保育の基礎知識

「企業内保育」とは? 保育士さんが働くメリットを紹介します!

待機児童の問題がまだまだ根深く残っている昨今。
子どもを預けられる場所がないために職場へ復帰できず、泣く泣く離職してしまう保護者の方が後を絶ちません。

そんなパパ・ママの育児と仕事の両立を支援するべく、近年では各企業による企業内保育の導入がさかんになってきています。
この記事では企業内保育の詳しい概要、また働く保育士さんから見た魅力について、詳しくご紹介します。

企業内保育とは

疑問や不安

企業内保育とは企業が社内や近隣施設に開いている、自社社員とその子どもを対象とした保育所のこと。
社員の育児による離職を防ぐこと、育児休暇からの職場復帰を支援することを目的として、全国の企業が導入・開設を始めています。

厚生労働省が発表している「平成29年度 認可外保育施設の現況取りまとめ」によれば、平成30年3月までに設置された企業内保育所は全国で1,786か所。
保育所全体の割合としてはまだ少ないですが、前年比で800か所以上増えていることから、今後はさらに増えていくことが予想されます。

企業内保育の種類

点検・虫眼鏡

一口に「企業内保育」と言っても、その種類はさまざま。
自治体の認可は得ているか? どのような場所に設置されているか? 助成金の有無は? などなど……そのあり方は多岐にわたります。

どのような種類があるのか見てみましょう。

認可保育所(事業所内保育事業)

「事業所内保育事業」の一環として設置されているタイプの保育所です。
企業は各地方自治体の認可を受けた上で、自社社員の子どもだけでなく、地域住民の子どもにも保育施設を提供します。
この保育施設は認可園として、国の定める基準を満たしている必要があります。

「事業所内保育事業」は待機児童問題の解決を目指す地域型保育事業のひとつ。待機児童の大半を占める0~2歳児の受け入れによって、緩和を図っているんだホィ。

事業所内保育事業の中でも定員が20人以上なら「保育所型」、19人以下なら「小規模型」と分けられていて、人員配置の基準がそれぞれ異なります。
ただし設備に関する基準はどちらも同じで、0~1歳児はひとり当たり3.3平方メートル以上、2歳児はひとり当たり1.98平方メートル以上の保育室が必要です。

ちなみにこのタイプの企業内保育は、対象年齢を0~2歳に定めていることがほとんど。3歳を過ぎたら連携している園に転園するなどの処置が必要だよ。

企業主導型保育所(企業主導型保育事業)

「企業主導型保育事業」の一環として設置されているタイプの保育所です。
内閣府主導で行われている認可外保育所で、認可外でありながら認可園と同じくらいの助成金が出ます。
園の運営時間と企業の営業時間を合わせる、夜間や土日のみ開園する、複数の企業が共同で設置・利用できるなど、自由度の高い運営が可能です

「企業主導型保育事業」は多様な就労形態に対応し、従業員の子育てニーズに応えることを目的として2016年度に始まった取り組み。
保育の質を担保するため、保育施設の設置・運営に関する基準が内閣府によって設けられています。

地域住民の子どもをどれだけ受け入れるか、自由に決められるのも大きな特徴。自社社員の子どもの枠が確保されているのが強みだホィ。

認可外保育所

認可保育所や企業主導型保育所のような高い基準を満たす必要がないため、より自由な運営形態をとれます。
助成金が出ないというデメリットこそありますが、設立のハードルは低めと言えますね。

ただし認可外だからと言って、何の制限もないわけではありません。
各地方自治体によって異なる設置・運営基準があるほか、設立の際には届出や報告が必要です。
企業内保育を導入したい企業の周辺状況やニーズに合わせて、適した形態の保育所を開設できるといいですね。

企業内保育の設置形態


さまざまな種類がある企業内保育。それらがどのような形態で設置されているのか、整理してみましょう。

企業内保育の設置形態
単独設置型 ひとつの企業が、自社の従業員の子どものみを対象に設置・運営する
地域開放型 ひとつの企業が設置・運営し、自社の従業員の子どもと地域の児童を対象にする
共同型(代表企業型) ひとつの企業が設置・運営する施設を、近隣の企業やグループ企業が共同利用する
共同型(フラット型) 複数の企業で費用を負担して設置・運営する施設。運営のために別組織を立ち上げる場合もある

認可園として独立しているように見える企業内保育もあれば、複数企業が合同で運営している園もあります。
中にはオフィスが所属しているのと同じビルに入っている、園庭を持たない小さな園も。
企業内保育の施設環境や運営企業の状況によっても働き方は大きく変わるので、どのような場所で働きたいかを事前に固めておくとよいでしょう。

企業内保育で働くためには?

保育士さんが企業内保育で働くにあたって、特別必要な資格はありません。
ただし正規職員として働く場合には、保育士資格は必須となります。パートの保育補助としてなら無資格でも働ける場合がありますが、就職先の選択肢を考えた上でも、まずは資格を保有しておくべきでしょう。

また、企業によっては企業内保育で病児保育を実施しているところもあります。その際には看護師の有資格者が募集されるケースもあるので、求人の条件をよく確認しておきましょう。

保育士が企業内保育で働くメリット

自信のある保育士

保育士さんが企業内保育で働くメリットは、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 土日休みが期待できる
  • 少人数保育でじっくり子どもと向き合える
  • 一般園に比べると業務負担が少ない
  • 保護者が身近にいる

企業内保育は母体となる企業の営業時間に合わせて運営されているため、土日祝日が休みの企業なら園もお休みになります。
年末年始やお盆休みなども企業の公休に準じてお休みになることが多いので、カレンダー通りの休日が欲しい、という方におすすめです。

また企業内保育は、対象となる子どもが限られているため、少人数保育になることが多いです。
大規模な行事も行えないため、行事の準備のために持ち帰り残業が発生することもありません。業務負担が少ない中で、一人ひとりにじっくり向き合えるでしょう。

すぐ近くで保護者の方が働いているのも安心できるポイントだホィ。子どもの急な体調不良時も、すぐに連絡を取れるホィ!

保育士が企業内保育で働くデメリット

保育士さんが企業内保育で働くデメリットとしては、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 給与が景気に左右されやすい
  • やや物足りない場合がある

企業内保育の中でも特に認可外の場合、運営母体である企業の経営状況が大きな影響を及ぼします。上手くいっている間は高給与が望める反面、不況が続けば企業内保育が立ち行かなくなって閉園してしまう……というリスクも。
園の基盤がしっかりしているかどうかは、入職前にチェックしておきたいポイントですね。

また、これは「業務負担が少ない」というメリットの裏返しでもありますが、人によっては子ども達と楽しめるイベントが少ないことに不満を抱くかもしれません。
どのように働きたいか、その上でどこを重視するか、しっかり決めてから園を選ぶとよいでしょう。

企業内保育で働く保育士の待遇

企業内保育の給与は、母体となる企業によって大きく異なります。
企業の規模や経営状況、考え方などに左右されるため、一概には言えませんが……認可外保育園として見る場合は、比較的条件のいい園が多いようです。

ちなみに、保育士専門の転職支援サービス「保育のお仕事」に掲載されている求人の平均月給は19.2万円。最高月給だと33万円(2020年1月現在)にもなるので、お仕事探しの際は求人票をよく確認するとよいでしょう。

正社員の場合は母体企業の社員としてカウントされるホィ。給与形態や有給休暇の制度については、雇用契約にもしっかり明記されているはずだホィ!

編集者より

保育士さんの間でも「将来性がある」「一般の園とは違う働き方ができる」レアな就職先として人気を集めている企業内保育。
保育園全体の割合から見るとまだ少ない形態ではありますが、これからますます需要が高まっていくことが予想されます。

子育てしながらもバリバリ働きたいパパ・ママを身近でサポートできる職場で、専門知識を活かしながら活躍する……そんなワークスタイルに挑戦してみてはいかがでしょうか?

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