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独学でも安心!保育士試験・実技「造形表現」直前対策~2018年度受験者・合格体験レポート~

保育士試験の筆記が終わったら、次はいよいよ実技試験ですね。

筆記試験の対策ばかりで、実技試験は直前まで手付かず……という人も少なくないと思います。
特に課題が事前に発表されない「造形表現」は、対策もついつい後回しになりがちです。

今回は「働きながら」、しかも「独学」で2018年度(後期)試験に合格した受験体験談を紹介します。
クリスマスやお正月前で忙しさのピークの中、本格的に「造形表現」の対策ができたのは試験直前約2週間(のスキマ時間)だけ
それでも受かった超省エネ勉強法とは……?

焦っている方こそ、ぜひ読んでみてください。

細かい練習方法などは下記の記事も参考にしてくださいね。

【最新版】保育士試験・実技「造形表現」合格者が教える<攻略ポイント10>保育士試験を受験された方、筆記試験お疲れさまでした。 手ごたえはいかがでしたか? 「バッチリ!」という方も「ちょっと自信なかったな...

結果が気になり対策は手付かず、そして独学へ……

試験結果が気になる

私は普段から子どもと関わる仕事をしていました。しかし、教員免許や保育士資格などをもっているわけでもなかったので、「大切な子ども時代をみるのに、無資格の人間でいいのだろうか……」、「子どもに対する専門知識や技術を体系的に身に着けたい!」と考え、働きながら保育士試験受験を決意しました。

筆記試験は地域限定と全国(後期)の2回で突破!ついに、実技試験に進むことができました。

実技試験は「言語表現」「造形表現」を選択。
普段子どもから「絵、描いて~」と頼まれることもあり、絵にはそこまで苦手意識を感じてはいませんでした。

しかし、試験前日には大きな行事があり、練習時間がとにかく少なく、「造形表現」の結果は50点満点中34点。ギリギリ合格でした。

その反省も踏まえて試験前~当日の様子を詳しくお伝えしたいと思います。

受験票が届いてから! ギリギリすぎる対策

筆記試験の自己採点結果はボーダーギリギリ。
結果を待つ前に練習を始めればよかったのですが、なかなかギアが入らず、合格通知兼実技試験の受験票が届くまで手付かずでした。

受験票が届くのは試験の約2週間前。そこから慌てて対策をしたのです。

合格者ブログに背中を押され、独学を決意

対策講座を開催するスクールや通信教育を利用することも検討しましたが、受講料が1万円以上かかる所も少なくありません。正直、年末でお財布も心もとない……。
また、試験直前でほとんどの教室の予約も埋まっていました。
「実技試験の合格率は8割以上」という油断もどこか心の隅にあったと思います。

数々の「独学で合格した」という体験者のブログに背中を押され、私も独学で試験に臨む決意をしました。

対策から試験当日まで「インターネット」と「参考書」をフル活用


そうは言っても試験まで残り約2週間。効率の良い対策を練らなければいけません。
まずはインターネットで練習方法や教材・道具の情報収集をしました。

インターネットの情報を頼りに対策を立てる

インターネットでは、主に保育士試験の資格スクールのHP合格者のブログを見て情報収集しました。

資格スクールのHPは試験の概要が整理されており、プロの目線で解説された記事が多く役立ちました。
一方、ブログやSNSは同じ状況の生の声が速く(リアルタイムに)分かるという点からも重宝しました。

インターネットでの情報収集の目的と流れは以下の通りです。

  1. 資格スクールのHPで試験の要点をつかむ
  2. テキストや色鉛筆などの口コミを見て、買うものの参考にする
  3. 合格水準の絵を検索して目標を定める
  4. 合格者ブログなどで練習方法を知る
  5. 受験者のブログやTwitterを見て、詳細な当日の流れを知る

「①資格スクールのHPで試験の要点をつかむ」とは、たとえばこのような記事がサクッと読めたり、対策講義のサンプル動画も視聴でき、「注意すべき点」がわかりました。

「③合格水準の絵を検索して目標を定める」とは、試験勉強をしていた人から「Instagramにあがっている画像をよく見ていた!レベルが高くて刺激になったよ」と聞いたことから、目を通していました。

参考書でやるべきことがスッキリ! 試験までの計画を立てる

試験対策前はインターネットを頼りにしていましたが、情報が断片的なのがやや難点でした。
しかし参考書には項目ごとに練習すべきことが網羅されているので、何をどう練習すれば良いか見通しがつきました
そうして以下のような対策をたてました。

  1. 参考書を通し読みする
  2. 苦手な「人物の大まかなスケッチ」を重点的に練習
  3. 過去問のお題を制限時間なしで描く
  4. 過去問のお題を45分で描く
  5. 参考書のお題を45分で描く

時間に余裕があれば、②の前に「基本的な絵の描き方(遠近法や陰影のつけ方)を身に付ける」ということができれば良かったと思います。

「参考書」は辞書のように苦手克服に使う

まずは通勤の時間などを使って参考書をサッと通し読みします。
参考書には本格的な絵の描き方まで踏み込んで書いてあったので、「これらを完璧にできるようになるには時間が足りない!」と感じました。

そこで参考書は苦手な部分を重点的に練習するため辞書のように使いました
私は「人物の描き方」に苦手意識をもっていたので、人体の構造についての解説をよく読みました。
そして参考書のイラストを元に様々なポーズを描く練習しました。
人物スケッチ練習
1枚の絵を完成させるまで描くとなると時間がかかりますが、人物の簡単なデッサンだけなら短時間でたくさん練習できます。殴り書きでも良いので、ある程度自信がつくまで量をこなしました。

直前は暗記で手一杯になりがち……「造形」は早くから対策を

試験の時間は45分。これと同じくらいのまとまった時間をなかなか作れず、当日までお題通りに描いた絵は3~4枚程度でした。

時間配分に関しては、「35分かけて構図と作画、残り10分で色を一気に塗る……」という大雑把な計画しかたてませんでした。これは今振り返るともう少し細かく時間配分を決めればよかったと反省しています。

当日まで「時間が足りない!」という焦りと、フィードバックがないので「これで合格水準に達しているのかな」という不安が拭えませんでした。

並行して「言語表現」の暗唱もしなければならず、どちらかというとこちらに多くの時間を割いていました。
得意・不得意を考慮した上で、「造形表現」は長い目でみて早めに練習を始め、それ以外の覚えることが必要な科目は直前に集中して練習する、など実技試験までの練習時間の配分も考えられるといいですね。

前日の準備は?受験票や持ち物を確認

色鉛筆
受験票を再度確認。集合・試験時間は分刻みで受験案内に書かれているのでしっかり読むようにしました。番号の間違いがないように、蛍光ペンで時間をマーカーした記憶があります。

受験申請の手引き「注意事項」もよく読むように」と参考書には書いてありました。

また、練習して先が丸くなった色鉛筆はしっかり削り、見やすいように最初入っていた通りの順番に並び替えました。(少しでも色選びで迷う時間をなくすコツです。)

あとは試験直前まで、ネットで「人物の頬に着色したほうが良い(血色が出て生き生きするから)」というような小ネタ情報をひたすら集めていました。
また、当日の流れを写真付きで詳しく書いているブログも読み、イメージトレーニングもしていました。

服装はカジュアルでOK、「明るい保育士さん」のイメージで

カジュアルな格好の女性
後期試験は12月。
寒さ対策はもちろんのこと、室内の暖房が暑くても平気なように調整できる服
かつ、長い待ち時間や他の実技を踏まえて堅苦しすぎない格好がおすすめです。

私は「言語表現」の試験が試験官を前にして行うということもあり、少し「キッチリ感」のある服がいいのかと考え、ジャケットなどを着用しました。
ところが、他の受験者はカジュアルな服装がほとんどでした。上下リクルートスーツを着ている人は1人だけ。反対にジャージなどのラフすぎる格好の人もいませんでした。

試験官には「ちゃんとしているな」という印象よりも、「明るく元気な保育士さんになりそうだな」という印象をもってもらえる方がより重要なのではないかと思いました。
ジャケットも「造形表現」の試験中は手を動かしにくいので脱いでいましたし、実際ジャケットを着て働く保育士さんはいないです。
ダークスーツも暗くて堅い印象を与えてしまいそうなので個人的にはおすすめしません。

ということで保育士さんの仕事着をイメージした体温調節ができる格好が一番です。

ちなみに、防寒対策としてカイロも持ち込み、指先が冷えないようにしていました。前記試験であれば問題ありませんが、冬の後期試験の方は持っていた方が良いと思います。

いよいよ試験当日!周りに流されないことが大事

ここからは試験当日の様子をレポートします!
当日の朝は少し早めに起き、腕慣らしもかねて45分で一枚の絵を描いてから会場に向かいました。

会場には何分前に着くべき? 緊張しないよう、あえて15分前に

試験会場
試験会場は某女子大学で、何度か行ったことがあり土地勘もあったので集合時間の15分程前に着くようにしました。私の場合筆記試験の時に待合室で落ち着かなかったこともあり、集合時間ギリギリの時間を狙いました。

施設内はきれいで快適でした。ただし、トイレはやや混雑しますので余裕をもっていくことをおすすめします。

現地に到着後、掲示と受験番号を参照し、指定された教室に入ります。
他の受験者との距離はかなり近くに感じ、緊張感が高まりました。

いざ試験開始!まずは「造形表現」から

「造形表現」は午前の最初の時間帯に行われ、その後、別教室の控室に移動し「言語表現」や「音楽表現」を受験します。

試験会場の教室に着いたら、試験官の説明が始まるまで、参考書を見直してポイントを確認していました。
他の受験者は、今まで描いた絵を見直したり、色鉛筆を削ったり、思い思いに過ごしていました。色鉛筆が転がらないようにタオルの上に色鉛筆を並べている方がいたのが、印象的でした。

試験開始の10分前頃から試験官から簡単な説明があり、用紙を配布、机上の持ち物チェック(鉛筆削りやティッシュなど)を行い試験が始まりました。

お題は

【事例】を読み、次の4つの条件をすべて満たして、解答用紙の枠内に絵画で表現しなさい。
【事例】
H保育所の5歳児クラスの子どもたちが、ホールで折り紙の紙ひこうきを作っています。保育士に教えてもらいながら、みんなで思い思いの紙ひこうきを作って飛ばし、楽しく遊んでいます。

【条件】
1.紙ひこうきを折っているところと飛ばしているところがわかるように描くこと。
2.保育所のホールの様子がわかるように描くこと。
3.子ども3名以上、保育士1名以上を描くこと。
4.枠内全体を色鉛筆で着彩すること。

(引用)四谷学院保育士試験対策講座 公式ブログ 「平成30年後期 実技試験【造形】課題の分析

お題が提示された時に思ったことは「紙ひこうき!? 描くのが難しそう……」、「どう描いたらホールらしさが出るんだ……」ということでした。

構図に悩み、人物を描き始めるのに10分以上かかってしまった記憶があります(この時点で少し焦っています)。

人物はサクサクと描き進めることができましたが、集中しすぎて時間を忘れかけていました。
ラスト10分弱でやや焦りのある中、広範囲を色塗りしてしまったので少し雑になってしまったかもしれません。

そしてあっという間に試験終了。解答用紙回収の際に、まわりの受験者の絵がチラッと見えてしまったのですが、「プロのイラストレーターなのではないか」と思うほどハイレベルな絵が目に入り、「自分は合格できるのかな?」と不安になりました。
しかし試験は相対評価ではないので、気にしないで切り替えることも大事だったと思います。

手応えはないが、条件は満たして描き切った!

実際に描いたものの再現はこちらです。

試験で描いた絵(再現)試験では19×19cmの正方形の枠内に描きます

工夫した点は紙飛行機の色をなるべくカラフルにして、全体的に明るい色合いにするようにしました。
また、子ども達の動きも躍動感あるように飛ばしているポーズや、床に座って折っている様子を描いてみました。
表情も、試行錯誤しながら「これでいいのかな?」という感じで紙飛行機を折ろうとする子どもや、紙飛行機がうまく飛んで喜んでいる子どもを描いています。

確かな手応えはないものの、過去の合格作品を見ていたことからも「落とされることはないかな……」と考えていました。

自信のあった「造形表現」も結局ギリギリ合格

結果は、34点のぎりぎり合格!
絵を描くことは好きだっただけに、少しガッカリな結果です。

点数の内訳は不明ですが、改めて反省点を考えてみました。

反省点

◆構図(遠近法)が狂っていた
◆複雑なポーズが多く、リアリティが欠けた
◆殺風景にならないよう子どもを必要以上に描いてしまった
◆人物が見切れていたのがいけなかった(?)

「舞台を描く」という少し凝った構図に挑戦してしまったことで、苦手な遠近感の狂いが露わになってしまいました。
また、人数を必要以上に描いたことで一人ひとりが小さくなったり、見切れたりしてしまいました。確かに合格者の絵では人物が見切れている絵はあまり見かけせんでした。
これらがマイナスポイントに働いたのかなと考えました。

  • 苦手なことにあえて挑戦せず、苦手をカバーできる絵を描く
  • 必要以上に人物を描くよりも、一人ひとり大きく丁寧に書く
  • ということを受験から学びました。
    「横顔を描くのが苦手なら、横顔を描く必要のない構図にする」とか、「人数は条件を満たす人数だけ描く」といったことです。
    「うまい絵を描いてやろう!」といった下心は裏目に出てしまう気がしています。

    何より、もっと練習をすれば、より高得点が狙えたのではないかと思います。
    本格的な美術のスキルまでは決して必要ありませんが、「造形表現」は前もって練習して基礎力をつけることはできる科目です。日常的に練習を重ねていくことが合格へと近づくのでしょう。

    試験を通じて改めて感じた「造形表現」の意義

    絵を描く子ども
    この試験を実務に置き換えてみると、やはり「子どもに好かれる明るい絵」を「正しく」、「速く」描くことは必要になってくるなと考えます。

    ただでさえやることが多い保育士さんの仕事。おたよりのちょっとしたイラストや壁面制作の下絵など、限られた時間で効率的に描けなければいけません。
    そういった意味では、この実技試験はとても意義のあるものだと思えます。
    練習したこと、試験を受けたことは決してムダにはならないでしょう。

    お仕事や家事をしながらの受験は大変でしょうが、この記事が少しでもみなさんの参考になり、一人でも多くのステキな保育士さんが誕生することを祈っております!

    参考文献・サイト

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