保育の基礎知識

【徹底解剖!】「認可保育園」と「認証保育所」の違い

保育園は大きく「認可保育園」と「無認可保育園」に分けられますが、東京都に限ってはそのどちらでもない「認証保育所」と呼ばれる保育園があります。

「4月までに職場復帰したいけど、認可保育園はいつになったら枠が空くのかわからないし……」
待機児童問題が深刻化する昨今、このようなお悩みを持つ保護者の方は少なくありません。そのため、子どもの預け先の選択肢として認証保育所を検討する方も増えてきているようです。

認証保育所とはどのような保育園なのか?認可や無認可とは何が違うのか?
今回の記事で詳しく説明します。

東京都限定!第三の保育園「認証保育所」とは?


まずは「認可保育園」「無認可保育園」の概要をおさらいです。

認可保育園

認可保育園(認可保育所)とは、施設の広さや保育士の数・給食設備といった設置基準をクリアして都道府県知事に認可された児童福祉施設です。
区市町村が運営する公立保育園と、社会福祉法人などが運営する民間保育園がありますが、いずれにしても公費によって運営されています。そのため、保育料は比較的安価です。
原則として、その市区町村に在住・在勤している人が利用対象となります。

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無認可保育園

無認可保育園(無認可保育所)とは、設置基準を満たしていない関係で認可を受けていない児童福祉施設です。
保育時間が長かったり、保育方針が特徴的だったりと、認可園に比べて自由に運営できるのが特徴。認可には「園児の選択ができない」「保育料を上乗せできない」といった制限があるため、あえて無認可のまま運営している園もあるようです。
保育料は各施設が設定しているため、どのくらいの費用がかかるかは園に問い合わせる必要があります。

ちなみに、認可保育園に通っている子どもは約233万人。無認可保育園だと約17万人だから、認可保育園に通う子が圧倒的に多いね。
参考:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(平成 27 年4月1日)」平成 27 年度 認可外保育施設の現況取りまとめ
保育方針のためにあえて認可を取らない園もあれば、残念ながら劣悪な環境の園もある……。無認可保育園だからといって、一概に良し悪しは決められないホイ。
認証保育所も、分類としては無認可保育園のうちのひとつホイよ。

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認証保育所

認証保育所は東京都独自の制度で、「国の認可基準を満たしていなくても、自治体の基準に達していれば補助金を交付する」というもの。
国の設置基準では大都市で保育園を設置するのが難しいこと、0歳児保育を行わない保育園があることなどを鑑みて、都民の保育ニーズに応える新しい方式の保育所として創設されました。
駅前に設置することを基本とするA型と、小規模・家庭的保育所のB型があります。原則として13時間以上開園していて、0歳児から入園できるのが特徴です。
保育料の設定は各園が行いますが、月額7~8万円という上限があります。

東京都の「認証保育所」と同じような制度は、違う名前でほかの都市でも実施されているよ。
大阪市では「地域型保育事業所」、横浜市では「横浜保育室」などが例として挙げられるホイ。

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それぞれどんな違いがあるの?

それでは、具体的に「認可保育園」と「認証保育所」を比較してみましょう。


参考:福ナビ「認証保育所制度について」

名前こそ似ていますが、「認可保育園」と「認証保育所」ではまったくの別物であることがわかりますね。

「認可」と「認証」子どもを入園させるなら?

大切なわが子を預ける以上、保護者の方にとって「保育園の質」は絶対に無視できないポイントになります。
認可保育園を望む家庭が多いのも、保育料の都合もありますが、保育の質や安全基準が担保されている……と期待を寄せているからではないでしょうか。
実際、インターネットの質問投稿サイトには、以下のような質問が投稿されています。

「現在育児休暇中で、4月に職場復帰予定の者です。子供は4月に9ヶ月になります。都内在住です。
残念ながら認可保育所に入ることができないことがわかり、いま待機中なのですが、どうしても4月に復帰したいので、認証保育所をいくつか当たっています。
(中略)実際のところ、認証保育所の保育の質ってどうなのでしょう?やはり認可保育所に比べて色々と劣るところがあるものなのでしょうか。」
引用:発言小町「保育園 認証保育所って認可保育所に比べてどうですか?」

保育の質は、認可でも認証でも、その園によるとしか言えません。
先述の通り、無認可保育園が認可を取らないのにはさまざまな理由があります。単純に要件を満たせないから認可が取れないところもあれば、制限なく自由な保育をするためにあえて取らないところもあります。
それは、東京都の基準を満たして認証保育所となった保育園でも同じこと。「認可だからいい」「認証だからダメ」と、一概に断じられるものではありません。

保育料や施設設備、見学の際の保育士さんの対応など……ご家庭ごとにあるさまざまなチェックポイントをクリアしたところが、認可・認証を問わず、一番望ましい園なのではないでしょうか。

「認可」と「認証」働くなら?


一方、働き先を東京で探している保育士さんにとっても、認可と認証の違いは「働く上でどう違うのか」という大きな関心ポイントです。

インターネットの質問投稿サイトにも、以下のような質問が投稿されています。

「私は新卒保育士なのですが、今まだ就職が決まっていません。そんな中、認証保育所の募集を見かけました。
地方出身で地方の保育の学校を出たので、認証保育所の実際がよくわかりません。認証保育所は東京都独自のものなので、東京都以外だと無認可に当たる・・・とも聞いたのですが、「認証」されているということは、無認可・未認可より環境は整っているのでしょうか。」
引用:発言小町「東京都認証保育所てどんな感じ?(預けた方、働いた方歓迎!)」

こちらについても、どちらのほうが勤めるのによいかという問いについては、認可でも認証でも、その園によるとしか回答できません。
福利厚生の面で言えば認可保育園の方が安定しているかもしれませんが、自分が本当にやりたいと思う保育方針が認可ではできない……というケースもあります。
就職・転職する上で何を一番大切な軸にするかを考えて、検討してみてはいかがでしょうか。
認可でも認証でも積極的に見学して、園の様子をチェックしておくといいですね。

編集者より

多様化する保育のニーズに応えるために、国や自治体はさまざまな形の保育サービスを展開しています。認証保育所もそのうちのひとつです。
子どもを預ける保護者の方にとっても、働く保育士にとっても、選択肢が増えるのはいいことですよね。
自分にとってどのような形がベストなのか? 預ける園や働く園を検討する際には、ぜひそのことを考えてみてくださいね!

※この記事では、引用先の文章で「認証保育園」とされていたものもすべて「認証保育所」の記述で統一しています。

参考文献・サイト

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