子どもや保育に関連する仕事といえば、保育園や幼稚園で働くことをイメージする方が多いでしょう。しかし、それ以外にもたくさんの選択肢があります。
この記事では、資格の有無に関係なく、子どもに関わる多種多様な仕事をご紹介します。仕事内容はもちろん、働き方の特徴や向いている人など、気になるポイントをまとめていますので、ぜひ仕事探しの参考にしてください。
【この記事でわかること】
- 資格が必要な子ども・保育関係の仕事について
- 無資格でもできる子ども・保育関係の仕事について
- 子ども関係の仕事に向いている人について
【要資格】子ども・保育関係の仕事10選

子どもや保育関連の仕事はたくさんありますが、資格が必要な仕事と無資格でもできる仕事があります。まずは、何らかの資格が必要な仕事を11個ご紹介します。
保育士や幼稚園教諭免許などの資格を生かせる仕事が多いため、転職をお考えの方にもぴったりです。
1.保育園
保育園は、0歳〜小学校就学前の子どもを預かる施設です。子どもの身の回りのお世話や遊び・学びの援助、保護者に対する子育て支援などを行う役割を担っており、働くには保育士資格が必要です。
保育士には、観察力やコミュニケーション力、柔軟性が求められます。単に子どもを見守るだけではなく、担当する子どもの年齢に応じて適切な対応をしなければならないためです。また体調を崩したり、けがをしたりする子どももいるため、応急処置や関係各所への連絡などをスムーズに行える対応力も必要です。
2.幼稚園
幼稚園は、満3歳から小学校就学までの子どもを対象とした教育施設です。教育カリキュラムに沿って、子どもたちの心身の発達を促すための保育・指導を行う役割を担っており、幼稚園で働くには幼稚園教諭免許状が必要です。
幼稚園教諭には、コミュニケーション力の他、子どもの年齢や成長具合に応じた教育プログラムの作成能力、想像力、柔軟性が求められます。保育園よりも教育的な要素が多く、生活発表会や参観日などの行事も多いです。限られた保育時間の中で教育プログラムを遂行しなければならないため、計画的に仕事を進めるのが好きな人や、責任感がある人に向いています。
3.認定こども園
認定こども園は、幼稚園と保育園の機能を併せ持つ施設で、教育と保育の両方を担います。大きく分けると4つのタイプに分かれており、幼保連携型・幼稚園型・保育所型・地方裁量型があります。
認定こども園で働くには、一般的に保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方が必要です。どちらの資格も持っている人は「保育教諭」と呼ばれています。
幼保連携型では保育教諭の配置が必要ですが、令和11年度末まで一定の経過措置が設けられています。そのため、保育士資格もしくは幼稚園教諭免許状のいずれかを所持し、所定以上の実務経験がある人は、働きながらもう一方の資格・免許の取得を目指すことが可能です。
幼保連携型以外のタイプの認定こども園では、満3歳未満のクラスを担当する人には保育士資格が必要とされており、満3歳以上のクラスでは幼稚園教諭免許状と保育士資格の併有が望ましいとされています。
4.企業内保育所・院内保育所
企業内保育所・院内保育所は、企業や病院が従業員向けに設置する認可施設です。子どもの数が比較的少なく、アットホームな雰囲気のある保育所が多いのが特徴です。一方で、24時間体制の企業・病院では、夜間・休日にも保育を実施している場合があり、保育士にも夜間・休日の出勤が発生するケースもあります。
企業内保育所・院内保育所で働くには、保育士資格が必要です。仕事内容は一般的な保育所と同様ですが、企業や病院独自のイベントなどの企画・運営に携わることもあります。幅広い時間帯で柔軟な勤務が可能な人や、チームワークを大切に少人数で保育を行いたい人にはもってこいの職場です。
5.児童館
児童館は、18歳未満の地域の子どもたちが遊びや集団活動を行う公共施設です。運営主体は、自治体、社会福祉法人などさまざまです。施設によって求められる資格が変わりますが、主に保育士や社会福祉士、教員免許などの資格を求められることが多くなっています。また公務員として勤める場合は、公務員試験への合格が必要です。
従事する職員は、イベントの企画や子ども同士のトラブルの対応、子育て家庭への相談などの業務を行います。幅広い年代の子どもと関わりたい人や、子ども関連の資格・経験を生かして働きたい人に向いています。
6.乳児院
乳児院は、虐待などの事情で家庭での養育が困難な乳幼児や、親のいない乳幼児を保護・養育する施設です。新生児だけではなく、養育が必要だと判断された小学校就学前までの子どもが対象です。乳児院の職員は、日常生活の支援や健康管理、精神的なケア、他機関との連携などの業務を行います。
一般的には保育士や看護師などの資格が必要です。ただし求められる資格は施設によって異なります。家族や家庭に起因する理由で利用している子どもが多い傾向にあるため、きめ細やかなケアや冷静な対応ができる人に向いています。
7.児童養護施設
児童養護施設は、保護者のいない子どもや家庭での養育が困難な子どもを支援する施設です。基本的には2〜18歳までの子どもを対象としており、子どもたちにとっては家庭に代わる場所となります。職員は、基本的な生活支援はもちろん、心のケアや学習指導、進学相談、18歳以降のアフターケアまで、多様なサポートを行います。
求められる資格は、保育士や社会福祉士、児童指導員任用資格などです。困難な状況にある子どもの支援や心のケアをしたい人、長期的に子どもの成長を見守りたい人に向いています。
8.児童相談所
指導相談所は、児童虐待や非行などの相談に対応し、必要な措置を講じる行政機関です。0歳から18歳未満の子どもを対象としており、職員は子どもやその家庭が抱えている問題の相談にのったり、解決のための助言や援助を行ったりします。
求められる資格は、児童福祉司任用資格、もしくは児童心理司です。児童福祉司に任用される要件は、福祉専門職員を養成する学校の卒業者、一定の講習の修了者、大学で心理学・社会学・教育学を専攻した人などです。所有している資格や経験などによって任用される要件が異なるため、ご自身に合う任用要件を確認するといいでしょう。
また指導相談所の職員は基本的に地方公務員となるため、職員として働くには各自治体が行っている公務員採用試験に合格する必要があります。
9.児童発達支援施設
児童発達支援施設は、障害や発達に特性のある0歳から就学前までの子どもを支援する施設です。職員は、子ども一人ひとりの発達段階に合わせた個別支援計画に基づき、発達支援プログラムを作成・実施したり、保護者や関係機関との連携・相談を行ったりします。
求められる資格は、保育士や作業療法士、言語聴覚士などで、施設によって異なります。さまざまな職種の職員がチームを組んで対応を行うため、協調性やコミュニケーション力が必要です。また、発達障害に関する知識や支援スキルや、子どもの特性に応じた柔軟な対応力も欠かせません。
10.病児保育室
病児保育室は、病気やけがにより集団保育が困難な子どもを一時的に預かる施設です。基本的には生後6カ月〜小学校6年生までの子どもを対象としていますが、施設によっては小学校3年生までを優先しているところもあります。
病児を預かる施設のため、子ども同士が交流したり、活発に活動したりすることはありません。職員は、子どもの健康観察や病状に合わせた保育(食事や活動の調整など)を行います。
求められる資格は、保育士や看護師です。病児保育室で働くには、些細な体調の変化に気付く力や、病気やけがに関する知識などが必要です。
【無資格OK】子ども・保育関係の仕事12選

「子ども・保育に関係する仕事をしたいけれど、資格や経験がない」という人もいるでしょう。そのような方は、無資格OKの仕事を探すのがおすすめです。とはいえ、その分野について学んだ経験や、実務経験が必要な場合もあるので、応募する際には要注意です。
ここからは、無資格からスタートできる子ども・保育関係の仕事を11個ご紹介します。
11.保育士や幼稚園教諭以外の園職員
保育補助や事務、清掃、給食調理などの職種であれば、保育士や幼稚園教諭免許の資格がなくても園職員として働けます。園職員は、主に保育士のサポート業務や、園内の事務作業・雑務などの仕事を担います。保育士と比べて子どもと直接関わる機会は少ないものの、園の運営には欠かすことのできない大事な存在です。
資格の有無はあまり重視されませんが、保育補助の場合は子育て経験、給食調理の場合は調理師資格などがあると、就職の際に有利です。
12.子育て支援センター
子育て支援センターは、子どもや子育て中の保護者が交流を深めるための施設で、0歳から小学校就学前までの子どもとその保護者が対象です。職員は、子育て相談の対応や、親子向けイベントの企画・運営などを行います。
働くための必須資格はありませんが、保育士や社会福祉士などの資格を所持している方が就職の際に有利です。
13. ベビーシッター
ベビーシッターは、個人宅やイベント会場などで子どもを預かるサービスで、0歳から小学生くらいまでの子どもが対象です。預かる場所や保育中の留意点などは事前に保護者と打ち合わせ、子どもの安全を第一に個別の保育方針を立てて対応します。主な仕事は、子どもの食事のサポートや遊びの見守り、幼稚園や習い事への送迎などですが、利用者の希望によっては家事の手伝いを行うこともあります。
個人のベビーシッターを含む認可外の「居宅訪問型保育事業」の保育従事者は、保育士または看護師の資格か、無資格者の場合は一定の研修の修了が必要です。資格がなくても働けますが、保育士やチャイルドマインダーなどの資格を所持している方が利用者に選んでもらいやすいでしょう。
14.託児所
託児所は、保護者が用事を済ませるまでの間、一時的に子どもを預かる施設です。デパートや美容院、イベント会場などに併設されていることが多く、他の施設に比べると、預かる時間が比較的短いのが特徴です。
主な仕事は、預かった子どものお世話や遊びのサポートです。無資格でも託児所で働くことは可能ですが、保育士資格や子育て経験がある方は知識や経験を生かせます。
15.幼児教室・習い事の講師
幼児教室や習い事の講師は、自分の得意なことを生かして活躍できる仕事です。例えば、英会話や音楽、体操、学習塾などがあります。自分で開業する人もいますが、各教室を運営する企業に就職するのが一般的です。
講師の仕事には、必須資格はありません。しかし、ピアノ講師の場合は音楽の教員免許、英会話講師にはTOEICスコアのように、分野によっては資格や何らかの受賞歴などがあることで、就職が有利になる場合もあります。
16.小児クラーク
小児クラークとは、小児科や小児病棟などで医師・看護師の補助事務を行う仕事です。具体的な仕事内容は、診療前の問診や診療器具の片付け、診療清算、書類の整理などです。
働くために必須の資格はありませんが、医療事務関連の資格があると有利になる場合があります。子どもやその家族の気持ちに共感し、寄り添った対応ができる方に向いています。
17.保育園の運営会社
運営会社での主な仕事は、運営に関わる事務的な作業や、運営している保育園の巡回サポートなどです。保育園の運営会社に勤める場合も、特別な資格は必要ありません。巡回した際には保育士から相談を受けることもあるため、保育現場での経験があれば役に立ちます。
18.子ども向けイベント企画会社
子ども向けイベント企画会社での主な仕事は、子ども向けのワークショップやキャラクターショーなどのイベント企画・運営です。子どもや保護者目線に立った企画や気遣いができれば、特別な資格は求められません。
とはいえ、子どもや保護者と直接関わる機会はゼロではないため、保育関連施設での実務経験がある方がスムーズな対応ができるでしょう。また運営や集客、リスクマネジメントなどの知識を備えている証となる「イベント業務管理士」の資格があると、有利になる場合があります。
19.ベビー・キッズ用品店
子どもに関わる仕事には、ベビーグッズやキッズ向け衣料、玩具などを扱う店舗での接客・販売もあります。保護者のみで来店する方もいますが、我が子を連れて来店されるケースもあるため、子どもと関わる機会も多いです。
資格は特に関係ありませんが、子どもと関わった経験があれば生かせるでしょう。また、販売のプロの証となる「販売士」の資格があれば、就職の際に有利になる可能性があります。
20.写真館
写真館には、節目となる七五三や入学式などに子どもの記念写真を撮影する家族が多数訪れます。スタッフは子どもたちの魅力や笑顔を引き出すために、ヘアセットや着付け、撮影中の対応などを行うのが仕事です。
保育関連の資格はそこまで重視されませんが、ヘアメイク関連の資格を持っていると有利になる場合があります。また子どもの対応に慣れている方なら、いざというときの対応も卒なくこなせるでしょう。
21.キッズタクシー(子育てタクシー)のドライバー
キッズタクシー(子育てタクシー)は、子どもの安全な移動をサポートする専門タクシーサービスです。ドライバーは、学校や塾、習い事などの際に、ドアtoドアで子どもたちの送迎を行います。
基本的に車での移動となるため、自動車二種免許が必須です。子どもと1対1で対応する場合が多いため、子どもとのコミュニケーションスキルも欠かせません。ドライバーとして活躍している人の中には、保育士や心理カウンセラーなどの資格を持っている人が多いようです。子ども・保育関連の資格や実務経験がある方は、知識や技術を生かして活躍できます。
22.アミューズメント施設・テーマパーク
アミューズメント施設やテーマパークでも、子どもと関わる仕事ができます。特にキッズ向けのプレイゾーンやテーマパークであれば、来場した親子を楽しませることにやりがいを感じられるはずです。保育関係の資格は必要ありませんが、接客経験や語学力が生かせます。
子ども関係の仕事に向いている人は?

子ども関係の仕事に向いている人は、下記の通りです。
- 子どもと関わることが好きな人
- 相手の気持ちに寄り添える人
- 健康的で体力に自信がある人
- 責任感がある人
子どもと関わる時間が長くなるほど、「子どもが好き」という気持ちは大事になります。一緒に遊んだり話したりするのが好きな人であれば、日々の仕事を心から楽しめるはずです。
また子どもの中には、うまく自分の思いを言葉で表現できない子もいます。そのため、信頼関係を築く上では、相手の気持ちを汲み取って対応する姿勢が重要です。時にはうまくいかないときもあるかもしれませんが、責任感を持って最後まで自分の仕事をやり遂げることで、信頼関係も深まっていくでしょう。
まとめ
子どもや保育関連の仕事には、資格が必要な仕事と無資格でもできる仕事があります。たとえ業種が変わったとしても、保育現場で磨いてきたスキルを生かせる仕事はたくさんあります。
仕事探しの際には、資格を生かして働きたいのか、無資格でもできる仕事を探しているのかで候補が変わってくるため、まずは希望の働き方や仕事内容を考えてみましょう。
保育のお仕事は、保育士・幼稚園教諭の方を対象とした、専門の転職支援・適職紹介サービスを提供しています。それぞれの希望を考慮し、希望の職場探しのサポートを行っているので、お悩みがあればぜひご相談ください。
監修者情報

礒部はるか
保育士資格・幼稚園教諭一種免許状を保有。大学卒業後、学童・児童館にて保育士として従事。その後、保育園にて乳幼児クラスを担当。現在は複数の保育メディアにてライター・編集者・監修者として活動。