保育園のイベントの中でも特に華やかな印象を持たせる、お遊戯会や生活発表会。
園によっては子ども達が演じる劇の脚本や衣装、背景となる大道具を、すべて保育士さんが製作することもあるようです。家に持ち帰って作業をしたり、休日も出勤して進めたり……準備に追われる保育士さんも、多いのではないでしょうか。
数ある劇の準備の中でも、特に保育士さんを悩ませるのが劇の内容と構成。子ども達の見せ場に直接影響があり、保護者の方も楽しみにしているだけに、どのようなものを作ったらいいのか迷ってしまいますよね。
そこで今回の記事では、保育園のお遊戯会に向けた劇の台本の書き方のコツを紹介します!
年少さん向けの劇遊びの案も紹介しますので、あわせて参考にしてくださいね!
お遊戯会!台本の書き方のコツ
そもそも、「劇の台本を作る機会なんて今までなかった」という保育士さんの方が多いのではないでしょうか?
いざパソコンやノートの前に向かってみても、どんな内容にする? 何から書き始めればいい? と迷ってしまって、まったく筆が進まない……という方がほとんどだと思います。
ここでは、まず基本的な台本作りの手順をご紹介します!
台本を書くまでの流れを一度決めておくと、今後も考えやすくなるのでおすすめです。園によって方針ややり方もさまざまですので、あくまで参考にしつつ、作りやすい方法を見つけてみてくださいね。
①題材を決める
題材を考える際は、まずクラスの様子を観察してみるのがオススメ!
たくさんの保育雑誌や絵本を見るのも良いですが、子ども達にとって関心の高いテーマを盛り込んだ方が劇遊びを楽しく発展させられます。
クラスで流行っているものや人気がある遊びから多くのヒントを得られますので、ぜひ子ども達の様子をチェックしてみましょう。
観察のポイント | |
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1 | クラスの子どもたちの様子を見る |
2 | 興味のある遊びは何か考える |
3 | 考えた中からクラスみんなが楽しんで取り組めそうな内容をいくつか検討する |
②おおまかなストーリー、曲や歌の候補を考える
題材がいくつか絞れたら、それぞれの大まかなストーリーを考えてみましょう。関連する絵本などを参考にしてみるとよいですね。
ストーリーがざっくりできてきたら、保育中にクラスみんなで遊べるよう計画をたてます。
実際に遊ぶことで、子ども達の反応をリアルで見ることができ、歌や題材が絞りやすくなります。劇遊びを楽しんでくれているか、しっかりチェックしたいところですね!
計画のポイント | |
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1 | メモ書き程度でおおまかなストーリーを考える |
2 | 実際にクラスのみんなで遊べるよう日案を立て、遊んでみる |
3 | 子どもたちの反応を見て組み立てたストーリーを再検討する |
③登場人物を考える
おおまかなストーリーの流れが決まったら、そのストーリーとクラスの人数に合った登場人物を考えます。
ひとつの役につき何人まで配置できるか、人数が偏ったときはどうするのかもあわせて決めておくと、後々の修正の手間を減らせますよ。
登場人物のポイント | |
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1 | 登場人物を考える |
2 | 役に対しての人数の目安を決める |
3 | 人数が偏った時の対策を考える (登場人物の増減ができるようにしておく、それぞれの見せ場を作るなど) |
④ストーリーをしっかり決める
登場人物が決まったら、おおまかに考えたストーリーを煮つめていきます。
とはいえ、ここで全部を決めてしまう必要はありません。まずはオープニングとエンディングをしっかり決めます。
台詞回しなどは劇遊びをしていくうちに変わっていくこともありますので、ここは大まかに決めておくので大丈夫です。
ストーリー作成のポイント | |
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1 | オープニング、流れ、エンディングの部分を考える 考えやすい部分から取り組むと決めやすいです |
2 | おおまかに台詞も考える |
3 | 流れや見せ場、子どもの動きを意識して、全体を読み返し修正していく それぞれの役の出番や台詞の長さに偏りがないかもチェックしましょう |
⑤歌や曲を考える(最終調整)
ここまで考えられたら、劇で使用する歌やBGMも決めましょう。
楽曲は遊びの段階から流しておくと、本番の流れもスムーズに覚えられますよ。
歌・BGM選びのポイント | |
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1 | 歌う歌やBGMを考える |
2 | メインの歌を決める |
3 | 台詞をいう時の合図の音なども考える |
台本が完成した後はどうする?
台本ができたら、いよいよ舞台の細かい部分の準備に取り掛かります。
美は細部に宿るもの。一生懸命考えたストーリーを子ども達にも楽しんでもらうためにも、裏方の仕事についてもある程度考えておくといいですね。
⑥構成を考える
台本ができたら、いよいよ劇を成立させるための構成について考えます。
構成とは主に、
- 小道具は何を使うか?
- 大道具は何を使うか?
- 背景は何を用意するか?
- 道具の配置はどうするか?
- 照明はどのように使うか?
といった要素を指します。
劇で使用する小道具や大道具、その配置についてはこの段階で決めておくといいでしょう。
本番とは別に遊び用の簡単なアイテムを作っておくと、子ども達も本番に向けてイメージがしやすくなります。
また、背景は場面を表現する大切なものになります。内容、位置、枚数をしっかり決めておきましょう。
照明については後からでも大丈夫ですが、あわせて考えると楽ですよ。
構成のポイント | |
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1 | 小物・大道具を考える |
2 | 背景を決める |
3 | それぞれの配置を考える |
4 | 照明の暗転、ピンスポット、色などを決める |
⑦衣装を考える
内容が決まったら、最後は衣装をどのようなものにするか考えます。
「子ども達が激しく動くから、かぶり物はなくす」など、動きやすさや安全性を考慮すると決めやすいです。かぶり物がある際は、事前に保護者の方に髪型の注意点など伝えておきましょう。
衣装決めのポイント | |
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1 | 全体の衣装の形、素材を考える 衣装の形や素材を統一することで全体のまとまりも出ますし、一度で大量に作ることもできます |
2 | 役ごとの衣装を考える |
実際に劇遊びをしてみよう
台本ができたら、子どもたちと実際に遊んでみましょう。
導入としては、題材に近い絵本を読んでイメージを膨らませたり、ごっこ遊びの要領で表現したりして、クラスのみんなで劇に親しんでいくのがよいでしょう。
子ども達が遊びを十分に楽しんだら、ピアノで劇中歌を流したり、台本に添って少しずつ劇らしく遊びを進めていきます。
始めから”練習”として行わず、遊びの中で徐々に進めていくのがポイントです!
台詞の決め方
劇遊びを進めていく中で、子どもたちにも役や物語のイメージができます。
言いたい台詞を聞くとおもしろい答えが返ってくることがあるので、子どもたちの意見を取り入れるのもいいですね。
最初から保育者が「こうやる」と決めつけないで、子どもたちの発想力の豊かさや新たな楽しみ方を引き出しながら発展させると、本番前も本番後も劇遊びを楽しめますよ。
編集者より
お遊戯会や発表会、園によってねらいはさまざま。ピアノの伴奏のことや子どもの様子が気になって緊張してしまう保育士さんも多いかと思いますが、あくまでも子どもが主役!
子どもたちが楽しくのびのび発表できる舞台を作ってあげられると良いですね。