現場で活躍されている保育士さんにとってはおなじみのペープサート。
しかしこれから保育に関わっていきたい方や新人保育士さんの中には、
「名前は聞いたことがあるけれど、よく知らない……」
「どういう風にやったらいいのかわからない……」
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、子どもの視線を釘付けにする魅力いっぱいのペープサートについてご紹介します。
基本的な作り方や演じ方、作品例まで完全網羅! ぜひご参考になさってくださいね!
ペープサートとは?
ペープサートとは紙人形劇のこと。
paper puppettheatre(ペーパーパペットシアター)を短縮した造語で、ペープサイドとも呼ばれます。
2枚の紙に絵を描き、間に竹串や割り箸などの持ち手を挟んだ状態で貼り合わせて作ります。操作するときはこの持ち手を掴み、裏表を返して絵を変えながら動かします。
- ペープサートの起源
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ペープサートは江戸時代からあった「写し絵」と呼ばれる影絵芝居が元になっています。
明治中期ごろになると、影を使って表現していたものをウチワ式紙人形を使って代用する「立絵」へと派生。より現代のペープサートに近い形となりました。
それが1948年ごろ、永柴孝堂氏によって改良され、紙芝居と区別するためにペープサートと名付けられたそうです。以来、幼児向けの紙人形劇として、ペープサートは広く知られることとなります。
絵本とどう違う?ペープサートならではの魅力
絵を通じて子どもの想像力をかき立ててくれるという意味では、ペープサートは絵本と似ているような気がしますよね。
しかし、絵本には絵本のよさがあるように、ペープサートにも紙人形劇ならではの特徴がたくさんあります。
- ペープサートの特徴
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□表裏で2つの異なる感情を表現したり、変化を瞬時に見せられる
□絵が単体で表現されており、子ども達の注目を集めやすい
□視覚情報のない童謡や民謡などもわかりやすく伝えられる
□絵を動かすことが出来るため、子どもの想像を助けることができる
□子どもの興味・関心に合わせて内容を変えることができる
□語り掛けなど、子どもとのコミュニケーションを取りながら楽しめる
力作ぞろい!みんなのペープサート作品を見てみよう!
保育士さんがどのようにしてペープサートを実施しているのか、いくつか作品を見てみましょう。
参考になりそうなイラストや演出のステキな部分があったら、ぜひ制作に活かしてみてくださいね!
だるまさんが
子ども達に大人気の「だるまさんが」をペープサートに。
くるっと返すと可愛いだるまさんが転んだり、伸びたり、笑ったり……。単純なリズムの繰り返しなので、小さな子でも楽しめる作品です!
動物クイズ
楽しいクイズ形式のペープサート。
動物の形のシルエット、いったい誰でしょうか?と子ども達とコミュニケーションをとりながら遊べます。
シルエットにするものを変えれば、動物以外でもアレンジできそうですね!
ふうせんのうた
歌の歌詞に合わせて、風船が同じ色のものに変化する様子を楽しみます。
これもクイズ形式にして、風船が何になるかを子ども達に考えてもらうのもひとつの方法ですね。
特に乳児などの低月齢児に見せる場合は、言葉あそびなど一定のリズム感が楽しめるもの、変化がわかりやすいものを題材に選ぶと良いホィ。
カンタン!ペープサートの作り方
それでは、さっそくペープサートづくりに挑戦してみましょう!
やり方はとっても簡単なので、先生がマスターできたら、今度は子ども達と一緒に作ってみてもいいかもしれませんね。
用意するもの
・画用紙などの厚めの紙
・割り箸やストローなど棒状の持ち手
・はさみ
・鉛筆・着彩用画材
・のり(素材に合わせて木工用ボンドなども可)
基本の作り方
【1】 | 画用紙などをカットし、同じサイズの台紙を2枚作成します。 |
【2】 | 2枚の台紙にそれぞれ表情や動作を変えた人形の絵を描き、色を塗ります。 |
【3】 |
1枚の台紙の裏面中心に持ち手となる割り箸などを置き、余白にまんべんなくのりをつけます。 ※持ち手自体を貼り付けると、接着部分の成分によっては貼り跡が表面に浮き出てくる場合があります。避けた方が良いでしょう。 |
【4】 | もう1枚の台紙をピッタリと貼り合わせ、上からパンパンと手でたたいて空気を抜きます。 |
【5】 | 紙が反らないように、本の間などにはさんでのりを乾かします。 |
【6】 | 必要に応じて余白をカットしたら完成!この時に裏面の絵を切らないように注意しましょう。 |
これだけは覚えておこう!ペープサートの演じ方
紙人形が完成したら、後はいよいよ演じるのみ!
ペープサートを実施する上で押さえておきたい、基本的なポイントをまとめました。
基本の持ち方 | 人形を安定して動かすためには親指・人差し指・中指の3本を使って軽く持つのがポイントです。 演じているうちに人形が前後に傾かないように注意しましょう。 |
返し転画 | 表裏をくるっと返す演出。スピード感を大切にしましょう! 手首は動かさずに指先だけを使って返すのが素早い場面転換のポイントです。 |
スケーティング操法 | 人形をスーッと滑らせるように動かします。飛行する物体などを動かす際に活用できる動かし方ですね。 左右に動かす方向を変えるときにも動きを止めないようにすると、滑らかな動きに見えます。必要に応じ上下に出し入れしながら動かせばふわふわと浮かぶ演出も可能です。 |
トコトコ操法 | 上下に小さい放物線を描くようにリズミカルに動かせば、人形が歩いているような演出ができます。 人形の大きさや性格によってふり幅を変えれば、小さくかわいらしいイメージや大柄で強そうなイメージを動きから演出できます。 |
劇中の会話 | 子ども達にわかりやすいよう、しゃべっている方の人形だけを小刻みに動かすようにしましょう。 感情に合わせて怒っているときにはオーバーに動かすなどすると、より伝わりやすくなりますよ! |
編集者より
短時間・低コストで作成できるペープサートは、どんどん種類を追加していくことも可能です。シルエットクイズなどは動物の種類を増やせば、組み合わせて何度も活用できる作品になりますね!
「イラストを描くのが好き」という保育士さんは、ご自分のレパートリーをどんどん増やして、子ども達を楽しませてあげてくださいね!
きっとそんな作品のひとつひとつが子ども達の想像力を育ててくれるはずです。
参考文献・サイト
《参考》アイ企画|ペープサートってなに?
《参考》SMILEARTHOfficial Blog