日々の保育の仕事にやりがいを感じながらも「もう少し経済的なサポートがあれば……」と感じることはありませんか。また資格は持っているけれど現場を離れている方の中には、「復職したいけれど、ブランクや費用面が心配」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
実は、労働条件や給与の低さによる保育士不足解消のため、国や自治体では保育士を支えるさまざまな支援制度や補助金を年々拡充しています。これらの支援制度は現役の保育士はもちろん、潜在保育士やこれから保育士を目指す方が利用できるものもあり、活用することで経済的負担を大幅に軽減することが可能です。
この記事では、保育士が利用できる支援制度や補助金の内容や支給金額などを分かりやすく解説します。ご自身に合った制度を見つけ、経済的な負担を少しでも軽くするために、ぜひ参考にしてください。
【この記事で分かること】
- 保育士が利用できる支援制度
- 保育士を目指す方への支援制度・補助金
- 保育士に復帰する方への支援制度・補助金
- 保育士の支援制度を利用する際の注意点
もくじ
保育士が利用できる支援制度

現場で働く保育士が、より働きやすくなるよう、賃金の引き上げやキャリア形成をサポートする支援制度の整備が進んでいます。ここでは、現役保育士向けの支援制度をチェックしていきましょう。
<保育士が利用できる支援制度>
- 処遇改善制度
- 幼保特例制度
- 保育士宿舎借り上げ支援事業
処遇改善制度
保育士の給与水準や待遇を改善するため、2013年から保育士の「処遇改善等加算」が制度化されました。この制度は保育士のモチベーション維持やキャリア形成を支援するもので、次の3つの加算区分に分けられます。
- 処遇改善等加算Ⅰ
2015年に導入され、経験年数や施設のキャリアアップの取り組みに応じて、非常勤職員を含む全職員の賃金がアップする制度です。要件に当てはまれば全職員の給与に8~19%が加算され、国から保育施設へ補助金が入ります。
- 処遇改善等加算Ⅱ
中堅保育士を中心としたキャリアアップによる賃上げを目的に2017年から導入された制度です。新たに設けられた「職務分野別リーダー」「専門リーダー」「副主任保育士」の役職に就くと、スキルや経験に応じて月額5,000円から4万円が給与に上乗せされます。役職に就くには、おおむね3〜7年の保育士経験を有し、規定のキャリアアップ研修を修了していることが必要です。
- 処遇改善等加算Ⅲ
2022年にスタートした賃金アップの取り組みで、全職員を対象に給与の約3%(月額で約9,000円)が加算されます。
なお、これらの手当は施設を対象に支給されており、配分は施設により異なる点に注意が必要です。加算額がそのまま給与に反映されるわけではない点に留意しましょう。また、2025年度からの処遇改善等加算一本化により、制度体系や配分ルール、賃金改善方法などが変更されつつあるので、今後の動きにも注目です。
【監修者・礒部はるかのアドバイス】
2025年度から、これまで複雑化していた処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを統合し、よりシンプルにすることを目指す「保育士の処遇改善の一本化」が施行されました。現時点で、一本化により配分ルールや賃金改善の方法などが見直しされる旨の方針が示されています。これからも部分的な変更が予想されているので、今後の動きに注目です。
幼保特例制度
保育所と幼稚園の機能を併せ持つ「認定こども園」のニーズが高まり、施設数は年々増加しています。認定こども園で保育教諭になるためには、保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方が必要です。
しかし、どちらか一方の免許しか持っていない方でも特例措置により、保育教諭へのスムーズな移行が可能となりました。これを「幼保特例制度」といい、以下に当てはまる方が対象となります。
- 保育士資格か幼稚園教諭免許状のいずれかを取得していること
- 3年以上かつ4,320時間以上の実務経験があること
上記に該当する方は、保育士養成施設で最大8単位の特例教科目を修得し、申請もしくは試験によって資格の取得が可能です。なお、幼保特例制度は実施期間が5年延長され、2024年度末から2029年度末までとなりました。
保育士宿舎借り上げ支援事業
保育士不足が課題となる都市部では、家賃負担が就職の障壁となるケースも少なくありません。そこで導入されているのが「保育士宿舎借り上げ支援事業」です。
この制度は、保育施設が保育士用の住宅を借り上げた際、その費用を全額または一部補助するというもの。主に都市部を中心に広く導入されており、採用から5年以内の保育士が対象となります。制度の概要は以下の通りです(※)。
- 対象者:採用された日から起算して5年以内の常勤保育士
- 補助基準額:月額7万5,000円が上限
- 補助割合:国1/2 市区町村1/4 事業者1/4
※参考:こども家庭庁.「令和7年度 保育関係予算案の概要」.
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/214cacce-0305-4ce9-a120-355df90cf035/e2cb3de4/20241227_policies_hoiku_yosan_19.pdf ,(参照 2025-04-10).
補助金は保育施設が受け取る仕組みとなっているため、就職先が制度対象施設か事前に確認しておくのがおすすめです。もし対象外の場合でも、自治体独自の家賃補助を行っているケースもあるため、チェックしておきましょう。
保育士を目指す方への支援制度・補助金
これから保育士になろうと考えている方に向けて、学費の支援や資格取得のためのサポート制度が設けられています。制度の種類や内容、補助金額について具体的に見ていきましょう。
<保育士を目指す方への支援制度・補助金>
- 保育士修学資金貸付
- 就職準備金貸付
- 保育士試験による資格取得支援事業
- 教育訓練給付制度
- 保育士等奨学金返済支援事業
保育士修学資金貸付
「保育士修学資金貸付事業」は、保育士を目指して養成施設に通う学生に対し、学費や生活費の一部を無利子で貸付けする制度です。一定期間、指定された施設で保育士として働くことで全額返還免除となるため、実質的には給付型に近い支援といえます。
制度の概要は以下の通りです(※)。
貸付上限額 |
|
貸付期間 | 最長2年間 |
返還免除条件 | 卒業後、5年間の実務従事 |
※参考:こども家庭庁.「令和7年度 保育関係予算案の概要」.
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/214cacce-0305-4ce9-a120-355df90cf035/e2cb3de4/20241227_policies_hoiku_yosan_19.pdf ,(参照 2025-04-10).
就職準備金貸付
「就職準備金貸付」は、新たに保育所等で勤務する予定の方や、保育士資格を取得しているものの、現在は保育業務に従事していない潜在保育士の再就職を支援するものです。自治体によって貸付額などに多少の差はありますが、制度の概要は以下の通りです。
対象者 |
|
貸付額 | 上限40万円(同一の貸付対象者の場合は1回限り)
返還免除の条件:市区町村内の保育所などで2年間継続して保育業務等に従事すること |
保育士試験による資格取得支援事業
保育士資格を取得するためには、指定養成施設を卒業するか、保育士試験に合格するかの二通りの選択肢があります。国は保育士や先述した保育教諭の確保のため、学習費用などを一部補助する支援制度を設けています。制度概要は以下の通りです。
- 養成校卒業等による資格取得の場合
補助基準額:1人当たり受講料1/2(上限30万円)
- 保育士試験による資格取得の場合
補助基準額:教材費など、学習に必要な経費の1/2(上限15万円)
なお、この制度は後述する「教育訓練給付制度」との併用は不可とされているため、どちらを利用するかを事前に比較検討することが大切です。
教育訓練給付制度
教育訓練給付制度は、働く人のキャリア形成や再就職を支援するために、国(厚生労働省)が設けている公的支援制度です。保育士も対象となり、一定条件を満たせば、資格取得のための講座受講料の一部が支給されます。
保育士は「専門実践教育訓練」に該当し、一定の要件を満たす雇用保険の被保険者または離職者(資格喪失から1年以内)であり、支給要件期間が3年以上(初めて受給する場合は2年以上)ある方が対象です。
支給率は受講費用の最大80%です(※)。教育訓練経費の50%(年間上限40万円、原則2年)に相当する額に加え、資格を取得して就職した場合さらに20%(年間上限16万円)相当が追加で支給されます。また2024年10月1日以降に受講を開始した方は、修了後の賃金が受講開始前より5%以上上昇した場合、10%(上限年8万円)が上乗せされます。
※参考:厚生労働省.「専門実践教育訓練の「教育訓練給付金」のご案内」.
https://www.mhlw.go.jp/content/001310413.pdf ,(参照 2025-04-10).
なお、給付金を受給するには、事前に「訓練前キャリアコンサルティング」を受け、「ジョブ・カード」の作成が必須です。支給申請手続きも必要となるため、最寄りのハローワークなどにあらかじめ問い合わせて確認しておきましょう。
保育士等奨学金返済支援事業
資格取得のために奨学金を利用した場合「毎月の返済が家計の負担になっている」という方もいるでしょう。保育士として働く方の経済的負担を軽減し、長期的な就業を支援することを目的に、奨学金の返済支援事業が多くの自治体で導入されています。
支援内容や補助金額は各自治体により異なるため、一例として概要をご紹介します。
補助金額 | 年間上限10万~24万円 |
補助対象期間 | 最長7~10年間 |
最大補助額 | 100~250万円 |
なお、補助対象期間中に退職した場合は、多くの自治体が補助を打ち切るとしています。
保育士に復帰する方への支援制度・補助金

一度保育士の仕事を離れた方が再び復職する場合にも、さまざまな支援制度を利用できます。ここでは、主に子育て中の保育士の方に向けた復帰支援制度を詳しく見ていきましょう。
<保育士に復帰する方への支援制度・補助金>
- 未就学児をもつ保育士の保育所復帰支援
- 未就学児をもつ保育士の子どもの預かり支援
未就学児をもつ保育士の保育所復帰支援
「未就学児をもつ保育士の保育所復帰支援」は、潜在保育士など、子育て中の保育士が職場復帰しやすくなるようサポートする制度の一つです。復職時に保育施設へ子どもを預ける際に、保育料の一部を貸付けできます。
貸付額は月額上限2万7,000円で、最長1年間貸付可能です。再就職後、2年間保育実務に従事することで貸付金の返還が免除されます。なお、対象者や貸付額は自治体により条件が異なる場合があるため、事前の確認が必要です。
未就学児をもつ保育士の子どもの預かり支援
「未就学児をもつ保育士の子どもの預かり支援」は、早朝や夜間などの勤務時間帯に働く保育士の子育てと保育士業務の両立を支援するために設けられた制度です。通常の保育所では対応が難しい時間帯に、ファミリーサポートセンターやベビーシッターサービスの利用費用の一部を、無利子で貸付けしてくれます。
貸付額は事業利用料金の半額まで(年額12万3,000円上限)となっており、最大2年間貸付が可能です。前述の「未就学児をもつ保育士の保育所復帰支援」と同様に、2年間の勤務を継続することで、貸付金の返還が免除されます。
自治体独自の保育士支援制度・補助金
国の支援策に加えて、各自治体でも独自の取り組みが進んでいます。地域ごとに特色ある制度が展開されており、支援内容や補助金額もさまざまです。ここでは、各自治体が実施する保育士向けの支援制度をいくつかピックアップしてご紹介します。
<自治体独自の保育士支援制度・補助金>
- 保育士の入園加点制度
- 継続勤務褒賞
- 保育士の移住支援
- 給料の上乗せ制度
保育士の入園加点制度
認可保育園への入園は多くの場合、選考が行われます。選考基準は家庭状況などを点数化し、その合計点で判断されるのが一般的です。
自治体の中には、保育士が自分の子どもを保育園に入園させる際に、独自の加点を行う「入園加点制度」を導入しています。各自治体の取り組み例は、以下の通りです。
- 山梨県甲府市
甲府市の独自項目として「保育士の優遇」が設けられており、教育・認可保育施設に勤務している保育士・保育教諭・幼稚園教諭に7点が加点されます。これらは正規職員に限らず、非正規職員も対象です。
- 千葉県流山市
流山市では「保育所入所の優先度UP」という独自の加点制度が設けられています。父母のどちらかが保育士資格を持っていて、市内の認可保育施設で保育士として働いている場合に、調整指数として14点が加点されます。
【監修者・礒部はるかのアドバイス】
各自治体における保育士の「入園加点制度」については、市町村の公式ホームページなどで確認できます。また自治体がインターネット上で公開している「保育施設利用調整基準点数表」といった資料からもチェック可能です。地域によっては「保育士等就労に関する誓約書兼証明書」という書類を提出する場合があるので、申請の際は各自治体の方針に従いましょう。
継続勤務褒賞
保育士の離職防止と定着促進を目的に、一定期間同一の自治体で勤務を継続した保育士に対して、褒賞金を支給している自治体もあります。各自治体の取り組み例を見てみましょう。
- 東京都江東区
江東区では、区内の私立保育施設などに勤務している常勤保育士を対象に、勤続年数に応じて商品券を支給しています。支給額は江東区内で利用できる共通商品券を勤続5年で2万円分、勤続10年で5万円分です。
- 神奈川県平塚市
平塚市では市内の民間保育所、幼保連携型認定こども園、小規模保育施設で1年以上勤務を継続している常勤保育士を対象に、就労支援金を支給しています。支給金額は、1年間の継続で最大12万円、最長で3年度分、計36万円です。
保育士の移住支援
保育士不足が深刻な地域では、県外からの保育士受け入れを促進するために「移住支援制度」を設けています。主に、就職活動費や引っ越し費用などが対象経費です。各自治体の取り組み例を、以下でご紹介します。
福島県
福島県では、「福島県県外保育士移住促進事業」として、就職活動支援金や移住支援金を支給しています。各種支援金の概要は以下の通りです。
- 就職活動支援金
対象者 | 県外在住で福島県内の保育所などへの就職を希望している方 |
対象経費 | 実習や就職活動に要した交通費や宿泊費 |
交付金額 | 一人当たり上限3万円 |
- 移住支援金
対象者 | 県内の保育所に就職するために転入し、その後も継続して居住する保育士資格を有する方で、1年以上県内の保育所などに勤務すること |
交付金額 | 一人当たり30万円 |
愛媛県四国中央市
四国中央市では、UIJターン保育士募集の一環として、引っ越し費用を補助する取り組みを実施しています。制度概要は以下の通りです。
対象者 | 市外から四国中央市に移住して、1年以上継続して勤務される見込みのある方 |
対象経費 | 引っ越し経費、賃貸借契約の締結に関わる経費(敷金は除く)、生活用品購入費など |
交付金額 | 条件により最大10万~20万円 |
給料の上乗せ制度
保育士の待遇改善を目的に、独自に保育士の給料へ上乗せ支給をする自治体も増えています。施設に対して交付され、補助金が人件費に充てられることで、保育士個人の給与アップが期待できる仕組みです。以下で、各自治体の取り組み事例をご紹介します。
- 東京都
保育の質を向上させるため、東京都では独自に「東京都保育士等キャリアアップ補助金」を支給しています。概要は次の通りです。
交付条件 | キャリアパス要件、福祉サービス第三者評価の受審・結果の公表、情報公開等の取組 |
補助金の算定方法 | 補助基準額(各月初日の在籍児童数の合計×月額単価)×調整率 |
対象経費 | 職員の人件費(1/2以上を賃金改善に充てる) |
- 千葉県松戸市
正規職員を対象に独自の給料上乗せとして、対象施設に「松戸手当」を支給しています。補助金は勤務先の保育園等を経由して、毎月支給される仕組みです。月額支給額は次の通り、勤続年数に応じて決定します。
- 1~11年目:4万5,000円
- 12年目以降:4万9,800円~7万8,000円
- 埼玉県戸田市
戸田市では「とだ保育士応援手当」として、2024年3月分から給与月額に3万4,000円の上乗せ支援を行いました。1日6時間以上、かつ月20日以上勤務する市内私立保育園等に勤務する保育士が対象です。
保育士の支援制度を利用する際の注意点

ここまでご紹介してきたように、保育士を対象とした支援制度は多岐にわたりますが、利用にあたっては、いくつかの注意点があります。制度を正しく理解し、損をしないためにも以下のポイントを確認しておきましょう。
<保育士の支援制度を利用する際の注意点>
- 自治体により支援制度の有無や内容が異なる
- 保育士が直接もらえない補助金もある
自治体により支援制度の有無や内容が異なる
保育士支援制度は全国一律ではなく、自治体ごとに内容や補助金額が異なる場合があります。例えば貸付金額や返還免除の条件、対象施設の範囲などは、同じ制度名でも都道府県によって差があるケースも少なくありません。
首都圏や主要都市部など、保育士不足が深刻な地域では、制度がより手厚くなる傾向があります。また自治体独自に設けている制度もあるため、支給条件や対象者をよく確認しましょう。制度の利用を検討する際は、勤務予定の園がある自治体のホームページなどから、最新情報をチェックすることが大切です。
保育士が直接もらえない補助金もある
支援制度の補助金の中には、保育士に対して直接支給されるのではなく、保育施設を通じて間接的に支給されるものもあります。給与として反映されるかは園の裁量次第の部分もあるため、支援制度の適用を受けられるかどうかを勤務予定の園に確認し、把握しておくことが重要です。
転職や就職を検討している場合は、制度がどのように運用されているか、あらかじめ聞いておくと良いでしょう。
【監修者・礒部はるかのアドバイス】
保育施設向けの補助金の例としては「保育所等整備交付金」「ICT化推進補助金」などが挙げられます。保育所等整備交付金は施設の新設、修理、改造、整備にかかる費用の一部を国が自治体に交付する補助金です。一方、ICT化推進補助金は保育現場の業務効率化を図るためのシステム導入費用などを支援するものです。これらの補助金は、直接保育士個人の給与に反映されるわけではありませんが、間接的に労働環境の改善や働きやすさにつながります。
保育士の支援制度・補助金を知り、有効活用しよう
保育士不足の解消と保育の質の向上を目指し、国や自治体はこれまで以上に保育士への支援を拡充しています。対象者に応じて多種多様な支援制度や補助金が用意されており、保育士が経済的な負担を軽減しつつキャリアを積めるようにサポートしています。
支援制度は自治体ごとに補助金額や支給対象が異なるため、転職や再就職を考えている場合は、これらの支援制度を利用できるかどうかを求人情報などから事前に確認しておきましょう。
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よくある質問
処遇改善制度について、加算されたお金は必ず給与に反映されるのでしょうか?
処遇改善制度によって保育施設に支給される加算金は、必ずしも全額が保育士の給与に反映されるとは限りません。
この制度は、保育士の賃金改善を目的としていますが、実際にどのように配分するかは各保育施設の裁量に委ねられています。そのため、加算されたお金の一部が施設の運営費などに充てられる場合もあります。
転職や就職を検討している場合は、処遇改善加算がどのように給与に反映されるのかを、事前に確認しておくことが重要です。面接などで直接質問するか、求人情報に記載されている給与体系を詳しく確認しましょう。
保育士資格を持っているものの、現在は保育士として働いていない場合、利用できる支援制度はありますか?
利用できる支援制度はいくつかあります。
例えば「就職準備金貸付」は、新たに保育所等で勤務する予定の方や、離職後1年以上経過している潜在保育士の再就職を支援する制度です。自治体によって貸付額や返還免除の条件が異なりますが、保育士として復帰する際に必要な費用を支援してもらえる可能性があります。
また「未就学児をもつ保育士の保育所復帰支援」は、子育て中の保育士が職場復帰しやすくなるようサポートする制度で、保育施設へ子どもを預ける際の保育料の一部を貸付けしてもらえる場合があります。
保育士の支援制度を利用する際、特に注意すべき点は何ですか?
保育士の支援制度を利用する際に、特に注意すべき点は以下の2点です。
- 自治体によって支援制度の有無や内容が異なる
- 保育士が直接もらえない補助金もある
保育士支援制度は、全国一律ではなく、自治体ごとに制度の有無や内容、補助金額などが異なる場合があります。そのため、勤務予定の園がある自治体のWebサイトなどで、最新情報を確認することが重要です。
また支援制度の補助金の中には、保育士個人に直接支給されるのではなく、保育施設を通じて間接的に支給されるものがあります。給与として反映されるかは園の裁量次第の部分もあるため、事前に確認しておきましょう。
監修者情報

礒部はるか
保育士資格・幼稚園教諭一種免許状を保有。大学卒業後、学童・児童館にて保育士として従事。その後、保育園にて乳幼児クラスを担当。現在は複数の保育メディアにてライター・編集者・監修者として活動。子育て中の保護者の悩みに寄り添った情報発信を心がけている。