うららかな陽気、晴れ渡る空に映える桜、道端に咲く花たち……。今年ももうすぐ春がやってきます。あたたかな陽射しのもとで遊べるのを、心待ちにする子ども達も多いのではないでしょうか。
本格的な春の訪れが待ち遠しいこの季節。子ども達といっしょに、春をもっと楽しむ遊びを取り入れてみませんか?今回は、外遊びやお散歩中に楽しめる「春探し」の遊びとともに、室内でも春を楽しめる制作や、おりがみ遊びのアイデアをご紹介します!
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いつもの外遊びやお散歩で「春」を感じてみよう!
まずは外遊びやお散歩に手軽に取り入れられる「春を探す遊び」のアイデアをご紹介していきます。
移り変わる季節に触れることは、子どもたちに新鮮な感動と、多くの発見をもたらしてくれるもの。子ども達の感性を豊かに育むためにも、たくさんの「気付き」の機会を作ってあげましょう!
【五感を使って春を感じてみよう!】 | |
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視覚 | 花の色、芽吹いたばかりの葉の色など、春ならではの色を観察してみましょう。観察したことを、制作に活かすなどの工夫をすることで、子ども達の色彩感覚を養うことにつながります。 |
聴覚 | 鳥の鳴き声、風の音など、春の音にみんなで耳を澄ませてみましょう。どんな音が聞こえたか、発見を共有し合うのも楽しいですね。 |
触覚 | 暖かい日には遊具や石、砂場の砂に触れてみましょう。手のひらからどんな感覚が伝わってくるでしょうか?さまざまな素材に触れて、触り心地や温度の違いを感じてみましょう。 |
嗅覚 | 花の香りを嗅いでみましょう。花の種類によって、さまざまな香りが楽しめます。どんな香りがしたか、思い思いの言葉で表現してみましょう。 |
味覚 | 外遊びでは難しいかもしれませんが、給食の時間には、春が旬の食べ物を味わいましょう。ご家庭なら、スーパーで旬の果物や野菜を見たり、買ってきた食材に触れたりするのも、新鮮な体験となるでしょう。お弁当を外に持って行き、青空の下で食べるのもステキですね! |
春の草花を探してみよう
この時期、公園の植え込みやアスファルトの隙間からは、草花が次々と顏をのぞかせます。まだ肌寒いなかでも、日中のあたたかな陽射しのもとでは、多くの春の花を見つけることができるはずです。
◆西洋タンポポ
西洋タンポポは春を代表する花のひとつ。鮮やかな黄色とたくさんの花びらが特徴です。英名はダンデライオン。ライオンの歯という意味で、タンポポの葉のギザギザが、まるでライオンの歯のように見えることから、その名がついたのだそう。
現在、日本で見られるタンポポの8割は、外来種である西洋タンポポや在来種との交雑種と言われています。ちなみに日本の固有種である関東タンポポとの違いは、花のすぐ下にある総苞片(そうほうへん)という額の部分がめくれているかどうか。めくれているのは西洋タンポポ、閉じているのが関東タンポポです。
◆オオイヌノフグリ
ルリ色の小さなかわいらしい花。日が陰ると花びらを閉じてしまうので、晴れた日の昼間に探すのがオススメです。集団で咲いていることが多く、青いじゅうたんのように、草原一面に広がっている光景を目にすることも、できるかもしれません。
◆姫踊子草(ヒメオドリコソウ)
葉っぱが五重塔のようになっている草花。小さな薄紫色の花と、シソ科ならではの紫色の葉が特徴です。花が白く、もう少し大きいものは踊子草(オドリコソウ)と呼ばれています。
◆カラスノエンドウ
淡いピンク色の花が特徴的なソラマメ科の植物。とてもきれいな黄緑色の若芽をつけます。ちなみに、天ぷらにすることもできるのだそう。果実が熟すと真っ黒になり、カラスを連想させるため、この名が付いたと言われています。
◆ナズナ
春の七草のひとつ。ぺんぺん草という愛称でも呼ばれています。小さな白い花が可愛らしい春の代表的な草花。なでたいほどかわいい菜という意味の「撫菜(なでな)」がなまって、ナズナになったと言われています。
摘んできた春の花は、押し花にしてもよいでしょう。
花びらをティッシュペーパーなどで挟み、本の間などに挟んだら、上から電話帳や辞典など重しになるものを乗せます、湿気のない場所で4~5日放置すれば、春の押し花のできあがり!できあがった押し花は、ラミネートしてしおりやカードにすると長く楽しめます。
春の野鳥を探してみよう
春になると、鳥たちも活発に動き出します。外にいるときに、どこかから小鳥のさえずりが聞こえた時には、ぜひその姿を探してみましょう。
◆メジロ
鮮やかな黄緑色の体と、目のまわりの白いフチドリが特徴的なメジロは、花の蜜を求め、梅の木などを好んで集まります。
「チーチュルチーチュルチーチーチュルチー」という、特徴的な鳴き声と、色鮮やかな羽根の色に、近くにいればきっとすぐに気が付くはず!
◆ウグイス
早春に「ホーホケキョ」「ケキョケキョ」と美しく鳴くウグイス。きな粉色の体が特徴です。まだ寒いうちには、平地のやぶの中にいて、「チャッ チャッ」という春とは異なる鳴き声を出します。
◆ムクドリ
ムク、リは、春から夏にかけて繁殖する中型の鳥。オレンジ色のくちばしと、少し白みがかった顔が特徴。地上を歩いて餌を探すことが多く、夕方になると集団で飛ぶ姿が見られるため、街中で見かけたことがある方も多いのでは?「リャー リャー」「キュリリッ」といった鳴き声を出します。
鳥たちの鳴き声を聞いたら、鳴きまねをしてみたり、鳴き声クイズを出して遊んでみましょう。どの鳥の鳴き声か当てられるでしょうか?
春の昆虫を見つけよう
あたたかくなってくると、冬のあいだ身を潜めていた虫たちも、地上に出てきます。どんな虫たちがいるのか、草原をじっくり観察して探してみましょう!
◆キタテハ
黄色地に黒い紋があるタテハチョウ。秋に現れてそのまま越冬しているものは、若干オレンジがかった色をしています。
花や果物に集まるので、花壇や野の花の咲く原っぱなどで見つけることができるでしょう。
◆ハナアブ
腹部に赤黄色の縞模様があるアブ。野草などによく遊びに来ています。ハチに似た姿をしていますが、人を刺したりはしないのでご安心を。
動きが素早く、羽音を響かせながら飛ぶため、子どもたちが怖がることもあります。少し遠まきにそっと観察するとよいでしょう。
◆ナナホシテントウ
赤い体に黒い七つ星がついた、可愛らしい姿が人気のテントウムシ。見つけるとつい嬉しくなってしまいそう。
テントウムシは上を目指して登り、てっぺんまで来ると飛び立つ習性があるので、触れ合う機会があったら子ども達といっしょに試してみると楽しいでしょう。
外遊びやお散歩から戻ったら、見つけた虫を画用紙に描いてみましょう。どんな形をしていたかな?どんな色だったかな?保育者が言葉かけをしながら、制作を楽しみましょう。
室内でも楽しめる!楽しい制作
室内であっても春を感じながら遊ぶことは可能です。まだ肌寒い日や、雨の日などには、あたたかい春に思いを馳せながら、制作活動を楽しんでみてはいかがでしょうか?
【制作アイデア1】指スタンプやお絵かきで楽しむ「つくしんぼ」
まずは0~2歳児にオススメの制作アイデアをご紹介します。みんなで作って壁に並べれば、春らしい壁面飾りになりますよ!
【材料】
・色画用紙
・はさみ
・のり
・クレヨン(またはマーカー・絵の具)
1……画用紙を切り出そう
まず、クリーム色、うす茶色、茶色など、つくしに合う色の画用紙を用意し、つくしの頭、茎、茎についているギザギザの飾りを切り出します。
2……つくしの頭に色を塗ろう
つくしの頭の部分に、クレヨンで点々を描いていきましょう。月齢によって、指スタンプにしたり、丸いシールを貼ったり……アレンジもいろいろと可能です。月齢にあわせたねらいを設定して、それに適した材料で制作を行いましょう。
3……つくしを組み立ててみよう
つくしの頭ができあがったら、茎やギザギザの部分をのりで張りあわせて、つくしの形に組み立てましょう。壁面に並べて飾っても、窓辺に並べて貼っても、かわいい春の飾りになりますよ!
【制作アイデア2】お花紙でカンタン!タンポポ
続いてお花紙をくしゃくしゃと丸めて作る、タンポポの制作アイデアをご紹介しましょう。
【材料】
・色画用紙
・はさみ
・のり(または両面テープ)
・黄色のお花紙
1……画用紙を切り出そう
まずは、土台となるタンポポの葉っぱと、花弁を画用紙で作りましょう。ハサミがうまく使える年齢ならば、実際にタンポポの葉を観察して、その形に似せて切り出してもらうのもよいですね。年齢が低い子どもの場合には、保育士さんが代行してあげましょう。
2……土台を組み立てよう
すべてのパーツが揃ったら、のりなどでしっかりと貼り付け、お花紙を貼る土台を組み立てましょう。
3……お花紙を丸めて貼り付けよう
黄色のお花紙をくしゃくしゃと丸め、のりまたは両面テープで画用紙の花弁に貼り付けていきます。月齢によっては、くしゃくしゃに丸めるのではなく、お花紙を細かくちぎって貼りつけるなど、より手先の器用さを養えるような工程にアレンジするのもよいでしょう。しっかりお花紙がくっついたら完成です!
おりがみでチューリップを作ろう!
最後に、手軽に折ることのできるチューリップの折り方をご紹介します!小さな子どもでも折りやすいよう、写真でチェックしていきましょう!
◆チューリップの折り方◆ | |
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まずはおりがみを三角形に折ります | |
それを更に半分の三角形に折ります | |
折った部分を広げ、四角く折りたたみます | |
点線の部分を内側に折り、折り目をつけます | |
鶴の折り方同様、開いて折り目に沿って折りたたみます | |
裏面も同様にして、最後に三角形の部分を下に折り下げます | |
上下を持ち替え、とがっている部分を内側に折りこんで丸みをつけます | |
左右のとがった部分も内側にそれぞれ折りこんでおきます | |
チューリップの付け根の部分をハサミで少しだけ切り落とします | |
花を開いて底を平らにしたら花の部分は完成です! | |
茎は半分に切った折り紙をクルクルと丸め、のりづけして作ります | |
残った半分から葉を切り出しましょう | |
写真のように、茎の先端に少し切込みを入れ、外側の色のついた部分にのりをつけます | |
チューリップの花の上部から茎を差し込み、先ほどのりをつけた部分を、花の底の部分にしっかり貼り付ければ完成! |
ネームスタンドにもなるチューリップ名札をつくろう!
折り紙で作るかわいいチューリップ名札は、ネームスタンドとして机に置くこともできる優れものです。材料は折り紙1枚だけなので、春らしい好きな色を使って作りましょう。
◆チューリップ名札の作り方◆ | |
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折り紙を半分に折ります | |
真ん中の線に合わせて折り紙を折ります | |
反対側も折ります。 | |
縦半分に折ります。 | |
一度広げて一番端を折ります。 | |
広げて角を折ります。 | |
折り目で三角を隠し、反対側も同じように折ります。 | |
両端を内側へ折ります。 | |
裏返して折り目まで半分に折ります。 | |
角のポケットに指を入れつぶします。 | |
反対側も折るとハートの形ができます。 | |
真ん中の角を折り返します。 | |
右側を中央に折ります。 | |
下の部分を内側に折ります。 | |
袋の部分に指を入れ開きます。 | |
左側を内側に折ります。 | |
形を整えます。 | |
完成! |
編集者より
厚手のコートに首をすくめて歩いていた冬の日に比べ、日中はあたたかく感じることも多くなったこの頃。木々が新緑に染まり、野には花が咲き誇る春も、すぐそこまで来ているのでしょう。
子ども達にも、季節が巡ることの不思議さや感動を、ぜひ味わわせてあげたいもの。皆さまも、自然のなかに溢れている「春の兆し」をたくさん発見し、ぜひ日々の保育に活かしてみてくださいね!
参考文献・サイト
- PriPri(プリプリ)2019年3月『入園・進級準備号』世界文化社
- 季節の花300(2019/2/27)
- 昆虫エクスプローラ『Cyber昆虫図鑑 春の虫(早春)』(2019/2/27)
- おしえて!田舎センセイ!『タンポポの種類|西洋タンポポと日本タンポポの見分け方と違い』(2019/2/27)