保育士の悩み

ミス続きの保育士さんへ……失敗の連鎖を断ち切って自信を取り戻すコツ

「昨日ミスしたばかりなのに、また失敗しちゃった……」

ただでさえ気分が落ち込んでいるのに、追い打ちをかけるように同じようなミスを連発してしまう……そんな「負のスパイラル」に陥ってしまった経験はありませんか?
今日は最近なんだか仕事がうまくいかない……そんなあなたに、「失敗の連鎖を断ち切るヒント」を具体例と共にお伝えします!

保育士に多いミス・失敗例を解決法とともに紹介

保育士にありがちなミスを3つあげてみました。解決法とともに確認していきましょう。

Case1 保護者から言われたことを忘れてしまった

登園時にAちゃんのママから「鼻水が出ているので水遊びはさせないでください」と言われていたのに、忘れていてAちゃんも一緒に水遊びをしてしまった。

朝の登園時間は泣く子もいたりして、バタバタしていますよね。そんなときには保護者から言われたことも、うっかり忘れてしまうかもしれません。

その場合は、すぐメモすることが大切です。
ポケットに常にメモ帳を入れておくのもおすすめですが、壁や棚、体温チェック表など、仕事中に必ず目にする場所を把握しておき、そこにメモを貼っておくのが効果的です。

内容によっては、他の保護者に見られると問題になることもあるホィ。注意するホィ!

Case2 伝達ミスで保護者から不信感

B君が転んでケガをしたことを、パートさんが周りに伝えずに退勤。夕方お迎え時にB君がママに「今日転んじゃった」と報告していたので保育士もびっくり。
B君ママに、ケガを把握していなかったことで不信感を持たれてしまった。

大きい保育園や未満児クラスだと、1クラスを複数の先生が担当することが少なくありません。
もし、あなたが担任でクラスにパートさんがいる場合は、退勤時に「何か子どもたちの気になったところとかありますか?」など声をかけることを習慣づけるようにしましょう。
それが習慣化されるとパートさんも帰る前に「何か伝え忘れていることないかな?」と振り返るようになるはずです。

伝達ミスは保護者の信頼を失うきっかけになってしまいます。
複数担任の場合やフリーの先生が入る場合など、伝達事項をどう伝えあうか決めておくことがおすすめです。
専用のメモを用意するなど、口頭以外の方法を考えましょう。

一度保護者に不信感を持たれてしまうと、信頼を取り戻すことはなかなか難しいよ。起きたことはしっかりと謝り、あまり引きずりすぎないようにすることが大切。

Case3 子どもにケガをさせてしまった

ぐずる子どもを抱っこしようとしたら、暴れてバランスをくずし、子どもが近くにあったテーブルで頭を打ってしまった。

もし子どもがケガをしてしまったら、すぐ周りの先生に知らせて協力を求めましょう。ケガをした子以外の子どもたちの対応をする人も必要です。
その上でまずは適切な手当てをし、園長にも報告しましょう。

子どもが痛がっていなくても、見た目に変化がなくても、報告は必須だホィ。ケガによっては時間がたってからあざになったり、痛みが出たりするケースもあるホィ。
保護者にもきちんと状況を伝えて謝りましょう。状況によっては園長も一緒に謝罪することもあるかもしれないけど、とにかく自己判断はせずに確認することがおすすめだよ。

そして、今後同じことを繰り返さないために、どうしたらいいか考えます。
そのときに、他の先生にも相談してみましょう。自分では思いつかなかった解決策が見つかるかもしれません。
また一緒に考えてもらうことで、あなただけでなく園全体で同じことが起きないよう対策できます。

保育士としてがんばりたいのに……なぜミスは続くの?

一度ミスをして叱られ、「二度としない!」と心に決めたにもかかわらず、同じようなミスを繰り返してしまうことがあります。
一体なぜなのでしょうか?
まずはその原因について考えてみましょう!

【1】気を付けよう……意識付けだけにとどまっている

ミスをした後「注意しよう」と意識することは大切ですが、繰り返すミスについては、自然とその注意ができていないことが問題です。
単なる意識付けにとどまらず、「どのようにしたらミスしないか」という具体的な対策が必要です。

【2】原因の掘り下げが不十分……

ミスの原因を分析したつもりでも、それが不十分ではNG!
例えばチェックすべきところを忘れた時、「忘れたこと」が原因なのではなく、忘れないように工夫がされていないことが原因なのです。
確実に対策が立てられるところまで原因を掘り下げていくことが大切です。

【3】失敗のせいで思考が凝り固まってしまう

失敗が続く人の多くは真面目であるといわれています。
「他の人は難なくこなせているのに」と自分を責めたり、極端にそのミスに固執したりしていると、思考がそのことばかりに向いてしまい他の部分でミスをしてしまうこともあります。
上手に切り替えができるよう、自分なりの方法を探りましょう。

【4】怒られないように一生懸命になってしまう

失敗が続き、先輩から何度も怒られると、「いかに怒られないか」と考え、先輩の顔色をうかがいながら仕事をすることになってしまうことも。
そうすると子どもの様子に集中できなくなってしまいます。

あなたが保育士になった理由を、もう一度思い出してみましょう。

【5】自信喪失によるモチベーション低下

「自分は能力がない人間だ……」「向いていないんじゃないか……」と自信を無くしてしまうと、仕事に対するモチベーションまで下がってしまい、注意力が散漫になりがちです。
前向きに仕事に取り組めるよう、自信のリカバリーも必要です。

環境から改善!ミスを繰り返さない仕組みづくりを!

まずは業務フローの見直しやチェックシートの活用など、仕事をするうえでミスを繰り返さない仕組みをつくることが重要なポイントです。
そのためには下記のことを実践するように心がけましょう。

失敗の見える化・データベース化をしよう

時間の経過とともに忘れてしまわないよう、些細な失敗であっても、内容やその時の状況、心情などを書き留めることを心がけましょう。
ふせんに書いてカテゴリー別に分類したり、ミス発生事例集のフォルダーを作ってパソコン上で管理したりすれば、ミスをしやすいところや発生しやすい環境などの傾向もつかみやすくなります。

分析することがとても大切!

例えば「なぜ失敗したか?」→「チェックをし忘れたから」→「なぜ忘れたか」→「声をかけられて注意がそれた」→「なぜ話し終わった際に漏れに気づけなかったのか」……というように、ミスの原因を掘り下げる分析の過程が大切です。
「why(なぜ?)」の問いかけを繰り返し行って根本的な原因をつきとめましょう。

確認の習慣化は意識だけでは不十分

確認を怠らないことはミス防止の基本ですが、それを習慣づけるには慣れが必要です。
つまりミスをしている段階では、確認動作を必ず行うための工夫が必要です。

書類のチェックであれば、クリアファイルに確認部分がわかるよう色付けし、挟み込んで確認する・チェックシートを作り項目ごとに確認するなど、少し手間でも業務フローに組み込んでしまうのもひとつの手です。

心理面から改善!また失敗するかも…から抜け出そう!

「私ってだめだな……」と落ち込む気持ちもよくわかりますが、ネガティブな心理状態がミスを誘発するケースも多々あるものです。
ずるずるとマイナスな心理状態に陥らないようにする工夫が必要と言えるでしょう。

「自分の能力が足りないせい……」ではない!

「私の適性がないんだ」「能力がないから…」という思考は非生産的。
複数の原因が重なって発生するミスも多々あります。能力が劣っているのではなく、今の仕事のやり方にミスが起こりやすい要因があるのではないか、通常とは違う状況がなかったか? など切り口を変えて考えましょう。
自分で思いつかない場合は、周りに相談してみると思わぬ解決策が見つかるかもしれません。

他のことに目を向ける時間を作ろう!

失敗のことばかり考えて落ち込んでしまう、どうしてもマイナスな思考に陥ってしまう、という場合には一度その落ち込みを発散させる必要があります。
少し風にあたり空を見上げてみる、ストレッチをしてみるなど、意識を分散させて他のことに目を向ける時間をつくりましょう。

未来の理想の自分をイメージしよう!

過去の失敗ではなく、今まで努力してきたことに目を向け、今後どうなっていきたいかという理想像を思い浮かべてみましょう。
憧れの先輩の姿を想像しても、仕事以外の理想を思い浮かべてもよいですね。
気持ちが自然と前向きになり、そのためにどうすればよいかという思考ができるようになります。

自分の優れた点を書き出してみる

ミスが続くと自分のあらゆるところがダメに思えてきますが、良いところも必ずあるはずです。
自分なりの考えでよいので、自分の頑張っているところ、長所などを客観的に書き出してみましょう。
ほら、あなたの「良さ」が埋もれてしまっていませんか?

体調からも改善を!

体や頭のパフォーマンスが落ちれば、それだけ本来の力を発揮できなくなり、ミスも増えます。寝不足やお酒の飲みすぎ、不規則な食生活、または風邪をひいている……などの場合にはそれらを改善することが大切です。
まず、自分の生活を見直しましょう。疲れていては、子どもたちに対しても笑顔で接することができなくなってしまいます。

子どもの頃からずっと悩んできた……ADHDの疑いも?

まれではありますが、「子どもの頃からケアレスミスが多かった」「忘れ物や無くしものを頻繁にしている」「落ち着いて作業ができない」といった場合には、注意欠如・多動性障害(ADHD) であることがあります。
この場合、“努力”ではどうにもならないことも。正しく知ることで、自分に合ったやり方を見つけることにつながります。

ADHDって何?

注意欠如・多動性障害(ADHD)とは、多動性、不注意、衝動性を症状の特徴とし、日常活動に支障をきたす状態をいいます。
子どもの頃から始まりますが、保護者などの支援があることから気付きにくく、大人になって社会生活に困難をきたす場合もあるようです。
「怠けている」などと誤解を受けることが多く、うつやアルコール依存を併発する場合もあります。

ADHDが引き起こす日常生活における困難の例
  • 仕事でケアレスミスを繰り返してしまう
  • 書類作成などやるべきことがある時に限って他のことをしてしまう
  • 待ち合わせの際に遅刻することが多い
  • 落ち着かない感じがする
  • 衝動買いをしてしまう
  • 仕事の段取りが付けられない
  • 今やるべきことに集中できない

もしかして…と思ったら

症状や特徴を正しく理解し、疑いを持ったならば精神神経科や大人も診ている小児神経科などを受診してみましょう。
ADHDは周囲のサポートや生活の工夫で、上手につきあっていくことができます。

医療機関では投薬など治療の他、生活のアドバイスも行っているホィ。

編集者より

筆者も新卒で働きだした頃、失敗続きで自己嫌悪に陥ったことがありました。
何をするにも萎縮してしまう上、ミスのことで頭がいっぱいで注意力も散漫に……苦い思い出です。しかし今思えば、学んだことも多かったと感じます。

はじめからミスもなく順風満帆! という人はいないでしょう。
失敗し、学び、改善策を練ってはもう一度挑戦し……経験を積むうちに、失敗のリスクを予測できるようになるのだと思います。
頑張っていきましょう!

参考文献・サイト

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