皆さまは「クラッシャー上司」をご存じでしょうか?クラッシャー上司とは、執拗な叱責や暴言など、その言動で部下を休職や退職に追い込んで潰してしまう上司のこと。あなたの職場に思い当たる人はいますか?
今回は保育士さんを中心とする104名の読者の皆さまを対象にアンケート調査を行い、保育園における「クラッシャー上司」の実態を探ってみました!
「クラッシャー上司」とは?
近年、職場でのハラスメントが問題視されるなか、「クラッシャー上司」と呼ばれる上司の存在が話題となっています。
「クラッシャー上司」とは、その名の通り部下を自らの言動で次々と潰してしまう上司のこと。感情の起伏が激しく、部下や後輩がミスをした際には必要以上に責め立てる、時にひどい暴言を浴びせるなどを繰り返し、部下を追い詰め、休職や退職に陥れてしまいます。
保育士さんの83%「職場にクラッシャー上司がいる」
一般的に、保育士は人間関係における悩みやトラブルが多いと言われるお仕事。今回は保育士を中心とした104名の読者さまにご協力いただき、保育の現場における「クラッシャー上司」の実態を調査してみました。
まず、職場に「クラッシャー上司」に当たる上司や先輩がいるかどうかを聞いたところ、実に回答者の83%が「いる」と回答。「いない(5%)」「どちらとも言えない(11%)」「わからない(2%)」という回答を大きく上回る結果となりました。
クラッシャー上司の90%は自身のパワハラに気付かない?
続いて、職場にクラッシャー上司が「いる」と回答された方に、その上司が日頃どのような行動を取っているのか伺ってみました。
一般的にクラッシャー上司の特徴であるとされる行動のうち、当てはまるものをすべて選択してもらったところ、もっとも回答が多かったのは「自身がパワハラを行っていることに気づいていない」で90%。次いで「その日の気分次第で指示や言うことが変わる(78%)」「自分の気に入らないことがあると怒鳴ったり不機嫌な態度を取ったりする(74%)」「好きか嫌いかで人を判断する(72%)」という結果になりました。
保育士さんの体験エピソード
続いて、保育士さんが職場で「クラッシャー上司」から実際に受けたハラスメント事例をいくつかご紹介しましょう。
心身に不調をきたす・辞めてしまうケースも多い
このような「クラッシャー上司」の言動によって、他の職員が潰されてしまうという事例はどれくらいあるのでしょうか?
勤務先に「クラッシャー上司がいる」と回答された方を対象に、その上司からの圧力や暴言によって、実際に心身に不調をきたしてしまった方や退職してしまった方が職場にいるかどうかを伺ったところ、92%が「いる」と回答される結果となりました。
また、回答者自身がクラッシャー上司の言動によるストレスから、心身に不調をきたしたことがあるか否かについても伺ったところ、76%が「ある」と回答。保育士さんの職場において、このような上司・先輩の存在が大きなストレスになっている現状が伺えます。
◆心身に不調をきたした経験のある方の声◆
その他、クラッシャー上司のハラスメントにより、「仕事に行こうとすると動悸がするようになった」「眠れなくなった」などの声も多く見られました。
「クラッシャー上司」の対処法とは?
では職場におけるこのような「クラッシャー上司」に対して、一体どのように対処したら良いのでしょうか。
職場に「クラッシャー上司がいる」と回答された方に、日頃どのような対処法を実践されているか伺ってみたところ、回答が多く集まったのは「できるだけ関わらないように避ける(53%)」、「家族など職場外の親しい人に相談する(49%)」、「職場の同僚などに相談する(47%)」などの対処法。「休職や転職を検討する」という方も45%いらっしゃいました。
一方で「あえて萎縮しないように心がける(20%)」「理不尽なことには異を唱えるようにする(言いなりにならない)(19%)」など、一定の対抗姿勢を示す方法については、少数派に留まっています。
職場における古い体制の刷新が必要
最後に、職場にどのような体制、取り組みがあれば「クラッシャー上司」がいる職場環境を変えられると思うか、伺ってみました。
職場に求められる改善点として、最も多く回答が寄せられたのは「クラッシャー上司を容認する古い体制を崩す(園の責任者を変えるなど)」で57%。次いで「適切な相談機関を設ける(52%)」、「ハラスメントに対する罰則規定を設ける、または強化する(42%)」という結果となりました。
クラッシャー上司は、長年勤めてきた経験や、一定の成果を挙げてきたことなどから、その言動が黙認されているケースも多くあります。また園長など、更に上の役職からの信頼が厚い場合もあり、なかなか組織から排除、処罰されないという難しい一面もあるようです。
その体制を是正するためには、職場のコンプライアンスの見直しや、パワハラを許さない新しい体制づくりなど、古い体制を崩す取り組みも必要でしょう。
編集者より
クラッシャー上司の厄介なところは、上司側が「正しいことをしている」という認識でいること、そして職場がその状況を黙認してしまっていることでしょう。
特に小さな組織になりがちな保育園の場合、体制が是正されることもなく、たとえ複数の職員がその現状を訴えたとしても、職場の環境が変わらない…ということも考えられます。
まず大切なのは、一人で抱え込み「できない自分が悪いのだ」というように納得してしまわないこと。ハラスメントは職場における必要悪では決してありません。周囲への相談、配置転換の願い出など、ご自身を守る行動をしっかり取った上でも状況が変わらない時には、時に職場そのものを変える、ということを検討することも大切かもしれませんね。
・実施期間:2017年6月16日~6月25日
・実施対象:
保育士/正規職員(52%)・保育士/パート・アルバイト(28%)・保育士資格取得見込/インターン・学生(1%)・幼稚園教諭/正規職員(7%)・幼稚園教諭/パート・アルバイト(1%)・その他の保育関連職(8%)・その他(4%)
・回答者数:104人(平均年齢:36.95歳)
・男女割合:女性/96%・男性/4%
※ご協力いただきました皆さま、貴重なご意見をありがとうございました!
※いただいたご意見は一部抜粋してご紹介しております。
参考文献・サイト
- クラッシャー上司 |Wikipedia(2017/6/27)
- 職場うつの一因…“クラッシャー上司”の正しい対処法 |ホウドウキョク(2017/6/27)