子どもを何回も抱っこしたり、小さな椅子にずっと座っていたり、外遊びで園児たちといっしょに走り回ることになったりと……日々の業務で身体を酷使している保育士さん。
気付いた時には「肩こりがひどい!」「腰が痛い!」「足のむくみが悪化している!」なんて身体が悲鳴を上げている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、リハビリ分野のプロフェッショナルにしてスポーツトレーナーとしても活躍されている理学療法士・石渡雄次(いしわた ゆうじ)先生に、保育士さんが簡単にできるセルフケアについて聞いていきます!
第3回は、ちょっと気になる『ひざの痛み』について、予防のポイントをお聞きしました!
ひざの痛みは筋肉の緊張で起こることも
子どもの目線に合わせて、小さい椅子に立ったり座ったり……。毎日の業務の中で、脚の疲れを感じるようになってきました。少しだけひざが痛いような感じがします。
人体の構造上、ひざはどうしても日常的に負担がかかってしまう部位です。特に立ち座りの際の、ひざをひねるような動きなどはかかる負荷も大きいですね。それでひざ関節が炎症を起こしたり、ひざの周辺筋肉が過緊張を起こしたりすることで、痛みが生じてしまうんです。
立ったり座ったり、歩いたり……普通に生活しているだけでも負担になるんですね。こうしたものは、どのように和らげていけばいいのでしょうか?
関節への負担については自分で解決することができませんが、周辺筋肉の緊張についてはマッサージやストレッチによってセルフケアすることができます。太ももやふくらはぎを重点的にほぐしてあげましょう。
ひざが気になっているのに、どうしてももやふくらはぎをほぐすのですか?
ひざは太ももとふくらはぎの筋肉がまたがっている部分だからです。周辺筋肉の緊張とはすなわち、太ももの筋肉(大腿四頭筋)とふくらはぎの筋肉(腓腹筋)の緊張のこと。筋肉の画像を見るとわかりやすいですね。
大腿四頭筋がひざの前側、腓腹筋がひざの後ろ側を通る構造になっている。
これらの筋肉が縮んで硬くなったり、緊張してしまうと、血流が悪くなり膝周囲の痛みや疲労感を感じやすくなります。また、ひざ関節のスムーズな動きが困難となります。
関節軟骨は膝関節のクッションの役割をしています。クッションがなくなることにより衝撃吸収の機能が低下してしまうため、重度の変形性膝関節症を招きやすくなってしまいます。最悪の場合は人工関節手術を受けることに繋がります。日頃から少しでも疲れや痛みを感じたらケアするように心掛けましょう。
簡単にできるセルフケアとは?
さっそくですが、どのようなセルフケアをすればいいのでしょうか?
痛み始めや予防に有効なケアは主に筋ストレッチとマッサージが挙げられます。順番にやり方を見ていきましょう。
筋ストレッチ
太ももは前と後ろ、外側と内側の4か所をそれぞれほぐしてあげましょう。
前
脚を曲げ、足首を持ってぐっと引っ張るストレッチ。前ももが伸びていることを実感できるまでやりましょう。
後ろ
あお向けになってタオルで引っ張ると裏ももが伸びます。
内側
足を伸ばして開いた上で身体を倒します。ひざの皿をしっかり押さえるようにしましょう。
外側
外ももを伸ばしたい方の脚を斜め後ろに引いてクロスさせます。
また、ふくらはぎのストレッチは準備体操などでも馴染み深いアキレス腱を伸ばす運動がよく効きます。伸ばしたい方の脚のひざを曲げないように気をつけましょう。
マッサージ
太ももやふくらはぎを触ってみて硬いなと感じたら、サランラップの芯などの硬めの棒をももやふくらはぎの上でころころ滑らせるのが効果的です。気持ちいいと感じるくらいの強さで、ほぐれたことを実感できるくらいの時間でやるといいですね。
※わからない場合や難しい場合は手でほぐしてあげるだけでも大丈夫です。
痛みが強く出る場合はすぐに病院などに相談しよう
痛みが強くなってしまった場合はどうすればいいのでしょうか。
痛みが強く出ている場合、それはもうひざの関節が炎症を起こしてしまっている可能性があります。セルフケアでは解決できない状態ですね。サポーターで固定するなり、アイシングするなりの応急処置をして、医療機関などに相談するようにしましょう。
なるほど……。できるだけひざに負担をかけないようにするには、どのような心がけをすればいいですか?
立ち座りやひざをひねる動きが特に大きな負担になる、という話はしましたね。ですからそういった動きをしなくていいように、サポーターをしてひざのブレを抑えたり、高さの合う椅子に座るなどの環境設定ができるといいでしょう。
実際にやってみた感想
太ももとふくらはぎのストレッチをしたことで、ひざも含めて足全体の疲れが少し和らいだような感じがします。業務上、子ども達といっしょに低い椅子に座ることが多いので、日々のケアで労わっていきたいと思います!
ひざが気になる保育士さんは、ぜひご参考になさってくださいね。
次回は、多くの女性が悩まされている「足のむくみ」について石渡先生に相談します。
※記事中で紹介しているセルフケア情報は安全性に配慮していますが、万が一体調が悪化する場合はすぐに中止して医師にご相談ください。また、効果効能を保証するものではありません。