食中毒は通年発生しますが、気温と湿度が高い梅雨から夏にかけては【要警戒期】。
細菌による食中毒が発生しやすくなります。
子どもは感染症にかかりやすく、発熱や下痢などで水分を失うと脱水症状を起こしやすいもの…。保育施設での食中毒予防対策はこの時期欠かせません。
本日は今の時期特に注意したい食中毒について、その対策をお伝えします!
本当にあった怖~い発生事例
下記は近年保育所で発生した食中毒事例。
群馬県では特に多くの感染者が発生し、2〜6歳の園児7人が下痢や腹痛で入院するという事態に!幸い命に別状はなかったものの、原因となった給食を食べた職員も感染し、大きな被害が出ました。
発生時期 | 都道府県 | 原因菌 | 患者数 |
---|---|---|---|
2013年06月 | 大阪府 | サルモネラ属菌 | 6名 |
2013年07月 | 長野県 | 腸管病原性大腸菌O55:H7 | 81名 |
2013年11月 | 群馬県 | サルモネラ属菌 | 106名 |
2014年04月 | 埼玉県 | 腸管出血性大腸菌O157 | 4名 |
3原則は【つけない・ふやさない・やっつける】
食中毒は、基本的に原因菌が食物に付着し、体内へ侵入することで発生します。予防のためには菌をを食べ物に「つけない」、付着してしまった菌を「増やさない」、「やっつける」という3原則が重要です。
- 【つけない】
- 調理や配膳前等に手洗いを徹底する、生ものを扱ったまな板等の調理器具は都度洗う、付着した細菌が移らないように食品を分けて密閉管理する等を実行しましょう。
- 【ふやさない】
- 細菌の多くは10℃以下では増殖が緩やかになるため、食品を低温で保存しましょう。
- 【やっつける】
- 中心部を75℃で1分以上加熱することを目安に加熱しましょう。ふきん等の器具は煮沸消毒や熱湯をかけて殺菌するなどの対策をしましょう。
基本は手洗い!具体的な対策法
保育所などでの対策では、何よりも「手洗いの徹底」が基本!
正しい手洗いについてご紹介するとともに、施設内で出来る対策をご紹介します。
手洗いの徹底
ハイハイしたり、おもちゃに触れたり…、子どもたちは日々いろいろなものに触れる機会があります。病原菌が手などに付着した状態で食べ物に触れたり、口に入れたりすることで、病原菌が体に入り感染してしまいます。外遊びの後、トイレの後、食事の前などには必ず手を洗うように指導しましょう。
- 正しい手洗いの方法(30秒以上/流水で行う)
- 【1】液体石けんを泡立て、手のひらをよくこすります
【2】手の甲を伸ばすようにこすります
【3】指先、つめの間を念入りにこすります
【4】両指を合わせ、指の間を洗います
【5】親指を反対の手でにぎり、ねじり洗いをします
【6】手首も洗った後でよくすすぎ、しっかり乾燥させます
【ユニセフ 世界手洗いダンス】
▲ダンスで楽しく手洗いが学べます。擬音語が多いので小さな子もわかりやすい!
タオルの共用はしない
菌を「つけない」という観点からも、菌を「ふやさない」という観点からも共用は避けましょう。
床、棚、窓、テーブル、遊具等の清掃・消毒
ドアノブ等は水拭きの後にアルコール消毒を行いましょう。
遊具は口に含むものは都度洗い、干すのが◎。そのほかの遊具は適宜洗浄しましょう。
おむつ交換の際の衛生管理
交換場所は手洗い場所がある場所にし、食事場所との交差を避けましょう。
安全な調乳方法の徹底
ミルクを作る際には、作り置きはしないようにしましょう。
また、70°以上の湯で調乳するなど、安全な調乳方法を守りましょう。
《参考》【乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインの概要】
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/dl/070604-1a.pdf
プール遊び前後のシャワーの徹底
プールもこれからの時期、注意したいもの。合わせて水質管理等も徹底しましょう。
保育士さん自身も感染予防を!
施設の衛生管理や子どもたちの手洗い実践などの大切さをお伝えしましたが、
施設で働く保育士さんが、病原菌に感染しないようにするための対策も、食中毒発生予防には重要です!
服や頭髪などを清潔に保つ
爪も短く切っておきましょう!
保育中、保育前後の手洗いの徹底
特におむつ替えや清掃の後、配膳前などには、念入りに手洗いを実行しましょう。
尿、糞便、吐物などの安全な処理方法の徹底
他の子どもたちが近づかなようにするとともに、ビニール手袋、マスク等を付けて処理する、処理後は消毒と手洗い等を念入りに行う等に努めましょう。
ケガをしている際の感染防止
手指に傷がある場合などは調理、配膳に携わらない、ビニール手袋を使用するなどの対策をとりましょう。
編集者より
保育施設は、子どもたちが長い時間共同生活を行う場所。一人が感染してしまうと二次感染の危険性が高くなります。
保育施設での対策のみでなく、子どもたちの家庭での感染予防のために、保護者への感染予防対策の情報提供、注意喚起も必要になってくるでしょう。多くの子どもたち、そして保育士さん自身を守るためにも、食中毒には万全の対策をとっておきたいですね。