特集・連載

動画で学ぶ!聞かせ屋。けいたろうさんの読み聞かせ術~実践編~

読み聞かせのプロである、聞かせ屋。けいたろうさんに、保育士さんが読み聞かせを行う際のポイントを伺う「シリーズ・ココロをつなぐ読み聞かせ」。
今回は、保育園での読み聞かせ実践のコツを動画にまとめ、わかりやすくご紹介します。

文章だけではなかなか伝わらない、プロならではのノウハウがたっぷり詰まっていますので、ぜひ日々の保育に活かしてみてくださいね!

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読み聞かせの際の絵本の持ち方は?

まずは、読み聞かせをする際の、絵本の持ち方などについて確認していきましょう!

あくまでも主役は絵本!

けいたろうさん
読み聞かせをする際、読み手である保育士さんが会の中央に立ってしまいがちですが、読み聞かせの主役はあくまでも絵本。

アイドルで言うところの「センター」に立つのは、読み手ではなく絵本だという事です(笑)。そうなるように、読み手はちょっとズレて立ちましょう。

大切なのは、絵をしっかり見せてあげること!

絵本を体から離して持ってしまうと、どうしてもめくるときなどに絵本がグラグラと動いてしまいますよね。脇をしっかり締めて、絵本が動かないようにしてあげると、子どもたちに絵をしっかり見せてあげることができますよ!

導入~読み聞かせの前の環境づくり~

続いて、絵本のタイトルや見返しを活用して、子どもたちが絵本に集中できる環境づくり(導入)を行うポイントについて、『ぼくひこうき』(ゴブリン書房)を例に、ご紹介いただきます。

◆聞かせ屋。けいたろうさんの読み聞かせ術①【読み始め編】

見返しは絵本がくれる「導入」

見返しと導入
絵本の表紙と本体をつなぐ役割をしている「見返し」。読み聞かせをする際には、この見返しも子どもたちにしっかりと見せてあげましょう。

表紙のタイトル、作者名を読み上げたあとに、しっかりと見返しを見せてあげることで、ひとときの「間」が生じます。その時間は、子どもたちが絵本に集中するための導入になります。

めくりかたのポイントは?

絵本の基本的なめくり方には、2種類あります。自分(読み手)に近いほうのページを、押し出すようにしてめくる方法を「送り」といい、自分から遠いほうのページを、自分側に持ってくる方法を「迎え」といいます。

「送り」の場合は……

では、「送り」の場合のめくりかたのポイントをチェックしていきましょう!

◆聞かせ屋。けいたろうさんの読み聞かせ術②【めくり方・送り編】

送りの場合
指を次のページに入れて送り出すようにすると、スムーズにページをめくることができます。

「迎え」の場合は……

絵本には文字が「横書き」で書かれているものと、「縦書き」で書かれているものがあり、本を開く方向が逆になります。

いつも同じように絵本を持っていても、めくり方が変わりますね。

そんなときには、めくり方が「送り」になるように、絵本を持つ方向を変える、というのもひとつの方法ではありますが、利き手などの関係で「やりにくいな」と感じるときには、「迎え」で絵本をめくる方法を選んでもよいでしょう。

◆聞かせ屋。けいたろうさんの読み聞かせ術③【めくり方・迎え編】


 
脇を締めて絵本を固定する
自分から離れたページをめくろうとすると、どうしても絵本が動いてしまいがちになります。まずは脇を締めて、絵本をしっかりと持つようにしましょう。

下からめくる
絵本の上部や中心に近い部分をめくろうとすると、絵が隠れてしまいます。

ページのなるべく下の方をめくるようにすると、絵を隠さずに絵本を読み進めることができます。

読むスピードは?

続いて、絵本を読む際のスピードについて、聞かせ屋。けいたろうさんの著書『どうぶつしんちょうそくてい』を実際に読んでもらいながら、ポイントを確認していきましょう!

◆聞かせ屋。けいたろうさんの読み聞かせ術④【読むスピード編】


けいたろうさんは、いままで「読むのが早い」と言われたことはあっても「遅い」と言われたことはないとのこと。子どもたちは、大人が思うよりも、じっくりと絵本の絵を味わっているようです。

裏表紙もしっかり見せよう

最後に、導入でもご紹介した『ぼくひこうき』(ゴブリン書房)を読んでいただきながら、絵本の読み聞かせを締めくくる際のポイントをご紹介いただきます。

◆聞かせ屋。けいたろうさんの読み聞かせ術⑤【読み終わり編】

見返しの持つ意味は読み聞かせが終わってはじめてわかる!

ぼくひこうき
『ぼくひこうき』の見返しは、主人公のせいくんが通う幼稚園の園庭マップになっており、紙飛行機が、どのように幼稚園のなかを飛んで行ったか、指でたどれるようになっています。

本文を読み終えたあと、この見返しを再度しっかり見せてあげると、導入の時には気づかなかった、見返しのもつ「意味」に気づくことでしょう。

裏表紙が与えてくれる「余韻」を楽しもう!

裏表紙
読み聞かせの最後には、ぜひ裏表紙もしっかり見せてあげましょう。

『ぼくひこうき』の裏表紙には、飛び終わった紙飛行機が小さく描かれていますが、多くの絵本の裏表紙には、物語の余韻を楽しめたり、アフターストーリーを想像させてくれたりする、挿絵が描かれています。

裏表紙をしっかり見せることで、絵本の読み聞かせをよりステキに、締めくくることができるでしょう。

編集者より

家庭での読み聞かせとは異なり、保育士さんは、たくさんの子どもたちを前に、絵本を読み聞かせなくてはなりません。

今回、聞かせ屋。けいたろうさんに教えていただいた読み聞かせのポイントは、そんな日々の保育の場面を想定しながら、アドバイスいただいたものです。

子どもたちが、より絵本の世界に夢中になれるように、そして読み聞かせをしている保育士さんも一緒に絵本を楽しめるように……ぜひ日々の保育にも取り入れてみてくださいね!

けいたろうさんプロフィール

プロフィール
聞かせ屋。けいたろう
夜の路上で、大人に絵本を読み始めた、聞かせ屋。
親子読み聞かせ、絵本講座、保育者研修会で全国を駆け回る。
絵本の文章、翻訳も手がける。保育士。一児の父。
作品に「どうぶつしんちょうそくてい」「おっぱいごりら」(アリス館)
「まいごのたまご」(角川書店)「絵本カルボナーラ」(フレーベル館)など。

ホームページhttp://kikaseya.jp
公演予定、ご依頼もこちらです。

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