働き方の多様化や核家族化などに伴って、「どうしても18時のお迎えに行けない」という保護者の方が増えています。
深夜まで働いているために、通常の保育園への入園を諦めざるをえない方も少なくありません。
そうしたニーズに応えられるのが、延長保育を含む「夜間保育」です。
しかし「夜間保育」と聞くと、夜中まで預けられる子どもが可哀想・子どもに悪影響があるのではないか……といった、ネガティブなイメージを持ってしまう人が多いのではないでしょうか。
今回の記事では、知っているようで実は知らない「夜間保育」について詳しくご紹介します。
◆夜間保育園「キッズタウンうきま夜間保育園」の取材記事を掲載しています
保育のお仕事レポート・編集部が東京都には2園しかない認可夜間保育園である「キッズタウンうきま」を取材しました。夜間保育園のようすや、園長先生・保育士さんのインタビューなどどの記事も必見です!

https://hoiku-shigoto.com/report/archives/18612/

もくじ
夜間保育とは?
夜間保育とはその名の通り夜間、一般的に夜18時以降に行われる保育サービスを指します。
7~18時の昼間保育を行う保育園でも、延長保育によって18時以降も保育できるため、この延長保育を夜間保育と称することもあります。
認可保育園の標準保育時間(子どもを預かる時間)は最大11時間と決められていますが、何時から何時までを保育時間とするかは園によってさまざまです。
多くの保育園は7~18時の昼間保育を行っていますが、中には11時~22時で子どもを預かる園もあります。そうした保育園は「夜間保育園」と呼ばれていて、延長保育を利用すれば深夜以降まで保育を行うことが可能です。
院内保育などの24時間態勢の夜間保育も、「1日中預かったまま」じゃなくて、「24時間いつでも預かれる態勢」ってことホイ。
そのほか、企業内保育や院内保育など、認可外の保育園でも夜間保育を実施しているところがあります。
成立の背景は?
夜間保育が制度として成立したのは1981年のこと。
深夜に留守番していた子ども達が火事で亡くなったり、夜間保育を行う無認可のベビーホテルで子どもが事故死したり……といった、痛ましい事件が立て続けに起きたことがきっかけです。
厚生労働省による局長通達「夜間保育所の設置認可等の取扱いについて」によって、認可を得て、夜間保育を行う保育所がサービスを提供できるようになりました。
この制度ができて以降、認可夜間保育園は全国で80か所にまで増加しました。
しかし、全国の認可保育園が2万3700か所あることを考えると、まだまだ少ないといえます。
夜間保育の預かり時間
認可夜間保育園の預かり時間は、1日平均で16.5時間(基本時間11時間+延長保育5.5時間)です。
11時から始まって、一番遅くて翌日の早朝3時半まで子ども達を預かることができます。
もちろん、園によって延長保育をどれだけやるかはさまざまなので、朝まで開園しているところもあるようです。認可外の保育園でも同様で、預かり時間は園によって異なります。
夜間保育を利用する家庭の事情はさまざまです。
政治家や医師・看護師、マスコミ関係、夜間の接客業など……保護者の職業は多岐にわたります。
子どもに影響はないの?
夜間保育に付きまとう偏見のひとつに、「子どもの発達に悪影響なのではないか」というものがあります。
確かに、一般的な保育園の保育時間を4時間後ろ倒しにしている以上、子どもの生活リズムや情緒安定に何の影響もないとはいい切れません。
しかし、子どもの発達状態に一番影響するのは、保育の時間帯ではなく家庭における育児環境といわれています。
たとえ夜間保育であっても質の高い保育が提供されていれば、子どもに大きく悪影響を及ぼす可能性は低く一般的な昼間保育の子どもと、発達状態に差がつくことはそれほど大きくないといえるのです。
より専門性の高いスタッフを配置することで、子どもの情緒安定や生活リズムを整えることも十分に可能だといえます。
参考:CiNii「夜間保育の子どもへの影響に関する研究」安梅勅江・呉栽喜
夜間保育士の仕事内容
夜間保育園での子ども達は、夕食を食べたり入浴したり、迎えがくるまで睡眠をとったりして過ごします。遊ぶにしても室内で静かに絵本を読むなど、昼間保育ほど激しい遊びはしません。
そのため、夜間保育園に勤める保育士の主な仕事は、子ども達の入浴・睡眠のサポートになります。
- 主な仕事内容
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□登園対応
□食事対応(ミルクを作って授乳など)
□オムツ交換・トイレ補助
□お風呂に入れる
□寝かしつけ・就寝時の見回り
□連絡帳等の書類対応
□行事の準備、作成物の作成
□お迎え対応
夜間保育園では年齢ごとのクラス分けがされていないケースが多いので、0~5歳児の子ども達を一緒に保育することが多いようです。
夜間保育で働くには?
夜間保育で働く上で、特別必要な資格はありません。保育士の資格を持っていれば、夜間保育園に勤務することができます。
パートタイムでの勤務も可能であるため、昼間の時間を自由に使いたい保育士さんにはおすすめと言えるでしょう。
夜間保育園に通う子ども達は、外も暗くなってくる時間帯から保護者の方と離れて、眠りながらお迎えを待つことになります。
昼間保育に比べて遊びの時間も少ないため、ふとした瞬間に寂しさや不安感が大きくなりがちです。そうした子ども達にきちんと寄り添ってあげられる人なら、きっと向いているはずですよ。
夜間保育士の給料
夜間保育で働く保育士の給料は、一般的な保育園よりも高くなっています。
というのも、勤務時間が夜間であるため、時間帯によっては深夜割増料金が適用されるからです。
- 深夜割増料金とは?
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深夜の時間帯に就労する場合に義務付けられた法律です。
深夜の時間帯(22時~翌5時)に働く場合には、通常の沈金に深夜割増賃金がプラスされて支給されます。
基本時給に対して25%の金額が上乗せされます。
22時以降も勤務している場合には、その分だけ高い時給が発生していると考えていいでしょう。
また、園によっては夜勤手当を支給するところもあります。ただし、夜勤手当は労働基準法に定められたものではなく、事業所に支払い義務もないため、就職の際にしっかり確認しておくことが必要です。
夜間保育で働くメリット・デメリット
夜間保育で働くことで、保育士にはどのようなメリット・デメリットが生じるのか、考えてみましょう。
メリット
スキルアップができる
一般的な昼間保育の保育園では行わない入浴補助などができるため、保育士としてのスキルアップに繋がります。寝かしつけにしても、昼間のお昼寝とは異なり、夜間の場合はお迎えまで眠れるように工夫が必要になるでしょう。
Wワークも可能
昼間に別の仕事をしている保育士が夜間保育を選ぶケースもあります。また、昼は子育て、夜は保育士の仕事、というケースもあるでしょう。昼の時間を自由に使いたい、という人にはおすすめです。
デメリット
昼間保育に比べて、環境の変化が激しい
夜間保育園の場合、家庭の事情に伴って、子ども達の入園・退園が頻繁です。休みの日がバラバラなこともあり、毎日同じメンバーで過ごすということがあまりありません。
子ども同士の関係性も変化していくため、子どもにとっても保育士にとっても、落ち着かない環境であるといえます。
しかし、こうした環境の変化に適応できる・子ども達のケアに意識を向けられる人であれば、問題なく勤務することができるでしょう。
編集者より
「子どもを夜まで放っておくなんて」「昼間の仕事をすればいいのに」そんな偏見に、一番苦しんでいるのは保護者の方です。
しかし、職業選択の自由は憲法で保障されています。家庭環境もまったく違う第三者が、夜間保育の利用者やそこで働く保育士を一方的に非難することは、社会の多様性を否定することになります。
保育園、そして保育士の役割は、子どもだけでなく保護者の方の支援をすること。
子どもはもちろん、夜遅くまで一生懸命働いている保護者の方にとっても、心強い味方でありたいものですね。
参考文献・サイト
- 櫻井慶一編『夜間保育と子どもたち 30年のあゆみ』北大路書房(2014/2/20)
- 保育士辞めたいの私だ「【夜間保育って?】預かり時間から働く保育士の給料まで徹底調査!」(2017/7/19)
- mamanoko「保育園の時間は?延長保育や夜間保育のお迎えまでの過ごし方は?」(2018/4/4)
- 保育ぷらす+「ニーズが高まる夜間保育を保護者はどう選ぶ? 保育士はどう働く?」(2018/5/16)
- 「お迎えラッシュは深夜2時 「夜間保育」の真実」(2017/10/7)
- ハタラクティブ「夜勤手当と深夜割増賃金の違いとは?」(2017/5/17)
- 日テレNEWS24「密着!夜間保育園…保育士が奮闘、課題は?」(2017/12/14)