保護者対応に悩む保育士さんは多いもの。特にクレームの際などにはとても神経を使います。良かれと発した一言が事態を悪化させてしまう…、言葉遣いから思わぬ苦情に発展した…そんな経験はありませんか?今日は保護者対応におけるNGワードをご紹介するとともにトラブルの悪化を防ぐ言い換えのコツをお教えします!
“言葉”が保護者対応のトラブル要因になることも…
保護者対応をする中で、相手の不安や不満を増大してしまう要因のひとつが”言葉の使い方”です。誤解を生む言葉で保護者の信頼を損ねたり、逆上させてしまっては対応はますます難しくなり、保育士さんの負担も大きくなってしまいます。
問題の根本的な解決をスムーズに行うためにも、保護者との関係を保つためにも、言葉の使い方には気を配りたいところですね。
つい使ってない?保護者対応NGワード
では、どのような言葉がトラブルの原因になりやすいのでしょうか。ここからは保護者対応における”NGワード”と適切な対処法をご紹介します!
- 「そんなはずはないのですが…」
- 保護者の発言に対して、嘘と捉えているような否定的なニュアンスを与えてしまうNGワードです。たとえ可能性が低いと思われる事柄であっても、発言を受け止め、事実確認を行う対応をするようにしましょう。
- 「絶対・普通は…」
- 絶対に、普通はという言葉は裏返せば「それ以外は異常」と言っているようなもの。無意識のうちに使いがちですが、苦情対応時や育児に関する相談の際には、相手にプレッシャーや不快感を与えてしまうことがあります。必要のない断言は控えましょう。
- 「しかし・ですが・でも…」
- こちらも否定されたように感じさせる要注意ワード。”4D言葉”と呼ばれる「でも」「ですが」「だって」「どうせ」や、反対を示す「しかし」という言葉は極力避けましょう。相手の言い分と異なる事実を伝える際は「実は」を使えば否定感を与えずに済むことも。
- 「それは違います…」
- 相手を全否定する最も避けたい言葉です。このワードで相手の話を遮らないよう注意が必要です。事実が保護者の主張と違っても「そのように感じてしまったのですね、心配に思われますよね…」などと共感を示すことを心がけましょう!
- 「なぜ・どうして…?」
- なぜ、どうしてという質問は相手が責められていると感じやすい言葉です。理由を尋ねる場合には「なぜ〇〇できなかったのですか?」といった”人”に対する質問ではなく「〇〇出来なかった原因は何ですか?」と”モノ”に対する質問に置き換えるだけでも、相手が客観的に捉えやすくなります。
- 苦情対応時の「すみません」
- 苦情や指摘を受けた場合、「すみません」という謝罪は相手に反省が不十分だと思わせてしまう原因にもなります。相手の表情に怒りが見えない場合でも「誠に申し訳ございませんでした」と丁寧な謝罪を心がけましょう。
- 「愛情不足」
- 「もっと愛情をかけてあげましょう」といったニュアンスを伝えることは、保護者の自信を喪失させ、日々の育児の努力を否定された気持ちにさせてしまいます。具体的な対処法を伝えることで「愛情をかける」「愛情不足」というNGワードを避けましょう。
おさらい!NGワード変換表
今までお話したNGワードやその他注意したい敬語の使い方について変換表にしました。上手に言い換えを利用してトラブルの発生や悪化防止に活用しましょう!
避けるべきNGワード | 望ましい言い換え・対処法 |
---|---|
そんなはずはないのですが… | すぐに確認いたしまして、お返事させていただいてもよろしいでしょうか? |
絶対・普通は | 使用しない、どうしても必要な場合は”〇〇なケースが多い”など表現をやわらかく |
しかし・ですが・でも | 実は (※ただし保護者の話を最後まで聞いたあとに使いましょう) |
それは違います | 相手の言うことを反復し共感を示す。事実を伝えるときは「実は」などを使って切り出しましょう |
なぜ・どうして | “人”に対する質問でなく”モノ”に対する質問に置き換える |
すみません | 誠に申し訳ございませんでした |
愛情不足 | 時間のある時に絵本の読み聞かせを…など具体的な対処例を話すことで愛情をかける、愛情不足という表現を避ける |
そうですね | ごもっともです (※相手の気持ちを落ち着かせる言葉といわれています) |
できません | 誠に恐れ入りますが、○○のため(理由を述べる) ご希望には添いかねます。お役に立てずに申し訳ございません。 |
私にはわかりません | わたくしの一存では判断いたしかねます |
こちらが間違っていたようです | わたくしどもの手違いでございました |
上記に加えて、語尾を伸ばすことも保護者から見たNGポイント。癖になっている方は保護者対応の際には意識しましょう。
編集者より
言葉は難しいもので、受け取る人の状況や感情で捉えられ方が異なります。保護者が不満や不安を抱えている場合には、ネガティブな心の状態が言葉の捉え方をマイナスの方向へゆがめてしまうことがあるよう。
問題をすべて解決できるわけではありませんが、保護者の感情に配慮して表現を少し変えるだけでも、トラブルを避けられるケース、早期解決しやすくなるケースがあるように思います。言葉の一つひとつまで気を配るのはとても大変なことですが、子どもや保育士さん自身のためにも…ぜひ意識的に取り入れてみてくださいね。