保育園での生活の集大成であり、子ども達にとって大切な門出を祝う卒園式。心身ともに大きく成長した子ども達の晴れ姿を見ることは、保護者にはもちろん、先生達にとっても嬉しいことでしょう。
今回は、卒園式の演出や進行のポイントから、式直前でも役立つトラブル対応のコツまで、子ども達や保護者にとって、忘れられない卒園式にするためのポイントをたっぷり紹介します。
卒園式の役割とねらい
卒園式はいわば園生活の締めくくり。さまざまな思い出を胸に、子ども達が新しい一歩を踏み出す日です。
まずは、そんな大切な園行事である卒園式のねらいを確認してみましょう。
主役として参加する卒園児にとって、卒園式は一生に一度の大切なイベント。
周囲への感謝の気持ちを抱いたり、就学への期待を膨らませたり……。その体験は子ども達の心に深く刻まれるものになることでしょう。
保育士さんは、子ども達が楽しかった思い出を振り返るとともに、新たな未来へと前向きに進めるよう、サポートしてあげましょう。
園によっては、在園児が卒園式に出席し、お礼の言葉を伝えたり歌を贈ったりすることもあるでしょう。
在園児にとって、園で一緒に過ごしたお兄さん・お姉さんと園で会うのは、卒園式で最後。お別れは寂しいものですが、「ありがとう」の気持ちを持って送り出してあげられるようにしましょう。
0~1歳クラスが卒園式に参加するケースは少ないかもしれませんが、練習などに一緒に参加することもあるでしょう。
卒園していくお兄さん・お姉さんの姿を見て、特別な場の雰囲気を感じることも、貴重な体験となるはずです。
卒園式までのスケジュールとやるべきことリスト
卒園式までには、やらなくてはいけないことがたくさん!
はじめて担当する保育士さんにとっては、いつまでになにをすればよいのか、戸惑うこともあるでしょう。
ここからは、主な卒園式の準備を時期ごとにまとめてご紹介します。
3ヶ月前までにやることリスト
卒業式の3ヶ月前(12月)までには、次のような準備をします。
卒園式は卒園する子ども達にとっても、園にとっても大きな行事のひとつ。
年長クラスの担任を中心に、保育士さんが協力しあいながら準備を進めることが必要です。
会場の飾りつけに必要な制作物などは、手の空いた時間に皆で分担できるよう、「なにがいくつ必要か」をチェックリストにし、進捗状況がわかるようにしておくとよいでしょう。
2ヶ月前までにやることリスト
卒園式の2ヶ月前(1月)までには、式に必要な物品や制作物の準備を進めておきましょう。
1カ月前までにやることリスト
卒園式の1ヶ月前(2月)になると、卒園のムードも徐々に高まってきます。当日使う小物や備品などは、ここまでにきちんと準備しておきましょう。
直前の時期でも抜けがないか一つひとつ確認しておくとよいですね。
式直前までにやることリスト
卒園式が間近に迫ったら、以下のチェックリストに沿って、やり残していることがないか確認しましょう。
事前にしっかり準備をしていても、式の直前にはバタバタするもの。式の流れや当日トラブルが生じたときの対応は、しっかりと確認しておきましょう。
式当日の保育士の服装は?
「卒園式にどんな服装で行くべきだろう……」と迷ってしまう保育士さんもいることでしょう。
卒園児の担任の場合には、明るい色の袴を着用することもありますが、それ以外の先生については、基本的には目立たない色のスーツなどを着用するのが基本です。
明るいカラーのスーツで統一する場合もありますが、指定がない場合は、あくまで主役は子ども達なので、グレーやネイビーなどのスーツに、コサージュを合わせるなど、全体よりもワンポイントの工夫で、お祝いの席にふさわしい装いにしましょう。
はじめてでも迷わない!当日の卒園式進行・プログラムの例
では、ここからは、卒園式当日の流れと、プログラムの例を確認していきましょう。
1 開式の言葉
2 卒園児入場
3 修了証書授与
4 園長先生のお話
5 来賓の言葉
6 在園児によるお祝いの言葉
7 卒園児一同による挨拶
8 記念品授与
9 お別れの歌
10 閉式の言葉
11 卒園児退場
園の規模や在園児の参加有無などで、内容は変わってきますが、基本的には上のような流れで卒園式のプログラムが組まれます。
このほかにも来賓入場や国歌斉唱、祝電の紹介などが組み込まれることがあります。
卒園式当日の流れは?
卒園式当日は、式のほかにも、スライドの上映や記念写真、クラス会などさまざまな予定が詰まっています。
来賓や保護者も多く、進行が大変な部分もあるかもしれませんが、卒園児のお見送りまでスムーズに進められるよう、当日の流れをチェックしておきましょう。
8:30 一日の流れの確認・配置につく
9:30 園児・保護者登園
10:00 注意事項伝達・開場
10:10 スライド上映
10:30 卒園式開始
11:30 卒園式終了・記念写真撮影
11:40 クラス会(記念品授与)
12:00 お見送り
登園時間を若干早める園もありますが、基本的には通常と同じくらいの登園時間に園児・保護者が登園し、12時くらいには終了、お見送りをするのが一般的です。
卒園式の所要時間は、子どもが集中して取り組めるように1時間程度に調整するとよいでしょう。
◇一日の流れの確認・配置につく
職員は会場設営などの最終チェックを行います。また、当日の流れを再度職員全員で再確認し、それぞれの配置につくようにします。
◇園児・保護者登園
当日は登園時に出席をチェックするという園も多いでしょう。混雑がないよう、在園児と卒園児で確認する列を分ける、登園時間を分けるなど工夫をしましょう。
◇注意事項伝達・開場
登園後は、卒園児は保育室などクラスの集合場所へ、保護者は別の場所で待機してもらいます。全員揃ったところで、当日の諸注意を伝え、卒園式会場へ誘導します。
◇スライド上映
卒園児の成長記録など、あらかじめ用意していたスライドを上映します。スライドが終わるまでに卒園児はトイレを済ませ、身だしなみを整えておきます。
スライド上映は、子ども達が準備を済ませる間の演出だけでなく、会場のムード作りや保護者の着席率の向上などの役割を持っています。スムーズな進行のためにも取り入れるとよいでしょう。
◇卒園式開始・終了
司会者の進行に沿って、式を進めます。
◇記念写真撮影
卒園児と保護者全体、あるいはクラスごとに集合写真を撮ります。混雑がないよう、あらかじめ在園児や写真撮影に参加しない保護者などは別場所で待機してもらうよう誘導しましょう。
◇クラス会
担任が最後にお別れの挨拶をします。人数が多い園の場合などは、ここで記念品の贈呈を行う場合や記念撮影を行う場合などがあります。
【ポイント1】会場レイアウトは子どもの姿が見えるように
卒園式当日までに準備するべきことのひとつに、会場のレイアウトの調整があります。
しかし、「どのようにしたら式の進行がスムーズにいくんだろう」「保護者にも満足してもらう会場づくりのコツは?」など、悩んでしまう保育士さんも多いのではないでしょうか。
卒園式の会場レイアウトは、下記のポイントに注意して決めるとよいでしょう。
卒園式は子ども達が主役ですが、成長を見守ってきた保護者にとっては我が子の晴れ姿を見られる大切な機会でもあります。
「卒園証書の授与以外は子どもの後ろ姿しか見えなかった」「前の保護者のカメラやビデオが邪魔で、我が子の姿がしっかり見えなかった」などということがないように、卒園児と保護者との位置関係、撮影スペースの別途確保などは、しっかり相談しあって決めましょう。
【ポイント2】在園児は出席する?しない?
卒業式に在園児を参加させることは、在園児が卒園児への感謝の気持ちを持ち、進級への意識を高めることができるというメリットがありますが、いっぽうで在園児の対応に保育士の配置が必要になる、騒いでしまうなどトラブルが起こる可能性があるなど、懸念点もあります。
そのため、園全体でどうするかしっかりと検討したうえで、在園児の参加の有無を決める必要があるでしょう。
在園児が参加する場合には、次のような点に注意が必要です。
また、式に参加させない場合でも、卒園するお兄さん・お姉さんの姿を見ることは、在園児にとって貴重な経験となるはずです。
練習やリハーサルの様子を見せる、お別れ会を開いて卒園式以外のお別れの場を設けるなどの工夫をするとよいでしょう。
卒園式をもっと思い出深く……演出アイデア
「卒園式の演出が毎年マンネリ……」「もっと印象深い式にするためにはどうすればいいだろう?」とお悩みの保育士さんはいませんか?
ここからは、卒園式をより心に残るものにするための演出アイデアを紹介します。
◆卒園証書とプレゼントを保護者に授与!
修了証書授与のあと、あらかじめ用意していたプレゼントとともに証書を子ども達からそれぞれの保護者へ渡してもらいます。
卒園式は、ここまで頑張って仕事や育児をしてきた保護者にとっても、ひとつの節目。「いままでありがとう」という気持ちを伝えれば、感動的な思い出となるでしょう。
◆卒園児の人数が多くても「見せ場」を作る
卒園児が多い場合に時間がかかってしまうのが「修了証書授与」。
どうしても進行が早めになりがちですが、修了証書授与は卒園式いちばんの見せ場でもあります。一人ひとりの子どもに見せ場を作ってあげられるよう工夫しましょう。
◆入園児の写真を証書とともに渡す
卒園証書とともに、子ども達が入園してきた頃の懐かしい写真をプレゼントするのもよいでしょう。
子ども達にとっても、保護者にとっても、成長を実感しあらためて卒園の喜びを感じるきっかけとなるはずです。
◆感動!保護者からのメッセージ
保護者から子ども達へのメッセージを伝える場を用意してもいいでしょう。卒園児の人数が多い場合には保護者代表から、少ない場合には一人ひとりメッセージを読んでもらってもよいですね。
◆最後は保護者もそろってみんなで歌おう!
卒園児だけで歌う「お別れの歌」のほかに、保育士さんや保護者などもそろって歌える場を設ければ、会場全体に一体感が生まれ、より感動的な卒園式に。
プログラムなどに歌詞を印刷しておく、皆がよく知っている歌を選ぶなど、保護者が参加しやすい工夫をするとよいでしょう。
ステキな式を演出する飾り付けアイデア
心に残る卒園式を演出するには、会場の飾りつけも大切な要素のひとつ。ここからは飾り付けに役立つ、さまざまなアイデアを紹介します。
テーマカラーを決めよう!
統一感のある演出のためにも、まずは「テーマカラー」を決めるとよいでしょう。
一般に紅白などが用いられることが多いですが、それぞれの色の持つイメージや、込められた意味からテーマカラーを選ぶのもよいでしょう。
色が持つイメージや込められた意味 | |
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赤 | 情熱的で、エネルギーを感じさせる色です。活動力、粘り強さ、積極性、力などを表現します。 |
オレンジ | 活動的で軽快なイメージを持ち、豊かなコミュニケーションを示す色です。自信、勇気、朗らかさ、自発性、積極性、また健康や活力、想像力、喜びなどを表現します。 |
黄色 | 知性や好奇心を示す色です。光や希望をもたらす元気なイメージを持たれます。他に決断力や洞察力を示す色とも言われています。 |
緑 | バランス、調和を示す色です。安全・自由・中立を表現し、寛容さや良識、理解力をもたらすとされています。木々の緑から生命のイメージもあり、発展の精神を示すとも言われています。 |
水色 | 変化を求め、常に生き生きとしてい色です。変化、変身を表現し、開放的で自由、意気揚々としたイメージをもたらします。 |
青 | 静けさと誠実さを持つ青は献身、信頼を表現します。平和、リラックスを示す色とも言われています。 |
ピンク | 優しく、あたたかく、保護してくれる色です。純粋な理想や献身、尊敬、感謝を表現します。 |
紫 | 芸術的才能や忍耐、思いやりを示す色です。静かなパワーを秘めるとされ、高級感や高貴なイメージも持たれています。 |
制作アイデア集
つづいて、卒園式の会場を彩るアイテムや卒園児の胸につけるロゼットなど、制作のアイデアを紹介していきます。
◇リボンとレースペーパーで華やか「プログラム」
卒園式のプログラムを、画用紙やレースペーパー、リボンなど身近な材料で彩りましょう!
【材料】
・画用紙
・レースペーパー
・シール(画用紙をクラフトパンチでカットしても可)
・麻ひも
・造花
・リボン
・はさみ
・のりまたは両面テープ
・穴あけパンチ
【1】画用紙を1対1.2対1.2の割合で谷折りにし、谷折りにした箇所にのり付け、または両面テープを貼る(※画像は10.5cm・12.5cm・12.5cmで作成したもの)
【2】ひとまわり小さな画用紙を重ねて貼りあわせる
【3】麻ひもをで輪を作り、先端に造花を貼り付けて飾りを作る
【4】プログラムの裏面となる部分の左上にパンチで穴をあけ、飾りを取りつける
【5】レースペーパーで飾り付けたあと、印刷しておいた式プログラムを貼る
【6】シールやクラフトパンチで作ったパーツで飾りつける
【7】裏面も同じようにレースペーパーやシールなどで飾る
【8】リボンで結べば完成!
◇両面テープだけでカンタン!「ロゼット」
針や糸を使わず、両面テープだけでカンタンに作れるロゼットは、卒園していく子ども達の胸元を華やかにしてくれます。
【材料】
・画用紙
・厚紙
・サテンのリボン
・はさみ
・両面テープ
【1】厚紙に直径6cmの円を描き切り抜く
【2】太いリボンの上に細いリボンを重ねて貼り、端をW字に切って台紙の裏に貼る。同様に細いリボンを左右にバランスよく貼りつける
【3】台紙の表面に両面テープを貼り、その上からタック(ひだ)を作りながらリボンを貼りつける
【4】1周貼り終えたら、画用紙を貼った厚紙を直径4cmの円型に切り抜き、中央に貼る。その上から他の色のリボンを結んで貼りつける
【5】最後に卒業おめでとうの文字を書く、あるいはイラストや文字を印刷したものを貼り付ければ完成!
◇デニムをテーマに大人っぽく!「会場飾り」
デニム素材を使って会場の飾りを統一すれば、適度なカジュアルさがありながらも、統一感のある演出ができます。今回は壁飾りの作り方を紹介します。
【材料】
・デニム生地
・お花紙(ブルー・ホワイト)
・麻ひも
・造花
・リボン
・ビニタイ(針金などでも代用可)
・はさみ
・両面テープ
【1】デニム生地の中央をジャバラ状に折り、プリーツを作る
【2】折った部分を麻ひもでぐるぐると縛って結ぶ。結んだ部分に造花を差し込み、飾る
【3】麻ひもの上にリボンを結ぶ
【4】4分の1サイズのお花紙を5枚重ねてジャバラ状に折り、中央をビニタイで縛って端を丸くカットする
【5】お花紙を1枚づつ開いてお花を作り、3つずつビニタイをねじり合わせてとめる(必要数:ブルー3個×2組・ホワイト3個)
【6】デニムの壁飾りの上部に花を貼り付けて完成!
◇保護者への感謝のプレゼント「サテンリボンのリース」
感動的な卒業式を演出するアイテムとして、保護者への感謝の気持ちを込めたプレゼントはいかがでしょう?
子ども達から保護者へ手渡してあげれば、きっと忘れられない思い出になるはず!
【材料】
・厚紙
・お花紙(ホワイト)
・子どもの絵(保護者の似顔絵・感謝のメッセージなど)
・サテンのリボン
・はさみ
・両面テープ
【1】厚紙を直径12cm程度の円形にカットし、中央部分に直径6cm程度の円を切り抜いてドーナツ状にする
【2】台紙の裏表に両面テープを貼る
【3】サテンのリボンをくるくると巻き、貼り付けていく
【4】異なる色のリボンを重ねて貼り付けていく
【5】4分の1サイズのお花紙でお花を作ったら、リースのてっぺんに貼り、その上から結んだリボンを貼る
【6】最後に裏から子どもの描いた絵を貼って完成!
心に残る卒園式にするための言葉かけ
卒業式という行事のもつ意味を理解し、子ども達が周囲の人達に感謝の気持ちを持ったり、進学・進級への期待を膨らませたりするためには、保育士さんの言葉かけが欠かせません。
ここでは、在園児・卒園児別への適切な言葉かけのポイントを紹介します。
在園児への言葉かけのポイント
「卒園する」とはどういうことなのか、卒園式がどういった行事なのかを伝え、卒園していくお兄さん・お姉さんへの感謝の気持ちを持てるようにしましょう。
また、年長組の子ども達が卒園していったあとは、ひとつ上のクラスに進級するのだという自覚を持たせ、そのことに期待を持てるようにします。
【言葉かけの例】
年長組のお兄さん・お姉さんは、保育園でたくさんお友達を作り、学んできました。だから、今度は小学校という新しい場所で頑張るために、保育園から旅立っていくの。それが「卒園」です。
卒園式は、そんなお兄さん・お姉さんをお祝いするための式なの。みんなも、お世話になった年長組のみんなに「ありがとう」の気持ちを持って、送り出してあげましょうね。
単に「卒園児に“ありがとう”と言いましょう」「みんなで歌を贈りましょう」と行動を指示するだけでは、心の成長にはつながりません。
「なぜそれをするのか」をきちんと伝えるよう心がけましょう。
卒園児への言葉かけのポイント
卒園していく子ども達には、お世話になった人への感謝の気持ちを持てるように、そして小学校へ進学することに対して前向きに、希望をもって捉えられるようにしましょう。
また、ここまでの園生活で楽しかったことを振り返り、友達や先生と築いてきた関係性や作ってきた思い出を大切なものだと気つけるような言葉かけを心がけましょう。
【言葉かけの例】
入園した頃にはまだ小さかったみんなも、すっかり大きくなりましたね。もうすぐみんなは保育園から旅立っていきます。本当におめでとう。
これからは、小学校という新しい場所でたくさんのことを学んでいくことでしょう。
卒園してお友達と離れるのは寂しいことですね。先生もみんなと会えなくなるのは寂しいです。
でも心配しなくて大丈夫。これまでみんなは、お父さんやお母さんなど、多くの人に支えられて成長してきました。小学校に行っても、きっとみんなのことを新しい友達や先生が支えてくれるでしょう。また、楽しかった園での思い出は、みんなの心にずっと残って、みんなの背中を押してくれるはずです。
今まで支えてくれた方々に感謝の気持ちを持って、胸を張って卒園式に出られるよう、いっしょに練習していきましょうね。
小学校進学にあたっては、楽しみにしている子もいれば、不安や卒園への寂しさを感じている子もいることでしょう。
全体への言葉かけはもちろん、一人ひとりの気持ちに寄り添った対応が必要です。子どもの気持ちを聞き出し、それに応じて不安や寂しさを軽減できる言葉かけを心がけましょう。
「どうしよう……」「困った!」トラブル対応集
最後に卒園式当日に起こりがちな「困った」トラブルを集めました。あらかじめ対応を検討するとともに、事前にできる対策を検討し、スムーズな卒園式の進行を目指しましょう。
特別な雰囲気に子どもが緊張してしまった
卒園式当日はリハーサルと違い、多くの来場者があります。そのため、雰囲気の違いに緊張してしまったり、泣き出してしまう子もいるかもしれません。
入場の前に、「いつもどおりのみんなでいいんだよ」「たくさん練習してきたから大丈夫」と優しく伝えるとともに、緊張している子や泣いている子には、深呼吸などを「心の落ち着くおまじない」として伝えてあげるなど、個別に対応しましょう。
体調不良の子が出てしまった
式の途中で体調が悪くなってしまった子がいた場合には、保護者と相談し場合によっては早めに退場させ別室で休ませるなど、臨機応変に対応しましょう。
証書授与など見せ場だけは参加するなど、状況によって参加の方針を決めていくといいホィね!
卒園児がつけるコサージュが壊れてしまった
応急処置ができるよう、両面テープや安全ピンなどはあらかじめ準備しておきましょう。急な対応が必要な場面でも対応できるように、ポケットに入れておくとよいですね。
また、式前日には念のため式で使う備品を再チェックし、できるだけ破損などがないようにしましょう。
掲示物のところで混雑が生じてしまう
園生活のなかで撮影した写真や、子ども達の制作物の展示は、思い出を振り返ることができるいっぽうで、保護者の足を止めて進行の妨げになる要因になることも……。
当日スムーズに会場に足を運んでもらえるよう、卒園式の少し前から展示を行い、送迎の際などに見学できるようにしておくとよいでしょう。
卒園式後も登園期間がある場合には、取り外すまでに一定の猶予期間を設け、見られなかった保護者に対応できるようにするとよいですね。
保護者の写真撮影や拍手などのマナーに課題が……
なかには、カメラやビデオの撮影に夢中になるあまり、拍手や合唱への参加をしてくれない保護者も……。
卒園式実施のおたよりを作成する際には、必ず式への参列マナーを書いて、保護者に積極的な参加をお願いしておきましょう。また、卒園式当日も開場前にあらためて口頭でお願いしておくとよいでしょう。
感極まって保育士さんが泣いてしまう
「入園から見守ってきた子ども達が今日巣立っていく……」感動と寂しさで涙してしまう気持ちはわかりますが、子どもたちにとって「いつも笑顔で見守ってくれていた先生が泣いている」という状況が、不安材料になる場合もあります。
卒園式は別れを悲しむものではなく、子ども達の成長を心から祝福し、みんなで背中を押して笑顔で送り出してあげるためのもの。
どうか子ども達の前では、最後までいつもの「笑顔の先生」でいてあげてくださいね!
編集者より
卒園式は子ども達にとって、園生活の集大成。どんな式であっても、その思い出は子ども達の心に残って輝き続けることでしょう。
そして子ども達がいつか大人になったとき、卒園する自分たちのために保育士さんや保護者をはじめ、多くの人が尽力し、心から祝ってくれたことを、あたたかい気持ちで思い出すことでしょう。
そんな大切な卒園式だからこそ、「完璧にしなくては」と緊張してしまう保育士さんもいるかもしれません。しかし、少しのアクシデントがあったとしても、それもまたひとつの思い出になります。
肩の力を抜いて、どうか卒園する子ども達を心から祝福してあげましょうね!
参考文献・サイト
- PriPri(プリプリ)2019年特別号『子どもが主役!卒園式』世界文化社
- 兵頭惠子 監修(2008)『年齢別行事ことばかけハンドブック』世界文化社
- ほいくと仕事『絶対に成功させたい!卒園式の準備や服装・保育士が準備すべきこと!』(2019/3/8)