取材・インタビュー

「会えない時間も子どものことを想っています」オルト保育園・橘真里奈先生インタビュ-

東京都新宿区・高田馬場の静かな住宅街に構える「オルト保育園」。
スタイリッシュな外観の園舎には特徴的な吹き抜けとスロープ、そしてほかの園では類を見ないアトリエが設えられています。
子どもたちはこうしたユニークな園の中で、芸術活動を通じて主体性や表現力を日々楽しく身につけています。保育士の先生方は、そんな子どもたちのひらめきを広げてあげられるような対話を日々心掛けているそうです。

オルト保育園に勤めて6年目になる、橘真里奈(たちばな まりな)先生もそのうちのひとり。
今回の記事では橘先生から、働く側の目線でオルト保育園の魅力を語っていただきました!

「子どもから出発する保育」を実践する オルト保育園密着レポート東京都新宿区・高田馬場。 賑やかな駅前から歩いて数分、少しだけ離れた住宅街の中に構えられているのが、私立認可保育園「オルト保育園」です...
    *シリーズ「保育ノゲンバ」は、保育施設や保育士・園長先生などにフォーカスし、保育の現場(ゲンバ)をお伝えするリポート取材連載です。

子どもたちは、我が子のように可愛い

――橘先生が保育士になったきっかけを教えてください。

橘先生:小学校に上がるタイミングで、7つ年の離れた弟が生まれたことが大きなきっかけだったと思います。「赤ちゃんってこんなに可愛いんだ!」ってすごく感動して、小さい頃からずっと弟の面倒を見ていました。お世話をするのがすごく楽しくて、漠然と小さい頃から「大きくなったら保育士さんになりたいな」と考えていたように思いますね。そのまま、将来の夢を叶えた形になります。
小さい頃から変わらずに夢を持ち続けていたのは、きっと自分自身に、保育園に対してすごくいい思い出があったからだと思います。友達のことも先生のことも好きで、私にとって「保育園は楽しい場所」という印象が強く残っていたので。
ですから私も今は、子どもたちにいつも「保育園に行きたい!」と思ってもらえるような、子どもにとっての楽しい場所にしたいと思って保育をしています。

――とても素敵な理由ですね! 保育士をしていてよかったと思うエピソードなどはありますか?

橘先生:今、私は0歳児から1歳児の持ち上がりクラスを担当しているのですが、0歳児の成長の速さには毎日のように驚かされていますね。毎日少しずつ成長していっている姿を見るのが本当に嬉しくて、我が子のように可愛いと思っています。
みんなが休みの日にどう過ごしているのか気になっちゃうくらい、子どもたちのことが大好きです。
そんな子どもたちがどうしたらもっと成長できるのか、どうしたら保育園で過ごす時間を楽しんでくれるのか、そういうことをずっと考えていますね。

――橘先生は新卒からオルト保育園で働いておられるとのことですが、就職先にオルト保育園を選ばれたきっかけは何ですか?

橘先生:元々音楽や美術が好きで、そういうことを保育に活かせたらいいなと思って保育園を探していたんです。その中で、所属していたゼミの担任の先生からオルト保育園の話を聞いて。テレビなどでも特集されていて強い興味を持っていたので、「ここで働きたい!」と思い、地元の青森から上京しました。

保育士が子どもといっしょになって学べる環境がある

――働いていて感じる、オルト保育園の魅力を教えてください。

橘先生:子どもを育てるためにやっているアート活動ですが、大人も学べるところがたくさんあるなと日々の保育で感じています。自分の気持ちを言葉にして伝えるのは大人にも必要なことですし、子どもの成長を促すために行う「どうしてそう思うの?」という問いかけも、大人同士の会話に活きるからです。
幼児クラスでアトリエの活動をしていると、子ども同士で話し合って物を作る中で、意見がぶつかることがよくあります。大人だと相手に気を遣って意見を言わなかったり、流されてしまうことも多いですが、子どもの世界ではそういうことがありません。子どもたちが話し合いをしている姿を見て、いいものを作るためにはみんなで意見を出し合わなきゃいけないな、ということを改めて学びました。

――先生同士の関係性などはいかがですか?

橘先生:オルト保育園の保育士はみんな、子どもに一生懸命向き合っているなと感じます。休憩中や仕事が終わった後の時間でも、「今日○○ちゃんはこんな様子だったよ」とか、子どもの可愛い姿を共有しあっているんです。心から保育を楽しんでやっている人ばかりですし、先生同士の仲がすごくいいなと感じています。

――新栄会ではオルト保育園を含む法人内の園で「交換研修」をするとお聞きしています。具体的に、どのようなことをするのですか?

橘先生:交換研修はその名の通り、法人内にある4つの園を回る研修になります。他の園でのやり方や子どもたちの過ごし方を見ることで、「同じ保育方針の園でもこういうことができるんだ!」といった新しい気づきを得ることができます。保育の仕方や環境設定、手作りおもちゃなど……学びがとても多いですね。同じ園にずっといると保育への考え方が凝り固まってしまうので、とてもいい機会だと思っています。

保育園は、子どもたちが「家」として過ごす場所だから

――橘先生が保育をする上で心がけていることを教えてください。

橘先生:遊びや食事の流れなど、その時の子どもたちにとって何が一番いいのかを考えています。子どもに合わせて、保育士が臨機応変に変えていくことが大切だと思いますね。
たとえば、外遊びと室内遊びのグループに子どもたちを分けたとして、「この子は昨日室内で遊んでたから外に行くほうが良いかな」と保育士目線で思っても、子どもが中で遊びたかったらその気持ちを尊重してあげるとか。大人が全部決めてしまわないようにしています。
保育園は子どもたちが家として安心して生活できる場所なので、その子たちにとってベストな状態を考えたいです。

製作をするにしても、子どもたちの普段の遊びの中から生まれた自然なものを作品として出すようにしています。つい大人の目線だと「制作物の意味」とか「こだわり」とかを考えてしまいがちですが、そうではなくて、子どもの今の姿からぶれないようにすることが大切だと思っています。

オルト保育園での働き方

――1日の仕事の流れを教えてください。

橘先生:私はおおよそ中番からになるのですが、その時のスケジュールは以下のようになります。

  • 8:30 早番から引き継ぎ。0歳児の先生と協力しつつ、前週の予定に沿って保育の見直し
  • 09:00 朝おやつ
  • 09:30 公園で外遊び
  • 10:50~11:30 昼食
  • 11:45 午睡
  • 14:30 起床
  • 15:00~15:30 おやつ
  • 16:45 遅番に引き継ぎ
  • 17:15 帰宅

編集者より

にこやかではきはきとお話してくださった、明るい印象の橘先生。
言葉の端々から滲み出ている子どもたちへの深い愛が、とても温かく伝わってきました。
子どもたちもきっとそれを感じているのでしょう。保育室では橘先生のそばに多くの子どもたちが集まり、大変微笑ましい光景が広がっていました。

お忙しい中、インタビューにご協力いただきましてありがとうございました!
◆社会福祉法人 新栄会についてはこちら

※この取材記事の内容は、2018年10月に行った取材に基づき作成しています。

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