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学童保育の開業資金はいくら? もらえる助成金・補助金額の種類や必要な資格を解説

学童保育の開業資金はいくら? もらえる助成金・補助金額の種類や必要な資格を解説

学童保育を開業したいと考えていても「必要な資金はどのくらいかかるのか」「何か助成金や補助金はもらえるのか」と疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。共働き家庭の増加により、放課後や長期休暇中に子どもを安心して預けられる場所として、学童保育の需要は年々高まっています。

特に小学校入学を機に育児と仕事の両立が難しくなる「小1の壁」という言葉があるように、保護者が働いている間、子どもを安全に預けられる場所が十分に整っていないのが現状です。この社会的課題に対応するため、学童保育に対する国の支援も拡充されています。

この記事では、学童保育の開業を検討している方向けに、開業や運営に必要な資金、活用できる助成金・補助金の種類と金額、必要な資格や開業手順まで詳しく解説します。これから新規開業を目指す方はもちろん、すでに運営中の方にとっても新たな支援制度を知るきっかけになるでしょう。

学童保育の開業・運営に必要な資金

学童保育を開業し、安定して運営していくためには、まとまった資金が必要です。「どのくらいの金額が必要なのか」を事前に把握しておくことで、より具体的な開業計画が立てやすくなります。ここでは、開業資金と運営費用の目安や内訳を詳しく見ていきましょう。

開業資金の目安

学童保育を開業するための初期費用の目安は、1,500万〜2,000万円程度といわれています。この金額は決して少なくないため、事前の計画と資金調達方法の検討が重要です。

初期費用の内訳としては、以下のようになります。

  • 物件費用: 約1,500〜1,800万円(物件購入費または賃料、不動産手数料など)
  • 設備・内装費: 約100〜300万円(内装工事費、備品購入費など)
  • 運転資金: 約100〜200万円(開業後数か月間の運営費用)

物件によっては、安全基準を満たすための内装工事や設備の整備が必要になるケースもあります。また、送迎サービスを提供する学童保育では、送迎用の車両購入費も別途必要になるでしょう。

ただし、これらの初期費用は開業する学童の種類(公設公営、公設民営、民設民営)や規模によって大きく変わります。子どもの定員数や提供するサービス内容、立地条件などによっても費用は増減するため、具体的な計画に基づいた資金計画を立てることが大切です。

運営費用の目安

学童保育を継続的に運営するためには、年間約900万円程度の運営費用が目安といわれています。運営費用の大部分を占めるのは人件費です。

学童保育では、厚生労働省の基準により1クラスにつき2名以上の指導員の配置が必要とされています。職員の年収を300万円程度と考えると、社会保険料等も含めて1人当たり年間約350万円の人件費がかかり、最低2名の職員で年間約700万円が必要になります。

また、人件費以外にも以下のような経費がかかります。

  • 施設費: 賃料、光熱水費、修繕費など
  • 運営費: 消耗品費、備品費、保険料など
  • 活動費: イベント費、教材費など

さらに、地域によって給与水準が異なるため、都市部では人件費がより高くなる可能性もあります。加えて、送迎サービスや習い事プログラムなど、付加価値の高いサービスを提供する場合は、それらに対応するための追加費用も考慮する必要があります。

このように、学童保育の運営には継続的に相応の資金が必要ですが、後述する助成金や補助金を活用することで、経済的負担を軽減できる可能性があります。

学童保育の種類

学童保育の種類

学童保育には、管轄する省庁や運営団体によって種類が分かれています。開業を検討する際は、どのタイプの学童保育を目指すのかを明確にすることが重要です。それぞれの特徴を理解し、自分の理念や経営方針に合った形態を選びましょう。

放課後児童クラブ

放課後児童クラブは、厚生労働省(現在はこども家庭庁)が管轄する公立の学童保育です。主に以下の3つの運営形態があります。

  • 公設公営: 自治体が設置・運営を行う
  • 公設民営: 自治体が設置し、民間企業やNPO法人などに運営を委託する
  • 民設民営: 民間事業者が設置・運営を行い、自治体から補助を受ける

放課後児童クラブは通常、児童館や小学校の空き教室などに設置されています。職員には保育士や教員免許など、「児童の遊びを指導する者の資格」を持つ人材が配置されるのが特徴です。

主な活動内容は、子どもの自主的な遊びの支援や生活習慣の指導、宿題のサポートなどが中心となります。保護者が仕事や病気などで昼間家庭にいない児童を対象としているため、生活の場としての機能も重視されています。

放課後子ども教室

放課後子ども教室は、文部科学省が管轄する公立の放課後支援事業です。放課後児童クラブとの大きな違いは、利用対象者の範囲にあります。

放課後子ども教室は、保護者の就労状況に関わらず、全ての児童が参加できるのが特徴です。つまり、共働き家庭の子どもだけでなく、専業主婦(夫)家庭の子どもも利用できる開かれた場となっています。

主な設置場所は小学校の余裕教室や体育館、公民館などで、地域の人材を活用した学習活動やスポーツ、文化・芸術活動などが行われます。指導者には地域のボランティアや大学生なども含まれており、多様な経験や知識を持つ人材が関わっているのも特徴といえるでしょう。

民間学童保育

民間学童保育は、NPO法人や民間企業、個人事業主などが独自に運営する学童保育です。自治体からの補助を受けず、独自の理念やサービスで運営されることが多いのが特徴です。

公立の学童保育にはない特色あるサービスを提供している民間学童保育も増えています。例えば、以下のような特徴が見られます。

  • 延長保育: 夜遅くまでの預かりに対応
  • 専門プログラム: 英会話、プログラミング、音楽、スポーツなどの専門教育の提供
  • 少人数制: きめ細かな対応が可能な少人数制の運営
  • 食育: 栄養バランスの取れた手作りおやつや夕食の提供

これらの特色あるサービスを提供する一方で、利用料金は公立学童よりも高めに設定されているケースが多いです。しかし、共働き家庭の増加と多様なニーズに応える形で、民間学童保育の需要も高まっています。

民間で運営している強みを活かし、保護者の細かなニーズに柔軟に対応できる点が、民間学童保育の大きな魅力といえるでしょう。

学童保育の開業・運営でもらえる助成金&補助金

学童保育の開業・運営でもらえる助成金&補助金

学童保育の開業・運営には多額の資金が必要ですが、公的な助成金や補助金を活用することで経済的負担を軽減できる可能性があります。子どもの健全な育成環境を社会全体で支える観点から、国や自治体はさまざまな支援制度を設けています。ここでは、学童保育の開業や運営に活用できる主な助成金・補助金について詳しく解説します。

放課後児童健全育成事業

「放課後児童健全育成事業」は、こども家庭庁による放課後児童クラブの運営費を補助する重要な制度です。実施主体は市町村(特別区を含む)で、市町村が適切と認めた事業者への委託も可能となっています。

補助の割合は国1/3、都道府県1/3、市町村1/3と明確に定められており、以下の条件を満たす必要があります。

  • 年間開所日数:250日以上
  • 児童数:36~45人
  • 常勤の放課後児童支援員:2名以上配置

これらの条件を満たした場合、1支援単位当たりの基本補助金額は655万2,000円となります。さらに、条件に応じて以下のような加算が受けられます。

  • 開所日数加算額:2万6,000円×(年間開所日数-250日)
  • 長期休暇支援加算額:2万6,000円×開所日数(長期休暇中に支援の単位を新たに設けて運営する場合)
  • 長時間開所加算額
    • 平日:67万1,000円×長時間開所(1日6時間超、かつ18時を超えて開所)の年間平均時間数
    • 長期休暇:30万2,000円×(1日8時間超)の年間平均時間数

これらに加えて、施設整備や特別なニーズに対応するための補助金も用意されています。

  • 放課後子ども環境整備事業:1事業所当たり 年額1,300万円(余裕教室等の改修をする場合)
  • 放課後児童クラブ支援事業(障害児受入推進事業):1支援の単位当たり 年額205万9,000円
  • 放課後児童クラブ支援事業(放課後児童クラブ運営支援事業):1支援の単位当たり 年額337万4,000円(賃借料補助を受ける場合)

※出典:こども家庭庁「令和7年度予算 概算要求の概要」 https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/efa58163-4cc2-43d6-ba57-3df41d552a52/068c40e0/20240830_policies_kosodateshien_budget_06.pdf(参照 2025-03-18)

子ども・子育て支援施設整備交付金

「子ども・子育て支援施設整備交付金」は、学童保育の施設整備に活用できる重要な資金源です。市町村が作成する整備計画に基づいた施設整備にかかる経費の一部が補助されます。

対象となるのは、市町村や社会福祉法人、学校法人、市町村が認めた事業者などです。補助割合は設置・運営形態によって異なり、以下のように定められています。

【通常の場合の補助割合】

区分 都道府県 市町村 社会福祉法人等
公立 1/3 1/3 1/3
民立 2/9 2/9 2/9 1/3

特に待機児童が発生している地域では、より手厚い補助が受けられます。

【待機児童発生地域の場合の補助割合】

区分 都道府県 市町村 社会福祉法人等
公立 2/3 1/6 1/6
民立 1/2 1/8 1/8 1/4

2025年度の予算は143億円が計上されており、施設整備を検討している事業者にとって大きな支援となります。

小規模多機能・放課後児童支援事業(保育対策総合支援事業費補助金)

「小規模多機能・放課後児童支援事業」は、小規模の放課後児童預かり事業と保育所、一時預かり、地域子育て支援拠点などを組み合わせた多機能型の放課後児童支援を行う事業に対する補助金です。特に過疎地域など、単独では運営が難しい地域での子育て支援サービスの拡充を目的としています。

補助割合は国、都道府県、市町村でそれぞれ1/3ずつとなっており、補助基準額は以下の通りです。

  • 運営費: 1カ所当たり年額111万6,000円(市町村が独自に実施する子育て支援事業や預かり事業を実施した場合は年額241万6,000円)
  • 放課後児童支援員を配置した場合の加算: 1カ所当たり年額77万8,000円
  • 環境整備のための設備費用など: 1カ所当たり年額200万円

この補助金を活用することで、地域の実情に応じた柔軟な放課後児童支援サービスの提供が可能になります。特に児童数が少ない地域での事業運営の道が開けるでしょう。

放課後児童クラブ等におけるICT化推進事業

学童保育の現場では、出欠管理や保護者との連絡、事務作業など、多くの業務が手書きで行われていることが少なくありません。こうした業務を効率化し、子どもと向き合う時間を増やすためのICT化支援が「放課後児童クラブ等におけるICT化推進事業」です。

また、外国人の子育て家庭を受け入れる際のコミュニケーション支援として、多言語音声翻訳システムなどの導入費用も補助対象となっています。こうした取り組みにより、より多様な家庭のニーズに対応できる環境づくりを支援しています。

実施対象は特別区を含む市町村で、補助率は国、都道府県、市町村でそれぞれ1/3ずつとなっています。補助単価は以下の通りです。

  • 業務のICT化などを行うためのシステム導入: 1カ所当たり50万円
  • 翻訳機などの購入: 1カ所当たり15万円

ICT化により、事務作業の時間短縮や保護者とのコミュニケーション向上、緊急時の迅速な対応など、多くのメリットが期待できます。限られた人員で質の高いサービスを提供するためにも、この補助金の活用を検討する価値があるでしょう。

子育てと仕事の両立支援に対する助成活動

「子育てと仕事の両立支援に対する助成活動」は、民間団体である生命保険協会が実施している資金助成制度です。公的な補助金とは異なり、民間からの支援という位置づけになります。

子育てと仕事の両立支援の環境整備を目的として、保育所や放課後児童クラブの受け皿拡大などに取り組む団体に対して資金助成が行われています。

応募資格は以下の条件を満たす保育施設や放課後児童クラブです。

  • 社会福祉法人などの法人格を有していること
  • 申請時点で1年以上の活動実績があること
  • 政治活動や宗教活動を目的としていないこと

認可外保育施設の場合は、行政より発行される「認可外保育施設指導監督基準」を満たす旨の証明書を提出することで応募が可能です。

助成金額は1施設当たり20万円または15万円となっており、選考結果によって金額が決定されます。交付時期は毎年12月下旬頃を予定しています。

公的補助金と併用することも可能なため、開業・運営資金の一部として検討してみるとよいでしょう。

民間学童保育に対する補助金

民間学童保育に対しては、各自治体が独自の補助金制度を設けていることがあります。地域のニーズに応じた多様な支援が提供されており、以下はその一例です。

東京都中央区の例

中央区では「学童クラブ定員の拡大」として、学童クラブと放課後子ども教室(プレディ)を一体的に運用するとともに、民設民営の学童クラブを区内に誘致するための経費の一部補助を行っています。2024年度予算として4億5,594万5,000円が計上されています。

大阪府高槻市の例

高槻市では「民間学童保育室運営事業費補助金」として、民間の放課後児童健全育成事業を実施する事業者を対象に、人件費などの必要経費の補助を行っています。この補助金は子ども・子育て支援交付金を活用したもので、市が規定する基準に基づき、予算の範囲内で交付されます。

愛知県豊田市の例

豊田市では「豊田市放課後児童健全育成事業補助金」として、民間児童クラブを運営する事業者に対して運営費の補助を行っています。対象は市内に事業所があり、1年以上の実績があるなど、市が定める条件を満たしている事業者です。

民間学童保育を開業・運営する際は、所在地の自治体に独自の補助金制度がないか確認することをおすすめします。自治体によって支援内容や金額、条件が大きく異なるため、事前の調査が重要です。

学童保育の開業に必要な資格

学童保育を開業するためには、施設基準や職員配置などの要件を満たす必要があります。特に重要なのが「放課後児童支援員」の配置です。ここでは、学童保育の開業に必要な資格について解説します。

放課後児童支援員の配置要件

放課後児童クラブを開設する場合、児童おおむね40人に対して2名以上の「放課後児童支援員」を配置することが義務付けられています。この基準は厚生労働省(現在はこども家庭庁)の「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」に定められています。

放課後児童支援員になるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 保育士、社会福祉士、教員免許等の資格を有するか、高等学校卒業者等であって2年以上児童福祉事業に従事した者であること
  2. 都道府県知事が行う研修を修了していること

特に「児童の遊びを指導する者の資格」として、下記の資格を持つ人材が望ましいとされています。

  • 保育士
  • 社会福祉士
  • 幼稚園教諭・小学校教諭・中学校教諭・高等学校教諭の資格
  • 教育職員免許
  • 社会教育主事
  • 学芸員

民間学童保育の場合

民間学童保育の場合は、必ずしも自治体の運営基準が適用されるわけではないため、必須の資格はありません。しかし、保護者からの信頼を得るためには、保育士や幼稚園教諭などの有資格者を雇用することが一般的です。

また、施設の特色によっては以下のような専門資格を持つスタッフを配置することで、サービスの質や付加価値を高めている例もあります。

  • 看護師(健康管理や応急処置に対応)
  • 英語教員(英会話プログラムの提供)
  • スポーツインストラクター(運動プログラムの提供)
  • 音楽講師(音楽教室の実施)

このように、民間学童保育では独自の特色を打ち出すために、多様な資格・スキルを持つスタッフを採用することが強みになります。

学童保育の開業手順と手続き方法

学童保育の開業手順と手続き方法

学童保育を開業するためには、条件や施設基準の確認、各種届出などが必要です。ここでは、開業までの具体的な手順と必要な手続きについて解説します。

開業条件を確認する

学童保育を開業するためには、「放課後児童健全育成事業実施要綱」に記載された条件を満たす必要があります。主な条件は以下の通りです。

  • 開所日数: 原則として年間250日以上 (ニーズ調査の結果、250日以上開所する必要がないと判断された場合に限り、200日以上でも可)
  • 開所時間:
    • 小学校の授業がある日:1日3時間以上
    • 夏休みなどの授業がない日:1日8時間以上

また、授業終了時間や保護者の労働時間などを考慮した開所時間に設定することも重要です。開業条件の詳細は、開業予定地の自治体窓口で確認することをおすすめします。地域によって独自の基準が設けられている場合もあります。

施設基準をチェックする

学童保育の施設は、子どもたちが安全かつ快適に過ごせる環境である必要があります。主な施設基準は以下の通りです。

  • 専用区画の確保: 専用の部屋または間仕切りなどで区切られた専用スペースが必要
  • 面積要件: 児童1人につきおおむね1.65㎡以上が望ましい (1.65㎡は約1畳分の広さで、40人定員の場合は約40畳相当のスペースが必要)
  • 休養スペース: 体調不良の児童を休ませるスペースの確保
  • 衛生・安全: 施設や設備は衛生面や安全が確保されていること
  • 必要設備: 生活に必要な設備や備品が揃っていること

これらの施設基準は必ずしも絶対的なものではなく、支援や取り組みに支障をきたさない場合に限り、基準以下の面積でも運営が認められるケースもあります。ただし、子どもたちの健やかな成長を支援するためにも、できる限り基準を満たした環境を整えることが望ましいでしょう。

自治体に届出をする

学童保育を開業するには、開業する場所を管轄する自治体に必要な届出を行う必要があります。主に「放課後児童健全育成事業開始届」を提出します。

必要書類の例:

  • 放課後児童健全育成事業開始届
  • 収支予算書
  • 事業計画書
  • 職員名簿(資格が確認できる書類などのコピーを添付)
  • 事業者の役員名簿
  • 運営規定
  • 施設の平面図など
  • 利用者向けのパンフレット(ある場合のみ)

民間の学童保育の場合は、市区町村へ法人設立届を提出します。最近ではオンラインでの手続きが可能な自治体も増えていますので、事前に管轄する自治体に手続き方法を確認するとよいでしょう。

よくある質問

学童保育を開業するために最低限必要な資金はいくらですか?

学童保育の開業には、最低でも1,500万円程度の資金が必要といわれています。ただし、物件を購入するか賃貸にするか、規模や提供するサービスによって必要資金は大きく変動します。

物件費用として約1,500〜1,800万円、設備・内装費として約100〜300万円、開業後数か月間の運転資金として約100〜200万円を見込んでおくとよいでしょう。助成金や補助金を活用することで、初期費用の負担を軽減できる可能性もあります。

民間学童保育でも助成金はもらえますか?

民間学童保育でも、自治体の基準を満たせば助成金を受けられる場合があります。「民設民営」として放課後児童健全育成事業の対象となれば、国や自治体からの補助を受けられることがあります。

また、自治体独自の支援制度も多数存在します。例えば東京都中央区では民設民営の学童クラブ誘致のための経費補助、大阪府高槻市では民間学童保育室運営事業費補助金、愛知県豊田市では放課後児童健全育成事業補助金などが設けられています。

詳細は各自治体の窓口に確認することをおすすめします。条件や金額は地域によって大きく異なります。

学童保育の開業に必須の資格はありますか?

放課後児童クラブを開設する場合、児童おおむね40人に対して2名以上の「放課後児童支援員」の配置が必要です。放課後児童支援員になるためには、保育士や小学校教諭などの資格を持ち、都道府県等が行う研修を修了する必要があります。

民間学童の場合は自治体の運営基準に準じますが、保護者からの信頼獲得のためにも有資格者の雇用が望ましいでしょう。保育士や幼稚園教諭などの資格を持つスタッフを配置することで、安全性や教育の質をアピールできます。

学童保育の需要が高い地域はどこですか?

学童保育の需要が高い地域としては、以下のような条件に当てはまる場所が挙げられます。

  • 共働き世帯が多い都市部や住宅地: 特に大都市のベッドタウンなどでは需要が高い傾向にあります
  • 待機児童が多い地域: 保育所の待機児童が多い地域では、小学生になってからも放課後の居場所が不足していることが多いです
  • 学童保育が不足している地域: 近隣に学童保育が少ない地域では、新規開業の余地があります

自治体の担当部署で学童保育の充足状況や待機児童数を確認したり、地域の小学校数や児童数、共働き世帯の割合などを調査したりすることで、需要を把握することができます。

送迎サービスを提供する場合の追加費用はどのくらいですか?

送迎サービスを提供する場合、以下のような追加費用を考慮する必要があります。

  • 車両購入費: 軽自動車で約150万円、ワゴン車で約250〜350万円程度
  • 車両維持費: 年間で保険料、車検費用、燃料費、修理費等で約50〜80万円程度
  • 人件費: 送迎専任ドライバーを雇用する場合、年間約300〜350万円程度(社会保険料含む)
  • その他: 安全対策費(チャイルドシート、安全装置など)で約10〜20万円程度

送迎サービスは保護者にとって大きな魅力になる一方で、コストと安全管理の両面で負担が増えることを理解しておく必要があります。サービス内容と利用料金のバランスを考慮した経営計画が重要です。

民間学童保育の差別化ポイントは何がありますか?

民間学童保育が公立の学童保育と差別化するためのポイントには、以下のようなものがあります。

  • 開所時間の延長: 夜19時以降や早朝からの預かり、休日対応など
  • 特色ある教育プログラム: 英語、プログラミング、音楽、アート、スポーツなど特定分野に特化したカリキュラム
  • 学習支援の充実: 宿題サポートや学習指導などの教育的側面の強化
  • 食育の充実: 手作りおやつや栄養バランスの取れた夕食の提供
  • 施設環境の充実: 広い空間、専用の遊び場、最新の設備など快適性の追求
  • 少人数制: きめ細やかなケアが可能な少人数クラス編成
  • 保護者サービス: ICTを活用した連絡システム、保護者参観、育児相談など

地域のニーズを調査し、そこに合った独自のサービスを提供することで、選ばれる学童保育となることができます。

学童保育の開業・運営は助成金を有効活用しよう

共働き家庭の増加に伴い、「小1の壁」の解消に向けた学童保育の需要は今後さらに高まることが予想されます。しかし、開業や運営にはまとまった資金が必要なため、この記事で紹介した助成金や補助金制度を有効に活用することが成功への近道といえるでしょう。

学童保育の開業を検討する際は、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

  1. 事前のリサーチと計画: 地域のニーズ、競合状況、採算ラインを調査し、綿密な事業計画を立てましょう
  2. 助成金・補助金の活用: 国や自治体の支援制度を最大限に活用し、初期投資や運営コストの負担を軽減しましょう
  3. 差別化戦略: 公立の学童保育にはない独自のサービスや特色を打ち出し、選ばれる施設を目指しましょう
  4. 人材の確保と育成: 子どもたちの安全と成長を支える有資格者の確保と、継続的な研修による質の向上を図りましょう
  5. 地域との連携: 学校や地域コミュニティとの良好な関係を構築し、地域に根ざした運営を心がけましょう

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監修者情報

礒部はるか

保育士資格・幼稚園教諭一種免許状を保有。大学卒業後、学童・児童館にて保育士として従事。その後、保育園にて乳幼児クラスを担当。現在は複数の保育メディアにてライター・編集者・監修者として活動。

 

ABOUT ME
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