イヤイヤ期に突入し始める1歳~2歳頃は、子どもたちにとって、行動や興味の範囲を広げていく大切な時期。この頃の子どもたちに特徴的な行動のひとつが「遊び食べ」です。今回は保育の現場で活躍する保育士さん・幼稚園教諭さんに、ちょっと困ったその行動の対処法を聞いてみました!
【食べ物で遊んじゃう…】まずは見守り正しい声掛けを!
手で食べ物をぐちゃぐちゃにしたり、スプーンでつついたり…。食品に興味を持ってくれるのは良いですが、やはりできればやめさせたい「食べ物で遊ぶ」行為。まずはその対処法を考えていきましょう。
・実施期間:2015年3月20日~3月26日
・実施対象:保育士(89.5%)・幼稚園教諭(5.3%)・その他(5.3%)
・回答者数:19人(平均年齢:34.7歳)
・男女割合:女性/100%
先日保育士さんや幼稚園教諭さんを対象に、遊び食べについてアンケートを実施しました。その中で子どもが食べ物で遊ぶ際に最もよく行う対応を聞いたところ、約63%が「ある程度行動を見守った後『それは〇〇だよ』『お口にあ~んするものだよ』などの声掛けを行う」と回答する結果となりました。
- ◆声掛けはなぜ良いの?◆
- この時期の子どもたちは、周囲に対する関心が高まり、食品に対しても「どんなものだろう」と探っています。その行動に対して、具体的に取るべき行動を示してあげることで、それが口に運んで食べるものなのだということが、理解できるようになるでしょう。
声掛けを行ってもダメなら…
なお、食品で遊ぶ行動に対して2番目によく行う対処法を聞いてみたところ、37%の方が「食事を中断させる」と回答。声掛けをしても遊ぶのをやめない場合には、「食べないの?じゃあ、ごちそうさましようね」と食事を中断してみましょう。
中断は「遊んでいると食事が終わっちゃうんだ」と子どもに伝えるための対処法です。まだ食べたいようなら、きちんと席に着かせて「いただきます」の後に再スタートすると良いでしょう。
- ◆その他の対処法◆
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・食事の前に遊ばない約束をして、できた際に褒めてあげる。
・なぜいけないのかを説明しながら、遊ばないよう言い聞かせる。
【食事中に歩き回る…】”食べている姿”を見せてみて
子どもたちの興味の対象は、食品だけには留まりません。周囲のものに関心が移りやすいため、食事中に歩き回ってしまうこともしばしば…。この行動の対処法を見てみましょう!
この行動に対する保育士さん・幼稚園教諭さんの対処法で最も多かったのは「言い聞かせて座らせる」というもの。誤嚥(ごえん)の危険もあるため、危ないことや、行儀が悪いことをしっかり言い聞かせて、座らせるという方が多いようですね。
言い聞かせてもダメなら…
一方、2番目によく行う対処法については、42%が「自分の食べている姿を見せる」、36.8%が「食事を中断する」と回答。子どもの興味関心を、自分の食事に向けることで食事の席に戻らせる、あるいは席を立つ=ごちそうさまということを覚えさせるのに役立つ対処法です。
- ◆その他の対処法◆
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・「おいしいよ~?これ、何かな?」など興味が湧く声掛けをする。
・おもちゃは片付けるなど食事に集中できる環境をつくる。
・盛り付けなどで食事に関心が持てるような工夫をする。
【食器を投げる!】子どもの気持ちを代弁しよう
最後に「スプーンやコップを投げてしまう」という行為について、その対処法を見てみましょう!
この対応については、原因がどこにあるのか、子どもの様子をじっくりと観察することが必要です。
- 食器の使い方に慣れていない場合
- スプーンなどが上手く使えずに、もどかしくて放り投げてしまうことがあります。その場合、うまく言葉にできない感情を代弁して気持ちに寄り添ってあげましょう。
【例】
「うまくつかめなかったんだね」「コレがつかみたかったんだね」と気持ちを代弁しながら「でも危ないから投げてはダメだよ」と伝える。
- かまってほしいサインの場合
- 何回も繰り返す場合や、笑いながら投げる場合などには、「こうすれば先生が近くに来てくれる」と思ってるケースもあります。その場合には大騒ぎは逆効果。あえて厳しく叱ったり、慌てたりせずに静かに食器を拾い、床をきれいに拭く…そういった対応で、かまってはもらえないことを伝えましょう。
ただし食事がきちんとできた際にはしっかり褒めてあげましょうね!
- ◆その他の対処法◆
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・他の子どもが危なくないように注意したうえで、気の済むまで様子を見る
・「それは投げるものじゃなくて〇〇するものだよ」と具体的な方法を示す。
・危ない行為であるため、端的にその行為を叱る。
・盛り付けなどで食事に関心が持てるような工夫をする。
・自分がスプーンなどを使う姿を見せ、どのように使うかを伝える。
編集者より
イヤイヤ期の「遊び食べ」には、保護者の方も保育士さんも、頭を悩ませることも多いことでしょう。しかしながら、それも子どもたちが、いろいろなことに興味を示し成長している証。時間がかかることもあるかもしれませんが、その子に合った対処法で根気よく支援し、更なる成長につなげていけたら良いですね。