保育の基礎知識

気になる「パート保育士」の働き方を解説!給料や仕事内容は?

保育士には、正規職員(正社員)やパート・アルバイト、派遣など……さまざまな雇用形態があります。

今は正規職員として働いている保育士でも、ライフスタイルの変化に応じて、働き方を変えたいと思うこともあるでしょう。
そのときに選択肢のひとつとして挙げられるのが、「パートタイマー」として働くことです。

今回の記事では、「パート保育士」としての働き方や働くうえでのメリット・デメリットを詳しくご紹介します。

パート保育士の仕事内容

パート保育士とは、時給制で雇用される非正規職員の保育士のことを指します。
勤務シフトは数時間であったり週に数日であったり、早番・遅番のみだったりと、正規職員に比べて時間に融通がきくのが特徴です。

ただし、園によっては勤務時間に縛りがあったり、パート保育士でもフルタイム並みに勤務してほしいと言われたりするところもあります。

パート保育士の仕事内容は、園の方針によって大きく変わります。
ただし、これらはあくまで一例。園の方針や配置人数などによって少しずつ仕事内容も変わってきます。
求人情報はもちろん、面接時にもしっかり確認しましょう。

短時間パートの場合

1日4~6時間勤務・1ヵ月120時間未満のパートの場合、仕事内容は正規職員のサポートや保育補助が主です。

清掃や片付け、子ども達の食事や排泄のサポートがメイン。
さらに、集団行動で担任がカバーしきれない子どもに対応するケースもあります。

一方で、書類作成などの事務作業や保護者対応、担任としてクラスを持つことなどはほとんどありません。

長時間パートの場合

1日8時間勤務・1ヵ月120時間以上のパートの場合、正規職員と遜色ない仕事を割り振られることが多いようです。

時にはクラス担任を任されたり、早朝・夕方・夜間保育などの人手が足りない時間帯にメインで子ども達のお世話をしたり……。
さらに、書類作成の事務作業が入ることもあります。

パート保育士は無資格や未経験でもできる?

保育士資格がなくても、未経験でもパート保育士にはなれます。
子育て経験があると子どもとの関わりがスムーズにできたり、1日の流れも把握しやすかったりというメリットがありますが、なくても問題ありません。
採用にはあまり関係ないでしょう。

あなたが無資格なら、求人を見るときは「保育士」ではなく「保育補助」で探しましょう。
「保育士募集」と書いてある場合は、ほぼ資格者を求めています。

ただし無資格でも「将来的に保育士資格を取得したい」と思っている場合、採用されるケースもあります。
直接、園に問い合わせてみましょう。

パート保育士の待遇

計画的に

パート保育士として働く場合の待遇について見ていきましょう。

給与・賞与

パート保育士の給与は、地域によって左右されますが、おおよそ時給1,000円~1,200円の間で設定されているところがほとんどのようです。
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査 」によれば、パート保育士の全国平均時給も、1,147円となっています。
もちろん、保育士資格の有無も影響してきます。

早朝・夜間保育を実施している園の場合はもう少し高くなりますが、給与は園によってもさまざまなので、求人情報をよくチェックしておく必要があります。

また、ボーナスはあったとしても少額支給というケースが多いようです。

健康保険

原則として、勤務時間・日数が正規職員の4分の3以上に達していれば、社会保険の加入対象です。
年収が一定金額を超えると扶養から外れてしまうため、「扶養内で働きたい」と考えている保育士さんは注意しましょう。

園と相談しつつ、勤務時間を決めていくようにしましょう。

有給休暇

パート保育士であっても、勤務開始から6ヵ月経過すれば有給休暇をもらえます。
何日もらえるのかは勤続年数や勤務時間にもよりますので、働き始めて半年たったらそれとなく聞いてみましょう。

もちろん、面接のときに教えてもらえるケースもあります。
有給休暇はパートであっても取る権利がありますので、忘れずに確認しておきましょう。

パート保育士と正規職員・派遣との違い

いずれの雇用形態にしても、子ども達からすれば正規職員と同じ「先生」です。
受け持つ仕事の量や重要度に関わらず、責任ややりがいは十分にあるといえます。

では、待遇や雇用契約において、正規職員(正社員)や派遣保育士とパート保育士にはどのような違いがあるのでしょうか?

正規職員との違い

正規職員とパート保育士とで大きく異なるのは、昇給や賞与といった金銭面です。

正規職員の場合は毎年昇給があり、ボーナスも支給されます。
しかし、パート保育士の場合は昇給がない場合が多くなっています。ボーナスがあっても少額のみというところがほとんどのようです。

とはいえ、パート保育士は正規職員と違ってシフト制であることが多いため、時間に融通をきかせて働くことができます。
特に短時間パートであれば、業務の負担は軽いといえますね。
給与と働きやすい時間、どちらをとるか……折り合いをつけながら働けるのが理想です。

派遣保育士との違い

派遣保育士の場合は、パート保育士とはそもそも雇用主が違います。
パート保育士は正規職員と同じように保育園と直接雇用契約を結びますが、派遣保育士は人材派遣会社に雇用され、その会社と契約する保育園に派遣されて働きます。

実際に業務の指示・指導を行うのは保育園ですが、賃金の支払いや福利厚生については、人材派遣会社のものが適用されます。

パート保育士として働くメリット・デメリット

指針を参考にねらいを決める

パート保育士として働くメリットとデメリットを確認しておきましょう。

メリット

  • 働く時間帯に融通がきく
  • 事務・書類作成作業が少ない
  • 子どもとたくさん関われる
  • 扶養内で働ける

デメリット

  • 給与や待遇面で正規職員に劣る
  • キャリアアップが難しい
  • フルタイムでの勤務を求められることがある
  • 片付けや掃除など雑用が多い

メリットの「子どもとたくさん関われる」とデメリットの「片付けや掃除など雑用が多い」は相反するものですが、これは園によって考え方が大きく変わる点です。
保育士資格の有無でも変化しますし、場合によっては一緒のクラスに入る正規職員の先生によっても変化します。

保育士資格がない場合は、「片付けや掃除など雑用が多い」ケースが多いようです。
逆に考えると、それだけ「責任が少ないので負担が減る」ともいえるでしょう。

「どのような働き方をしたいのか?」「何を重視するのか?」をよく考えて、メリット・デメリットを比較する必要があるホィ。

パート保育士の求人を探す方法

パート保育士の求人を探したいときは、以下のような方法があります。

  • インターネット検索をする
  • 保育士専門の人材紹介会社に登録する
  • ハローワークに行く
  • 近所の保育園に問い合わせる

保育園の前に「保育士募集」の貼り紙があるケースもあります。

直接募集していないか問い合わせるのもよいですが、その場合は「子どもが以前通っていた」「知人が働いている」など、園の様子を知っている場合のみおすすめします。
園の様子や条件をよく確認できないまま、働く流れになってしまうことがあるからです。

あなたの希望条件に合うものを見つけるためにも、さまざまな方法を併用して、効率よく求人を探していきましょう。  

パート保育士の求人に応募するときのポイント


パート保育士になるために、求人に応募したときのポイントを確認しておきましょう。

パート保育士の履歴書の書き方

履歴書で特にポイントとなるのが、志望動機です。

「子どもが好きだから」もよいですが、あなたが正規職員ではなくパート保育士を希望するのには理由があるはず。
その理由を明確に書くことがオススメです。

「子育てが落ち着いたから経験を活かして働きたい」「子どもが学校に言っている間に時短で働きたい」などですね。
そこを明確にしておくと、実際働きだしてから「早番もしてくれない?」など当初の条件と違うことを言われにくくなります。

「自分のどの部分が園の役に立てるか」も忘れずに書けるとよいですね。

パート保育士の面接のときの服装は?

面接に行くときは、きちんとした印象を与えられるよう、スーツや落ち着いた服装で行くことがオススメです。

実際働くときと同じように、ナチュラルメイクで髪の毛もまとめるとよいでしょう。ネイルも落としておいた方がいいですね。清潔感が大切です。

パート保育士の面接前にしておきたいこと

面接に行く前に、希望する勤務時間や曜日など自分の希望を整理しておきましょう。
履歴書にも書きますが、口頭でも伝えられるようにするためです。

「行事があっても土日の出勤はできない」「早番なら可能」「遅番は18時までなら可能」などですね。

採用してもらうためにとりあえず「できると思います」などと言ってしまうと、あとで困る可能性も出てきます。
希望の優先順位も明確にしておき、面接時にきちんと伝えられるようにしておくことがポイントです。

パート保育士の実際の声

最後に実際パート保育士として働く人たちの声を集めました。園によってさまざまですが、「こういうケースもあるのか」と参考にしてくださいね。

Case1「勤務時間の希望は通らなかったけれど休みは取りやすいので働きやすい」

本当は9時~15時で働きたかったけれど、それはシフトが組みづらくなるからできないと断られてしまいました。
けれど、休みの希望は通りやすいので働きやすいと思います。

Case2「いろんなクラスに入るので慣れるまでに時間がかかるけれど慣れると楽しい」

昨日は0歳児、今日は5歳児などと入るクラスが決まっていないので、慣れるまでに時間がかかります。先生の急な欠勤や早退があると、1日でいろんなクラスに行くことも。
最初はそれが大変でしたが、慣れてくるとクラス関係なく子どもたちが話しかけてくれるので楽しく感じるようになりました。
「先生、今日何組に入るの?」と聞かれることもありますよ。

Case3「思った以上に責任のある仕事を任されるので大変」

保育補助なので基本担任の先生のサポートをしていますが、早番の時間だけは1人で子どもを見なくてはいけない場面が多く、保護者対応などもあるので負担に感じます。
「パートなのにいいのかな」と思うことも。

Case4「保育に対する考え方の違いに慣れない」

子どもが大きくなったので、保育士に復帰。しかし、一緒のクラスの先生とは以前働いていた園と保育の考え方が違うので、注意されてばかりでうまくいきません。
でも、パートの立場なので、あまり強く反論できず…働くことを決める前に見学するなどして様子を確認しておけばよかったです。

Case5「割り切って楽しく仕事ができている」

出産前は持ち帰り仕事も当たり前にやり、仕事にのめりこんでいましたが、産後はそうもいきません。パート保育士として復帰した今は、以前のように行事を企画から考えたり、壁面にこだわったりという楽しさは減りましたが、書類作成などの事務仕事がないので、負担も減りました。
今は子どもに関わる仕事ができるだけいいと割り切って働けています。

編集者より

正規職員、パート保育士、派遣保育士……さまざまな雇用形態があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
今回ご紹介したパート保育士についても、短時間で自由に働きたい人にはおすすめですが、キャリアアップを目指したい・稼ぎたいという人には不向きといえます。

ライフスタイルと相談しながら、納得できる働き方を見つけていけるといいですね!

参考文献・サイト

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