外遊びができず、室内で過ごさなければならない雨の日。とくに梅雨のシーズンになると「雨ばっかりでつまんない……」と、窓の外を見て不満そうにしている子もいるのではないでしょうか。
今回は雨の日にピッタリの室内遊びのアイデアをたっぷり紹介します。
雨の日を楽しく過ごすための基本ポイントも紹介しているので、梅雨時期の保育のヒントとして、ぜひ活用してみてくださいね!
雨の日を楽しくするための3つのポイント
元気いっぱいな子ども達にとって、外で遊ぶことができない雨の日はちょっぴり退屈なもの。
とくに悪天候が続く梅雨時期は、思いっきり体を動かしたり、屋外で変化に触れたりする機会が少なく、子ども達にストレスがかかってしまいがちです。
まずはそんな雨の日を楽しむための保育のポイントを3つ紹介していきましょう。
【ポイント①】雨に興味を持ってもらえる言葉かけを
雨の日は外でお友達と走り回ったり、砂場や遊具で遊んだりすることができないため、子どもたちが退屈してしまいがち。
また、どんよりとした曇り空や肌寒い気候から、ネガティブな気持ちになってしまう子もいることでしょう。
しかし、雨の日には晴れの日にはできない気づきや発見があります。
保育士さんから積極的に声かけをし、雨の成り立ちやその役割、雨だからこそできる遊びなどについて、子ども達が積極的に考えられる環境づくりを心がけるとよいでしょう。
【ポイント②】雨だからこそできる遊びもある!
雨の日には「雨のためにできないこと」ばかりに目が行きがちですが、雨の日にしかできない遊びもあります。
「雨だから今日は〇〇できないね……」といったネガティブな言葉かけを、「雨だから今日は〇〇してみようか!といったポジティブな表現に変えるだけでも、子ども達がワクワクするきっかけが作れるはずです。
梅雨時期は何日も雨の日が続くこともしばしば。雨の日ならではの遊びの引き出しをできるだけ多く持っておくことで、雨の日の保育を充実させることができるでしょう。
【ポイント③】室内でも開放感を味わえる遊びを
室内遊びがメインとなる雨の日が続くと、子ども達にもストレスが溜まりやすくなります。イライラしてお友達とのケンカが増えたり、室内で走り回ろうとしてケガをしてしまったり……保育中のトラブルの要因ともなりかねません。
また、雨の日には「〇〇してはダメ!」「危ないよ!」といった、子どもを制止する指示も増えてしまいがちです。
子ども達が少しでもストレスなく過ごせるようにするには、
など、開放感を味わうことができる工夫をしながら保育を組み立てるとよいでしょう。
【0~1歳児向け】雨の日の室内遊びアイデア
ではここからは、雨の日の室内遊びの具体的なアイデアを年齢別に紹介していきます。
まずは0~1歳にオススメの小さな子ども達の感覚を刺激してくれる遊びを紹介します。
◆雨に触ってみよう
窓際やエントランスなどの濡れない場所で子どもを抱っこし、雨が降る様子を見せてあげましょう。
風がなく、穏やかに雨が降っているような日には、子どもの手をそっと伸ばして雨粒を触らせてあげます。
雨粒が手のひらに落ちるときの感触を楽しめるように、保育士さんが積極的に言葉かけをしてあげましょう。
◆雨粒をつついてみよう
窓のそばに行って、窓ガラスを伝う雨を室内からつついたりなぞったりして遊びましょう。まずは保育士さんがお手本を見せてあげるとスムーズです。
乳児の場合には、保育士さんがそっと手を添えてサポートしてあげるとよいですね。
ゆっくり流れたり、速く流れたり、雨粒同士がくっついて蛇行したり……変化のある雨粒の流れをゆったりと楽しみましょう。
◆雨音との合奏を楽しもう
エントランスの外や軒先などに、ひっくり返したバケツやたらい、空き缶などを並べておき、雨に濡れない場所から雨粒が落ちる音に耳をすませてみましょう。
バケツやたらいの素材・大きさの違いで雨粒のたてる音が変わります。その違いに子ども達が気づけるようにしましょう。
【2~3歳児向け】雨の日の室内遊びアイデア
2~3歳の子ども達には、雨を利用して手先の器用さを養ったり、体を動かしたりできる室内遊びがオススメです。
◆雨粒のシール貼り
まず、さまざまな色のマスキングテープを用意します。保育士さんがあらかじめしずく形にカットし、雨粒のシールを作っておきましょう。
雨粒シールは透明なフィルムなどの台紙に数枚ずつ貼りつけておきます。
子ども達に雨粒シールが貼られた透明フィルムを1枚ずつ配り、画用紙や紙コップなどに自由に貼ってもらいましょう。
◆窓の雨粒はがし
窓に雨粒型にカットしたビニールテープを貼っておき、子ども達にはがしてもらいましょう。
◆風船バレーボール
2~3歳になると、動きも活発になるため、思いっきり外遊びができないことにストレスを感じてしまいがち。
そんなときには、風船をバレーボールのように打ち上げてみんなでワイワイ楽しんでみてはいかがでしょう。
風船はビニール袋を膨らませて口を輪ゴムやテープで留めたものでも代用可能です。
【4~5歳児向け】雨の日の室内遊びアイデア
4~5歳の子ども達は、お絵かきやブロック遊び、おままごとなど、雨の日でもある程度の遊びのレパートリーを持っていることでしょう。
しかしせっかくならば雨にちなんだ遊びや、外遊びができないストレスを思いっきり発散できる遊びを取り入れてあげたいもの。
いつもの室内遊びとはひと味変わった遊びで、雨の日をより楽しく過ごせるようにしましょう。
◆新聞紙で窓にお絵かき
水で濡らした新聞紙は、窓ガラスに貼りつけることができます。それを活かして窓に自由に新聞紙をレイアウトしてみましょう。
適当にちぎった新聞紙を貼りつけていき、大きな図形をつくってもよいですし、あらかじめ三角形や四角形に切っておいた新聞紙を組み合わせて、なにかの形に見立ててみてもよいでしょう。
子どもの想像力をかきたて、表現力を養うことができる遊びです。
どれくらい水をつけたら窓に張りつくのか、工夫しながら取り組むためにも、新聞紙は濡らした状態ではなく、乾いた状態で用意しておき、子ども達が自由に水をつけられるようにしておくとよいでしょう
◆かたつむりレース
まずは子ども達をいくつかのチームに分け、整列させます。
列の先頭の子はリュックサックや大きな紙袋などをかたつむりの殻に見立てて背負い、保育士さんの合図で床を這っていきます。
折り返し地点(床に貼ったテープや目印に置いたイスなど)でUターンしてスタート地点まで戻ったらゴール!殻を脱いで次の子にバトンタッチします。
全員がゴールするのがいちばん早かったチームの勝ちです。
かたつむりの動きについて事前に図鑑で調べたり、子ども同士で話し合ったりする機会を作るとよいでしょう
◆大声大会
思いっきり外で遊べないストレスを、大声を出すことで発散しましょう!
まず子ども達を3人ずつのチームに分けます。各チームごとに3文字の言葉をひとつ考えてもらいましょう。
つづいて、一人一文字、叫ぶ字を決めます。(例:かえるならば「か」「え」「る」それぞれの文字を誰が叫ぶか決めます)
1チームずつ「せーの」の合図で3人同時に先ほど決めた字を叫びましょう。叫んだチーム以外の子どもは、どんな3文字の言葉が叫ばれていたのか考え、話し合います。
叫んだ3文字の言葉が言い当てられたら、次のチームに交代します。
慣れてきたら4文字・5文字と言葉の文字数を増やしてチャレンジしてみましょう
編集者より
遊びたい盛りの子ども達はもちろん、大人にとっても雨の日は憂鬱なもの。つい気持ちが沈んだりイライラしてしまったり……そんな経験のある方も多いのではないでしょうか。
保育士さんにとっても保育計画の変更を余儀なくされるなど、マイナス要素の多い雨の日ですが、雨の日だからこそ楽しめる遊びは、子ども達だけでなく保育士さんの気持ちも晴れやかにしてくれるはずです。
今回紹介した遊びのアイデアが、楽しく、有意義な保育に、そして子ども達と保育士さんの笑顔につながりますように!
参考文献・サイト
- 阿部 直美・浅野 ななみ :著(2018)『砂・泥あそび 雨の日あそび 水あそび プールあそび アイデア101: 0~5歳児 春~夏のあそび 』学研プラス
- PriPri(プリプリ)2018年6月号『決定版七夕特集』世界文化社
- 保育のひきだし『あそびのひきだしNo.837 かたつむりレース』(2019/5/28)