保育ノウハウ

院内保育の仕事がきついと感じるのはなぜ? 理由と対処法、転職も視野に

病院で働く医者や看護師など、医療を支える方々の子どもを預かる大切な役割を担う院内保育。子どもたちの安心できる居場所作りに貢献できるやりがいのあるお仕事ですが、その一方で、一般的な保育園とは少し異なる勤務形態や働き方から「もしかして、自分にはきついかも」と感じたり、実際に体力的な負担や生活リズムの不規則さに悩んだりする保育士の方もいるかもしれません。

本記事では、院内保育で「きつい」と感じやすいのはどんな時なのか、その具体的な理由を探るとともに、もし今悩んでいる方がいれば、その状況を少しでも和らげるための対処法や、新しい働き方を見つけるための転職活動のポイントなどを一緒に考えていきます。院内保育の現場で頑張っている方も、これから院内保育に挑戦してみたいけれど少し不安を感じている方も、ぜひ参考にしてみてください。

【この記事で分かること】

  • 院内保育がきついと感じる理由
  • 院内保育がきついときの対処法
  • 院内保育の求人を探すポイント

院内保育がきついと感じる理由とは

院内保育は医療従事者の子どもを預かるサービスのため、子どもの登降園時間が保護者のシフトによって変わったり、医療関係者の休みが不規則なことから行事が少なかったりする傾向にあります。

保育の進め方や保育士の勤務体制などが一般的な保育施設とは異なる点で、院内保育がきついと感じることがあるようです。以下に、院内保育がきついと感じる主な理由を挙げています。

  • 夜勤や休日出勤がある
  • 希望の休みが取りにくい
  • 体力的につらい
  • 信頼関係を築くのに時間がかかる
  • 保育計画が立てづらい
  • キャリアアップが難しい
  • 契約社員の場合は都度更新が必要

院内保育の詳しい内容については、以下の記事もぜひ参考にしてください。

院内保育所の仕事はきつい?【メリット・デメリット・求人についても】

【監修者・礒部はるかのアドバイス】
院内保育は医療現場を支える重要な役割を担う一方で、保育士にとっては特有の負担もあります。不規則な勤務や夜勤、急な延長保育など、柔軟な対応力と体力が求められるため、自分のライフスタイルや働き方の希望と照らし合わせて検討することが大切です。

また子どもとの関係性作りに時間がかかるといった側面もありますが、その分、少人数制で一人ひとりに寄り添う保育ができるやりがいもあります。そのため、落ち着いた環境で丁寧な保育をしたいと考えている方にはおすすめです。

夜勤や休日出勤がある

院内保育施設が一般的な保育施設と大きく異なるのが、夜勤や休日出勤があることです。病院は24時間365日体制のため、子育て中の医療従事者が夜勤や休日出勤の際は、夜間や休日にも院内保育を利用します。そのため、院内保育施設で働く保育士は、医療従事者の勤務時間の状況に応じ、夜勤や休日出勤にも対応し保育を行う必要があるのです。

一般的な保育施設のシフトでは、早番、中番、遅番などと分かれており、休日出勤は土曜日のみの場合が多いですが、院内保育では医療従事者の勤務に合わせる必要があるため、シフトの時間帯や休みに幅があります。不規則な勤務に対応することにより生活リズムが崩れやすくなるため、日中の時間に働きたい方や、不規則な勤務を好まない方などにはきついと感じられるでしょう。

希望の休みが取りにくい

保育士の希望で休みを取りにくいのも院内保育の特徴です。院内保育は、24時間365日体制の病院職員の勤務状況に合わせて休日を取る必要があるため、保育士都合で休むのは難しい場合が多いでしょう。

また限られた保育士の配置人数で勤務体制を整えるため、シフトパターンを細かく設定している院内保育もあります。このような場合も、希望通りには休めない可能性が高いでしょう。

さらに急患や手術時間の延長など、病院職員の状況によっては保育士の急な出勤が入る場合もあります。休日でも出勤要請の連絡が来ることもあり、ゆっくり休めないと感じる方もいるかもしれません。家族の予定に合わせて休み希望を出したい方や、自身のプライベートを大切に考えている方などは、自由な休みが取りにくい点にきつさを感じる可能性があります。

体力的につらい

院内保育は、24時間体制でシフトを組むため、自身の勤務時間が終了すればそのまま退勤できる場合がほとんどです。少人数を預かり異年齢保育となるケースも多く、行事も少ないため持ち帰りの書類や製作・行事の準備などのサービス残業も比較的少ないといわれています。

しかし、病院職員の急な手術や急患対応のため、突然子どもの預かり時間が延長することも珍しくありません。保育時間が延び、保育士の残業が続いてしまうような場合には、疲れが溜まり体力的につらくなる方もいます。

加えて院内保育では夜勤もあります。夜勤では仮眠できるとはいえ、子どもの命を預かっているため、随時様子を見ておかなければなりません。寝不足により、さらに疲れが蓄積する可能性もあるでしょう。

信頼関係を築くのに時間がかかる

保育者と子どもの信頼関係を築くには、日々の保育の中で子どもの性格や特性を知り、一人ひとりに合った関わり方をすることが重要です。子ども自身も毎日同じ保育者と生活することで少しずつ慣れ、保育者との信頼関係が築かれていきます。

院内保育の場合は保護者の勤務時間によって利用時間が変わるため、毎日同じ子どもと関われるわけではありません。担任制ではなく、その日その日によって子どもの顔触れが変わる中、職員のシフトにより交代しながら保育するため、信頼関係を築くのに時間がかかることが多いといえます。

一人ひとりと信頼関係を十分に築けていない状態でも、目の前にいる子ども達に柔軟に対応していかなければならないため、難しさやきつさを感じる方もいるでしょう。

保育計画が立てづらい

通常の保育施設では、年齢ごとのクラスに担任を配置し、年齢に沿った保育計画を立てて保育を行います。異年齢保育をする場合もありますが、子どもの顔触れや保育時間は同じであるため、事前に計画を立て、準備をした上で保育をすることが可能です。

一方で、院内保育は多くが少人数かつ異年齢保育を基本とする上、その日によって利用する子どもの顔触れが変わります。日中に利用する子と、保護者の夜勤により夕方から利用する子がいる日は、活動計画を2回立てる必要がある場合もあります。

そのため、各年齢に沿った保育計画が立てづらいのはもちろん、利用する子どもの人数や年齢などによって、事前に立ててあった保育計画通りには進められず、臨機応変な対応が求められることも少なくありません。

キャリアアップが難しい

院内保育は、その日によって変わる異年齢の子どもを保育します。子どもの人数も少なくアットホームな雰囲気ではあるものの、クラスを受け持って集団保育をすることはないため、保育者としてスキルアップを目指すのはやや難しい環境といえます。

一時預かりのような形で、その日に利用する子どもが安全に楽しく過ごせるよう保育をする分、担任を持つプレッシャーや行事などの忙しさは少ないですが、スキルアップの機会は限られるでしょう。

院内保育では役職が少なくキャリアアップも難しいため、長く勤めても給与に反映されにくいケースや、転職の際に院内保育の経験が評価されにくいケースもあるようです。

契約社員の場合は都度更新が必要

院内保育所は、病院直営の院内保育所もありますが数少なく、多くは運営会社に委託して開所・運営されています。そのため院内保育所の保育士として働く際は、多くの場合運営会社と契約することとなります。運営会社と契約する際の雇用契約は、正社員ではなく契約社員であるケースが多いため、契約更新の時期が来たら都度更新が必要です。

パートやアルバイトとして働く際にも、無事に契約更新となるかが分からない不安が残ります。更新されなかった場合の働き方も考えておく必要があるため、安定して働くことが難しいのも、院内保育にきつさを感じる理由の一つでしょう。正社員として働きたい場合には、正規雇用が可能な院内保育所を探すか、別の働き方を検討する必要があります。

院内保育の仕事がきついときの対処法

院内保育の仕事は、体調の管理や日々の保育計画などの面で「やっぱり大変だな」「正直きつい」と感じる瞬間も、時にはあるかもしれません。それでも、皆さんが日々心を込めて子どもたちと向き合っているからこそ、安心して医療の現場で力を発揮できる方が数多くいます。子育てをしながら最前線で働く医療従事者の方々にとって、そして何よりそのお子さんたちにとって、先生方の存在は本当にかけがえのない、温かい支えとなっているはずです。

そんな大切な役割を担う皆さんが、もし今「きつい」と感じているのなら、その気持ちを少しでも和らげ、心身ともに健やかに働き続けるためのヒントを一緒に探していけたらと思います。ここでは、そんな時のための具体的な対処法をいくつか見ていきましょう。

  • 勤務時間やシフトの相談をする
  • 休日にリフレッシュする
  • 転職を検討する

【監修者・礒部はるかのアドバイス】
つらさを感じた際は無理をせず、まずは職場に相談することが大切です。自分だけで抱え込まず、シフトの調整や勤務内容について柔軟に話し合える環境づくりも、長く働くためには欠かせません。

また休日は「ただ寝る」だけではなく、カフェに出かけたり、好きな映画を観たりと、自分なりのリフレッシュ時間を大切にするようにしましょう。それでも難しい場合は、新たな職場や働き方を検討するのも前向きな選択です。

勤務時間やシフトの相談をする

院内保育所で働く際の勤務状況がきついと感じている場合は、シフトごとに勤務時間や夜勤・休日出勤の調整などが可能かどうかを、一度相談してみることも大切です。院内保育では、24時間365日体制で病院職員の勤務に合わせる必要があるため、確実に希望を聞いてもらうのは難しいかもしれません。

しかし夜勤を減らす分、休日出勤を優先して対応するなど、なるべく無理のない条件や働き方を相談することで、負担が軽減される可能性もあります。保育士の人数が十分に足りている日なら調整が可能な場合もあるため、我慢し過ぎず相談してみると良いでしょう。

休日にリフレッシュする

院内保育の勤務によって疲れがたまっていると、せっかくの休日にだらだらと過ごして一日が終わってしまうこともあるでしょう。自宅でゆっくりと過ごす日ももちろん大切ですが、何もせずに一日が終わってしまうことで息抜きができず、後悔することもあるかもしれません。

家族や気の合う友人と外に出かける、一人で思う存分ショッピングを楽しむなど、自分に合う方法で休日にリフレッシュしてみましょう。

転職を検討する

院内保育での仕事がきつく、続けることが難しいと感じている場合には、転職を検討してみましょう。夜勤がつらい、保育士としてさらにキャリアアップしたいなど、現状の職場環境に悩みがある場合は、別の院内保育所や一般の保育所へ転職するなど、さまざまな選択肢があります。

夜勤の相談が可能な院内保育所や、一般の保育所でクラス担任を持つなど、働き方を変えることで負担が軽減され、モチベーションを保って働けるかもしれません。他にも、学童保育や託児所、福祉施設など、保育資格を生かせる職業は多くあります。自分に合った職業を選択するためにも、よく検討してみましょう。

院内保育の求人を探すポイント

院内保育の求人は、一般の保育施設に比べて多くはありません。数少ない中で自分に合うところを見つけるためにも、以下のポイントを押さえて求人内容をよく確認しましょう。

  • 勤務体系:どのようなシフト体制か、夜勤の有無、勤務時間の延長や残業はあるのかなど
  • 雇用形態:正規雇用、契約雇用、パート、アルバイトなど
  • 施設の規模:施設の広さ、園庭の有無、職員の人数、預かる子どもの人数や年齢など
  • 保育の内容:年間行事や一日の流れ、どのような活動を行っているのかなど

院内保育所で希望する求人が見つからない場合には、一般の保育施設や保育士資格を生かせる職種など、視野を広げて探すのも一つの方法です。

院内保育がきついと感じたら働き方を見直そう

院内保育は医療従事者の子どもを預かる保育施設のため、夜勤や休日出勤があるなど職場環境が特殊です。その日によって利用する子どもの顔触れが変わる、少人数の異年齢保育が多いなど、一般的な保育施設とは異なる部分も多々あり、きついと感じる人もいます。

院内保育所で働いているけれど、職場や保育環境に悩んでいる場合には働き方を見直してみましょう。別の院内保育所を探す他にも、保育士資格を生かせる仕事は多くあるため、転職を検討するのも方法の一つです。

保育士資格を生かして転職を検討するなら、転職支援サービスの利用をおすすめします。「保育のお仕事」なら、院内保育をはじめ、保育の求人を豊富に取り扱っています。キャリアアドバイザーが求人紹介から入職準備まで丁寧にサポートするため、転職に不安がある方も安心です。転職を検討している方はもちろん、今すぐには考えていない方も、まずは手軽にできるLINEの友だち登録で、求人情報やお役立ち情報をゲットしてみてください。

監修者情報

礒部はるか

保育士資格・幼稚園教諭一種免許状を保有。大学卒業後、学童・児童館にて保育士として従事。その後、保育園にて乳幼児クラスを担当。現在は複数の保育メディアにてライター・編集者・監修者として活動。

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