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教えて!石渡先生 つら~い腰痛との向き合い方

子どもを何回も抱っこしたり、小さな椅子にずっと座っていたり、外遊びで園児たちといっしょに走り回ることになったりと……日々の業務で身体を酷使している保育士さん。
気付いた時には肩こりがひどい! 腰が痛い! 足のむくみが悪化している! なんて悲鳴を上げている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、リハビリ分野のプロフェッショナルにしてスポーツトレーナーとしても活躍されている理学療法士・石渡雄次(いしわた ゆうじ)先生に、保育士さんが簡単にできるセルフケアについて聞いていきます!

第1回目はつらい『腰痛』について、痛みをや和らげる方法や予防方法をお聞きしました!

そもそも、「腰痛」って何が原因で起こるの?

先生!いつの間にか腰が痛いのが当たり前のようになってしまったのですが、そもそも腰痛はどうして起こるのですか?
保育士さんを悩ませている腰痛のほとんどは、低い姿勢でずっと座っていたり、背中を丸めていたりすることで引き起こされています。
ただし、腰痛の原因が骨の腫瘍や内臓の病気にあることもあります。その場合は早急な治療が必要ですので、腰痛が出たらまずは一度病院で診てもらうようにしましょう。
    ケガや病気には基本的に、

  • 急性期(痛みが生じるきっかけから4週以内):痛み始め。痛くない範囲で動かす
  • 亜急性期(痛みの発生から4週~3か月以内):少しずつ動ける範囲が広がるので、動きのバリエーションが増える
  • 慢性期(痛みの発生から3か月以上):日常生活は問題なし。特定の動作で痛む
  • があります。腰痛の場合はおおむね亜急性期~慢性期のものが多いそう。

痛みというのは、身体が表しているサインなんです。重篤な病気が隠れていた場合は早期治療が必要になるので、自己判断するのはいけません。まず病院に行ってみて、きちんと原因を確かめるのが大切ですね。
なるほど。セルフケアできるのは、筋肉の部分や生活習慣の部分なのですね。腰痛の原因が病気ではなく、日々の仕事だった場合にはどのように改善すればいいのでしょうか……?
腰痛は姿勢の悪さで引き起こされると先ほど言いましたが、実はそれにもパターンがあります。自分が反り腰なのか丸腰なのか、把握しておくといいですね。

姿勢の悪さには種類がある?

反り腰? 丸腰? 普通の姿勢とどう違うのでしょうか。
人間の背骨というのは本来、身体にかかる負担を減らすためにS字カーブを描いているんですね。胸椎は後ろに、腰椎は前に軽く湾曲しています。これによって、腰にかかる負荷を分散させているんです。
ですが反り腰は、骨盤が前に傾いていることで腰椎が前に曲がりすぎてしまっている状態です。腰を反りすぎている姿勢で、肩こりなどの原因になるストレートネックを引き起こしたりします。背骨の左右にある筋肉(脊柱起立筋)がつっぱってしまうと反り腰になりやすいです。
※ストレートネックとは
本来は前方に反るように曲がっている首の骨(頸椎) が、まっすぐに近い状態になっていることを指します。
デスクワークなどにより長時間うつむいた状態(=不自然な姿勢)でいると、頸椎に疲労がたまり、首の自然なカーブが失われてしまいます。
これにより頭の重心が前方にずれ、頭を首だけで支えなければならなくなると、首の筋肉が緊張した状態になります。そのため、ストレートネックは慢性的な肩こりの原因となるのです。
丸腰は逆に、骨盤が後ろに傾いていることで腰椎が後ろに曲がってしまっている状態。猫背になって、横から見たときに顔が身体の中心より前に出ているような姿勢になります。デスクワークや読書などで、背を丸める体勢をずっとキープしていると丸腰になりがちです。
こうして見ると差が歴然としていますね……! 自分が反り腰なのか丸腰なのかは、どうやって確かめればいいのでしょう?
簡単な方法としてひとつ挙げられるのは、壁に背中をぴったりつけたとき、自分の手が腰と壁の間に入るか? というチェック方法です。腕ごと通ってしまうような空間が空いていれば反り腰で、逆に手が入らない場合は丸腰と判断することができます。
セルフチェックしてみると、どうやらわたしは反り腰のようでした。こうした姿勢の悪さは、放置してしまうとどうなるのでしょう?
反り腰にせよ丸腰にせよ、どちらも猫背になってしまう状態です。背中が丸まるような体勢をずっと続けていると、椎間板(背骨の骨と骨の間に挟まるクッションのようなもの)に大きな負担がかかります。それによってヘルニアを誘発したり、脊柱管狭窄症を引き起こしたりします。
日々の腰痛がより重く、深刻なものになってしまうのですね……!
そのためにも、日々の生活から腰痛が深刻化しないように意識することが必要ですね。

日々の生活で気を付けること

今ある腰痛は、どのように改善したらいいでしょうか。
猫背になっているなと思ったら、腰をまっすぐ立てたり寝かせたりを繰り返す。これだけでも楽になると思います。仕事の合間とかにもできるのでおすすめですね。
後は腰回りの、背骨を挟んだ左右の筋肉(脊柱起立筋)を、拳やテニスボールで押すのもいいですね。筋肉が緊張していると血流が悪化して痛みが出やすくなるので、ほぐしてあげるのが大切です。

腰を立てる動き


腰をまっすぐ立てる姿勢と、腰を丸めた姿勢を交互に繰り返します。

脊柱起立筋をほぐす動き


握り拳で背骨を挟んだ左右の筋肉をぐりぐり押しほぐします。

仰向けに寝転んだ状態でテニスボールを床と身体の間に挟み、動かしながら自分の体重を使って押しほぐします。

これらの動作は、1回でどのくらい続ければいいですか?
目安は1分くらいですが、気持ちよくなったくらいで止めて大丈夫です。
あと、反り腰や丸腰になっていることで腿の筋肉が硬くなってしまうこともあります。そういう時は腿の筋肉も、同じようにボールなどを用いてほぐしてあげるといいでしょう。
石渡先生、ありがとうございました!

実際にやってみた感想

実際に少し足を開いて座るだけでも、膝を寄せて座っているときより腰が楽になるような感じがしました。拳で腰の筋肉をほぐすのも、しばらく続けているとじわじわ温かくなる感覚が出てきて、血の巡りがよくなったような感じがします。
これからも続けて、腰痛を改善していきたいです!

腰痛にお悩みの保育士さんは、ぜひ痛みを和らげるためのセルフケアをしながら、日々の生活の中でも自分の姿勢を見直してみましょう。大切なのは適度な休憩、同じ姿勢をキープしないことですよ!

次回は、保育士さんを悩ませる「肩こり」について石渡先生に相談します。

※記事中で紹介しているセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。

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