保育ノウハウ

保育士面接で好印象を与える逆質問とは? 転職・就職で役立つ質問例と答え方も紹介

保育士の面接では、「何か質問はありませんか」と面接官から聞かれる「逆質問」をされることがあります。逆質問は、転職や就職を希望する園に自分をアピールできる絶好の機会です。面接官への好印象につなげ、転職や就職が成功するよう、逆質問の内容を事前に考えておくと良いでしょう。

本記事では、保育士面接で逆質問をする際の質問例を目的別に紹介します。逆質問をするときに気を付けたい注意点もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

【この記事で分かること】

  • 保育士の面接で聞かれる逆質問とは?
  • 保育士面接で逆質問をするメリット
  • 逆質問をする際のNG例と注意点
  • 【目的別】保育士面接で使える逆質問の例文

保育士面接で聞かれる逆質問とは?

保育士面接で聞かれる逆質問とは、面接官から「質問はありませんか?」と問われることです。逆質問は、志望動機や得意分野といった面接官からの一般的な質問に答えた後、面接の後半で聞かれることが多くあります。

保育士さんたちにとって、緊張する面接の場で面接官に質問をするのは勇気がいることでしょう。しかし、面接官が逆質問をするのにはいくつかの目的があります。どのような目的があるのかを理解して、面接本番で逆質問ができるよう対策をしましょう。

「質問はありませんか?」と面接官が聞く目的は?

面接官が「質問はありませんか?」と聞く目的は、主に以下が挙げられます。

  • 応募者の自園で働く意欲や、興味の度合いを確かめたい
  • 面接時の質問で残った不安や疑問があれば解消してあげたい
  • コミュニケーション能力を見たい
  • 応募者の性格や個性などをより深く理解したい

逆質問はこのような目的で聞かれるため、応募者が目的に沿った質問をすることで面接官へ自分をアピールしたり、好印象を残したりできます。面接時の質問だけでは伝えきれなかった、働く熱意や自分の強みなどを伝えるチャンスと捉え、適切な質問を用意しておきましょう。

保育士面接で逆質問をするメリット

保育士面接で逆質問をすることには、以下のようなメリットがあります。

  • 面接での評価がプラスになる可能性がある
  • 働く意欲や、自分の特技・スキルをアピールできる
  • 自分の希望とマッチしているかを改めて確認できる

面接官は、応募者が他の園も候補に入れて転職活動をしている可能性がある中で、本当に自園で働きたいのか、マッチするのかなどを質問への回答や逆質問から見極めなければなりません。

面接官からの質問に答えるだけではなく、自ら積極的に質問をすることで園に対する関心度や働く意欲をアピールでき、プラスの評価につながる可能性があります。事前に調べた求人や園の情報を基に、より詳しく聞いておきたいことなどを質問すれば、希望する園が自分とマッチしているかどうかを再確認できます。また働くイメージをしっかりと持って園をリサーチしていることも伝わり、好印象を与えられるでしょう。

逆質問をする際のNG例と注意点

逆質問は、適切に質問をすれば好印象につながる可能性がある一方で、質問の内容によっては応募者の印象が悪くなることもあり得ます。逆質問に関するNG例と注意点は以下の通りです。

  • 雇用条件や待遇はストレートに聞かない
  • 「特にありません」と言わない
  • 調べれば分かることを質問しない
  • はい・いいえで答えられる質問は控える
  • 答えにくい・批判的に感じる質問はしない

それぞれ詳しく解説します。

雇用条件や待遇はストレートに聞かない

雇用条件や待遇に関する逆質問は、ストレートに聞かないようにしましょう。例えば「残業は多いですか?」「お休みは希望通り取れますか?」など、働く条件に関する質問は、それを知りたい理由を添えて確認することが大切です。

例えば「子どもの送り迎えがあるため、シフトの時間通りに出退勤したい」「学校の行事でお休みを取りたい日がある」など、具体的な理由と共に質問しましょう。理由を添えずストレートに質問すると、条件面だけを見て選んだのではと誤解されやすく、面接官に不安を与えてしまうかもしれません。

【監修者・礒部はるかのアドバイス】
勤務条件といった聞きにくい内容ほど、誠意を持って伝える姿勢が大切です。「お互いに長く気持ちよく働ける関係を築きたいので、事前に確認(相談)させていただきたいのですが……」と前置きをすることで、丁寧で誠実な印象になります。ただし、給与や残業など、面と向かって聞きにくいことがあれば、転職エージェントに聞いてもらうのも方法の一つです。

「特にありません」と言わない

保育士の面接に限ったことではありませんが、逆質問の際に「特にありません」と答えるのはなるべく避けましょう。面接官の質問にしっかりと答えられたとしても、逆質問で特にないと答えてしまうと、この園で働きたいという意欲や熱意が薄い印象を与えてしまいます。園への関心がないと捉えられ、逆質問がある応募者と比較した際にマイナスの評価となる可能性もあるでしょう。

事前に園の情報をリサーチし、後述する質問例を参考に、逆質問を用意しておきましょう。

調べれば分かることを質問しない

園のWebサイトなどを見れば分かるような内容を逆質問するのも避けたいところです。例えば「園児数はどのくらいですか?」「どのような行事がありますか?」「延長保育は行っていますか?」など、調べれば分かるようなことを質問すると、面接への準備不足な印象を与えてしまいます。また「園のことをほとんど知らずに面接に来ているのに、本当にここで働きたいのだろうか?」と、関心度が低いとみなされる恐れもあるでしょう。

逆質問では、事前に調べた求人や園の情報をより深掘りし、園への理解度や働く意欲が高いことをアピールできる質問内容を用意することが大切です。

はい・いいえで答えられる質問は控える

逆質問をする際は、「はい・いいえ」で答えられる質問はできるだけ控えましょう。応募者と面接官の会話が1往復で終わってしまうような質問では、会話が広がりません。逆質問から会話が続き、話の内容を広げられれば、コミュニケーション能力のアピールにもつながります。

もし質問したい内容が「はい」か「いいえ」で答えられてしまいそうな場合は、その質問をきっかけにして、さらに会話を広げることを意識してみてはいかがでしょうか。例えば、お答えをいただいた後に続けて「具体的にはどのようなことでしょうか?」と深掘りする質問をしたり、「その業務内容でしたら、私の〇〇というスキルも生かせそうです」とご自身の強みのアピールにつなげたりすることで、面接官との対話をより豊かなものにできるかもしれません。

答えにくい・批判的に感じる質問はしない

面接官が答えにくいと感じる質問や、批判的に感じられる質問も避けるのが無難です。「職員の人間関係は良い方ですか?」「行事の前は準備などで残業も多くなりますか?」など、面接官が答えにくい質問は、園にネガティブな印象を持っているのではといった不安を与えかねません。

逆質問でネガティブな面について聞くのは避けた方が良いですが、必要があって質問する場合には「職員間で保育に関する情報や意見交換をする機会はありますか?」「行事の準備などはいつ頃から進めているのですか?」など、ポジティブに言い換えて質問するようにしましょう。

【目的別】保育士面接で使える逆質問の例文

ここからは、保育士面接で使える逆質問の例文を以下の目的別に紹介します。

  • 園の理念や方針を深掘りする質問例
  • 熱意や働く意欲をアピールする質問例
  • 自分の特技や資格を伝える質問例
  • 日々の保育や行事に関する質問例
  • 勤務体制や働き方に関する質問例
  • 期待される人物像など会話を広げる質問例
  • 逆質問が特にないときに使える質問例

園の理念や方針を深掘りする質問例

園の理念や方針を深掘りする質問は、事前に園の情報をリサーチしていることや、より詳しく知りたいといった意欲を面接官にアピールできます。逆質問をする際には、園の理念や方針に沿い、自身が保育をする際に感じる疑問を具体的に聞けると良いでしょう。

【逆質問例】

  • 貴園では子どもの主体性を育む保育を大切にされていますが、子どもの年齢によってどのような関わり方をされていますか?
  • 子どもたちの食育活動で野菜栽培を行っているとのことですが、うまく育たなかった場合にはどのように子どもたちに伝えているのでしょうか?
  • 姉妹園との交流を行われているそうですが、交流の際にはどのような活動をされていますか?
  • 園の教育方針の中で、一番力を入れていることは何ですか?

【監修者・礒部はるかのアドバイス】
私が働いていた保育園で実際に好感度が高かったのは「貴園の保育に関して非常に興味があるのですが、入職後に研修や勉強会などで深く学ぶ機会はありますか?」「どのような経緯で今の方針になったのでしょうか?」といった質問です。園の歴史や学びの機会に関心を示すことで、長く誠実に働く意欲が伝わりやすくなります。特に園長や理事長、主任保育士など、長く園に務めている方にとって、園の変遷・歩みに関する質問は非常に感慨深いものです。

熱意や働く意欲をアピールする質問例

熱意や働く意欲をアピールする質問をするのも良いでしょう。面接官は、応募者が他園も候補に入れていると想定し、自園で働きたい意欲や優先度はどのくらいなのかを知りたいものです。そのため、働く意欲や熱意を逆質問でアピールできれば、採用後に活躍してくれそうだ、といった好印象につながる可能性も高まるでしょう。

【逆質問例】

  • 貴園で保育士として活躍するために、必要なスキルや特に大切にすべきことは何ですか?
  • 今後、貴園で長く働いていくためにキャリアアップを視野に入れたいと考えていますが、そのような機会はありますか?
  • 貴園で働く中で、最もやりがいを感じられるのはどのような場面ですか?

自分の特技や資格を伝える質問例

自分の特技や資格を逆質問で伝えることで、保育士としてどのような場面で活躍できそうかを面接官がイメージしやすくなります。自身の特技や資格を生かして働く上で、何ができそうか、何に役立てられるか、といった視点で質問をするのがポイントです。

【逆質問例】

  • 私は学生時代に美術部でイラストや造形に取り組みました。そのため、イメージを形にすることが得意で、保育にも生かしたいと考えています。日常の保育で、この特技を活動に取り入れられることはあるでしょうか?
  • 私は歌うことや体を動かすことが好きで、リトミック指導員の資格を取得しています。保育活動で子どもたちとリトミックを行うような機会はあるでしょうか?
  • 子どもを育てる親として、保護者の気持ちにも寄り添うことができると考えております。貴園では保護者対応の際にどのようなことを大切にされていますか?

日々の保育や行事についての質問例

日々の保育や行事に関する逆質問も用意しておくと良いでしょう。志望園で働くことを想定していると、面接官にアピールすることができます。リサーチ力や園への理解度も示せ、好印象につながるきっかけにもなるでしょう。

【逆質問例】

  • 異年齢保育を行われていますが、どのくらいの頻度で実施していますか? またどのような活動を楽しんでいますか?
  • 行事の準備はいつ頃から始めているのですか? 保護者の方に協力してもらうような場面はありますか?
  • 製作内容はどのように決めているのでしょうか?
  • 園庭がないとのことでお散歩に行かれていますが、どのくらいの頻度で行くのでしょうか? 梅雨の時期などはどうされていますか?

勤務体制や働き方に関する質問例

勤務体制や働き方に関する逆質問は、求人や園の情報を確認しても疑問が残った内容のみに抑え、ネガティブな印象にならないような伝え方を意識しましょう。また勤務体制や働き方に関する逆質問ばかりにならないよう、バランスを考えることも大切です。

【逆質問例】

  • 子どもの朝の送り出しや、帰りのお迎えがあるのですが、早番・遅番といったシフトはどのように組まれるのでしょうか?
  • 妊娠・出産をした際には、復帰後にまた働きたいと考えています。貴園ではそのような制度や働き方をされている方はいらっしゃいますか?
  • 将来的にキャリアアップしていきたいと考えていますが、そのような機会はありますか?
  • 事務作業をICT化されているとのことですが、どのくらい業務に取り入れられているのでしょうか?

期待される人物像など会話を広げる質問例

期待される人物像を逆質問することで、園がどのような保育士を求めているのかを知ることができます。同時に、自身とマッチするかどうかの判断材料にもなるでしょう。期待される人物像の質問から、自身の得意分野や過去の経験が生かせることが分かれば、面接官との会話が広がるチャンスにもなります。

【逆質問例】

  • 貴園で活躍できる保育士になるために、どのような点を意識すると良いですか?
  • 貴園で働かれている保育士さんの中で、特に素敵だなと感じる方はどのような特徴がありますか?
  • 貴園でキャリアアップされている保育士さんはどのくらいいらっしゃいますか?

逆質問が特にないときに使える質問例

面接官から自身が持つ疑問に対して詳しい説明をもらえ、予定していた逆質問の答えが得られる場合もあります。用意していた逆質問をする必要がなくなってしまったときは、面接で十分に園のことを理解できたということを丁寧に伝えれば、逆質問をしなくても特に問題はありません。あくまでも、面接官の話を聞いて理解できたため質問する必要がなくなった、という状況が伝わるように話しましょう。「特にありません」と答えてしまうと、マイナスに捉えられてしまう可能性があるため注意が必要です。

【逆質問例】

  • 〇〇について疑問がありましたが、丁寧にご説明をいただき理解できました。
  • 多くのお話を聞かせていただき、園のことがよく分かり、働く際のイメージができました。
  • 詳しくご説明をいただきありがとうございます。とてもよく理解できました。

【監修者・礒部はるかのアドバイス】
用意した逆質問を全て伝えて、質問することがなくなってしまったときは、面接当日に気になったことを伝えるのがおすすめです。保育園内で面接する場合は「先ほどの廊下の壁面、季節感があって素敵ですね。全て子どもたちの作品ですか?」「あちらの部屋から掛け声が聞こえるのですが、何かの行事の練習ですか?」など、雑談のような形で気になったことを質問すると、園に関する理解がさらに深まったり、意外なお話が聞けたりしますよ。

逆質問の事前準備と保育士面接のポイント

逆質問の内容を準備する際は、事前に園のWebサイトや求人票をしっかりチェックして情報を集めておくことが大切です。調べて分かることを逆質問してしまうことのないよう、基本的な情報収集は手を抜かずに行いましょう。

逆質問の内容は、頭で何となく考えておくだけでは面接当日に緊張して忘れてしまう可能性もあります。考えた逆質問はメモしてまとめておくと良いでしょう。また逆質問はあくまで面接の一部であるため、面接全体のマナーや流れも頭に入れておきましょう。

面接では逆質問だけではなく、志望動機や自己アピールなど、面接官からの質問に答える練習も必要です。スムーズに受け答えができるよう、逆質問の内容と併せて練習しておきましょう。

保育士面接の逆質問でやる気やスキルをアピールしよう

保育士面接では、面接官からの質問に答えるだけではなく、面接の後半で逆質問の機会が設けられる場合があります。逆質問は、園のことをより詳しく知ることができたり、働く意欲や自分のスキルをアピールできたりと、採用につながるチャンスを得られる貴重な機会です。特に質問をせず面接を終えてしまうことのないよう、事前準備を整えて面接を迎えましょう。

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監修者情報

礒部はるか

保育士資格・幼稚園教諭一種免許状を保有。大学卒業後、学童・児童館にて保育士として従事。その後、保育園にて乳幼児クラスを担当。現在は複数の保育メディアにてライター・編集者・監修者として活動。

よくある質問

Q. 逆質問は、いくつくらい準備すれば良いですか?

3~5つ程度準備しておくと、いざという時に安心です。

面接でお話を聞いているうちに、疑問が解消されることもあります。「用意していた質問の答えが、全部出てきちゃった!」と面接の場で慌てずに済むよう、少し多めに用意しておくと心にゆとりが持てるでしょう。

たくさん準備した中から、面接の流れを踏まえて「これだけはぜひ聞いておきたい」という特に大切な質問を、最後に1~2つに絞って尋ねられると、好印象につながりやすいですよ。

Q. どうしてもお給料やお休みのことが聞きたいです。どう質問すれば印象が悪くなりませんか?

聞き方の工夫と、なぜ知りたいのかという理由を正直に伝えることが大切です。

お給料やお休みは、これから長く働いていく上でとても大切なことですよね。聞きにくいと感じるかもしれませんが、誠実な姿勢で質問すれば、面接官もきっと理解してくれます。

例えば、「大変恐縮なのですが、長く気持ちよく働かせていただきたいと考えておりますので、一点だけ確認させていただいてもよろしいでしょうか」といった前置きをすると、丁寧な印象になります。その上で、「子どもの送迎時間が決まっておりまして」など、具体的な理由を添えて質問することで、条件面だけを気にしているわけではない、という真摯な気持ちが伝わりやすくなるでしょう。

Q. 面接官の説明で本当に疑問が解決してしまいました。「特にありません」以外の、良い伝え方はありますか?

感謝の気持ちと、理解できたことを前向きに伝えましょう。

質問がないということは、面接官の説明をしっかりと聞き、深く理解できたという証でもあります。そのことを正直に伝えるのが一番です。

例えば、「本日は丁寧にご説明いただき、疑問に思っていた点がすべて解消されました。ありがとうございます」と、まずはお礼を伝えます。さらに「お話をお伺いして、ますます貴園で働きたいという気持ちが強くなりました」と働く意欲を添えることで、面接官にもポジティブな印象が残るはずです。「特にありません」と一言で終えるのではなく、感謝の言葉に変えることを意識してみてください。

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