでしょうか?

今回の記事では、保育士の給料の現状や給料アップの秘訣などをご紹介いたします。

保育士の給料の平均は?

保育士の給料

厚生労働省の平成28年賃金構造基本統計調査によれば、保育士の平均年収は以下のように発表されています。

平均年齢 平均年収 平均月給 平均年間ボーナス
36歳 約327万円 約22万円 約59万円

統計元:厚生労働省 平成28年度賃金構造基本統計調査

正規職員であれば年金や保険料の分で2~3万ほど給料から天引きされるため、実際の手取りは月およそ19~20万ほどになるでしょう。
業務量や仕事の責任を鑑みれば、仕事内容に見合っているとは言いがたいですよね。

保育士の平均年収【経験年数別】

保育士の給料 経験年数

経験年数が多くなるほど、年収も増えていきます。特に公立保育園では公務員として働くことになりますので、公務員法やその市区町村の規則に応じて定期的な昇給・賞与を得ることができます。

保育士の平均年収【年齢別】

保育士の給料 年齢

保育士の大多数を占めているのは女性です。しかし女性保育士は全年代を通して、大きな昇給がありません。
保育士には役職と呼べるものが少なく、またその枠も限られているので、キャリアアップによる昇給が難しいせいもあるのかもしれません。
男性保育士は40代後半でかなり昇給するような印象を受けますが、これはこの年代の男性保育士が少ないことと、この年代に管理職・園長が多いことによるものだと思われます。

保育士の平均年収【企業規模別】

企業規模 平均年収 平均年齢
10人~99人 327万 35.8歳
100人~999人 330万 36.0歳
1000人以上 310万 37.7歳
平均 397万 31.3歳

統計元:厚生労働省 平成28年度賃金構造基本統計調査

規模の小さい企業では一人当たりにかかる負担が大きいためか、給料も高くなる傾向があるようですね。

保育士の初任給は?

保育士の初任給

保育士の初任給は平均で16~17万円ほどと言われています。手取りにすると13~14万円で、中には手取りが10万円ほどしかないという園もあります。
高専や短大卒か大卒かでもおよそ2万円の差がつきますが、いずれにしてもあまり高いとは言えない支給額です。

なお、初任給に関しては公立保育園でも私立保育園でもさほど変わりはありません。

保育士の昇給制度はどうなっているの?

保育士の昇給

公立保育園であれば、そこで働く保育士さんは公務員のくくりになるため、毎年決まった昇給や賞与が見込めるでしょう。経験年数を重ねるごとに安定した給与を得ることができるため、公立保育園では他と比べて離職率が低くなっています。
しかし、私立保育園ではまた事情が異なります。各園によるので一概には言えませんが、公立ほどきちんとした昇給制度はなく、なかなか安定していないのが実情です。

なぜ保育士の給料は低いのか?

保育士の給料
保育士の給料水準には、保育園の運営費の仕組みが関係していると考えられます。

保育園の運営費の仕組み

保育園の運営費は主に、

  • 保護者からの保育料
  • 国からの負担金・補助金
  • 市町村や都道府県からの負担金・補助金

で賄われています。これらが市区町村から各保育園に分配されるのです。
なお認可外保育園の場合は国や都道府県からの補助金を受け取れないため、保護者からの保育料のみで運営費を賄っています。

しかし、全額を運営費としてもらえるわけではありません。保護者から受け取る保育料には「公定価格」と呼ばれる一定の基準が存在します。

「公定価格」って?

公定価格は「世帯収入※1」「子どもの年齢※2」「子どもの人数※3」「住居地」「通う保育園の形態」などの要素から決定され、平成24年度の厚生労働省の調査によると、1世帯における児童1人あたりの月額保育料は全国平均で月20,491円となっています。

※1 世帯収入が高いほど保育料も高くなります。
※2 0歳児がもっとも高くなります。
※3 人数が多いほど1人当たりの保育料は安くなります。

本来、保育園を運営するとなれば、保護者から多額の保育料を徴収することが必要になります。
しかしほとんどの世帯ではそれを支払うことができないため、認可保育園ではその差額分を国や自治体が補助しているのです。
そしてこの公定価格や補助金の額は、スムーズに運営できる最低ラインで決められています。つまり多くの認定保育園は、常にギリギリの状態で運営をしていることに……。

保育士の給料は、運営費から支払われている

そのような状況の中で、保育士の給料はギリギリで回している運営費の中から支払われるのです。園からすれば金銭のゆとりがありませんから、人件費は極力抑えたいですよね。
ゆえに、保育士がどれほどハードなお仕事でも給料が安いままになってしまうのです。私立保育園において経験年数を重ねてもなかなか昇給できない事情も、この仕組みにあります。

給料アップを狙うには?

保育士 給料上げる
今の時点でより多く給料を得るためには、さらなる処遇改善を待ちながら副業を始めるか、現在の職場よりも待遇のいい保育園への転職などが挙げられるでしょう。
保育士不足が深刻化している現在は、どこも人材確保のために高待遇な求人を出しています。思い切って、新しい職場を探してみるのもいいかもしれませんね。

保育士の給料が保育園の運営費から支払われている以上、保育士の給料を上げるためには、国や自治体がより多くの補助金を出すことが必要です。しかしそれは国の財政を大きく圧迫する施策であり、なかなか難しいのが現実。
2017年4月には新たな処遇改善もなされましたが、その手当の使い道は各保育園に任されています。給料アップに反映された……と実感できていない人も多いのではないでしょうか。

処遇改善はこれからもされていく方針ではありますが、ただそれを待つだけでなく、ぜひ積極的に長く働ける場所を探してみてくださいね!

編集者より

保育士 給料

2017年からは主任より下の中堅層に「副主任保育士」「専門リーダー」「職務別分野リーダー」といった役職を新設し、各々に月額数千~数万円の処遇改善を行うという向きもあります。国の方針として、これから保育士への処遇改善はどんどん行われていくはずです。
ぜひ前向きに、ご自身が笑顔で働ける場所を見つけていきましょう!

参考文献・サイト

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