子ども達、そして保育者の命を守るための「避難訓練」。
万一の時に的確な判断をし、冷静に避難するためには、日ごろからの災害への備えとともに、定期的な訓練の実施が欠かせません。
子ども達の命を守る使命を担う保育施設における避難訓練について、その重要性や実践方法を「もしもの備え編」と「実践編」とに分けて紹介している今回。「実践編」では、地震・火災・津波・台風・火山噴火について、災害種別に具体的な訓練の進め方とポイントを紹介していきます。
また、今回は自然災害以外でも避難が必要な不審者対策についても避難訓練のポイントを紹介します。ぜひみなさんの園でも活用してくださいね。
避難訓練の前に3つの準備をしよう
実際に避難訓練をする前には行うべき3つの準備あります。まずは必要な準備についてチェックしていきましょう。
①まずはどんな災害を想定するかを決めよう
ひとくちに「避難訓練」と言っても、想定する災害が地震なのか、火災なのか、あるいは水害なのかによって、子ども達への指導方法も避難経路も異なるでしょう。
まずはどんな災害を想定して避難訓練を行うのか、そして火災であれば火元はどこなのか、地震ならば家具の転倒等で通れない場所はどこなのかなど、細かく状況を設定しましょう。
②避難場所・経路を決めよう
つづいて想定した災害の内容に沿って、避難場所や避難経路の計画を立てます。
(声掛け担当や記録担当など)
(消火訓練・広域避難場所への二次避難訓練など)
③引き渡し訓練を行う際には保護者におたよりを出そう
家庭との連携をはかり、保護者の防災意識を高めるためにも、保護者への子どもの引き渡し訓練は大変重要です。
引き渡し訓練を行う場合には、あらかじめ実施する日時や内容を、おたよりや掲示物で保護者に知らせておきましょう。
おたよりには、次のような内容を盛り込み、保護者に防災についてあらためて考えてもらえるよう工夫します。
(保護者が迎えに来られない場合の代理人申請、車での来園を控えてもらうことなど)
【地震編】一次避難から引き渡しまで一連の訓練を
平成30年版防災白書によれば、1993年~2017年までのあいだの自然災害による死者・行方不明者でもっとも多いのは、地震とそれに伴う津波によるもので、その数は29,259名にもおよびます。
【自然災害による死者・行方不明者数(平成5年~平成29年)】 | ||||
---|---|---|---|---|
風水害 | 地震・津波 | 火山噴火 | 雪害 | その他 |
1,605名 | 29,259名 | 68名 | 1,262名 | 113名 |
(資料)平成30年版防災白書をもとに作成
いつ発生するかわからない地震に対しては、避難訓練を繰り返すことで、防災への意識をしっかりと高めておく必要があると言えるでしょう。
一次対応(一次避難~引き渡しまで)
地震を想定した避難訓練においては、3つのステップに応じて対応する必要があります。第一に地震が発生した際の対応、つづいて揺れがおさまったあとの対応、そして子ども達を無事に保護者に引き渡したあとの対応です。
まずは、地震発生~子どもの引き渡しまでの訓練内容を紹介していきましょう。
園内にいた場合の対応方法
園内にいた際に地震が発生した場合には、まず物が倒れてきたり、落下する危険性のない場所に子ども達を集め、待機させましょう。
出入口の確保や消火は、大きな揺れがおさまってから。まずは身を守ることを優先させます。
【避難訓練の手順】
□ 室内の安全な場所に子ども達を集めて待機させる
□ 窓やドアを開けて避難経路を確保する
□ 職員同士声を掛け合いながら火元を確認、ガスの元栓を閉める
□ 子ども用の防災頭巾、職員用のヘルメット、避難時に使用する靴などを用意し、着用する
□非常用持ち出し袋や避難車を用意し、一次避難の準備を行う
□ 点呼ののち、園庭などの一次避難場所に避難する
□ 一次避難場所に着いたらふたたび点呼をとり、逃げ遅れている子どもや職員がいないか確認する
□ ラジオやインターネットなどで情報を収集し、次の対応に備える
□ 園の一斉メール配信システムなどで、随時保護者に情報を提供、引き渡しが可能になったら、その旨を通知する
□ 児童リストなどを使い、保護者に引き渡しが済んだ子はどの子か、引き取りに来たのはだれか、何時に引き渡したかなどの記録を取っておく
□ 全員の引き渡しが完了したら、再度リストで引き渡しの抜け漏れがないかチェックする
園庭にいた場合の対応方法
地震発生時に園庭にいた場合には、まず遊具やブロック塀などが倒れてこない、園舎のガラスなどが飛び散ってくる可能性のない安全な場所に、子どもを集めて待機させます。
揺れがおさまったら、点呼を行いすべての子どもが揃っていることを確認しましょう。
□ 園庭の中央など、建物から離れており、遊具や塀など倒れてくるものがない安全な場所に子ども達を集めて待機させます。
□ 点呼をとる
□ 園内にいる職員と連携を取り、防災頭巾やヘルメット、非常用持ち出し袋など必要なものを持ってきてもらう
□ 防災頭巾などを着用させ、一次避難場所を確認する
□ 園庭が避難場所の場合には、他の子どもが避難し終わるまで待機、全員が揃ったところでふたたび点呼をとる
※一次避難場所に避難したあとの対応は、室内の場合と同じです。
お散歩などで園外にいた場合の対応方法
地震発生時にお散歩などで園外にいた場合には、子どもの安全を確保したあと、園と連絡をとり、適切な避難場所へと誘導する必要があります。
園内にいるとき以上に臨機応変な対応が求められるため、さまざまな場面を想定して訓練を行うとよいでしょう。
□ 建物や倒壊のおそれのあるブロック塀などから離れた場所に子ども達を誘導する
□ 揺れがおさまるまでしゃがんで待機させ、手などで頭を守るよう指示する
□ 点呼をとる
□ すぐに園と連絡を取り情報交換を行う
□ 園の状態を聞いたうえで、現在地等から避難場所を検討し合う
□ 点呼ののち、避難場所に移動をする
□ 避難場所に着いたらふたたび点呼をとり、ただちに園に報告をする
□ 園の一斉メール配信システムなどで、避難場所を保護者に伝えてもらう
□ 保護者との受け渡しに備え、子ども達の簡易リストを作り、引き渡しの記録がとれるようにしておく
保護者への引き渡しは、基本的に室内で地震が発生した場合と同様ですが、児童票がないため、保護者以外の面識のない親族が迎えに来た場合には、都度園と連絡を取って、あらかじめ届け出が出ている人物かどうか確認するとよいでしょう。
二次対応(避難所設営)
子ども達を無事に保護者に引き渡したあと、園の規模や建物の状況等によっては、地域の一次避難場所として保育園を使用することも考えられます。
また、地域に避難所を開放した場合には、ケガをした人が来園することも考えられます。
さまざまなケースに柔軟に対応できるよう、避難所の設営や基本的な応急手当の方法などを、訓練を通じて学んでおくようにしましょう。
地域住民向けの避難所設営
園児の引き渡しがひととおり終わったら、防災用品を倉庫から出すとともに、保育室を片付けましょう。
倒れやすい家具の固定具が外れてしまっている場合などは、あらかじめ倒しておくなど、再び大きな揺れが起きた場合の二次被害を最小限にする工夫をします。
断水に備えて、ポリタンクやバケツには、できるだけ水を汲みおいておくようにしましょう。
応急手当の方法もおさらいしておこう!
日ごろから訓練をしていないと、止血法や人工呼吸などの救命法などは、「もしも」のときになかなか実践できないもの。
避難訓練を行う際には、あわせて職員の救命訓練を行ったり、三角布や担架の使い方、AEDの使用方法などを確認したりするとよいでしょう。
警戒宣言が発令された場合の対応方法は?
「警戒宣言」とは、大規模地震対策特別措置法に基づき実施される地震の予知のもと、異常が認められた場合に被害を最小限にとどめるために発令される宣言のこと。(現時点では東海地震のみ対象)
とくに、東海地震が発生した際に大きな被害が予想される地域では、この警戒宣言が発令された場合も想定して避難訓練を実施するようにしましょう。
□ 子ども達を安全な場所(園内のホールや園庭中央など)に集める
□ ラジオやテレビで情報を収集する
□ 火元となりうる暖房器具などは電源を切り、ガスの元栓は閉めておく
□ ポリタンクやバケツに水を汲み、断水に備える
□ 非常用持ち出し袋や防災頭巾、ヘルメット、靴などをまとめておく
□ 保護者と連絡をとり、状況に応じて引き渡しを行う
引き渡し前や引き渡しの途中に地震が発生するケースも想定し、いくつか訓練のパターンをつくっておくとよいでしょう
【津波編】判断ミスが生死に直結!津波こそ「想定外を想定内」に
津波は、1分1秒の避難の遅れが生死を分ける自然災害です。そのため、津波の可能性がある場合には、一刻も早く高台に避難する必要があります。
訓練では、高台への避難ルートを検討し、そのルートが通行できない場合の対応法、地割れなどで避難車が使えない場合の避難法などを訓練しておきましょう。
□ 出発前、避難場所到着時には必ず点呼をとり、逃げ遅れのないようにする
□ 避難時は子ども達の先頭、最後尾のほか、列のなかにも職員を配置し、集団から離れてしまう子どもが出ないように注意する
□ 高台に避難する時間がない場合の対応についても検討し、その場合にはより内陸側に位置する、できるだけ高い建物に避難するようにする
□ 浸水がはじまったら、遠方への避難は諦め、できるだけ高い場所に避難することを認識しておく
想定外の対応も考えて訓練を!
津波の際の避難場所が決まっている場合にも、「もしもその場所に避難できなかったら」「避難場所よりも高い津波が来たら……」など、訓練では常に「想定外」のケースを考えて訓練計画を立てましょう。
実際に災害が起こった際、想定外のことが起こると、冷静な判断ができなかったり、パニックになってしまったりする恐れがあります。
想定外を見越した訓練が、「もしも」のときに、子ども達の命を守ることにつながるのです。
【火災編】「お・か・し・も」のお約束をしっかり伝えよう
火災は、地震のときのみでなく、調理中の事故やコンセントなど家電からの出火でも発生します。
自然災害だけでなく、不注意や人為的行動がもとになって発生するリスクがあるからこそ、避難訓練で火災がいつ起こっても対応ができるようにしておく必要があります。
園で火災が発生した場合
園が火元となり火災が発生した場合には、まず子ども達を安全な場所に集め、点呼をとりましょう。
全員が揃っていたら、火元を避けて園舎の外へと誘導します。園庭などに避難したら再度点呼を取り、逃げ遅れた子がいないかをチェックします。
子ども達の避難が完了したら、消防署へ通報、可能であれば消火器で初期消火を行いましょう。
周辺地域で火災が発生した場合
園の周辺で火災が発生した場合には、距離や風向き等によって園にも火が回ってきてしまう可能性もあります。
まずは地域の連絡先などから情報を収集し、必要に応じて子ども達を建物の外の安全な場所に避難させましょう。
火災が広がる可能性がある場合や、風向きで煙が周辺に充満している場合などには、他の避難場所に避難する必要があります。防災マップなどを確認し、安全な場所に子ども達を誘導するとともに、園の一斉メール配信システム等で保護者にも情報を共有しましょう。
避難の際に欠かせない「お・か・し・も」
火災の際の避難において、必ず子ども達に指導したいのが「お(押さない)・か(かけない)・し(しゃべらない)・も(もどらない)」のお約束。
転倒で集団からはぐれてしまったり、会話で煙を吸い込んでしまったり、あるいはものを取りに保育室に戻ってしまうと、子ども達の命が危険にさらされるだけでなく、救助活動を行う保育士さんの命も危うくなってしまいます。
自分の命は自分で守るという自助の精神を学んでもらうためにも、火災を想定した避難訓練の前には、図解ボードなどを用意して、子ども達が「お・か・し・も」を徹底できるよう指導しましょう。
※印刷用のデータは、それぞれ下記からダウンロードできます。ぜひみなさんの園でも子ども達への説明に活用してください。
◆おさない(データをダウンロードする)
◆かけない(データをダウンロードする)
◆しゃべらない(データをダウンロードする)
◆もどらない(データをダウンロードする)
通報・消火訓練
消防署と連携することができる場合には、実際に消火訓練を行ったり、消火器の使い方を学ぶことも大切です。
また、消防署への通報についても、どんな項目を伝えればよいのか、正確に情報を伝えるにはどうしたらよいのかを知っておくために、保育士同士で訓練を行っておくとよいでしょう。
(声掛け担当や記録担当など)
(住所と目印になる建物など)
(火元となっている場所やなにが燃えているか)
(どのように燃えているか)
【台風・水害編】床上浸水などの可能性も考慮に
台風は風害と水害、ふたつの被害をもたらします。
台風が近づいている場合には、まずはテレビなどで台風情報をつねにチェックし、接近したり通過する可能性がある場合には、あらかじめどのような対応を取るか、園で検討しておくことが必要です。
場合によっては、保護者に連絡をとり、台風の影響が大きくならないうちにお迎えに来てもらいましょう。
大雨や河川の氾濫などによる水害の場合
集中豪雨や河川の氾濫の場合にも、天気予報や自治体の発信する情報をこまめにチェックし、浸水や断水、停電などに備えましょう。
急な集中豪雨が発生した場合には、すぐに保護者に引き渡しをしないで、園内にとどまった方がよいケースもあります。気象情報や屋外の状況を見て、臨機応変に対応できるように、防災マニュアルを整えておくとよいでしょう
避難勧告・指示が出たら?
「避難勧告」とは、災害による被害が予想され、人的な被害が生じる可能性が高まった場合に出される勧告のことです。
また、「避難指示」は、災害が発生するなど状況がさらに悪化して、人的被害の危険がさらに高まった際に発せられる、より緊急性の高い指示です。
いずれも避難場所への避難が必要なため、保護者に連絡をとり、避難場所を伝えたうえで避難場所への避難を開始します。
訓練においては、河川の近くや橋の通行を避け、安全なルートで避難場所に向かうようにします。また、予定していた道が通れなかった場合の迂回路についても検討しておきましょう。
【火山噴火編】周辺に活火山のある園は必ず備えを
火山活動が活発な日本においては、火山噴火も子どもの命を脅かしかねない災害のひとつです。
もしも火山が噴火した場合には、テレビやラジオ等で火山情報をつねにチェックし、危険が迫るような場合にはすみやかに避難できるよう、準備を進めておきましょう。
□ 熱風や火山からの噴出物から身を守るため、肌の露出の少ない服を着用する
□ 荷物は最低限にし、リュックなど両手の空くカバンにまとめる
□ 園のドアには避難場所を記載しておく
□ 噴石を防ぐためヘルメット(防災頭巾)を着用する
□ 火山灰を防ぐためゴーグルとマスクを着用する(ない場合はハンカチで口を押える)
【不審者編】警察が来るまでの時間稼ぎを
子ども達の命を守るためには、自然災害だけでなく人為的災害(犯罪等)に対する訓練も重要です。
ここでは不審者が保育園に侵入した場合に、子ども達を安全に避難させるためのポイントを紹介します。
□ 不審者役の職員を1名決めておく
□ 不審者役は、どこから侵入するかを決めずに訓練を開始する
(状況に応じた対応能力を養うため)
□ 不審者を見かけた職員が声をかける(例:「どちらさまですか?」「なにかご用ですか?」など)
□ 声掛けに従わない場合や危険を感じた場合には、防犯用の通知ボタンを押す
□ 事務室から監視カメラをチェックし、不審者のいる場所を確認する
□ 警察への通報を行う
□ 事務所職員が園内に放送を流し、不審者が来たことを他の職員に知らせる
□ 放送を聞いた子ども達をいったん待機させる
□ 事務所職員が不審者のいる場所や武器の有無などの情報を知らせる
□ 子ども達を集め、安全な室内に誘導する
□ 点呼をとり、全員避難が完了したら部屋のカギとカーテンを閉める
□ 不審者に対応する職員は、刺激しないよう注意しながら事務所などに誘導する
□ 退去したら避難を解除する
訓練実施後はかならず「ふりかえり」を!
避難訓練は、ただ行うだけでは保育園の防災力を高めることにつながりません。
避難訓練を通じて園の課題を洗い出し、対策を立てて解消していくことで、はじめて「もしも」の災害が起こった場合に、柔軟に対応するための防災力を備えることができるのです。
ふりかえりシートを作ってみよう
では、具体的にどのようにして園の防災上の課題を見出せばよいのでしょうか。
その方法のひとつに、チェックシートを活用した訓練のふりかえりがあります。
【ふりかえりシート】の作り方
□ 行った避難訓練の情報(実施日時・訓練の想定・実施内容・子どもや保育者の人数など)を記録する
□ 年齢(クラス)別に避難にかかった時間や避難状況を記録する
□ 訓練を通して感じた課題や反省点を記入する
□ 子どもの避難についてだけでなく、設備や備品などについて感じたことなどを記入する
避難訓練の担当者だけでなく、各クラスの担任など複数の保育士さんに記入してもらうと、視野が広がってより課題が見えやすくなります
園にあった防災マニュアルを作成しよう
園の規模や立地、周囲の環境などによって、必要な防災対策は異なります。避難訓練を繰り返し実施し、ふりかえりシートで課題を見直しながら、それぞれの園にあった独自の防災マニュアルを作るようにしましょう。
たとえば園内や周辺の地図に、リスクのある場所や避難場所、避難場所までの経路を示した地図をマニュアルに組み込んだり、園で決めた避難の基本的な方法や、ルールをまとめておいたり……。
その園だけの防災マニュアルを作っておくことで、「もしも」の時の対応方法をより具体的にすることができるホィ!
「想定外」を視野に入れた訓練が命を守る
東日本大震災では、我々の想像を大きく上回る規模の地震と津波が人々を襲い、2万人を超える犠牲者が出ました。
人々の生死を分けた要因のひとつには、きっと個人の「とっさの判断」もあったことでしょう。
しかし、周囲がパニック状態にあるような大災害の発生時に、命を守るための正しい判断を瞬時に下すことは容易なことではありません。
また、いわゆる「災害弱者」とされる子ども達の命を守りきるためには、日ごろから災害への意識を高めておくとともに、避難訓練を通じてとっさの時の行動を、習慣的なものにしておくこと、そして想定を超えた「もしも」が生じたときにどうするか、綿密に計画を練っておくことが欠かせないでしょう。
保育所では、避難訓練を毎月1回以上行うことを義務づけられています。しかし、「義務だから」と行っていると、訓練は慣例的で応用の効かないものになってしまいがちです。
「万が一のときに子どもの命を守るんだ」という意識を、保育者一人ひとりが持って、避難訓練に取り組むことが大切なのではないでしょうか。
編集者より
災害は誰しもが「起こってほしくない」と願うもの。だからこそ、人はその願いを「自分が被害にあうことはないだろう」という期待的憶測に変換して、万一への備えをないがしろにしてしまいがちです。
しかし「もしも」の災害はいつかどこかでかならず起こり、それを避けることは誰にもできません。だからこそ災害の恐ろしさから目を背けず、十分な備えを行っておくことが大切なのです。
「大丈夫だろう」から「もしかしたら被害にあうかもしれない」という考え方へ。来るべき災害に対する備えを習慣的に行う姿勢は、きっと今の子ども達からその子ども達、さらに次の世代へと引き継がれていくことでしょう。
これまでの災害で失われてしまった尊い命から学んだ教訓を、命を守ることにつなげるためにも、どうか今回紹介した内容を、みなさんの園でも活かし、有意義な避難訓練を行ってくださいね。
人が抗うことのできない「もしも」のとき、1人でも多くの命が救われることを願って……。
参考文献・サイト
- 天野珠路 編・著(2017)『写真で紹介 園の避難訓練ガイド』かもがわ出版
- 経済産業省『想定外から子どもを守る 保育施設のための防災ハンドブック』(2019/4/18)
- 保育士くらぶ『保育園で行う【避難訓練】の手引き!地震や火事、子どもの防災意識を高めるには?』(2019/4/18)
- 内閣府『平成26年版 防災白書』(2019/4/18)
- 国土交通省国土地理院『ハザードマップ』(2019/4/18)
- 首相官邸『いつ、どこに、どうやって避難したらいいの?』(2019/4/18)