子どもの感受性はとても豊か。大人の何気ない言葉がその心を傷つけたり、逆に子どもの可能性を引き出したりするものです。最近の研究ではごく一般的に使われる、一見問題のなさそうな言葉が、子どもにとっては好ましくないという例も発表されています。本日は子どもにかけてはいけない言葉や、可能性を伸ばす言葉について、その具体例をご紹介します!
つい言っていませんか?子どもにとってNGの言葉
子どもは、大人にかけられた言葉にとても敏感に反応します。言葉のかけ方ひとつで、言うことを聞いてくれたりくれなかったり…それだけでなく、時にはふとした言葉が子どもを深く傷つけてしまうこともあるため、”言葉のかけ方”には十分な注意が必要です。
【基本中の基本!】子どもに絶対言ってはいけない言葉 | |
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存在の否定をする言葉 | あなたがいなかったら○○できるのに |
子ども同士を比較するような言葉 | ○○君はキチンとできてるよ? |
外見に関する言葉 | ずいぶん大きい子ね・背が小さいね |
男言葉 | ○○って言ってんだろ! |
上記は子どもにとってNGな言葉の基本ですが、これ以外にも注意しなくてはならない言葉がたくさんあります。ここからは具体的に子どもに言ってはいけない10の言葉を取りあげ、上手な言い換え方法を探ってみましょう!
言ってはいけない10の言葉はこう言い換えよう!
- よくできたね!
- 繰り返しこの言葉をかけることで、子どもはそう言われた時だけ自分が「よくやった」のだと認識してしまいます。代わりに「頑張ったね!」と声を掛けてあげましょう。子どもの努力に注目することで、子どもは努力する大切さを学び、粘り強く次のステップに挑戦できるようになります。
■ 言い換え術⇒「頑張ったんだね」
- いい子ね!
- お手伝いなどの後に「いい子ね」と言い続けると、言われたことをしたから「いい子」なのに過ぎないと感じ、評価のために行動するようになってしまうそう。「いい子」のステータスを失うことを恐れ、自発的な行動が阻害されてしまいます。「○○してくれてうれしいな」などと伝えることで、人を喜ばせることの喜びを知り、評価ではなく自らお手伝いなどをするようになります。
■ 言い換え術⇒「○○してくれてうれしいな」
- 絵が上手ね!
- 作品に評価や判断を与えると、子どもが自分で判断し評価する機会を奪ってしまいます。子どもの創造性を育てるには、大人はただ観察をすることで、子どもが自分で作品を判断、評価して他者に伝える機会を作ってあげることが重要です。
■ 言い換え術⇒「赤と青を混ぜて色を塗ったんだね、何を描いているの?」
- いい加減に止めないと、○○だよ!
- 脅しによって、子どもは無意識のうちに「思うままにならない時は脅しや暴力を使っても良い」と感じてしまいます。子どもの行動をやめさせたい場合などは、子どもが自分の感情を表現できる他の手段を提供しましょう。”やってはいけないこと”に線引きをしつつ、子どもの感情もきちんと認めることにつながります。
■ 言い換え術⇒「人をたたいてはいけません。ケガしたら痛いでしょう?クッションならたたいてもいいよ。」
- もし○○したら、○○をあげるよ
- ”モノ”で子どもを釣るようなことを続けると、子どもたちは自発的な協力ではなく”モノ”に対する欲求から行動するようになり、代価なしには行動をしなくなってしまうこともあります。”モノ”ではなく感謝の気持ちで、子どもたちにその行動の価値を伝える必要があります。
■ 言い換え術⇒「片づけのお手伝いをしてくれてどうもありがとう!」
- お利口さんね!
- 目的を達成した時だけ利口なのだというプレッシャーを子どもに与えてしまいます。「できなかったら…」という不安から挑戦意欲を奪ってしまうことにもつながりかねません。努力を褒めることで挑戦すること、目標に向け努力することの大切さを自然に理解できるようになるでしょう。
■ 言い換え術⇒「頑張ったんだね」
- 泣かないで
- つらそうに泣く姿を見るのは苦しいですが「泣かないで」ということで、子どもは感情を表に出してはいけないと感じ、その押し殺し方を覚えてしまいます。押し込めた感情はいずれ爆発してしまうもの…子どもには泣いても良いことを伝えたり、悲しい感情を具体的な言葉で表現することで、感情を認識させ、表現できるようにフォローしてあげましょう。
■ 言い換え術⇒「泣いてもいいんだよ/○○できないのが悲しいのかな?」 - ○○するって約束してあげる
- 約束を破ることは、子どもの心を大きく傷つけます。リスクをきちんと把握し、誠実な対応を心がけましょう。約束を守れなかった場合には「仕方ないでしょ!」などと言わずに、心から謝ることも重要です。
■ 言い換え術⇒「お仕事が入ってしまったら難しいかもしれないけれど○○できるように頑張るね、」 - 大したことじゃないでしょ!
- 子どもの気持ちに理解を示し、決して過小評価をしないように注意しましょう。大人にとって些細なことでも、子どもにとっては価値のあることである場合もたくさんあります。
■ 言い換え術⇒「○○したいのはわかるけど、ごめんね、今日はできないの…」 - 何でそんなことをしたの?
- この質問は大人にとってもとても難しい質問です。この問いかけに対して、黙り込んで自己防衛的になってしまう子どもが多いでしょう。漠然とした問いでは、ただ叱られた感覚を残すだけです。それよりもその原因や心情を推測して、子どもたちがなぜそんな行動をとったかを理解し、表現できるように話のきっかけを作ってあげましょう。
■ 言い換え術⇒「○○ちゃんがオモチャを貸してくれないから怒っちゃったの?」
子どもを伸ばす!3つの励まし言葉
先の例とは逆に、伝えることで子どもたちのやる気や可能性を引き出してくれる言葉もあります。子どもの心の発育に好影響を与える3つの言葉をご紹介します。
- ◆ 3つの励まし言葉 ◆
- ・何があってもあなたの味方だよ
・失敗してもいいんだよ
・違ってていいんだよ
間違うことを恐れて前へ進めず、新しい挑戦ができなくなってしまうことが子どもにはよくあります。言ってはいけない言葉を避けるだけでなく、不安や戸惑いを言葉によってできるだけ取り去ってあげ、子どもたちの可能性を引き出してあげましょう!
褒め上手になる!7つのポイントとは
誰だって褒められればうれしいものですよね、子どもだって同じ。ただし”ただ褒めればよい”と言うわけではありません。子どもたちにきちんと伝わる褒め方には7つのポイントがあります。これらを参考にあなたも褒め上手になっちゃいましょう!
- 心を込め、目を見て褒める
- 子どもたちは大人の表情をよく見て、多くの情報を得ています。言葉に気持ちを込めると同時に、しっかり目を見る、笑顔で話しかけるなどの態度で示すことが有効です。
- 具体的な内容で褒める
- ただ「えらいね、すごいね」と褒められても、子どもにはなぜ褒められたかが伝わりません。「大きな声で本を読むことができて、上手だったね!」など具体的な内容について褒めてあげることを心がけましょう。
- 褒めるタイミングを逃さない
- 時間がたってから褒めると子どもたちを混乱させてしまいます。なるべくその場で時間を置かずにに誉めてあげましょう。
- 結果だけでなくその過程も褒める
- たとえ失敗したとしてもどこかに成長や気付きがあったはずです。その過程を見つけて褒めてあげることで、結果だけがすべてではないと学び、次の行動へと子どもたちを導くことができるでしょう。
- 第三者を通じて間接的に褒める手も
- 保護者の褒めていた点などを間接的に保育士さんが伝えてあげてはいかがでしょう?第三者を通じて思いがけず褒められることは、時にうれしいものですよ!
- うれしい!を形に残す
- 例えば賞状や手紙、折り紙で作ったメダルなど、形に残るように褒められるとうれしいという感覚が持続します。保育園などの場合であれば、制作物などで工夫して褒めてあげるのも素敵ですね!
- 当たり前のことで継続していることを褒める
- 大人でもそうですが、あることが「当たり前」と認識してしまうと褒める機会が少なくなってしまいます。子どもたちの毎日のあいさつなど、一見当たり前に思えることでも継続していることに対し気付き、褒めてあげることも必要です。
編集者より
あるデザイナーの女性は、幼い頃に色の使い方を褒められたことがずっと心に残っていたそうです。
一方で「お前は何をやってもだめ」と言われた傷から自信が無く、部屋に閉じこもってしまった方もいるとか。子どもと関わるときには、かける言葉を吟味して、将来に良い影響を与える魔法をかけてあげたいものです。
…とはいえ一人の人間。やはりイライラと感情が高ぶることもありますよね。そんなときには深呼吸!言葉を感情に乗せる前に、この言葉の持つ力のことを思い出すようにしたいですね。