取材・インタビュー

「おうち」が集まって子どもも保育者も自然でいられる ~上町しぜんの国保育園 small pond 保育ツアー~

上町しぜんの国保育園アイキャッチ

まるで田舎のおばあちゃんの家に遊びにきたような……。
路面電車が走る世田谷・上町(かみまち)に2019年4月、上町しぜんの国保育園small pondが開園しました。

子どもに寄り添い、子どもも大人もいきいきと暮らし合う「家」。
そんな上町しぜんの国保育園を、園長の青山 誠(あおやま まこと)さんに案内してもらいました。

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子どもが中心 上町しぜんの国保育園 small pond とは?

上町しぜんの国保育園園舎
上町しぜんの国保育園 small pond は、社会福祉法人東香会が運営する保育園です。

「すべてこども中心」を保育哲学に掲げる「しぜんの国」と名を冠した園は町田、渋谷に続いて3園目。
待機児童数日本一でもある世田谷区から声がかかり、歴史ある住宅街上町で2019年4月に開園しました。

もとの敷地にあった井戸やかつて流れていた川から着想を得て、「small pond (スモール・ポンド=“小さな泉”)」が園のコンセプト。
「様々な人・もの・ことが、子どもという存在を中心にして湧き上がる」場所を目指しています。

ナビゲーターは園長の青山さん

青山誠園長
今回、園を案内してくれたのは、園長の青山さん

ここでは大人も子どもも「ひとりの人間」として尊重され、自分の呼ばれたい名前で呼び合っています。
「〇〇先生」という呼び方もありません。
なので、子ども達も園長先生に向かって「あおくーん!」と駆け寄ってきます。

青山さんは「りんごの木」子どもクラブから社会福祉法人東香会に移り、町田しぜんの国保育園での勤務を経て、4月より園長に就任しました。
子どもの声にひたむきに耳を傾け続け、よりよい保育を目指し、情報発信をしたりイベントを主催したりして人と人とをつないできました。
そんな青山さんの保育の姿勢に共感した保育士さんが集ってきたのです。

では、ここから実際に青山さんに、園のコンセプトや取り組みを紹介してもらいましょう。

「長屋」をイメージした園でゆるくつながる集団

クラスの表札

保育のスタイルは「家」に近いようにしています。
0歳から5歳の異年齢で16人の小さな集団がいわゆる「クラス」です。
この小さな集団を「家族」として活動しています。

保育のお仕事レポート編集部(以下、編集部):お部屋の入り口に貼ってあるのも表札みたいですね。

担任の名前で「〇〇さんち」と呼んでいて、1階はホールを中間に2つの家族、2階もベランダを中心にして3つの家族があります。

「〇〇さんち行ってくる~」と自由に行き来もできますよ。
もちろん保育者が「隣のおうちが大変そうだな」と気づいたら、サッと声をかけあって助けに入るのも自由です。管理職の許可もいらず、自分達の判断で動きます。

【保育メモ】
16人1単位の小集団はスウェーデンの「daghem(昼間の家)」をモデルにしている。

異年齢保育は合理的

家族でちゃぶ台を囲むように
年齢別のクラスというのは、散歩だったり発表会だったり何かを「する」・「させる」のに、大人にとって都合がいいからなんですよね。

でも、長時間保育所にいる子ども達にとって大切なのは何かを「する」以前に「居る」ということ。

だから、子ども達が居心地よく過ごせるために、保育園に来て「施設だな」と感じるよりも、「おうちっぽいな」と感じて安心できるようにしています。

編集部:保育者さんもエプロン姿ではなく、リラックスした格好で……本当にお姉さん・お兄さんのようですね。子ども達も16人兄弟の家族みたいです。

発達の観点から言うと、「発達の最近接領域」というように、子ども達は「できる/できない」のギリギリのせめぎ合いのところで物事を吸収して、成長していきます。

だから、年齢別のクラスで一方通行で先生が教えていくよりも、1歳半の子どもなら2歳の子どもと一緒にいて、見て真似ていく、そうして自分でできることを獲得していきますよね。
理にかなっているんです。

編集部:おやつの時間に小さい子がちゃぶ台に乗っていても、近くの大きい子が「こうだよ」ってやさしく抱っこして床に降ろしていましたね。

ちゃぶ台に乗っかったら拭けばいいだけですしね。

そんな歳の違った子ども達のやり取りも少し前なら地域の中にあった風景だけど、今は少子化で難しい。
本来、人の集団って多様であればあるほど楽なはずで。色んなメンバーがいた方が良いんです。
やっぱり同年齢集団では起こらないようなことがいっぱい起こるので楽しいですよ!(笑)

【発達の最近接領域】
ロシアの心理学者ヴィゴツキー(L.S. Vygotsky)が提唱した理論。
「自分一人の力でできること」/「まだできないこと」の中間である「周囲の助けを借りてなんとかできること」を指す。
自分の能力より少し困難なことを周りの友達や大人の力を借りて「できる」、その積み重ねで人間は大きく成長していくと考えられている。

子どもの動きを制限しない「中間領域」の重要性

中間領域
部屋の中と外の中間に、昔の縁側とか軒(のき)にあたるような、中間領域を必ず設けています。

子どもは大人と違って自分の気もちを言葉で表現できるわけではない。
自分の気もちを行動で表現していますよね。
だから「外行きたい」って思う時に園庭に出て、何かあればすぐに帰って来られます。
もちろん保育者から見て死角はできないように、でも子どもの動き・気もちを制限しないような園の造りになっています。

子どもの行動を制限しない▲庭へ出るのも自由。出たい時にはすぐに外に

「ちゃぶ台」とタイムスケジュールのない保育の関係

温度感のある道具▲おひつ、喧嘩茶碗、市場かご…食事道具は「温度感」にこだわる

園生活の中で、タイムスケジュールで子どもを追い立てたくなくて。

そこで、園生活の中で暮らしを成り立たせるために大事にしているのは「ちゃぶ台」です。これを囲んでみんなでご飯を食べる。

みんながちゃぶ台を囲ってご飯を食べていたら、食べてない子は気になって寄ってくるでしょう?

季節と暮らしは一緒で、いっぱい遊んでお腹が空いたらご飯を食べて、ご飯を食べたら眠くなって、また起きてきて……というリズムや自然な移ろいが大事だと思うんです。

必ず11時30分になったら集まって、一斉に食べる、それができないと「切り替えの遅いダメな子」と決めつけるのではなく。

ちゃぶ台と落書き▲ちゃぶ台には当たり前のように落書き。これも「おうち」っぽい

編集部:同じ部屋でも、まだお昼寝している子とおやつを食べ始めている子がいますね。

決められた時間で起こすのではなく、同じ空間でおやつを食べながらワイワイしていたら、自然と目が覚める。

散歩も同じです。クラスごとに決められた時間に行くのではなく、子ども達の様子次第で他のおうち(クラス)にも声をかけ、行きたい子どもがまとまって外に出ます。

編集部:保育者のみなさんのふるまいもとてもおおらかでゆとりがあるように感じます。

そうですね。保育者も「何時までに何をしないといけない」というように時間に追われていないので。

脱・行事保育 「決まった行事はありません」

園舎▲2階はデッキから延びるベランダが印象的。子ども達が走り回れる十分な広さがある(写真:矢野紀行)

編集部:園のホームページを拝見しましたが、年中行事も少ないように感じました。

あらかじめ決まっているのは入園式・運動会・卒園式だけです。

入園前の説明会や保護者会でも「何をやるんですか?」と質問が出ましたが、「それはお子さんに会っていないのでわかりません」とお答えしました。

たとえば「昨年は江の島に行きましたが今年の遠足はどこへ行きますか?」と聞かれたとしても、それはその年度の子ども達が海の生き物に興味をもったから、江の島の水族館へ行こうとなったものなので、毎年江の島に行くとは限らないし、そもそも遠足に行くものだと決まってもいません。

編集部:保育者としても行事に追われてしまうことはありますよね。

誤解を恐れずに言うと、行事がある方が保育者にとって「楽」なんです。決まった中で進めていけるので。
ただそうすると、保育者も自分の中で「より良く」「より見栄えよく」とハードルを年々高く設けて、それを子どもに要求してしまうことはあるでしょう。

いわゆる「行事保育」と言われる「行事のたった1回の本番のために練習を重ねて子ども達の日常をその時間に充てる」ということをしたくないですね。
大人を喜ばせるための、大人主導になってしまうような行事はこの園では生まれてこないです。

大人が行事を設けて無理に誘導しなくても、子ども達によって日々何かが起こり続けていくのです。保育者はそれをサポートするだけなんです。
保育理念は「子ども中心」ですから。

リラックスした雰囲気▲保育者はエプロンは付けず好きな格好で。子ども達も保育者も肩の力が抜けていて、本当の家族のよう

「ミーティング」で決まる運動会

お昼寝の場所も自分で決める▲お昼寝の場所も「自分で決めた場所」で好きなだけ

決まっている行事でも、運動会は子ども達が「ミーティング」をして、子ども達自身が話し合って競技を決めていけたらと思っています。

編集部:この園の大きな特徴の一つでもありますよね。「ミーティング」について少し詳しく教えていただけますか?

イスを並べて、輪になって話し合います。
前園のりんごの木で学んだ保育実践です。

歴史の流れとしては、1960年代の「語り合い・伝えあいの保育実践」が元となっています。
その実践はどちらかというと、戦後の民主主義の気風の中から生まれたもので、「みんなのことをみんなで決めていく」という話し合いが多かったように思います。

でも僕たちがやっているのは、「個を際立たせる」ことです。
10人いたら「あなたはどう思う?」と一人ひとりの意見をちゃんと聞きます。
もちろん人それぞれ違ってよいし、多数決で決めるということは絶対にしません。

また、会議ではないので、結論を出すことが目的ではありません。
違う意見が出た中で、どうやって寄りあっていくのか、対話を重ねていくのです。

子どもが自分で考え、子どもを中心で物事が始まっていく。
だからメンバーによって起こることが全然違ってくるわけです。

そうやって、運動会の内容なんかも子ども達がミーティングを行っていく中で決めていくんです。

編集部:開園して4ヶ月弱ですが、そのように職員全員が同じ認識をもつのは大変ではなかったですか?

幸いなことに、僕が執筆や情報発信をしているのを見て、「ここで働きたい」と集まってきてくれました。
だから「派手な組体操やマーチングバンドを子どもにやらせたい!」みたいな方はいないですね(笑)

また、非常勤の方は全員近所に住んでいるので、この辺りのことを色々と教えてもらったりもしています。

【とくちゃん(3歳)のエピソード】

「ミーティング」を行う4歳・5歳になったら子ども達が急に自分の意見をもって発言できるようになるわけではありません。
子どもが自分の意見をもち、それが尊重される日々の保育の積み重ねが「ミーティング」という一つの形なのです。

たとえば、青山さんが前園で出会ったとくちゃん(3歳)の場合……

園指定の帽子はなく、自分の家から帽子を持ってきたものをかぶります。
ある日の散歩中、保育者がとくちゃんに他の園の子どもがかぶっていた全員同じ黄色の園帽を見て、聞きました。

保育者「とくちゃんはみんなでお揃いの帽子は欲しいと思う?」
とくちゃん「いやだ……。だって黄色の帽子が似合うか分からないじゃない?」

帽子一つをとっても、大人の都合で指定するのではなく、自分で似合うか似合わないか判断して決めること、それを尊重していく重要性に気づくエピソードでした。

青山園長
青山園長
集団の中で、自分は何が心地よくて、何が嫌で、自分の気持ちと違う人とどうすり合わせていくか。
自己がないと「自分は何が心地よいか、何が嫌か」すらも決められません。
なんとなく周囲や大人の顔色を見て、空気を読むことはこの時期の子どもに必要ではありません。
だから「自分は自分でいいんだ」という気もちを尊重し、人生の基盤をしっかり耕していく。
そんな気もちで子ども達と向き合っています。

保育者に求めることは「子どもの声に耳を澄ませる」姿勢

子どもの声に耳を傾ける

編集部:青山さんは、保育者として「子どもの声」をとても丁寧に拾われているという印象を受けました。16人までの少人数保育に加えて、何か子ども一人ひとりと向き合えるようなコツがあるのでしょうか?

基本的な姿勢として「子どもの声に耳を澄ませる」こと。
でないと保育者としてやっていくのは難しいと思います。

日本の保育・教育の現場は「大人の声」が大きくなりがちです。
保育士が声が大きくなる時って指示・命令・禁止・評価のどれかなんですよ。

でも、そういうのに書き消されてしまうような子ども達一人ひとりの小さな声もあるはず。
16人いたら、16通りの声があるんです。
それに耳を傾けること。

子どもは言葉よりも、態度とか振る舞いで表現するんですよね。
たとえば、子どもが座って外を見ている。保育者は「この子は何を見ているのかな?」と、まずは子どもの視線になってみること。
そして、その子どもを一人の「人」としてどう見るのか。
それから、こちら側が声として聞き取らない限り対話は始まらないと思うんです。

もちろん、大なり小なり保育観の違いもありますが、そこは対話を重ねて乗り越えます。
のびのびとした保育をするために、声掛けやコミュニケーションを大切にしています。

新人保育士も必見!「区切って」見る技術

目の付け所の「型」▲たとえば「部屋の角だけ」を区切って見る

編集部:新人の保育者でもできることはあるのでしょうか?

新卒の保育者には始めは「区切って」見るようにしてもらいます。
保育室全体を漫然と見ても、一人ひとりの様子は見えてきませんので。

たとえば、毎朝「おはよう」って子どもが入ってくる入り口「だけ」を見続けてもらう。
16人いたら、16通りの入り方があるし。同じ子でも昨日と今日で振る舞いが違うと気づけます。

「一人ひとりの好きな場所だけを見る」とテーマを決めてもよいし、「一人ひとりの部屋の敷居のまたぎ方だけ見る」と行動に焦点を当てるとか何でも良いのですが。
まずは区切って見る。

子ども達のことを漫然と「見なさい」と言われても、多分何も見えてない。
そういうのは訓練なので、コツとして教えてしまいますね。

編集部:なるほど! 実は私も今年の3月まで保育者でしたが、マンモス園なこともあり、上司から「全体を見て」と頻繁に注意されていました。安全のためには必要な見方ですが結局「1人ひとりに向き合えていない」というジレンマも抱えていました。

僕も幼稚園に勤めていた頃は1クラス35人の子どもを見ていて。
いざ個人票を書こうとすると、10人くらいしか書けないんですよね。

僕がその時やったのは、部屋の中と外の手描きの地図を作って、10時50分になったら誰がどこにいるか書き込むようにしたこと。
それを1ヶ月記録し続けました。
すると場所を選んで遊んでいる子もいる、関係性で遊んでいる子もいる、遊びの種類でずっと鬼ごっこをやっている子もいる……という気づきがありました。

1ヶ月後にはもうその地図にチェックを付けなくても、10時50分になったら自分が一回見渡して、「今はあの子はここにいるな」とか、「今はここに入らない方がよさそうだ」とか、そういう目の付け所の強弱がわかってきました。

コミュニケーションは「型」をもって伝える努力を

園庭▲園庭で思い思いに遊ぶ子ども達。1人ひとりにエピソードがいっぱいだ

編集部:いきいきと自由な保育の一方、保護者にとっては自分たちが受けてきた保育・教育の形やイメージとかなりギャップがあり、戸惑いを感じることはないのでしょうか?

実は「伝える」ということに関しては、かなり徹底的に職員に訓練しています。
日々のエピソードを伝えたり、ドキュメンテーションを書いたりということは、全職員が一定レベルの「型」を身につけて、丁寧に保護者に説明をしていきます。
エピソード記述のやり方も、最初にしっかり教えちゃう。

編集部:「背中を見て育ちなさい」という雰囲気の強い保育業界ですが、それは心強いですね。

芸事でもそうですが、「型」があって「型破り」もできる
「型」がないと「形無し(かたなし)」になっちゃうから、まずは「この通りの型でまずは書いてみて、喋ってみる」っていう修行を積みます。
その点においては厳しく職員同士でチェックし合ったり、あとは数を書いて重ねて、日々鍛錬ですね。

申し送りはアプリで▲情報共有はアプリで申し伝えも万全

僕らが伝えるのは日々のエピソード、「〇〇くんってどういう子なの?」の積み重ねなんです。
行事をやって「組体操ができました」といった結果の披露ではなく、「●●ちゃんって今日さ、こんなことに興味をもって」というストーリーでしか話せないので。

編集部:保育者間の情報共有にメモアプリも活用されているんですね。

日本の保育の特徴として、長時間保育がありますね。
朝から晩まで子どもが保育園にいる一方、保育者はシフト制で替わっていきます。
子ども達がいる中、全員が顔を合わせて時間をとってゆっくり申し伝えをするのは難しいのが現状です。

だから、アプリで子ども一人ひとりのエピソードを残して、保育者同士で共有しているんです。
子ども一人ひとりそれぞれのスレッドがあって、保育者は誰でも書き込めます。
タグ付けなんかもしたりして、メモして、それを蓄積していき、振り返ったりもできます。

編集部:他にも保育者が専門性を高めるために、園としてやられていることはありますか?

担任というよりも「〇〇さんち」という所属で、異年齢保育ではありますが、「何歳担当」というのは決まっており「年齢別の計画作成・省察・カンファレンス」は開催していますね。

「子どもを中心にして手をつなぎたい」家族や地域とのつながり方

掲示板▲掲示板には保護者がもちよった「おすすめおでかけスポット」なども貼られている。こんなところにも地域とのつながりが感じられる

編集部:園では「地域とのつながり」も大事にしていますよね。ここにも青山さんなりの考えがあるのですか?

保護者の方とはお互い肩の力を抜いて関わっていきたいんです。
もちろん僕ら保育者も完璧ではないですし自然体でいることで、保護者の中からも助けてくれる人が結構現れてくれるんです。

ライターをやられているお母さんが「園の魅力が保護者に伝わらずもったいないから、あおくん達をインタビューしてまとめてあげるよ」と申し出てくれたりとか、部屋のゴミ箱のフタも子どものお父さんが作ってくれたりとか。

保育者/保護者という線引きではなく、あくまで人と人同士のつながりであり、「子どもを中心にして手をつなぐ」というのが理想の関係ですね。

「いどばた」月に一度は手抜きごはん

いどばた▲保育者の特技を披露、新たな一面が見られるかも?(写真提供:社会福祉法人東香会)

保育者と保護者は「子どもの話題、保育の話題」だけになりがちで、それはある意味不自然なことで、いろんな可能性を狭めてしまうことになるのではないかと思っています。

ですから、保護者と関わるイベントは定期的に行っています。

たとえば、「いどばた」といって月に1回、「園で保護者も一緒に夕飯を食べて、帰って風呂入って寝ればいいよね」という気軽な集まりを開催しています。
前回はBBQをやり、「園はスープだけ出すので、持ってくるのはコンビニ弁当でもおにぎりだけでも1品だけ持ち寄ってくれれば良い」というものです。

編集部:ちゃぶ台を囲みながら、保育以外の趣味や日常の話ができるのですね。
保育者の仕事以外の一面を子ども達が垣間見るのもなんだかちょっとドキドキですね。

また、保護者の方の要望で、いつでも「保育参加」ができるようにもしています。
「参観」ではなく、「参加」というのがポイントですね。
一緒に入って、楽しんでもらう。

子ども禁制!? 「オトナなナイト」

オトナなナイト▲近所の就労継続支援B型事業所「ハーモニー」から新澤克憲さんをお招きして(写真提供:社会福祉法人東香会)

そして、もう一つが、色んなテーマで外部から人を呼んで交流する「オトナなナイト」です。
こちらは子どもは来ることができないのですが、だからこそ大人がゆっくり自分の知らない世界を広げることができる時間です。
近所の方の参加を対象としています。

7月27日は、近隣の就労継続支援B型事業所「ハーモニー」の施設長をお呼びしました。
「精神疾患をもつ方の経験した幻覚や幻聴をカルタにしてしまおう」というユニークな取り組みもおこなった施設ですね。

編集部:「ちょっと触れがたいな、でも気になるな」ということも、保育園で開催されれば気軽に参加できて、近所のことを知るきっかけにもなりますね。

この辺りは、近所の小学校も創立140周年くらいの歴史ある街なんです。
だから、そちらの出身のお年寄りがカブトムシを子ども達のために持ってきてくれたりとか、そういった交流もありますね。

「保育の楽しさ伝えたい」

青山誠園長
今、僕は養成校でも教えているけど、学生さんが実習で「こんな仕事と思わなかった」とくじけちゃう。
でも保育って難しさもあるけど、本当はすごく面白いから。その面白さを伝えたいなと思います。

編集部:今回お邪魔して、「こんな保育があったんだ!」と驚きの連続でした。
私自身が集団行動が苦手だったこともあり、保育現場で働いていた時は軍隊のような一斉保育に疑問を感じていました。
でもsmall pondでの保育だったら子どもも大人も「自分のままでいいんだ」と思えそうですね。

大人が自由じゃないとやっぱり子どもも自由にならないし、大人が縛られていると子どもに自由を保障できない。

編集部:まさに「子どもとおとながいきいきと暮らし合う場所」なんですね。
保育園というより「おうち」に遊びに来たような感じで楽しかったです。今回はありがとうございました。

※この取材記事の内容は、2019年7月に行った取材に基づき作成しています。

◆「しぜんの国」で働きたい!◆

しぜんの国では、子ども達とともに、いきいきとした生活を作りあげてくれる職員を募集しています。保育士はもちろん、調理スタッフ、看護師、「ローカルスタッフ」として子ども達に関わってくださる地域の方も募集中!

「子ども中心」の理念に賛同し、「しぜんの国でいっしょに働いてみたい」と感じた方は、ぜひ社会福祉法人東香会のホームページもチェックしてみてくださいね!

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