あなたは、「公園内保育園」を知っていますか?
公園内保育園とはその名の通り、公園の中に建つ保育施設のことを指します。平成27年の国家戦略特区法改正の改正により、特区内にある公園に福祉施設を設置できるようになったことで生まれました。
都市部で深刻化する待機児童問題の解決策のひとつとして今後の展開が期待されており、現在(2018年8月時点)に至るまでに18園の保育施設が開園しています。
※参考:国土交通省
その中で、全国初の公園内保育園となったのが、東京都荒川区の「にじの森保育園」。
公園面積約129,000㎡(東京ドーム約3個分!)を誇る汐入公園の中に設えられた、定員162名の認可保育所です。
今回は、このにじの森保育園に取材に行ってきました!
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*シリーズ「保育ノゲンバ」は、保育施設や保育士・園長先生などにフォーカスし、保育の現場(ゲンバ)をお伝えするリポート取材連載です。
にじの森保育園とは?
にじの森保育園は、社会福祉法人 三樹会が運営する保育施設です。
荒川区でマンション建設が続き、待機児童が増加したことをきっかけに、荒川区と地域住民と法人との話し合いの末、2017年4月1日に開所することとなりました。
前身となっているのは、汐入小学校の空き教室で行われていた3歳までの保育室。そのため、そこに通っていた子どもたちもそのままにじの森保育園に引っ越してきています。
開所に際しての約束は、
①屋上の人工芝の園庭を一般の登録団体にも開放する
②園内に「子育てサロン」専用室を設け、地域の保護者たちに保育の場を提供する
のふたつ。
公園で遊んでいる地域の子どもたちが気軽にお手洗いを借りられるなど、地域に開かれた公園内保育園となっています。
どんな特徴があるの?
子どもライブラリー
エントランスから入ってすぐに広がる、600冊近い絵本を所蔵している小さな図書館です。
大人向けの本もあり、にじの森保育園に通う子どもとその保護者が自由に読んだり借りたりすることができます。
保護者同士がママ友を作れる、保育の交流の場にもなっているそう。
イベント開催時には、地域の子どもたちにも開放されます。
子育てサロン
常駐の保育士さんがいる子育てサロン。9時半~4時までの間で、地域の親子のために開放されています。
授乳やおむつ替えをしたり、ママ友同士で交流したり、保育士さんに保育の悩みを相談したり……利用のための申請なども必要なく、気楽に立ち寄ることができます。
資格を持った保育士さんによるベビーマッサージの教室を開くなど、定期的にイベントも行っているそうです。
待機児童の間にこのサロンでにじの森保育園に馴染み、空きが出てから入園する……といったケースもあるとか。
屋上の園庭
白い四角のラインは地域住民が使用するためのゲートボールのライン。インターホンのついた外階段から連絡を取って、屋上コートに入ってくることができます。
中にある楕円形のラインが園児たちのリレーなどに使用するラインです。
塀が低いため大きい遊具などは設置できず、ボール遊びなども制限がありますが、ここでボディペイントやシャボン玉遊びなどをすることができます。
にじの森保育園 園長・渡邉真弓先生によれば、
子どもたちが園の近くにあるデイサービスセンターに訪問することもあるので、交流の機会はたびたびありますね。
とのこと。
広々とした公園
子どもたちは園庭以外でも、広い汐入公園でのびのびと外遊びができます。
保育園のすぐ隣に都の公園管理センターがあるので、たとえば公園内での危険箇所を報告するなど、困ったことがあればすぐ相談できるようになっているのが強みですね。
周りは住宅街ですが、にじの森保育園があるのは汐入公園のほぼ中央。都市部の保育園でありがちな騒音問題とも無縁です。
施設の中を見学!
園長先生に案内される形で、保育園の中を見学させていただきました!
高い天井と窓から差し込んでくる光がとても明るく、開放的な気持ちになる園内。また壁紙や床・クラスごとの机や椅子の色合いにまでこだわっていて、どこを見てもファンシーで可愛らしい印象の保育園でした。
子どもたちの様子は……?
取材に伺ったとき、子どもたちはお昼寝中。おやつの時間に起きてくるまでの間に、教室を覗かせていただきました。
基本的には年齢ごとの保育になりますが、3~5歳は帰りの会を合同でやったり、日直の活動を一緒にしたりと交流することもあります。お昼寝の時間も、大きなホールの中で一緒に眠ります。
おやつの時間になりました!
子どもたちが起きてきてからは一気ににぎやかに!明るい声と笑顔がたくさん溢れました。
編集者より
森をモチーフにしたデザインのインテリアやオブジェ、クラスごとに統一されているイメージカラー、部屋ごとに変わる色とりどりの壁紙。一歩足を踏み入れた瞬間から、「可愛い!」という言葉が何度も飛び出してしまいました。
園に通っている子どもたちはもちろんのこと、保育サロンを利用する地域の親子もわくわくするような保育園。待機中からこの保育園に慣れ親しんでおいて、ゆくゆくは入園させたい……という保護者の方の気持ちがよくわかりました。
これからますます、こういった公園内保育園は増えていくことでしょう。
先駆けとなったにじの森保育園も、ようやく一年目を迎えたところ。まだまだ新しい試みなだけに、認知度も高くはないかもしれません。もっと多くの人の目に留まって、子どもを預ける・保育士として働く選択肢に加わればと願っております。
取材にご協力いただきましたにじの森保育園のみなさま、誠にありがとうございました!
後編では実際に働いている保育士さんや、園長先生にお話を伺います。