保育ノウハウ

保育士もママもこれで安心!慣らし保育マニュアル~離れない・食べない・眠らないを全部解決~

慣らし保育アイキャッチ

新入園児が保育園の生活に慣れるために行われる「慣らし保育」。慣らし保育では、入園からしばらくの間、子ども達が負担なく園生活に慣れ親しむことができるよう、保育時間を少しずつ調整していきます。

今回はそんな慣らし保育について、そのねらいから進め方のコツ、環境づくりや保護者対応まで、新人の保育士さんにもわかりやすいように紹介していきます。

そもそも「慣らし保育」ってどんなもの?

慣らし保育

慣らし保育とは、新しく保育園に入園してきた子ども達が、園での生活に慣れることを目的に行われる短時間保育のこと。

保護者の職場復帰スケジュールや子どもの様子にあわせて、少しずつ保育時間を伸ばしながら、環境変化による子ども達の不安や戸惑いを和らげていきます。

短時間保育からスタートすることで、子どもは「必ずママやパパが迎えに来てくれる」ということを理解して、保育園での生活の楽しみに目を向けることができるようになるよ!

どれくらいの期間で行うの?

慣らし保育の期間は、園の方針や保護者の就労状況、子どもの様子などによってさまざま。短い場合には1週間程度、長い場合は1ヶ月程度をめやすに行われます。

場合によっては入園後すぐに保護者がフルタイムでの勤務が必要で、慣らし保育に数日しか割けないというケースもあります。慣らし保育の期間は、子どもの様子と保護者の都合にあわせて、調整する必要があります。

慣らし保育は保護者のためにも必要!

基本的には子ども達のために設けられている慣らし保育ですが、はじめて我が子を預ける保護者にとっても欠かせないものです。

「うちの子はちゃんと保育園に馴染めるだろうか」「保育園に子どもを預けるってどんな感じなんだろう……」「仕事と育児・家事をうまく両立できるだろうか」
保育園に預けられる子どもはもちろんですが、預ける側の保護者もそれぞれ不安を抱えています。

慣らし保育を通じて保護者との信頼関係を築き、安心して保護者が子どもを預けられるようにすることも、慣らし保育における大切な役割なのです。

慣らし保育は、ママやパパの職場復帰の準備期間でもあるんだホィ。慣らし保育の期間を通じて、仕事と育児との両立をイメージできるようにしてあげたいホィね!

慣らし保育のねらいとは?

子どものイラスト
慣らし保育の一番のねらいは「保育時間を少しずつ伸ばしながら、子ども達が園での生活に自然になじめるようにすること」

はじめて集団生活の場に身を置く子ども達にとって、環境の変化によるストレスは大きいものです。

はじめてパパやママのもとを離れ集団生活を行う子ども達の不安を、慣らし保育で軽減し通常の保育時間にスムーズに移行できるようにしてあげることが重要です。

慣らし保育の進め方のポイント

花のイラスト
では、具体的にどのように慣らし保育を進めていけばよいのでしょうか。ここからは、慣らし保育のスケジュールについて紹介していきます。

入園前に準備を

慣らし保育をスムーズに進めるためには、入園前の保護者へのヒアリングも重要です。

・子どもの家庭での様子
・生活リズム
・食事の状況(好き嫌いやアレルギーの有無など)
・睡眠の状況(寝かしつけの方法やくせなど)
・好きな遊びなど

上記のような、家庭での子どもの様子をしっかりヒアリングして、できるだけ家庭と同じような状況下で保育ができるよう、環境を整えておきましょう。

また、保護者の就労の状況なども聞いたうえで、事前に慣らし保育のスケジュールを組んでおくようにします。

入園後の進め方

慣らし保育は、はじめはごく短時間の保育からスタートし、子どもの様子を見ながら徐々に保育時間を増やしていくのが一般的です。

【慣らし保育のスケジュール例】

8:30~10:30の2時間保育……3日間
8:30~11:30(給食まで)……4日間
8:30~14:30(お昼寝まで)……4日間
8:30~15:30(おやつまで)……3日間
7:30~16:30まで……3日間
7:30~18:00まで……3日間

上記の例は約1ヶ月かけて慣らし保育を行う場合のスケジュール例です。

子どもの様子や、保護者の就労スケジュール等によっては、もっと短期間で行うケースもありますが、基本的には下記のの5ステップに分けて、少しずつ保育時間を増やしていくとよいでしょう。

【慣らし保育の5つのステップ】
  • 午前中のみの短時間保育
  • 給食まで
  • 午睡まで
  • 午後のおやつまで
  • 終日保育
  • 保護者の仕事の関係で、早朝保育や延長保育が必要になる場合には、慣らし保育にもその時間帯を組み込んで、環境に慣れさせておくといいホィね!
    早朝や夜間など、子ども達が少ない時間帯には、クラス別ではなく異年齢合同で保育を行うなど環境も異なってくるよ。

    いきなり慣れない環境に長時間置かれるということがないように、慣らし保育のスケジュールを組んでいくようにしようね!

    子どもの様子にあわせて柔軟に対応を!

    子ども達にとってはじめての集団での生活。月齢や性格によって、すんなりと馴染める子もいれば、なかなか園生活に慣れない子もいるでしょう。

    慣らし保育のスケジュールは、保護者と相談のうえあらかじめ決めるものですが、必ずしもスケジュールどおりに進めなければならないわけではありません。

    子どもの様子を見ながら、なかなか馴染めないようであれば保育時間を調整するなどの工夫が必要でしょう。

    スケジュールどおりにいかないと、保護者が不安を感じてしまうことも多いよ。適切なフォローで、不安や焦りを軽減させてあげることを心がけようね!
    保護者へのフォローのポイントについてはのちほど詳しく紹介するホィ!

    泣いて保護者と離れられない、給食を食べてくれない……どうすればいい?

    泣いている子ども

    入園して間もないうちは、子ども達が登園時に泣いてしまったり、食事を口にしてくれなかったりといったトラブルも多いもの。

    ここからは、登園時に泣いてしまう、給食やおやつを食べない、午睡時に寝付けないといった、保育士さんのお悩みの解消法を紹介していきます。

    登園時から大泣きしてしまう

    登園時に泣きぐずってなかなか保護者と離れられない……入園後しばらくは、園でよく見られるケースです。

    この場合、泣いている我が子を園に残して立ち去ることに、罪悪感を持ってしまう保護者も多いもの。

    子どものためにも、かならずしっかりとお別れの言葉をかけて、離れてもらうことを習慣づけましょう。

    「ママ行かないで!」お見送りでのお別れをスムーズにする5つのコツ新園児を迎えた春の季節には、お見送り時の大泣きも日常茶飯事。頭を悩ませている保育士さんや保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?今...
    ハイタッチやハグなど、お別れの際の儀式を決めてもらうと子ども達も気持ちを切り替えやすくなるホィ!
    場合によっては数日間保護者も一緒に園で過ごしてもらう「母子登園」を検討するのもひとつの方法だよ!

    給食やおやつを食べてくれない

    保育園で食事が摂れない場合、保護者も「大丈夫なのだろうか……」と心配になってしまうものです。

    保護者から家庭での食事の状況をヒアリングし、できる限りそれに近い状況で食事ができるように工夫するとよいでしょう。

    普段使っているのと同じスプーンを用意してもらったり、実際に食べさせる様子を見せてもらったりすると、今後の保育に役立つホィ
    慣らし保育の時期には、完食できなくても、お気に入りの食材を食べられたらOK。まずは食事の時間を楽しんでもらえることを優先しよう!

    お昼寝がなかなかできない

    慣れない環境だと、なかなか眠れないという子もいることでしょう。家庭ではどのように寝かしつけをしているか、しっかり聞いたうえで、子ども一人ひとりの入眠のクセに対応できるようにしましょう。

    また、寝るときに常に傍においているものがあれば、一時的に園に持ってきてもらってもよいでしょう。

    園での生活リズムと家庭での生活リズムが合わない子もいるホィ。慣らし保育期間は、無理に矯正するのではなくて、家庭の生活リズムにあわせて大丈夫!

    園での生活に慣れてきたら、徐々に園の生活リズムをつくっていこうホィ!

    乳幼児の寝かしつけをスムーズにする3つのカギ~ぐっすりねんねで赤ちゃんもママもハッピーに!~子ども達のすこやかな成長に欠かせない「睡眠」。とくに、乳幼児期に十分な睡眠をとることは、脳や体の発達だけでなく、生活リズムを安定させるた...

    慣らし保育に適した環境づくりをしよう!

    花のイラスト
    保育園での生活にはやく慣れてもらうためには、環境づくりも大切です。ここでは年齢別に、新入園児達が安心して過ごすことのできる環境設定のポイントを紹介していきます。

    0・1・2歳の環境づくりのコツ

    広すぎる空間は子どもにとって不安要素となってしまうことも。絵本コーナー、おままごとコーナーなど、テーマで区切って細分化し、子ども達が落ち着けるようにしましょう。

    入園式・仕切りスペースの例

    また、ひとりになりたいときに入れるようなスペースを設けておくと、子ども達もホッとできます。

    仕切りを設けたり、のぞき穴をつけた壁で仕切ったコーナーを設けたりすれば、ほかのお友達とのつながりを感じながらもホッと一息つける環境が作れます。

    天井が高い場合には、布を渡して天井飾りを作ったり、天井から透け感のある布で作った天蓋を吊るすなどすれば、子どもが安心できる環境づくりに役立つよ!

    3・4・5歳の環境づくりのコツ

    3・4・5歳の場合には集団生活にすんなりと馴染めるように、あそびのスペースを設けるとよいでしょう。たとえば、簡単なルールで遊べるおもちゃを用意したコーナーを設けたり、おままごと専用のコーナーを設けたり……。

    集団のなかで自然と遊びに交われるような空間づくりを心がけて、はじめての子でも遊びの輪に入れるようにしましょう。

    信頼関係を築くための保護者フォローのコツ

    信頼関係のイメージイラスト
    慣らし保育の期間は、子ども達が園生活に馴染めることはもちろん、保護者と保育士との信頼関係を築くための期間でもあります。

    最後に保護者と良好な関係を築くために大切なポイントをいくつか紹介していきましょう。

    事実を伝えるだけではダメ!

    たとえば、園で泣いている時間が多かったとしても、単に「今日はずっと泣いていました」と伝えるだけでは、保護者を不安にさせてしまうだけです。

    「泣いてしまうということは、言いかえれば保護者との愛着がきちんと築けている証拠ですよ」と伝えたり、「泣いてしまうのは今だけ、誰もが通る道ですよ」など、保護者が安心できるような言葉をかけるとともに、園で「できたこと」を日々伝えてあげるよう心がけましょう。

    スケジュールの変更を提案する際には理由を添えて

    子どもがなかなか園生活に馴染めないなどで、スケジュールを変更する場合には、なぜその対応が必要なのか、理由を必ず伝えるようにします。

    たとえば「保育時間を数日間、もう少し短くしましょう」と伝えても、理由を伝えなければ、保護者は「うちの子は保育園生活にうまく馴染めていないの?」「もしかして保育士さんに迷惑をかけている……?」と不安になってしまうことでしょう。

    子どもが安心して保育園で過ごせるようにという目的をきちんと伝えたうえで、しっかりと保護者に理解をしてもらうよう、心がけましょう。

    編集者より

    風船のイラスト
    慣らし保育中は、お迎えの時間がバラバラだったり、丁寧な保護者への申し送りが欠かせなかったり……保育士さんにとって負担が大きくなりがちです。しかし、慣らし保育で安定した生活パターンを確立することで、その後のスムーズな保育につながります。

    子ども達が新しい環境に慣れ、一日笑顔で過ごせるようになるまでの道のりは遠いかもしれません。しかし、家庭と連携をとり、今回ご紹介したような対応を繰り返していけば、いつかは必ず環境に慣れて笑顔を見せてくれる日が来るでしょう。

    また、慣らし保育で子ども達が感じた安心感は、保育士さんとの信頼関係の構築にもつながります。

    大変ではありますが、笑顔と子ども達への愛情を忘れずに乗り切っていきたいものですね。

    参考文献・サイト

    ABOUT ME
    保育のお仕事レポート
    保育業界専門の転職支援サービス「保育のお仕事」です。 「保育のお仕事レポート」は、現場で働く保育士さんのためのメディアとして運営しています。お役立ち情報や最新の求人情報は各SNS(FacebooktwitterLINE@)で要チェック!
    保育のお仕事 最新求人