保育の基礎知識

今話題!レッジョ・エミリア・アプローチの「個」を活かす幼児教育法

「レッジョ・エミリア・アプローチ」は最近注目されている幼児教育実践法。その関心は保護者の方から保育士さんまで広がっており、この実践法を取り入れている保育施設も増えてきています。今回はそんな「レッジョ・エミリア・アプローチ」の魅力に迫ってみましょう!
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レッジョ・エミリア・アプローチってどんなもの?

保育園児の男の子
「レッジョ・エミリア・アプローチ」は、イタリアのレッジョ・エミリア市発祥の幼児教育実践法。個々の意思を大切にしながら、子どもの表現力やコミュニケーション能力、探究心、考える力などを養うのを目的としています。1991年に”世界で最も優れた10の学校”に選ばれた学校が実践していたことから、世界的に有名になりました。

レッジョ・エミリア・アプローチの理念
子どもたちそれぞれの意思や個性を尊重し、個々の感性を生かすことが最も重要であるという理念のもとに実践されています。
レッジョ・エミリア・アプローチの考え方を示す創設者の詩をちょっぴり読んでみよう!

【冗談じゃない。百のものはここにある】
子どもは
百のものでつくられている。
子どもは
百の言葉を
百の手を
百の想いを
百の考え方を
百の遊び方や話し方を
もっている。…(一部抜粋)

『驚くべき学びの世界』(佐藤学監修)より
(ローリス・マラグッツィ)

【特徴1】自主性と協調性を育むプロジェクト活動

レッジョ・エミリア・アプローチの特徴のひとつに「プロジェクト活動」という保育の取り組みがあります。これは1つのテーマを、長い場合は数カ月~1年といった長期間、子どもたちや保育士、保護者が一体となって掘り下げていく活動。

例えば展覧会に向けて作品を作る場合、子どもたちが「個人で作るのか、みんなで作るのか」「何を作るのか」「どのように作るのか」など小グループで話し合いながら進めていきます。保育士は指示を出すのではなく、その話し合いに対等に参加し、保護者にも状況を共有して理解を求めます。

◆プロジェクト活動のメリット
□ 自分の考えを主張する自主性が身に付く
□ 友人の意見を聞き、話し合って進めていく協調性が身に付く
□ 思い通りにならないことから、自分の気持ちを調整する力が育つ
□ 自分たち自身で目的を見つけ出す探究力が育つ
□ 共同活動の中で自分の役割を見出し理解できる

【特徴2】美術専門家の配置にアトリエ…創造性を育む環境

レッジョ・エミリア・アプローチを実践する保育園の画像03
レッジョ・エミリア・アプローチでは、アトリエリスタ(美術専門家)とペダゴジスタ(教育専門家)というプロフェッショナルスタッフが配置され、保育士といっしょに子どもの創造的活動を支援します。

また、子どもたちには自由に使える共同広場「ピアッツァ」や、「アトリエ」といった空間が用意されており、本格的なドラムセットやパソコンから、自然の木の枝や小石まで、様々な教材・素材が常に用意されています。

子どもたちはいつでも、自由な発想で表現活動ができます。本物の芸術を自分で作れる環境が整っているのって、ステキだね!

【特徴3】記録を活かしたドキュメンテーション

レッジョ・エミリア・アプローチを実践する保育園の画像
もう一つ独特な取り組みが「ドキュメンテーション」。これは子どもや保育士の会話や活動の様子を、メモや録音、写真、動画として記録し、パネルなどにして誰もが目にすることができる場所に掲示する取り組みです。

通常の保育の記録と異なるのは、その情報が、保育士さんの業務の振り返りなどに活用されるだけではなく、子どもたちにとっても、次の学びに活かす、振り返りを行うきっかけになっていること。また地域や保護者にも見える形で掲示されることで、より広いコミュニケーションが生まれる仕組みになっています。

子どもも保育者も保護者も対等!
教育法の創設者の一人マラグッツィは、教育が「子ども・教師・保護者」の三者間の関わりによって成り立つものでならない、としています。だからこそ大人が子どもに”教える”のではなく、共同して活動に参加することが重視されます。プロジェクト活動でもドキュメンテーションでも、この考えが活かされていますね。

保育者として働く上での魅力は?

小鳥のイラスト
子どもたちの自主性や協調性を育み、表現力を養う魅力的なレッジョ・エミリア・アプローチ。では働く上ではどのようなメリットがあるのでしょうか?

保育士として働く上で魅力的な点
●子ども一人ひとりの個性を活かした保育ができる
●子どもの自主的な行動を通じて、保育者としての新たな気付きが得られる
●子どもの成長を肌で感じることができ、保育の楽しみを感じられる
●他の幼児教育のように、細かな研修や自学自習が少ない
●与える形式の保育でないため、日々変化が楽しめる

比較的少人数制であったり、保育士の配置を多めにしている施設も多いようです。より子どもたちにじっくり寄り添って、保育ができそうですね。

編集者より

パペット保育士シッター
レッジョ・エミリアはイタリアの小さな街。そこから始まった教育法が、海をわたり日本まで伝わっているのは本当に素晴らしいことですね。

日本にもさまざまな幼児教育法がありますが、お子さまの通う園を選ぶ時にも、保育士として働く環境を選ぶ時にも、ご自身が理念に共感できる、また自らの保育感に合う環境を選ばれると良いのではないでしょうか。

参考文献・サイト

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